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通常の転句(右)と挟み平の転句(左)仄起こり七言絶句の漢詩には特殊な変化技があるのです。それは三行目の転句の下三文字のところです。普通の転句の三字は、右のように平仄仄(○●●)なのですが、左の「破深契」のように仄平仄(●○●)の形に替えることができるのです。それを「挟み平」といい、特別なルールとして認められています。挟み平を使うと、二六対という平仄のルールが崩れてしまいます。すなわち二六対にならず二六不同になってしまいますが、それでいいのです。
漢詩の詳細な検証一応、漢詩としての体裁は整いましたが、ここでさらに詳しく検証して完全な形にしたいと思います。・押韻漢詩で最も重要視される規則である押韻を調べましょう。一,二,四行目の文字を音読みすると、ショウ、キョウ、コウとなり、漢和辞典を引くと、下平声七陽の韻目です。すべて、その韻目の中の文字が用いられていることから、押韻は正しいことが確認されました。・平仄二四不同、二六対を確認します。二四不同とは各行の二字目と四字目の平仄は違ってなければならないとい
おとぎ話・浦島伝説後半の漢詩ができました。太郎は遊興にも飽き、故郷が恋しくなって竜宮城に別れを告げます。しかし、年月が経ちすぎて見慣れた古里はなく、人々も見知らぬ人ばかりです。諸説ありますが、滞在3年で帰還したら300年が経過していたとか?おどろいた太郎は約束を破り玉手箱を開けるのです。すると、白煙とともに瞬時に老人となり独りさまようという悲しい結末を迎えてしまうのです。押韻や平仄の確認は省きますが、漢詩の諸規則に合っているためOKということになるのです。
×○でたらめ漢詩→修正→仄起こり七言絶句浦島伝説の前半部分、すなわち亀を助けて竜宮城へ行くまでを漢詩にしましたが、文字の羅列だけでは漢詩とは言えないことが分かりました。左がでたらめ漢詩ですが、漢字を見た限りでは何となく意味は分かりますよね。しかし、駄目なんです。まず、この詩をみて、一句、二句、四句の末尾の文字に注目します。「有」、「受」、「年」の文字を音読みするのです。すると、「ユウ」、「ジュ」、「ネン」と響きが違いま
○平仄間違い○韻目間違いこの詩の起句に注目して、二字目「遊」の平仄を調べると平字であることが分かりました。したがって、この詩は平起こり七言絶句の公式を用います。その公式に照らし合わせて平仄を検討したところ、赤丸の処の文字の平仄が違っているのです。すなわち、平字で指定された個所が仄字になり、仄字で指定された個所が平字になっているのです。次に押韻を調べてみましょう。起句、承句、結句の末尾の文字「情」、「契」、「成」の韻目が同じグループの文字を使う必要があるのです
綺花碧空に映ゆ(きかへきくうにはゆ)きかへきくうにはゆりょうしょうかようりょくいんのうちつちをこがすえんいへききゅうをあおぐようえいするせんしかぜかげをもてあそぶしつらいしゅううてんこうにかなふ平起七言絶句韻=東(中、穹、工)○○○●●○◎○●○○●●◎
漢詩?と文字の平仄の確認おとぎ話の漢詩【浦島太郎伝説】・何がでたらめか?浦島太郎の物語の後半です。竜宮の歓待にも飽きた太郎は故郷が恋しくなり、乙姫様にいとま乞いをしました。そのときに渡されたのが玉手箱ですね。ただし、「けっして開けてはいけません」との約束付きだったのです。しかし、故郷に帰った太郎は見知らぬ人ばかりで、数百年が経ったと初めて知るのです。そのショックのため禁断の箱を開けたところ、太郎はたちまちおじいさんになってしまいました。この、おとぎ
浦島伝説(二)「でたらめ漢詩」宴遊漸飽帰心情(えんゆうようやくあくきしんのじょう)手箱享受戻故郷(てばこきょうじゅしこきょうにもどる)変貌驚愕破深契(へんぼうにきょうがくししんけいをやぶる)忽上白煙漁翁成(たちまちはくえんのぼりぎょおうとなれり)以前の浦島伝説の漢詩では、亀を助けて竜宮城へ行くまでを語りましたが、その続きを考えてみました。この作成方法は本筋の手法とは異なり異端なやり方かも知れませんが、ある意味分かりやすいかも?
