対象をバラバラに見る観察者からすると、有機体をある時点において構成しているひと塊の物質は、この不思議な存在過程においては、暫定的にとどまり過ぎ去ってゆく内容物にすぎない。この内容物の物質的同一性は、それが通り抜けてゆく全体の同一性とは一致しない。一方この全体は、異質な物質がその空間システムをまさに通り抜けてゆくことによって、固有の同一性を、すなわち生きている形相を保持しているのである。このシステムは物質的に同一ではないが、同一の物質のままでないというまさにそのことによって、同一的な自己として存続