「なにより、いのち。」によって命が失われることもある。「生ける屍」という言葉もありますし。
しかしそれと同時に、この人生にとって一番大切なことは、人間が大勢集って社会生活をしている、その中でどうすれば皆が仕合せに暮して行けるか、言いかえれば、人間と人間との間の関係が、うまく調整されてゆくかという、そういうものが、人生においては一番大切なことではないのか、そういう方をおろそかにしておれば、いくら科学というものが進歩しても、結局それが、人間にはほんとうの幸福を与えるものでなかったら、結局無意味なのではなかろうかという問題が、始終私の頭を去来している。(池内了編湯川秀樹『湯川秀樹エッセイ
- コメント6
- リブログ2