必ず押韻個所を確認漢詩を作るときのポイント漢詩を作るときに最も大事なことは、決められた個所に押韻(赤丸のところ)を施しているかどうかが問われます。すなわち、押韻がしていない漢文は漢詩とは呼べないのです。押韻するところとは、五言絶句では偶数句の末尾の文字、七言絶句では偶数句と第一句の末尾の文字です。これは重要です。二四不同、二六対、一三五不論などの決まりがあります。また孤平の禁、下三連の禁などがありますが、これらは推敲時に詳しく検討する
■表現技巧①反復法…同じことばをくり返すことによって、強く訴えようとするものの印象を強める。(例)みちのくの母のいのちを一目見ん一目みんとぞただにいそげる②倒置法…ことばの順序を逆にして、感動を強く表現する。(例)金色のちひさき鳥のかたちして銀杏(いちょう)散るなり、夕日の岡に③体言止め…短歌の終わりを体言で止めることによって、余韻・余情を残す。(例)ゆく秋の大和の国の薬師寺の塔の上なるひとひらの雲④比喩法…物事の説明に他の物事を借りて表現
漢詩の完成版自分でいろいろと推敲を重ね、気に入った作品にしていきます。検討の経過は省きますが、何日かの間を空けると良い案も浮かぶようです。この詩は仄起こり七言絶句という形式で、押韻は「下平声一先」の中から「辺、憐、縁」の文字を使っています。書き下し文(日本語での読み方)は次のとおりです。原則、旧仮名遣い文を用います。浦島伝説●●〇〇●●◎往昔漁夫歩海辺おうせきのぎょふかいへんをあゆむ〇〇●●●〇◎童児幾度有苛憐どうじいくたびかさいなみある
この漢詩(?)で起句の二字目は「昔日」の「日」ですね。ここの個所の文字の平仄によって、七言絶句の漢詩の公式が決まるのです。二字目が仄字ですから、この公式は仄起こり七言絶句ということになり、次の公式により文字を当てはめて行く訳です。〇は平字、●は仄字、△▲はどちらでもかまわないということですから、それにより検討してみます。赤印部分の文字の平仄が誤っていることが分かりました。その個所の言葉を探し、平仄を公式に合致させる必要が生じました。次に青印の部分、
まず、次の漢文を見て下さい。漢詩の創作を分かりやすくするために、おとぎ話を例にしてお伝えしたいと思います。浦島太郎伝説を取り上げたいと思います。起句、承句は太郎が通りがかりに亀を助けるところ、転句、結句は竜宮城へ行き、遊興にふけるまでを表しています。とりあえず平仄や押韻を考慮せず、意味が通る漢字を当てはめていきます。文字だけ見ればほぼ意味が分かりますね。でも、これは漢詩とは言えないのです。なぜでしょうか?漢詩の規則で検証していきます
漢詩では同じ韻目内にある文字は押韻以外には使ってはいけない漢詩を作る場合、押韻(もしくは韻を踏むという)する文字は、同じ韻目(韻のグループ)の中から選ぶことが大事なのです。漢字を音読みしたときの響きが同じだからといって、むやみには用いることができないのです。韻目の分類はあくまで中国語の発音によって決められたものだからなのです。七言絶句の場合、第一句、第二句および第四句の末尾に押韻するということでした。ここで使った韻目(韻のグループ)の文字は、漢詩を詠むときのリズム感を考慮して配
転句の活用とその効果転句の三文字は、その末尾が仄字●ですから形としては、次の二種類になります。ただし、一部については変化を認めています。平仄仄(○●●)平平仄(○○●)→仄平仄(●○●)も可漢詩の絶句は起承転結の四句で成り立っています。そのうち、起句、承句、結句の三行の最後に押韻を施します。すなわち、一,二,四行目の末尾の文字ですね。では、残る転句、三行目はどうすればいいのでしょう。転句は全く考えを異にして、押韻どころか、末尾
