文学批評

世紀末のジェンダーと文化SexualAnarchyGenderandCultureattheFindeSiecle著：エレイン・ショウォールター（ElaineShowalter）訳：富山太佳夫・永富久美・上野直子・坂梨健史郎Originallypublishedin19902000年5月25日発行株式会社みすず書房本書は世紀末のイギリスを論じた古典的名著で、英文学のフェミニスト批評を学ぶ人には必読の書です。大学院留学にも

簡単に言うとジャンヌ・ダルクは、神の使いではなかったという話。主な登場人物まだ幼いイングランド王フランスの農民の娘①執着しているイングランドの宮廷で、権力争いが繰り広げられる……シェイクスピアの史劇で、ずっと続くんだよねコレ？何百年が経っても、人間の本質は変わらない！②逆転している劣勢だったフランス軍を率いて、イングランド軍を撃破するジャンヌ・ダルク……男性よりも強い女性、本当に神の使い？③結びつかないものを一緒

簡単に言うと気が強い女性を、男性が懲らしめる話。主な登場人物男まさりな姉男に従順な妹型破りな求婚者①執着している長女を嫁に出すまで、次女は結婚させないと言い出す父親……家父長が子供たちの結婚を決める、昔の話……物語の冒頭で戦いのルールが決まるのは、スポーツみたい？②極端になっている男まさりでモテない姉と、素直でモテモテの妹……姉妹で性格が正反対って、まさに喜劇の設定！③本来の姿ではなくなっている妹の求婚者たちは、

簡単に言うと紳士が旅先で浮気をする話。主な登場人物女好きの若い紳士真面目な親友旅先で恋をした女性故郷に残した婚約者①結びつかないものを一緒にしている恋に現を抜かすプローテュースと、男同士の友情を大切にしている親友……親友同士でも考えが相容れない、ヴェローナに住む若い紳士たち……刑事ドラマとかでも、バディを組むのは正反対の二人だよね？②環境が変わっている紳士としての教育を完成させるために、ミラノまで旅をしてきた親友は、ミラノ公

『ミドルマーチ』教養講義著：廣野由美子2021年4月25日発行中公新書2641中央公論新社ミドルマーチを昨年読了したので積読していた本書を読みました。『ミドルマーチ１』Middlemarch著：ジョージ・エリオット（GeorgeEliot）訳：廣野由美子Originallypublishedin18712019…ameblo.jp本書では光文社古典新訳文庫版のミドルマーチの翻訳をされている廣野先生がミドルマーチを題材に小説の読解法を解説

〈関係〉のダイナミックス著：久守和子1998年9月25日初版第１刷発行MINERVA英米文学ライヴラリー④株式会社ミネルヴァ書房本書はジェーン・オースティンとジョージ・エリオットを中心に英文学におけるヒロインの描写を通して小説技法などを探求した学術書です。ミドルマーチを読了したので第8章自己実現への道程を再読しました。私はミドルマーチの結婚に焦点を当てて読んでいたので、ミドルマーチのもう１つの主題が金銭の誘惑であるという著者の論を見て作品

著：富山太佳夫2008年5月16日第１刷発行株式会社岩波書店堺市立図書館より貸出本書は英文学者の著者が「英語青年」などに投稿していたエッセイや論文などを纏めた本です。イギリスにサバディカル留学時の話や作品論、批評理論への考察などが掲載されています。「描出話法」や「読者反応論」など知らなかった批評理論を知るきっかけになりました。作品の分析では「ファニー・ヒル」が特に興味深かったです。19世紀のポルノグラフィーとは異なり。当事者間の同意に基づく性行為

BetweenScyllaandCharybdisイギリス小説にみる逸脱の女性像著：須賀有加子1990年7月25日第１刷発行株式会社南雲堂堺市立図書館より貸出19世紀から20世紀のイギリス小説における規範から外れた逸脱の女性像を考察した研究書です。ディケンズのウェイド嬢やヘンリー・ジェームズのマダム・マールギャスケルのルース、マーガレット・ドラブルのロザモンドとルイーズ、ドリス・レッシングのヘティなど様々な女性キャラクターが分析されています。著

2023年6月24日17:00-19:30課題本：「SilverBlaze」byArthurConnanDoyle『SilverBlaze』著：アーサー・コナン・ドイル(ArthurConanDoyle)1892年読書会の課題本としてかの有名なシャーロックホームズの短編を読みました。『…ameblo.jp昨日は読書会でした。課題本はシャーロックホームズシリーズの一篇です。ホームズを一度読んでみたいと思っていたのでよい機会でした。驚いたのは参

