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旗原理沙子「私は無人島」(『文學界』2024年5月号所収)を読みました。第129回文學界新人賞受賞作のうちの一作。この小説の中で、主人公の占い師である月子は友人未希の堕胎のため、「伝説の墮胎師のえじう」(16頁)を探す旅に出る小説なのですが、不気味な雰囲気を持つ“蛇人”(後に判明する彼の正体が怖かったです…)、旅の途中で立ち寄った島に住むそん婆やみん婆等の登場人物達、あるいは彼女達との会話から墮胎のために必要だと分かった植物”ミレイジャク“、主人公月子がしばしば見る夢の描写等の設定や内
『紙の山羊』山家望文學界2023年1月号Amazon(アマゾン)山家さんにはまっている。『紙の山羊』は『文學界2023年1月号』に掲載されている。『紙の山羊』の主人公は行政書士の相川。相川はある日、奇妙な仕事の依頼を受ける。それは謎の人物に教育を施すこと。謎の人物とは実は人物ではなかった。。。簡単な手続きに必要な申請書類等を誰でも簡単にできるようにするシステム作りだった。相手は人ではなくAIだったわけだ。相川は、悩んだ挙句、そのAIを育てる仕事を引き受ける。山家さん
『変身』などで知られるチェコの作家フランツ・カフカ(1883~1924)が没後100年を迎え、生誕140年だった2023年と合わせて文壇での注目が集まっている。文學界は2月号で「没後100年、これからのカフカ」の特集を組んだ。チェコセンター東京などが関わって、若手作家向けに「フランツ・カフカショートストーリーコンテスト」が開かれ、昨11月に早稲田大学で授賞式が開かれた。文學界の特集では審査員だった上田岳弘、藤野可織、小山田浩子による早稲田大学のシンポジウムと受賞作が掲載されている。その他
今日、『文學界』2024年4月号に掲載されている2篇の短篇小説を読みました。①町田康「弥勒の世」久しぶりに町田康の小説を読みましたが、設定が破天荒で驚いてしまいました。顔が悪いから「どこに行っても疎んぜられ、苦しみと悲しみを抱えて生きてきた」(16頁)主人公の顔も是非見てみたいと思いましたが、何より儲かるからと密輸したガマが出す毒が、人の顔を「『うそぶき』と謂う狂言面」(21頁)に似せるというのは”ちょっと…“と思いました。ただ、その毒で「みんな平等な弥勒の世」(24頁)になるの
こんにちは、文筆家、ヨガインストラクターの木谷美咲です。当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。くわしい活動は→プロフィールをご覧ください。根本昌夫先生の小説教室に行ってきました。今回で第3期の4回目です。いつものように受講生の方の作品を合評。児童文学作品や常連の方の作品などがありました。活発に作品が提出されて、読み応えがありました。その後、芥川賞受賞作品、九段理江さんの『東京都同情塔』の合評。文學界新人賞受賞作品の『悪い音楽』は読んでいました。その時にシニ
雑誌です。追悼櫻井敦司出てます。高橋弘希さん・・・BUCK-TICKファンでしょうか。追悼っぽくない追悼文でなんとなく、あっちゃんへの愛が感じられました。芥川賞取った方ですが読んだことなかったんですが書かれたもの読んでみようかしら。文學界2024年1月号[雑誌]Amazon(アマゾン)Amazon(アマゾン)で詳細を見る楽天市場で詳細を見る${EVENT_LABEL_02_TEXT}
「文學界」に町田さん登場「文學界」という専門誌がありますが、最新号の告知に町田さんのお名前が…2/7発売🌼文學界3月号の表紙と目次です。特集「身体がいちばんわからない」小川公代さん論考、町田樹さんインタビューほか充実の内容です。津野青嵐さん・江南亜美子さんの新連載に、「身体を記す」は戌井昭人さん。九段理江さんのエッセイに、市川沙央さん×岩川ありささん×菊間晴子さんの鼎談も掲載!pic.twitter.com/WnBAxP8DI3—文學界(@Bungakukai)2024年2月
あけましておめでとうございます今年はフランツ・カフカの没後100年です!これをきっかけに、カフカの読者がますます増えることを願っています。「あなたたちに、新年の挨拶をしようと思ったのだが、うまくいかなかった」カフカ元旦の日経新聞のカフカの記事に、私も少しコメントさせていただきました。ネットでもお読みいただけます。カフカ没後100年現代に通じる不条理を読み解く-日本経済新聞2024年はチェコ出身の作家、フランツ・カフカの没後100年にあたる。現代に通じる不条理な作