いつか京都の寺田屋を見学させて貰ったとき、勤王の志士などの手紙や掛け軸が展示されていたことを思い出しました。掛け軸には漢詩が書いてあり幕末の志士たちの心情が綴られていました。その場合、まず書いてある詩の文字数を数えて、28字なら七言絶句、20字なら五言絶句と分かります。次に漢字は起承転結ごとに行転換せず、続けて書かれているので、七言絶句なら7の倍数の末尾、五言絶句なら5の倍数の末尾の文字に注目します。なぜなら、そこが押韻個所だからです。
七言絶句の漢詩を作る場合、一句(七文字)の言葉の区切りは原則二字、二字、三字の熟語に分かれます。漢詩を作る場合、どのような熟語を用いるかが、腕の見せ所と言えますが、一文字ずつ」漢和辞典を引いていたら膨大な時間と手間を要してしまいます。そこで漢詩作成の救世主とも言えそうな平仄や押韻を考慮した詩語集という便利なものをご紹介しましょう。詩語は平仄別に二字のものが集められていたり、押韻する韻字ごとに三字のものが集められていたりして、漢詩を創作する場合に大変
漢詩は長い年月をかけて成長を遂げてきました。唐の時代には厳格な規則が確立しましたが、それ以降の詩を近体詩と呼んでいるのです。それに対して、近体詩の規則確立以前の詩は、古詩と呼び区別しているのです。したがって、現在の漢詩はこの近体詩の規則に則って作ることになります。以下、主な規則です。・文字の平仄は決まった位置に置く・第一、二、四句の末尾には、平字の韻を踏む・どの句も下三連は駄目・押韻した同じグループの文字は同じ詩の中では使えな
漢詩を作る場合、押韻(もしくは韻を踏むという)する文字は、同じ韻目(韻のグループ)の中から選ぶことが大事なのです。漢字を音読みしたときの響きが同じだからといって、むやみには用いることができないのです。韻目の分類はあくまで中国語の発音によって決められたものだからなのです。七言絶句の場合、第一句、第二句および第四句の末尾に押韻するということでした。ここで使った韻目(韻のグループ)の文字は、漢詩を詠むときのリズム感を考慮して配置されたものです..
Q.本当に誰でも漢詩が作れるのですか?A.大丈夫です。漢字の読み書きができる人なら誰でも作ることができるのですよ。その証拠にわたし自身もまったくの独学で、一応、恥ずかしくない(と、自分では思っているのですが……)詩を作っているのです……。自己満足かな?たとえば、俳句を作ったとしますね。五・七・五の字数を守り、季語などをいれれば、とりあえず俳句と呼ぶことができるのと同じです。もちろん、技巧を凝らして規則から外れた句を作る場合もありますが、それは名人が効果を狙って意
今回は他言語と比べて日本語の持つ独特の表現の豊かさの話です。2018-04-30のブログ『曖昧さの力』を合わせ読んでいただけると、話がよくわかると思います。以前ブログ『日本人てすごい21「てにをは」の持つ途轍もない日本語の表現力』2017-02-22で論じたように、欧米語や中国語がどちらかというと1次元構造を持った言語であるのに対して、日本語は「てにをは」のお陰で単語の位置を自在に動かしても意味が変わらないために、結果的に多次元構造を持った言語となっております。その結果、日本語は
漢詩には平仄や押韻という規則それは必ず守らなければなりません。・平仄平仄(ひょうそく)とは、それぞれの文字によって決められていて、平声は低音で平らかな調子であり、変化のない発音をいいます。それに対して、上声は高音がさらに上がる調子、去声は低音が上がる調子、入声は末尾が詰まった調子をいい、発音に変化があるものをいうのです。いずれも中国語の発音での話です。上声・去声・入声の三つを併せて仄声といい、平声と対比させているのです。すなわち、平声と仄声という声の調子の妙を組み合わせるこ
