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パワハラは許されるものではない。ただし、パワハラを構造的に見直すと、パワハラが起きやすい組織・人間関係というものがあることに気づく。たとえば、不正な既得権益を守ろうとする議会(市政刷新ネットワーク)と、それを是正しようとする市長(S市長)という関係性である。既得権益を守るために議会が市長を追放しようと考えると、まず市長に対するネガティブキャンペーンが始まる。効果は大きく2つある。・既得権益に内在する不正から市民やマスコミの目を逸らすことができる。・市長が孤立する。
老害という言葉がある。ただ、個人的には「世代で決めつけること」はしたくない。では、「老害」という言葉から世代的な意味を取り去って残るものは何だろうか。俺は「反対すること、否定すること、排除すること」だと考えている。人間のやることに完璧はない。どこかに失敗や見落としがあって当たり前だ。だが、1%の不備であってもそれを拡大して叩き、すべてを否定する人がいる。このようなダメ出しで相手をつぶす言動を示すことは「害」でしかない。ただし、そういう人は世代などに関係なく存在する。
ドラマの現場で、若手が「これでいいんですかねぇ」とつぶやくことがある。そういう時、ベテラン・中堅から「お前の思い通りにしたいなら偉くなれ」という言葉が発されることがある。ベテランは、この言葉を真剣に発している。中堅は、皮肉と諦めとを込めて発している。そして「理想を実現したいなら偉くなれ」という言葉が交わされる現場で作られたドラマは、視聴率で爆死し評価も轟沈という結果になることが多い。この関係性は、俺の町と市政刷新ネットワークとの関係性によく似ている。市政刷新ネットワ
東京でしか暮らしたことのない人に「東京解体」というSの主張を理解することは難しいだろう…ということを「手記220」で書いた。同様に、俺の町(地方)でしか暮らしたことのない人に「ニューヨーク左遷がデマであること」を理解することは難しいだろう。俺の町で「議員になること」は出世の頂点である。明治日本の「立身出世」という価値観がまだ継続していると言ってよい。とくに「自営業から議員になる」「役場の職員から議員になる」ことに対する評価は高い。この価値観をSにあてはめると、東京の旧財閥系
以前、こんなことを書いた。全文は上のとおりだ。冒頭を抜粋するとこんなことを書いている。Sの「国語力」という発言が話題になった。一応文学部を出て、シナリオライターもしている俺だが、自分に「国語力がある」とは言い切れない。ただ、ずっと芝居の世界にいる。演劇作品は「逆説、比喩、不条理」に満ちている。人間と言う「一つのものさし」では測れない生き物の魅力・悲哀・苦悩がそこに描かれる。Sの発言にも逆説、比喩、不条理が満ちている・不条理…人口減少、自治体の破綻・比喩…市内3
地域おこし協力隊による町おこしは全国各地で行われている。一方でトラブルも報告されており、この頃だと四国地方で「カフェを経営していた人」「限界集落に移住して古民家再生に取り組んでいた人」が、撤退している。共通するのは「その町の長老・実力者」とうまくいかなくなったこと、その仲裁に役所が失敗したことである。他にも個人的にはいろいろ思うことがあるが、ここでは主旨と異なるので深掘りはしない。言えるのは、このようなトラブル(ミスマッチ)を予防するには、第三者による支援、要するに「支援を専門とす
市政刷新ネットワークの人々も地域おこし協力隊という制度を知らないわけではない。のち市政刷新ネットワーク代表となるXさんは、自分が身に付けているこの町の「伝統農法」の後継者を探していた。この経緯は手記84~85に記している。『Kの手記84(Xさんと映画製作)』時間を少し前に戻す。俺は地元に戻って来て、地域おこし協力隊として市民劇団の立ち上げや指導を始めた。3年間の任期が終わって、今度は観光協会の所属となった。と…ameblo.jp『Kの手記85(伝統農法は映画になるのか?)』X