村田沙耶香「無害ないきもの」(『文學界』2024年1月号所収)を読みました。この小説には、1000年前から人間は自身を害獣と認定している世界の中で、主人公の繭を含めた人間達が“罪滅ぼし”のために自殺する過程が描かれているのですが、読んでいる間は勿論読み終えた後に気持ち悪くなり、何度か吐きそうになりました。本当は読み始める前、作者が村田沙耶香なので「この小説は変な小説かもしれない」と思っていたものの、正直ここまでとは思いませんでした。主人公を含めた人間が生活しているのがドームの中だと
三木三奈「アイスネルワイゼン」(『文學界』2023年10月号所収)を読みました。まず、この小説の主人公であるフリーのピアノ教師の琴音は僕とほぼ同じ様な気質の持ち主なんだなと感じました。母親が嫌いで、(この小説のかなりの量を占める、視覚障碍者の優が取る態度に代表される)他者からの優しさに対して距離を取ろうとして故意に嫌われる様な行動をしてしまう、異性に愛してほしくて急に連絡してしまう(も会うのを拒否される)等の描写、あるいは(優の配偶者を夫としか表現しない事で分かる)日々自分と他者との関
「文學界」1月号、本日発売です!石田月美×頭木弘樹×畑中麻紀×横道誠の4人による、読書会とオープンダイアローグを融合させた、「ビブリオ・オープンダイアローグ」の連載がスタートしましす!第1回は「スナフキンの悩み」です。電子版は明日8日から配信スタート。どうぞよろしくお願いいたします!【リニューアルしました✨】12/7発売📷文學界1月号の表紙と目次です。又吉直樹さん、村田沙耶香さんの創作に、東畑開人さん、千葉雄喜さん、ビブリオ・オープンダイアローグ、と新連載が3本!金原ひ
【ピエール中野メディア情報】本日発売の文學界2023年12月号に高橋弘希氏とピエール中野の対談が掲載されています。https://books.bunshun.jp/ud/book/num/49100770712392023
たまに書く#架空書店231008⑦📝きれぎれのダイアリー2017~2023柴田聡子きれぎれのダイアリー2017~2023[柴田聡子]楽天市場${EVENT_LABEL_01_TEXT}2,310円#予約受付中#新刊#本#予約#読書垢#架空書店の本棚#231023on#きれぎれのダイアリー#2017~2023#柴田聡子#文學界##文藝春秋気分よく生きるための私的解釈Amazon(アマゾン)${EVENT_LABEL_01_
こんにちは、文筆家、エッセイスト、絵本原作者の木谷美咲です。当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。くわしい活動は→プロフィールをご覧ください。根本昌夫先生の『小説教室入門』第4回目に行って参りました。前回までのように生徒の提出した作品を合評する授業内容です。今回は原稿用紙300枚もの大作が2本提出されていて、1本は元恋人であり、ビジネスパートナーの男の訃報で物語が始まる自叙伝的小説、もう1本は幕末を舞台にした冒険ファンタジーでした。さらに今年の芥川賞受賞作の『ハンチ
こんにちは、文筆家、エッセイスト、絵本原作者の木谷美咲です。当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。くわしい活動は→プロフィールをご覧ください。第169回芥川賞受賞作『ハンチバック』著者の市川沙央さんは1979年生まれ。筋疾患先天性ミオパチーを患っています。そのため症候性側彎症を発症。人工呼吸器、電動車椅子を使って生活をされています。受賞の記者会見の様子が印象深く、あの時の市川さんの睥睨するような決意に満ちた表情が、今も心に残っています。『ハンチバック』を読んで
絲山秋子さんのデビュー20年特集が「文學界」で掲載されているということで、離島なのでネットでぽちっとした。実は、この簡単な「ぽちっと」に一度失敗してしまい複雑な作業になってしまった。庭に定期船が到着する5時くらいに目が覚めて、SNSのタイムラインを追っていると、絲山さんの本の情報がたくさんあがっていて、ぽちっとする作業に移ったのはいいが、なんとキンドルをぽちっとしてしまい、紙の本が欲しかったのに、大失敗。早朝で寝ぼけていたのもあって、すぐにキャンセルしようと思ったら、キンドルはすで
四年前から…そして少し前までの僕は…文學界の世界に囲まれていました。文學界のツワモノツブ揃いたちに囲まれていました。あがり症が炸裂してしゃっくりが止まらなかったあの日の代官山蔦屋書店。移民のリアルと対峙して何時間も、話した日。官能的な性愛の描写力を高めるきっかけが降り立った日。読み漁った世界の文學でした。アジア文學の世界の扉を初めて開いた日。今の僕があるのは彼女たちの存在があったから。始まりからそして今までありがとう!
