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80歳台の女性が発熱と意識障害で入院してきました。ADLは車いす生活で施設入所中。排泄はオムツを使用しています。心不全で入院歴があり、心不全に対してSGLT2阻害剤を服用していました。胸部レントゲンでは明らかな肺炎像はなく、尿検査でWBCと細菌が多数認めたことから、尿路感染症の診断で第3世代セフェムのCTRXを開始しました。入院翌日には血液培養からグラム陰性桿菌(GNR)が4/4本で検出、その翌日にはE.coliと判明しました。幸い解熱傾向で、患者さ
松永先生の感染症レクチャーから、感染症「経過観察」の2つの軸についてシェアします。例えば、肺炎の患者さんに抗菌薬を開始したけど、一向に熱が下がらない、WBCやCRPが下がらない。抗菌剤を代えた方がいいか?なんて不安になることはしばしば経験しますよね。あなたはそんな時はどうしますか?こんな時はまず、抗菌剤を変更する前に感染症治療が上手くいっているかの判断をする必要があります。では、あなたは何を根拠に治療が上手くいっているかを判断していますか?たいて
前回は松永先生の感染症レクチャーから感染症「診断」の2つの軸を紹介しました。今回は感染症「治療」の2つの軸についてシェアします。70歳代の男性が発熱と食欲低下で入院しました。糖尿病の既往がありますが、特に食欲低下と発熱以外の症状はありません。身体所見でも明らかな異常所見なし。採血では白血球12000、CRP>20と高値であったので、各種培養を採取してから尿路感染疑いと言うことにして抗菌薬(CTRX)を開始しました。翌日に血液培養からクレブシエラが検出
高齢の患者さんが転倒して動けなくなったとの主訴で救急搬送されてきました。患者さんは転んで腰を打ったらしく、腰痛を訴えています。明らかな麻痺はありません。バイタルを確認すると血圧等は大丈夫ですが、発熱を認めました。高齢者に良くあることですが、発熱でふらついて転倒し、それを契機に立てなくなったようです。脳梗塞の既往があって、ADLは一応自立していたけど、外に出ることはなく、食事などでむせこむこともあった様子。胸部レントゲンも右下肺野で透過性が低下しているよう
松永先生の感染症レクチャーから、前回は感染症【診断】の2つの軸を紹介しました。今回は感染症【治療】の2つの軸についてシェアします。70歳代の女性が発熱で入院。CVA叩打痛と尿所見から尿路感染症と診断しました。尿培養と血液培養を採取後に抗菌薬(CTRX)を開始。培養結果は、尿も血液も素直なE.coliでした。感受性をみても抗菌薬は当たっているはず。なのに解熱しないし、CRPも良くならない。こんな状況に遭遇したら、あなたはどうしますか?多くの人にとって
高齢の患者さんが発熱を主訴に入院してきました。脳梗塞の既往があって、ADLは一応自立していたけど、ほとんど自宅でもベッド上で過ごしているようです。食事などでむせこむこともしばしば。胸部レントゲンも右下肺野で透過性が低下しているように見える。よくありそうな、誤嚥性肺炎の経過です。抗菌薬の点滴を開始して、徐々に解熱が得られ、全身状態も改善傾向です。ところが、2日後に判明した入院時の血液培養では、4本中4本からE.coliが検出されました。でも、
結核について日常考える人は少ないと思いますが、ちょうど勉強していたのでまとめました。以前、タレントのJOYさんも結核で闘病していたとニュースで話題になったこともありましたね。「結核って聞いたことあるけど、なんか怖い。」「痰に血が混じってたんだけど、結核?」「おじいちゃんが結核になったことがあるって言ってたけど、うつったりするのかな?」「職場の人が結核で入院した。一緒にいたけど大丈夫なんだろうか。」など、色々疑問をもたれるかと思います。気になる方は是非読んでみて下さい。
「感染症内科」と聞くと、何をしているの?と思われるかもしれません。マラリアやデング熱といった、渡航感染症のイメージかもしれません。渡航感染症もそうですが、いわゆる風邪、肺炎や尿路感染といった細菌による感染症、免疫力が低下した方の感染症、HIV感染、性感染症、流行するインフルエンザ・麻疹・風疹などのウイルス感染、ワクチン接種などなど。あらゆる「菌、ウイルス」が関わる疾患を幅広く専門に診ている科です。治療もそうですが、予防にも関わっています。自分自身の健康、周りの人の健康を守ることに繋がる医