漢詩とは文字通り漢字で構成された詩をいいます。・詩の形態(絶句と律詩)近体詩では一句(一行)の文字数が五字(五言)のものと七字(七言)のものとがあり、詩全体が四行のものを絶句、八行のものを律詩といいます。五言絶句、七言絶句、五言律詩、七言律詩と呼ぶのです。+律詩は絶句の二倍の長さの詩ですが、その内容は対句にしなければならない等の決まりがあります。絶句は短いけれど詩の内容が凝縮されいるとも言えましょう。・押韻漢詩では・押韻各句末尾の決まったところに同じ響きを持つ文
(本文より抜粋)「ありがとうオリゴ糖」「掛け布団50トン」「コラーゲン主電源」「柴咲コウ尾行」意味の通らぬナンセンスな韻の数々が、"脱力系ラップ"と評され、一世を風靡したのが2008年。今や、"フリースタイルバトル"を中心に、次々と新たなラッパー達が頭角を現し、大人気のHIPHOPシーンだが、こと"地上波のゴールデン帯のテレビ番組"と限れば、最も数多く韻を踏んだ"ラッパー"は、未だジョイマンであると断言しても間違いではなかろう。一見、安易で稚拙と思われがちな彼らの芸だが、全
漢詩を簡単に作る方法が知りたいやさしい漢詩の作り方平仄も重要漢詩の規則もいくつかありますが、押韻に続いて肝要なことは文字の平仄を守ることです。「平仄」とは何でしょうか?広辞苑で平仄の意味を調べると、①平と仄。また、漢詩作法における平字・仄字の韻律に基づく排列の決まり。②つじつま。条理。ということが載っています。平と仄が合わないと全体のバランスが崩れてしまうことから、②のように、つじつまが合わないとか、不条理だとの表現につながっているのです。つまり、
漢詩を簡単に作りたいがそんな方法はあるのでしょうか漢詩を簡単に作る方法はあるのかと問われれば、「ある」と答えることができます。まず、最も基本的に事柄は決められた規則が守られているのかという点が注目されます。例えば、スポーツでもルール無視は許されませんね。100m競争でスタートラインが曖昧であったり、フライングがあってもかまわないとか、子供と大人や男女が混合して走っても良いとかすれば支離滅裂になりますよね。また、俳句や短歌の文字数など自由にしてよろしいとなれば、きれいな句
押韻は漢詩の絶対条件五言絶句や七言絶句の四行詩の文字数は、それぞれ二十文字、二十八文字です。そのような少ない文字によって自己の心情や感慨を表現する訳ですが、必ず守らなければならない約束事があります。押韻と呼ばれる文字を決められた箇所に置くことが求められるのです。韻を踏むと表現することもあります。五言絶句では二行目と四行目の最後の箇所に同じ響きをもつ文字を置くのです。それも同じ種類のグループ(韻目といいます。)の中から選ばなくてはならないのです。七言絶句では一行
トイザらス店舗閉鎖についてのニュースが話題になっている海外でのその記事を見てみるとタイトルが本当に面白いfoxbusinessというニュースサイトから引用Toys"R"UstosellorcloseallU.S.storesとある直訳してしまえば「トイザらス、全米の店舗を売却か閉鎖へ」となっているが、面白いのは単語のつなぎである途中のcloseallU.S.クローズオールユーエスの部分発音をつなげて、U.S.の部分をusに変え
日経新聞の最終面。文化面ですがそこに連載小説が載ってます。今は林真理子の「愉楽にて」が連載中。わたしは小説の類は弱いとの自己認識なので、ほとんど素通り。いつだかちょっとだけ見たら、資産家の男がどうたらこうたらって話でした。その上の「文化往来」というコラムや、「私の履歴書」は読んだり読まなかったりなので、文化面はいつもぱっと見るんですが、連載小説の枠の文字列に余白がある。なんじゃろね、と読んでみると以下のような漢詩。小説の地の文中に「もはや久坂の力を借りることはない。自分の力でこの詩