アロマキャンドルにポッとあたたかい火が灯った。うす暗い店内では雰囲気と調和したジャズが流れている。大理石でこしらえた10人ほどが座れる豪華なカウンターのど真ん中に俺は席を取りマスターの作る酒を待ちぼうけていた。マルスウィスキー越百、飲み方はハイボール。一気に煽るときめ細かい泡の大群が喉を刺激し今日1日の疲労が快楽へと変化した。最高のソースは空腹である。これは哲学者ソクラテスの言葉だが、ならば俺はこう言いたい。最高のつまみは疲労感であると。そうは言っても実は今日はそんなに疲れが溜まっているのではな