芥川賞受賞の『ハンチバック』(市川沙央著)が読みたくて、文學界を借りて来ました。読みました。うーん…うーん…主人公の設定は面白かった、というか興味深かったのだけど…細かい設定の話があちこち飛んで…どんな話だったのか、読み終わったあと『で?』だった…でも、この『文學界』での『文學界新人賞受賞』もしてるのだから読む人が読んだら、良い作品なんだろうなぁ。本当に、本て好みもあるし人それぞれだなぁ…とあらためて。最後の部分…結局あれは何だったのか…現実だったのか夢だ
中学までは「物語的文章」を学ぶ。だから、高校になって初めて「小説」という分野を教科書で習うことになる。もう一つの文章のタイプを、中学までは「説明的文章」、高校からは「評論文」と呼ぶ。つまり、日本人はみな、高校1年生になってはじめて「小説」「評論」という二大分野に触れるのである。学び始めというのはとても大事で、例えば、中1なんかは、新しい分野ずくめでたいへん苦労する。僕らの時代は、英語がそうだったし、数学の文字式ってやつがそうだった。だから、高校で習い始める「小説」や「評論
8月7日発売の「文學界」9月号に、小説「その子はたち」が掲載されています。読んでいただけたら嬉しいです!こんな内容です↓小学生の娘を育てる多恵は、近くに住むひとり親家庭と親しくなるにつれて、家族のありかたがわからなくなっていく。さらにある女性が現れたことをきっかけに、多恵は捨ててきた過去と向きあうことになる。
昨日より大が2つ減ったけど…ありがたいわ❣️😉九州地方では大雨被害が凄くて…💦😑お見舞い申し上げます。目の前にある本↓ムスメが会社の(福利厚生❓)割引で毎月購読しています。昨夜届いたの。私は文學界、ムスメは文藝春秋。どちらも好きなのよ…文藝春秋は世論も書いてあるし、読み応えあるよね😉リハビリ病院🏥入院してる時に90代のお婆ちゃんが文藝春秋読んでて触発されたわ(。☬0☬。)娘さんが読んだ後のを送って貰ってるみたいでした。とても、知的な方。その方のお孫さ
高瀬隼子「明日、ここは静か」(『文學界』2023年8月号所収)を読みました。まず、読み始めてすぐ、「うるさいこの音の全部」(『文學界』2023年2月号所収)に続いて作家早見有日(本名長井朝陽)が登場し、芥川賞を受賞していて驚きました。そして、読み進めるうちに明らかになり興奮してしまいましたが、雑誌の取材等で嘘をついてしまう自分と本当の自分について考えを巡らせていく様は、(小説家である彼女と僕の置かれた状況はまるで違うにせよ)読んでいて「何だか分かるな」と言う箇所が多く、読んでいて面白か
島崎藤村・明治5年(1872年)3月25日生~昭和18年(1943年)8月22日没(享年72歳)『島崎藤村「六人の処女」明治29年(1896年)・後篇』『若菜集』明治30年(1897年)8月29日・春陽堂刊島崎藤村・明治5年(1872年)3月25日生~昭和18年(1943年)8月22日没(享年72歳)『島崎藤…ameblo.jp罪なれば物のあはれを罪なれば物のあはれをこゝろなき身にも知るなり罪なれば酒をふくみて夢に醉ひ夢に泣くなり罪なれば親をも捨てて世の鞭を忍び負ふなり罪な
乗代雄介「それは誠」(『文學界』2023年6月号所収)を読みました。この小説には、主人公(である佐田誠)の「高校二年の東京修学旅行の思い出」(10頁)が修学旅行前の日々の出来事も含めて描かれているのですが、序盤は学校をすぐに休んだりするというやや捻くれた彼の性格のせいでしょうか、読んでいて「この小説は一体どうなってしまうのだろう?」と思い、若干微妙な気持ちになりました。ですが、中盤以降の修学旅行中のある一日の(日野に住んでいる主人公のおじさんに会いに行くと言う)“冒険”(目次より)の過
