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覇者と覇者歓喜、慙愧、紙吹雪〈応化クロニクル〉(角川文庫)Amazon(アマゾン)急逝した著者が遺した未完の連作の最終巻。「永遠の愛を誓うそばから、恋人たちが頭を吹き飛ばされる世界」戦争という閉じられた現実的な強度が、この世界に産み落とされた者を意味もなく奪っていく。月田姉妹の言葉が予言のように墓碑銘を結んでいく。「「突撃する。蜂起する。俺たちは戦争に勝利する」海人は短い言葉で会議をしめくくった。」最終決戦で内戦は終結する。紙吹雪が舞う。しかし、関東は残党によるテ
花は咲く、修羅の如く1(ヤングジャンプコミックスDIGITAL)Amazon(アマゾン)すごく雪が積もる。去年はあまり積もらなかったので、久しぶりに腰が痛む。雪かきして、昼風呂。ビールが飲みたくなるが、そうもいかず、車の運転を頼まれる。祝日も大雪なので、家に籠もる。「覇者と覇者」打海文三をひたすら読んで、読了。月田姉妹の言葉が予言のように墓碑銘を結んでいく。「自殺するか、さもなくば悪党になるか」白川中尉の消失は読んでいて、かなりショックを受ける。「おまえもわ
愚者と愚者(下)ジェンダー・ファッカー・シスターズ〈応化クロニクル〉(角川文庫)Amazon(アマゾン)下巻はパンプキンガールズが本格的な戦争に突入している。首都圏の内乱勢力地図がめまぐるしく変化していく。それが膠着状態に陥るやいなや、今度は東北地方で戦争の口火が切られようとする。その戦下での日常と闘争の日々。いま世界中で起きている戦争あるいは内戦でも毎日人が死に、こんなにも残酷な出来事が現実に起きているのだろう。そうした現実と物語の地続きのような感覚を、読んでいる最
愚者と愚者(上)野蛮な飢えた神々の叛乱〈応化クロニクル〉(角川文庫)Amazon(アマゾン)「桜子が死んだあとで」内戦は過激さを増す。サブタイトルの「野蛮な飢えた神々の叛乱」の通りに、信州軍、甲府軍といった地方軍閥が九竜シティを攻める。主役はまた海人に移り、二十歳の司令官としての苦悩が描かれる。実在の地方都市での戦闘描写は、現実に他国家からの外圧を受けた場合の、日本に住む外国人を含めた同胞同士の残酷な戦いとならざるを得ない、逼迫した状況がリアルに迫ってくる。そこには
打海文三『ロビンソンの家』(徳間文庫)を読みました。この小説には、主人公の山部リョウが彼の母親である順子の失踪の原因と理由を調べる様子が中心に描かれているのですが、(リョウの従姉の李花を代表として)登場人物は魅力的で、部分部分は面白く、途中で個人的に考えていた展開と違って天を仰いだりしたものの、全体的に読み進めるのに若干苦労しました。その理由は僕には良く分かりませんが、この小説には性的な表現がそれなりに多くて腰が引けてしまった瞬間があったからかもしれません。ああ、この本を小説を購入
No.0122011.1.28(金)3652/伊坂幸太郎/新潮社2010.12.201300円+5%伊坂幸太郎は、デビューから追いかけている作家の一人。これはデビューから昨年「マリアビートル」を上梓するまでの〈エッセイ集成〉とも言えるもの。個人的な興味のあることなども書かれていて、ファンには必携の一冊かも知れない。そういえば、この人今は無き「サントリーミステリー大賞」で落選して、「新潮ミステリー倶楽部賞を受賞したんだっけ、なんて事まで思い出す。亡くなった打海文三さんの事や、ブルー
女は出国審査の入口へ、彼は反対の方角へ、それぞれ歩き出した。(中略)女の声をきいたような気がして、彼は振り返った。赤インクの小さなにじみのような唇が動いた。家族連れが旅行鞄を三段に重ねたカートを押して彼の視界をよぎった。女の姿が遠ざかっていく。彼はきびすを返した。(打海文三「路環島にて」小学館文庫)