俺はこの町の地域おこし協力隊になった。それは「ミッション型」と言われるものである。具体的には「市民会館の運営・管理、市民劇団の立ち上げ・指導」であった。俺が赴任した時、市民会館はほぼ活用されていなかった。維持・運営費の赤字額は後に廃止となる美術館より多かったし、市民会館の正規職員はホールの照明・音響設備などの操作方法を知らなかった。この状態が、ホールが完成して2年近く続いていたのである。詳しくは手記122をご覧いただきたい。『Kの手記122(市政刷新ネットワークが犯した罪のことなど)』
Sが市長時代の終わり頃、つまり任期満了に伴う市長選や市議選の準備が始まる頃、市政クラブのP議員への攻撃が始まった。市政クラブはP議員とQ議員、そして補欠選挙で女性議員が当選して3名の会派となった。その中でP議員は東京出身である。要するに地元ではない人、この町と地縁のない人だ。また、世間と市政刷新ネットワークはP議員を「S市長派」と考えている。P議員は本人は「市長派ではない、私は是々非々である」と言っているが、市政刷新ネットワーク的にはそういうことはどうでもよい。要するに「自
市には、中学生の海外短期留学制度があった。市の補助はあるが本人の自己負担もある。受益者負担ということかもしれないが、負担額は20万円を越える。ただ、このような制度に一定の自己負担があることは一般的と言ってもよい。一般的なので気づきにくいが、短期留学事業の対象は「20万円以上の自己負担額を払える家庭に限定されている」と言ってよい。また、留学から戻ってきた生徒さんがその成果を市に還元できたか…という点も微妙である(たとえば留学先で体験したこと、気づいたこと、学んだことを授業や会話で
Sが町を離れてから間もなく、市政刷新ネットワークは解散宣言をした。笑ってしまったのは、市政刷新ネットワークの実績としてこのような内容を挙げていたことである・無印良品の道の駅出店計画を阻止・二人目の副市長人事に反対して副市長を1名にする・決算案不承認・A町保育所移転への反対無印良品は市民の多くが望んでいた。副市長を2人にする人事はSが市長になる前、後に市政刷新ネットワークに参加する議員が立案・可決したものだ。そういう矛盾に笑ってしまうのだが、そもそもが「反市長団体」と
俺の本業であるシナリオライター業は順調と言ってよかった。売れっ子とは言えないが、レギュラー仕事もあり仕事が途切れることはない。妻も同じくである。ただ、そろそろ我々も「世代交代の対象年齢」に近づいてきた。目の前で、世代交代に失敗して消えた町と、町がなくなったことで世代交代に成功して息を吹き返した人々の暮らしを見た。身の処し方について考えることが多い。そんなわけで、相変わらず蒲田の賃貸でミニマリスト的暮らしを維持しながら老後資金を貯めている。妻は会社員としての期間が短く、俺はフ
破綻した町のその後を描く番組を製作する際、スタッフと話し合ったことがある。なぜ破綻したのかをどこまで掘り下げるかだ。ただ、掘り下げるとそれだけで一本の番組になる。また、市政刷新ネットワークの責任の追及を行っても希望ある未来の創造にはつながらないのではという意見が多かった。多くの関係者は鬼籍に入った。だからこそとも言えるが、それは市民の分断を誘引する可能性も高い。すでに市民は選挙で市政刷新ネットワークにNOを示し、Q市長と共に町の破綻を受け入れつつ存続に努力した。であれば、希望を
「破綻した町のその後」をテーマとした番組は、年末に報道特別番組として放映された。地上波の良い時間帯に60分×2本放映された。登場人物はSだけでない。姪と山川さんの息子さんにも出てもらった。それぞれ「破綻を予告した市長」「市長の提案に反対した市議の息子」「未来への投資の対象となった中学生」ということになる。番組的には「山川さんの息子さん」が重しになる。政治家としての父のあり方に反発して町を離れ、京都で学生生活と会社員生活を送り、母の病を機にふるさとの町に戻る。地元では父の企業に再
姪のインタビューが終わり、カメラを止めた。姪と妻が、Sの奥さんと一緒にキッチンに入ると、リビングでSと二人になった。やや気まずい。Sの存在は中学の時に知ったが、二人きりで向き合うのは今日が初めてである。だが今日出会った瞬間からSは古い友人との再会のようなテンションである。Sから切り出した。今日はありがとう、2つお礼があるという。「一つは、姪御さんを連れてきてくれたことだ。市長時代の中学生・高校生がその後どんな人生を送っているかはいつも気になっていた。みんなそれぞれの人生を送って