市川沙央「ハンチバック」(『文學界』2023年5月号所収)を読みました。第128回文學界新人賞受賞作です。まず、語り手がミオチュブラー・ミオパチーと言う先天性疾患を抱えており、財産面でも特に問題がない設定には(個人的には失礼でしょうが)驚きました。そして、ハプニングバーでのエロ記事から始まる冒頭部分を含めて性に関する表現や描写が多い上、この小説で描かれる語り手の思考や行動に面食らってしまい、読んでいる間しばしば気持ちで負けてしまいそうになりました。考えた事がなかったのですが、健
昨日はボブ・ディランを観に有明(東京ガーデンシアター)まで行ってきました。空港並みのボディ・チェックを受けましたが、A席を購入した人は、なんとS席への振替えがありました。エコノミー・クラスからビジネス・クラスに!やはり空港であった。ボブ・ディランは17時の開演とほぼ同時に姿を現し、1時間45分ほどノンストップで演奏。凄いです。☆☆☆☆☆さて、今日の本題は奈倉有里さんなのでした。最近、奈倉さんのTwitterをフォローし始めたのです。それで、あの「夕暮れに夜明けの歌を」以外
二瓶哲也「それだけの理由で」(『文學界』2023年3月号所収)を読みました。久しぶりにこの作家の小説を読みましたが、主人公の(父親が自殺した過去も含めて形成されだだろう)他人に対する口の悪さや屈折した態度は良く分かるなあと思いつつ、大学時代の同級生からの連絡から始まる物語を読み終えました。そして、主人公程強烈ではないものの、主な登場人物である(主人公の大学時代の友人である)清田睦美や、最後は自殺を選ぶ生野太一や坂上愛子の人物設定が中々際立っていたり、(終盤には辞めてしまう)主人公の勤務
文學界2023年2月号掲載高瀬隼子著「うるさいこの音の全部」「おいしいごはんが食べられますように」で第167回芥川賞を受賞した高瀬隼子さんの中篇小説です。日常生活にある価値観の違い、そこから来る溝。そこには絶対的な悪は存在しない、だからこそ浸食し続けてしまう。ゲームセンターで働く朝陽は仕事の傍ら小説を書いている。そしてその小説が本になりメディアにも取り上げられ職場にも広まっていく。周りの人は知り合いが作家になって喜んでいるが、その反応に朝陽は戸惑う。ゲームセ
主人公の幸子には夫との間に蒼汰いう名の息子がいる。幸子は自宅の洋室を前に「蒼汰」と呼びかけるが応答はない。続きはこちらで↓http://blog.livedoor.jp/artmania_3-artmania_3/archives/90154496.html【山下紘加・著『掌中』】:artmania_3のblog主人公の幸子には夫との間に蒼汰いう名の息子がいる。幸子は自宅の洋室を前に「蒼汰」と呼びかけるが応答はない。洋室の他にも、蒼汰にまつわるトロフィーや、修学旅行土産の小さなオルゴ
文學界2022年12月号掲載奥野紗世子著「オーシャンビューの街のやつ」2021年東京オリンピック前の東京歌舞伎町時短営業が続く飲食店、人々は自然と路上に集まり夜が更けていく。写真家の文子は作品制作の為に歌舞伎町のホテルに滞在し、自分の求めている被写体の“ペルーのおじさん”のような人を探し歩く。