わが家(いへ)累代(るいたい)武門(ぶもん)に列(つらな)り、われ又不肖(ふせう)なりといへども人の為(ため)に蔑(あなど)られず。しかるにこの畜生(ちくせう)我(われ)を恥(はづかしむ)る事かくのごとし。もし立地(たちどころ)に打殺(うちころ)して、醢(しゝびしほ)となすにあらずは、ふたゝび舘(たち)へ帰(かへ)らじ」とて、いきまき罵(の)るといへども、頓(とみ)に施(ほどこ)すべき謀(はかりこと)もなく、只管(ひたすら)憤(いきどほり)に堪(たへ)ずして打手(うちでの)紀(き)八をちかく招(