靖国通りを歌舞伎町へ渡った。大ガードの方へ歩いていき珈琲店に入った。一杯のブレンドコーヒーを飲んだ。まだ余韻が残っている映画について(中略)考えた。ごく平凡に生きてきた五十一歳の男の胸におさまるものがなにかしらあったという結論をえて、彼は微笑んだ。(打海文三「一九七二年のレイニー・ラウ」小学館文庫)
【臆病で生真面目だけど、十一歳のごく普通の少年・田之上翔太。生まれてはじめて、ひとりで行った人気ロックバンドのコンサートの帰り、翔太は駅で人身事故発生の瞬間に居あわせてしまう。それを境に彼は、この世界に微かな違和感を抱きはじめるのだが―。残酷で理不尽な世界に立ち向かう少年の、愛と恐怖の旅立ちの物語。(Amazon商品紹介より)】先日紹介した伊坂幸太郎さんのエッセイで好きな作品としてあげられてて、この作品の解説も書いておられるということで早速読んでみました。パラレルワールドものです。
【エッセイが得意ではありません―。自らはそう語る伊坂幸太郎がデビュー以来ぽつぽつと発表した106編のエッセイ。愛する小説、映画、音楽のこと。これまた苦手なスピーチのこと。憧れのヒーローのこと。趣味を語る中にも脈々と流れる伊坂的思考と、日常を鮮やかに切り取る文体。15年間の軌跡を辿った、初のエッセイ集。裏話満載のインタビュー脚注に加え、幻の掌編2編を収録。(Amazon商品紹介より)】2010年に作家デビュー10周年を迎えたことを機にそれまで発表されたエッセイをまとめたものです。文庫化にあた
「作家は冒頭の一行で見捨てられる運命にある」とは(中略)作家打海文三の言葉である。どんなに努力して書いても、どんなに物語が面白くても、冒頭(書き出し)の一行がつまらないと読者に見捨てられるというのだ。(池上冬樹「書き出しから見る向田邦子と現代作家」河出書房新社)
体調崩して休んで病院に行った帰りに買う本分かりやすいくらいに痛みを感じると想像できるテーマばかり。仕事と重なるから普段なら基本的に避けるのだけれど、つい購入。こころの帳尻合わせだろうなぁ(108円×6冊で648円で10%割引券使って582円。全て上下巻でボリュームがあるなぁ)伊藤計劃も円城塔もジーヴズシリーズもカズオイシグロもまだ待機してるのに。なんならもったいなくて読み終えられない今だに読書中の村上春樹だって(オから督促されてる)死体の新書も早く読みたい。だがしかし今読ん
姫子は十三歳。登校拒否の中学二年生。首吊り自殺のために入った山奥で偶然出会った男・阪本が殺人容疑者と知ったことから、事件に巻き込まれる。というより、彼に惚れてしまったのだ。ライバルは多い。公園に全裸死体で放置された女デザイナー、六十歳で元結婚詐欺師の探偵・ウネ子、とくにお婆は好敵手。恋も事件もねじれ、もつれ、姫子にも魔手が…。絶品の語り口調。ミステリーの枠を超えた傑作。(「BOOK」データベースより)登場人物がみんなそれぞれの価値観を持って、戦っていたり争っていたり流されていた
その人に僕は古本屋で出会った。といっても、本人に出会ったわけではなくて、著作を見つけたってことなんだけど。それは、ハードカバーの「愚者と愚者」で、伊坂幸太郎さんの帯が巻かれていた。当時、お小遣いがたくさんなかった僕は、たぶん中学生で、(自分が何歳だったかはおぼろげだ)(そのカオスな古本屋が好きだったことは確かだけど)絶対に欲しいものだけ買おう、という思いが強かった。だから、面白いかどうかわからないものは、図書館で借りて読もう、そう思った。図書館で、「裸者
いつもお世話になっております.わたくしでございます.最近,たんぱく質を多め摂取するよう心がけております.昨日から読み始めた本が2冊あり,1冊目が打海文三の「ハルビン・カフェ」2冊目がシェイクスピアの「マクベス」です.いつも,楽しそうな本と難しそうな本を並行して読んでいます.難しそうな本は読みたいけどすぐに飽きてしまい,面白そうな本ですこし休憩したあとにまた難しい本に戻るというサイクルがいつの間にか習慣