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漢詩で平字に対するものは仄字です。平字というのは中国語での発音で変化のない平らかなものとされています。それに比べて仄字の発音は変化を伴うものをいいます。仄字には上声、去声、入声という三種類あり、合せて仄声というのです。要は言葉のアクセントに変化があるかないかによって、分けられていると考えてようと思います。詩語の中でも二字の言葉は最も多用する大切なものといえましょう。平仄の公式では平字二字の組み合わせなのですが、配置場所によって一・三・五不論という規
○平仄間違い○韻目間違いこの詩の起句に注目して、二字目「遊」の平仄を調べると平字であることが分かりました。したがって、この詩は平起こり七言絶句の公式を用います。その公式に照らし合わせて平仄を検討したところ、赤丸の処の文字の平仄が違っているのです。すなわち、平字で指定された個所が仄字になり、仄字で指定された個所が平字になっているのです。次に押韻を調べてみましょう。起句、承句、結句の末尾の文字「情」、「契」、「成」の韻目が同じグループの文字を使う必要があるのです
漢詩?と文字の平仄の確認おとぎ話の漢詩【浦島太郎伝説】・何がでたらめか?浦島太郎の物語の後半です。竜宮の歓待にも飽きた太郎は故郷が恋しくなり、乙姫様にいとま乞いをしました。そのときに渡されたのが玉手箱ですね。ただし、「けっして開けてはいけません」との約束付きだったのです。しかし、故郷に帰った太郎は見知らぬ人ばかりで、数百年が経ったと初めて知るのです。そのショックのため禁断の箱を開けたところ、太郎はたちまちおじいさんになってしまいました。この、おとぎ
浦島伝説(二)「でたらめ漢詩」宴遊漸飽帰心情(えんゆうようやくあくきしんのじょう)手箱享受戻故郷(てばこきょうじゅしこきょうにもどる)変貌驚愕破深契(へんぼうにきょうがくししんけいをやぶる)忽上白煙漁翁成(たちまちはくえんのぼりぎょおうとなれり)以前の浦島伝説の漢詩では、亀を助けて竜宮城へ行くまでを語りましたが、その続きを考えてみました。この作成方法は本筋の手法とは異なり異端なやり方かも知れませんが、ある意味分かりやすいかも?
李白の詩の検証送り仮名や返り点を付けて日本の言葉として漢詩を味わう手法を考えた先人の頭の働きに感心するばかりです。もう少し、説明を加えましょう。起句は上から順に読んでいって、「声を飛ばす」というところが読みと漢字の配置が逆になっていますね。返り点(レ点)を付いた個所は読みの順番をひっくり返して下の文字を先に読むのです。前回にも示した「ヲニに会ったら返れ」という例ですね。承句の場合は、「散じて」の次は「入りて」といきたいところですが、「入」の左下の数字が二と
必ず押韻個所を確認漢詩を作るときのポイント漢詩を作るときに最も大事なことは、決められた個所に押韻(赤丸のところ)を施しているかどうかが問われます。すなわち、押韻がしていない漢文は漢詩とは呼べないのです。押韻するところとは、五言絶句では偶数句の末尾の文字、七言絶句では偶数句と第一句の末尾の文字です。これは重要です。二四不同、二六対、一三五不論などの決まりがあります。また孤平の禁、下三連の禁などがありますが、これらは推敲時に詳しく検討する
復興を願って創作した漢詩熊本城惨害(さんがい)たちまち鳴鴉(めいあ)散じて楼閣(ろうかく)崩る数重(すうちょう)の激甚高層に到る凄涼たる堡塁(ほうるい)城隅(じょうぐう)の石いふなかれ変災(へんさい)再興(さいこう)を期す熊本城の元太鼓櫓が倒れたというニュースを聞きました。先日、大阪府北部で大地震が起きました。最大震度6弱という激震が襲ったのです。その後、テレビのニュースで熊本城の元太鼓櫓が倒壊したとの報を聞きました。大阪地震
漢詩の完成版自分でいろいろと推敲を重ね、気に入った作品にしていきます。検討の経過は省きますが、何日かの間を空けると良い案も浮かぶようです。この詩は仄起こり七言絶句という形式で、押韻は「下平声一先」の中から「辺、憐、縁」の文字を使っています。書き下し文(日本語での読み方)は次のとおりです。原則、旧仮名遣い文を用います。浦島伝説●●〇〇●●◎往昔漁夫歩海辺おうせきのぎょふかいへんをあゆむ〇〇●●●〇◎童児幾度有苛憐どうじいくたびかさいなみある
この漢詩(?)で起句の二字目は「昔日」の「日」ですね。ここの個所の文字の平仄によって、七言絶句の漢詩の公式が決まるのです。二字目が仄字ですから、この公式は仄起こり七言絶句ということになり、次の公式により文字を当てはめて行く訳です。〇は平字、●は仄字、△▲はどちらでもかまわないということですから、それにより検討してみます。赤印部分の文字の平仄が誤っていることが分かりました。その個所の言葉を探し、平仄を公式に合致させる必要が生じました。次に青印の部分、
まず、次の漢文を見て下さい。漢詩の創作を分かりやすくするために、おとぎ話を例にしてお伝えしたいと思います。浦島太郎伝説を取り上げたいと思います。起句、承句は太郎が通りがかりに亀を助けるところ、転句、結句は竜宮城へ行き、遊興にふけるまでを表しています。とりあえず平仄や押韻を考慮せず、意味が通る漢字を当てはめていきます。文字だけ見ればほぼ意味が分かりますね。でも、これは漢詩とは言えないのです。なぜでしょうか?漢詩の規則で検証していきます
漢詩の平仄の公式はどうなっているのでしょうか?漢字には各々の文字ごとに平仄が定められていることは既に説明しました。その基本は中国語の発音にあるのです。四声といってアクセントに変化の無い平らかな平声といい、アクセントに高低ががあったり詰まったりする変化のあるものを仄声というのです。それによって詩全体を読み上げる際に抑揚を付けるのです。七言絶句に用いる文字数は一行七字が四行で二十八字です。その二十八字には四声により平仄が厳格に決められているのです。絶句には平起こり式と
作詩の順番は結句を先に作るほうが良いしばらく間が空きましたが、続けたいと思います。これから作ろうとする漢詩、七言絶句仄起こり式の平仄の公式を示しましたが、この公式に則って作っていくのです。結句(四行目)の部分の公式は▲●△○▲●◎ですから、一三五不論の△▲の個所の平仄は自由に変えられますね。二四六の平仄と押韻を注意すれば大丈夫です。前回、結句の最後の句を履薄氷(薄氷をふむ)としました。このとき「ふむ」の字を「踏」にするか「履」にするかで迷いました。履は実際に