事実、腹を立てた企業家やお偉方から、わたしの前提はすべてがまちがっているという一方的な通告を、わたしは数年にわたって定期的に受けている。かれらの主張では、必要とされない人間を雇うために会社の金を使う者などだれもいないというのだ。こうしたやいとりのなかで、とりたてて気の利いた見解が示されることはまずない。ほとんどは、ありふれた回りくどい議論の援用である。市場経済であるからには本章で描かれたことなどひとつとして現実に起こりえない、ゆえに、そんなことは起こっていないというわけだ。だから、自分の仕事が無