姪の質問は時に二人の議論になった。その時、Sはとても楽しそうだった。そして最後の質問になった。ここまでのお話を伺い、デンマークで学び続ける、フォルケホイスコーレで教育を通じて未来の可能性を最大化することの魅力がわかってきました。私もここで学んでみたいです。ただ、ここまでお話を伺い、Sさんの知見や考え方が日本に必要であるとも思います。Sさんは、もう一度日本で、日本の未来の可能性を最大化するという意欲はお持ちですか。イエスかノーかで言えばイエスです。日本で政治活動してい
姪のインタビューは続く選挙の時「誰に入れたらよいかわからない」という声は今でもよく聞くのです。そういう人は組織票とは関係ない人、いわゆる浮動票になると思います。浮動票の行先には「自分で考えた立候補者に入れる」「投票を棄権する」「選挙で勝ちそうな人に投票する」という傾向があります。現実は「自分で考えた人に投票する」という行動をとる人よりも「棄権する」「当選する人に入れたい」という選択をする人の方が多いです。自分が入れた人が落選することに耐えられないという感覚です。これは、自分の中
(前回からの続き)姪のインタビューは続くありがとうございます。課題発見と課題解決、デザイン思考などは、私たちの世代は中学校で学んでいます。自分の頭で考えるためには欠かせないスキルだと思っています。Sさんが市長になった頃、そういうことを身に付けた世代があの町の中心になってきたということだと思います。教育への投資は有効性が高い、ただし効果が出るまで時間がかかる、そういう理解も日本では広がりつつあると思います。もう一つ、銀行員時代に過ごしたアメリカと、現在暮らしているヨーロッパとで違い
(前回からの続き)姪のインタビューは続く先ほど、予想以上に若い世代は優秀でした。傷の原因を突き止め、外科的にも内科的にも適切な治療を施し、患者の健康を取り戻したと評価していますとおっしゃいました。若い世代を優秀と評価するポイントや理由を説明していただけますか。そうですね、世代論で述べるのはあまり本意ではないのですが、こういうことです。物事には「課題」と「解決」があります。課題解決には、まず「課題を明確にすること」が重要です。課題のない解決策と言うのは存在しないはずです。次
一通りの自己紹介や会話が終わると、では始めようかとSが言う。今回の訪問は番組にする。Sが出した条件は3つ「デンマークまで来ること」「Sが納得できるインタビュアーを連れてくること」「放送前にチェックできること」である。これを見ると、Sのレトリックによくある「極端なことを言って実現性の低さを伝えようとするパターン」だと思う。つまり、断るための条件だったわけだ。だが俺にとっては問題ない条件だった。今回のインタビュアーは姪である。Sが市長だった時代に中学生活を送り、美術館か給食費無償化かが
8月下旬、少し遅めの夏休みをとった妻と一緒にロンドンにいた。ロンドンでは芝居・ミュージカル・クラシックの演奏会を堪能した。昼はプロムス、夜はシェイクスピアシアター、レンタカーでストラドフォード・アポン・エイボンにも足を運んだ。ロンドンには姪がいる。姪は京都大学経済学部に進み、大学院では教育学を専攻した。S市長をこえたと自称する姪は現在イギリスの大学に留学中である。ロンドンで数日過ごした後、姪と一緒にデンマークに飛んだ。あるフォルケホイスコーレを訪問するためだ。そこに、S
山川さんにお別れの挨拶をして玄関を出ると、息子さんが追いかけてきた。車で送ってくれるという。ご実家ですか、それとも駅が良いですか聞かれ、駅にと言った。実家に寄るつもりはあったが連絡はまだしていない。というより実家に戻る気分ではない。このまま東京に戻ろうと思った。車が家を出ると息子さんが話し出した。「今日は本当にありがとうございます。あと何度も電話してすいませんでした。父や母からKさんのことは聞いていました。私もお会いできてよかったです」「私は大学を出てから、京都のメーカーで
(前回からの続き)物音がして振り向くと、山川さんの息子さんの部屋に入ってきた。「お父さん、そろそろ」と言うと山川さんが頷いた。「長い話になってしまったな。悪かった。でも聞いてくれてありがとう。言えないこともあったが、一応、誰かに知っておいて欲しいことは全部言えた。俺たちは世間から言われているような陰謀を計画したわけでもないし、この町をつぶそうとしたつもりもない。でも、今言葉にしてよくわかったよ。市議会議員風情が、国会議員や県会議員に頼んで事業を進めたり、Sを裁判で訴えることは陰謀