2023年5月27日17:00-19:30梅田課題本:「TheBodySnatcher」byRobertStevenson『TheBodySnatcher』著:ロバート・スティーブンソン(RobertStevenson)1884年読書会の課題作品でした。『イギリス短編小説読書会』2023年5月27日1…ameblo.jp昨日の27日から嬉しいことに4連休です。ブログの更新がここ暫くできなかったので、この休みで書けたらなと思います。連休

ウィリアム・ゴールディングWilliamGolding訳:小川和夫Originallypublishedin19551983年11月15日発行中央公論社堺市立図書館より貸出読書会の課題本です。『「風変わりな」小説読書会』2023年3月25日18:00-20:00課題本:「後継者たち」byウィリアム・ゴールディング昨日は読書会でした。課題本の「後継者たち」は読みにくく、読ん…ameblo.jp「蝿の王」で有名なゴールディングの小説です。ネタン

著:イタロ・カルヴィーノ(ItaloCalvino)訳:脇功Originallypublishedin20022016年10月15日発行株式会社白水社白水uブックス堺市図書館より貸出12月に読んでいた本です。独創的な構成でメタフィクションの要素があります。ある男性読者が本を読み始めると、途中で別の小説が挿入されている乱丁本でした。読んでいる本の続きを求めるとまた別の小説が、といったことが続きます。そして男性読者はこの謎を解くために旅に出ます。するとこの乱

アドバイスとは雪のようなものだ。柔らかければ柔らかいほど、それは長く留まって、心の中に深く沈んでいくサミュエル・テイラー・コールリッジ(1772年-1834年)サミュエル・テイラー・コールリッジは、イギリスのロマン派詩人であり、批評家、哲学者である。ウィリアム・ワーズワースとの共著『抒情民謡集』を刊行し、イギリスのロマン主義運動の先駆けとなる。ウィキペディア今日の単語獅子奮迅[ししふんじん]名詞獅子が奮い立って猛進するよう

著：マヌエル・プイグ（ManuelPuig）訳：野谷文昭Originallypublishedin19762011年5月25日改訂新版第１刷発行株式会社集英社堺市立図書館より貸出読書会の課題本です。『「風変わりな」小説読書会』2022年11月26日17:00-19:00課題本：「蜘蛛女のキス」byマヌエル・プイグ昨日は小説読書会でした。課題本の「蜘蛛女のキス」はアルゼンチンを…ameblo.jp舞台や映画などメディア化もしています。社会主義で革

2022年10月29日17:00-19:00課題本:「青白い炎」byナボコフ『青白い炎』著:ナボコフ訳:富士川義之2014年6月17年第1刷発行株式会社岩波書店堺市立図書館より貸出読書会の課題本として読みました。『「風変わりな」小説読書会』2…ameblo.jp土曜日は読書会でした。ナボコフは初めて読みました。読書会ではいつも読んだことがない本を読むきっかけになるので読書の幅が拡がるのがありがたいです。「青白い炎」ではシェイドが読んだ詩と、その詩にキ

「『平和』を算数の2としたときにそれを達成するのは、1+1で2にするという単純な方法だけではない」とは、僕が敬愛しているとある方が仰っていた言葉である。例えば1+4-5+2=2のように。現実の世界はとても複雑で、入り組んでいるので、ときに足して、ときに引いたりしなければいけない局面だって、きっとある。平和を願う心は世界の誰もが同じはずなのに、それを達成するための方法論のところで、多くの人が頭を悩ませている。～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～～ここへきて、無性にイマヌエル・カント

ジェンダー・フェミニズム批評入門著:北村紗衣2022年6月22日発行株式会社文藝春秋電子書籍hontoより購入本書は映画、舞台、文学など様々な作品をフェミニスト批評で読み解いた本です。特にヴィクトリア朝文学の批評をお目当てに買いました。ジェーン・エアではヴィクトリア朝の規範に乗っ取り最後はヒロインの結婚で終わらせる為に、聖職者ジョンとの愛のない結婚とロチェスターとの結婚を比較するという、美女と野獣などで見られるろくでなしの求婚者と、問題はあるがヒロイン

本日は書籍紹介をいたします。今回取り上げるのはこちら、ミハイル・バフチン『ドストエフスキーの詩学』望月哲男・鈴木淳一訳、ちくま学芸文庫、1995年おそらく世界で最も有名なドストエフスキー論のひとつではないでしょうか。筆者バフチンはドストエフスキーの文学を分析するにあたり、「ポリフォニー小説」と「カーニバル文学」という二つの概念を大きく打ち出しましたが、いずれも今やドストエフスキー論という固有の文脈を離れ、文学批評の一般的な用語として定着するに至っていると思います。ポ

不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門著：北村紗枝2019年6月17日第１刷発行株式会社書肆侃侃房本書はwebサイト、wezzy(以前はmessy)で連載されているコラムを書籍化したものです。以前から連載を楽しく読んでいましたが、本書を課題本としたFeminisminourmind読書会を知り、読書会用に購入しました。本書のおかげでこの読書会を知り合うことができました。『Feminisminourmind読書会』2020年3月14日14

-チョウのように読み、ハチのように書く著：北村紗枝2021年9月17日初版発行株式会社筑摩書房筑摩eブックス電子書籍hontoより購入北村紗枝さんによる批評の書き方を学ぶ本を読了しました。批評理論なども紹介されていますが、実例が豊富で実践的な本です。第1＆2章では精読と分析の手法を第3章では書くテクニックを伝えています。第4章のコミュニティを作るでは実際に北村さんと、北村さんが大学で教えた学生さんによる批評とそれに対するコメントを見ることができます

2021年5月12日朝日新聞朝刊昨日の新聞にヴァージニア・ウルフの特集記事がありました。フェミニズムの盛り上がりを受け、ウルフがフェミニズムの視点から再注目されています。新訳本も出発されています。ただこの「同性愛者でもあった」という書き方よりはバイセクシャルの方が分かりやすかったのでは思います。ウルフは夫もいましたが、女性とも恋愛関係をもっていました。モダニズム文学は不勉強なので、ロレンスの「チャタレイ夫人の恋人」しか読んだことがありません。『チャタレイ

斎藤真理子責任編集2019年11月30日初版発行株式会社河出書房新社次の読書会の課題本です。『Feminisminourmind読書会』2020年8月22日14:00-16:00ドーンセンター課題本：「韓国・フェミニズム・日本を読む」『完全版韓国・フェミニズム・日本』斎藤真理子責任…ameblo.jp本書は2019年の文藝秋季号特集に増補を加えた本です。今、韓国フェミニズムの本が話題ですが、短編小説やコラム、対談だけでなく韓国社会を知る

Contexts,Theories,Readers表題のmoduleはMAVictorianLiterature,ArtandCultureの『VictorianLiterature,ArtandCulture』私が進学したRoyalHollowayの大学院のコースVictorianLiterature,ArtandCultureは主に４つのModuleで構…ameblo.jp1つでspringterm（1～3月）に開講されていました。実は

１月中に更新したいとおもっていましたが、仕事に、エッセイの文献読みと忙しく更新できずにいました。１月はFutureLearnでこのコースを受講しました。文学研究や批評を学部で学んでおらず、自学習でした。大学院に入学後、きちんと体系的に学びたいと思っていましたから。このコースは４つのポイントから小説をいかに読むかを教えてくれます。Week1:Plot最初の週はplotについてです。plotのペースが小説の流れや読者に与える印象の力。フラッシュバックや信頼ならざ

（実験的に文体を普段とは変えてみています）大変今さらながら、『ゆるキャン△』（2018.1-3月）の話がしたい。なぜ『ゆるキャン△』が大人気を博したかというと、「食事の描写がマジでうまそう」とか、「キャラクターの距離感の描き方が心地よい」とか、「提示されるキャンプの情報はゆるくなくてガチ」など様々な要因を挙げることができようが、「緻密で丁寧な風景描写の勝利」という一言に集約できるのではないだろうか。そのことは『ゆるキャン△』を観て聖地巡礼に行く人々が後を絶たないこと

1.文学研究って何なの卒論執筆中常に頭を悩まされた問題に「文学研究って何？」というものが挙げられます（今もときどき頭をもたげてきます）。「詩を研究している」という言葉の響きはなんとなくかっこいいが、具体的に何をしているのか説明を求められても困ってしまいます。「詩を研究する」って何なんだろう。ぶっちゃけ今でもこの問いに明確な答えが出せていないのですが、「文学研究の論文」と「読書感想文」の区別をはっきりつけるための一つの方策として「批評理論を用いてテクストを分析する

1.はじめに～ウィリアム・ブレイクについて～本ブログ初めての研究記事は、やはり私がやっているブレイクについて紹介させていただきます。なお、本記事の画像は全て"TheWilliamBlakeArchive"から引用しています。WilliamBlake(1757～1827)という芸術家は、「イギリス・ロマン派の先駆けとなった詩人」という位置づけが現在の英文学史ではなされている人物です。この人の最大の特徴は「詩人」であったと同時に「版画家」であったと