(前回からの続き)「保育所の災害があってからはな、女房には苦労をさせてしまった。あいつは、毎日現場に行って手をあわせていた。月命日には花を手向けていた。あとな、健康体操に行かなくなった。外出と言えば買い物と現場に行くくらいでな。あとは遺族会の人とたまに会っていたらしい。女房にとってこの町で暮らすことは針のむしろだったと思うんだ」「それはな、子供たちもそうだったと思うんだ。女房は時々連絡を取っていたらしいが、あれ以来子供たちが帰省したことはない。そして女房は体調を崩してあっけなく死んで
(前回からの続き)「そういえばな、町の人のことを一番よく知っているのは誰かわかるか。それは、警察、郵便局、新聞販売店だ。誰がどこに住んでいるかから生活の状況・家族構成までわかる。新聞販売店は民間企業だからな、個人情報を活かして商売を発展させることができる」「市政刷新ネットワークの代表だったXさんがそれだ。Xさんは親からは農業を引き続き、自分では新聞販売店を始めたんだ。新聞販売店の儲けは折込広告にあるそうでな、Xさんはこのメリットを最大化した。たとえば俺が選挙に出る時、Xさんにお願いし
(前回からのつづき)「Sは結局東京都知事選に出たけどな、俺はあの時、本当はここの県知事か国政に出て欲しいと思ったんだ。そうすれば、俺にお金を持って来る議員はいなくなる。俺も金を受け取らなくて済む。みじめな思いをしなくて済むからな。あと、この町の市長でなくなることにホッとしたという気持ちと、Sにこの町は小さすぎるという気持ちがあった。市政刷新ネットワークが多数決を握っているこの町ではSの能力を活かすことはできない。だから、もっと大きな舞台に進むべきだ…そう思ったんだ」「本当はな、市
(前回の続き)「そうだな、組織票や金で当選した議員は裏の存在だよな。市政刷新ネットワークに参加した議員はみんなそうだ。ただな、この町の議員みんなが金で票を買ったわけではない。市政刷新ネットワーク以外の議員さんはそういうことをしていないと思う。市政クラブはそうだな。あとSもだ」「でもな、人間ってのは弱い生き物だなって思う。K君は5,000円を受け取った時の、その人の表情を見たことはないだろ。選挙前になるとな、相談に来る人が増えるんだ。その時な『お話は聞かせていただきました。勉強にな
(前回の続き)「ポスター裁判の件は、まだ市政刷新ネットワーク結成前だったからな。初めて聞く話だったろ。話は簡単なんだ。印刷会社を隠れ蓑にしてXさんとW議員がS市長に嫌がらせをしただけだ。…恫喝事件も同じだな。Y女史に『議員の言うことを聞かないと市長の提案は議会を通りませんよ』と言わせて、Y女史に裁判を起こさせる。考えてみると市政刷新ネットワーク全体がそういうやりかただったな。市政刷新ネットワークのブログも議会の質問もK君に書いてもらっていたしな」「それにしても、あのドキュメンタリ
(前回からの続き)山川さんは話し続ける。ただ、少し記憶違いのところもあるようだ。Sが市長選に出馬した際に印刷したポスターとビラの代金が請求されたのは選挙後ではないだろう。だが、それを咎めたり確認するよりも、まず話を進めてもらった方がよいだろう。「上乗せした分の印刷代金を払わない、Sが納得できないと言い出すのは想定外だった。上乗せしたと言ってもせいぜい70万だか80万円くらいなんだ。普通なら払っておしまいだ。だがな、Sは選挙ポスターは公費の範囲内であることを印刷会社も知っているはず
(前回からの続き)「その印刷会社ってのは要するに自民党の御用達でな、県内を選挙区とする国会議員や県議会議員はそこを使うのがお約束なんだ。逮捕された市長も県議時代はお世話になっていたし、市議から県議に鞍替えした仲間が県議の補欠選に出る時も、そこにお願いした」「そこがわざわざ県議になった仲間に連絡してきた。この町の市長選で県庁所在地の印刷会社が受注するってのは縄張りを犯すことになるし、対抗馬の応援にもなることなので仁義を通してきたんだな。会社にSの親族がいてそのルートからの依頼だから断れ