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そして太夫(入江たか子)は新蔵(見明凡太郎)と撫子(瀧鈴子)の駆け落ちを助け、当面必要な資金まで与えてやる。撫子(瀧鈴子)なしでは岩渕(菅井一郎)からのカネも入ってこなくなってしまう出刃打(村田宏寿)に太夫は自分の一座の全財産を渡し、それで二人を許してやれと言う。少ないと文句を言う出刃打はカネを受け取って残りはいずれいただくと言って部屋を出ていく。*****財産を出刃打に渡してしまった太夫だが、欣弥(岡田時彦)には仕送りは必ず続けると書いた手紙を送る。太夫は授業料滞納だが働きながらでも初志
入江たか子と岡田時彦が主演の無声映画。証人がなぜ留置されているのか、弁護人はいないのかなど、当時の裁判制度がよくわからない。字幕の字体が異なる個所があって、「南京出刃打」が途中で「南出刃打」になっている…。貢がせてくれなんて言われてみたかった…。*****明治三十三年初夏。水芸で大評判の瀧の白糸太夫(入江たか子)は、移動中に出会った乗り合い馬車の馭者、村越欣弥(岡田時彦)のことで思い出し笑いが止まらない。*****人力車に追い抜かれた欣弥に奮発するからもっと早く走れと太夫が言っても、
二輪車を買ってもらった息子(菅原秀雄)は池で魚とり。通りがかった父(岡田時彦)に妹の美代ちゃん(高峰秀子)が「クスマンジュウ」の食あたりで病気になったと言う。医者が疫痢になるかもしれない言っていたと息子から聞いた父は急いで帰宅する。医者は入院をすすめていると妻のすが子(八雲恵美子)が言うと、カネなんかどうにでもなると俥屋を息子に呼びに行かせる岡島。息子は二輪車を走らせ、妻は入院の支度をするのだ。*****一家で移ってきた病室。医者(河原侃二)は心配ないだろうと言うが、すが子は治療費のことを案
「その夜の妻」に続いて岡田時彦と八雲恵美子が夫婦役である。「淑女と髯」と同様、主人公の姓は「岡島」。長女役には高峰秀子!ちっちゃい。会社のマークは「淑女と髯」で使われていた「山形の下に塗りつぶした丸」と同じ。「その夜の妻」と「淑女と髯」では変体仮名𛂁のだった字幕の「な」がちょっとだけ変体の「な」になっている。そして「小津アングル」もはっきりとわかる。*****岡島伸二(岡田時彦)は体育教官(斎藤達雄)を小馬鹿にするような中学生だったが、いまでは保険会社の内勤社員で、すが子(八雲恵美子)を妻
その娘、廣子(川崎弘子)の自宅。縁談があるようだが、彼女は気が向かない。岡島(岡田時彦)が訪ねてくる。新聞の勧誘員だと思った母(飯田蝶子)が追い返そうとするが、気づいた廣子が恩人だと話すと、彼を招き入れる。廣子に言われた通りにひげを剃ると就職できたので礼に来たのだと彼が言うと、にこやかに笑う母娘。*****幾子(飯塚敏子)にも母(吉川満子)がすすめる縁談があった。相手(南條康雄)に会わされることになった幾子。「あなた剣道お出来になりますの?」「いや僕はゴルフなら出来ます」「私剣道な
昭和六年の小津安二郎監督作品。「その夜の妻」と同じく、岡田時彦が主演で、不良モダンガール役に五所平之助が監督を務めた「マダムと女房」でマダム役だった伊達里子。主人公の名前だが配役では「岡島」、字幕では「岡嶋」となっている。剣道対抗戦の審判長役の子どもは突貫小僧らしい。配役に記載なし。面接が行われている会社でどこかの部屋に入っていくのもそうだろう。コント仕立ての場面多し。岡島の部屋に貼ってあるのは、1930年のMGM映画「TheRogueSong」のポスターだろうと思われる。そして、これ
帰宅した夫(岡田時彦)を見て安堵するまゆみ(八雲恵美子)だが、現金の出所を疑う。仲間はみんな貧乏で貸してくれる者などいないが、娘を見殺しにすることはできないと言って、橋爪はテーブルに拳銃を置く。「みち子さへ癒ったら俺は自首して出るつもりなんだ」。父の姿を見つけて笑顔のみち子。そしてドアをノックする者が…。橋爪は隠れ、まゆみがドアを開けると立っていたのは、橋爪が乗ってきたタクシー運転手の男(山本冬郷)だった。「其筋の者」だとまゆみに言って橋爪の在宅を問う。帰宅していないと彼女が答えると、帰るま
昭和五年までさかのぼった。小津安二郎監督による無声映画である。市村美津子にまた会ったのだ。そして岡田時彦。確かに聞き覚えのある名前だが…、あっ、岡田茉莉子の父ではないか。警官役を笠智衆としている資料があるが、彼の名は画面上にはまったく出てこない。通報の電話を受けているのが笠智衆だろう。音楽はピアノ演奏のみ。原作が「オスカー・シスゴール」なる小説家による短編で、西洋風でないのは「まゆみ」の和装とお辞儀ぐらい。えっ、これ小津映画とも思わせる。しかし、時代劇にしても通用する内容だし、サイレントだと
2025年になり、すでに半月が経ちました。本日より紹介する映画は1月になってからの劇場鑑賞作品になります。その前にいつも通りにこの月前半の映画鑑賞のまとめですが、1月前半に見た劇場鑑賞の映画は以下の12作品。新作を見た映画館、過去作を見に出かけた映画館、随分とはっきり色分けされており、少し驚きました。@伏見ミリオン座『占領都市』(2023年、監督/スティーヴ・マックイーン)『私にふさわしいホテル』(2024年、監督/堤幸彦)『アイヌプリ』(2024年、監督/福永壮志)『型破りな教
ひとつ前の当ブログで、『殺しの烙印』(1967鈴木清順監督)を取り上げました。この映画の主演、宍戸錠さんが扮するのは「米の炊ける匂い」に陶酔する性癖の持つ殺し屋です。既に書いたように、「殺し屋のランキング」というのがあって、その世界にいる者はその「ランキング」の1位を目指すのです。実際にそんな「ランキング」があるのか知りませんが、この映画の中では「ランキング」は絶対の価値があり、プロの殺し屋たちはまるで「スポーツ」のようにその「ランキング」にこだわり、まさに命がけで戦います。「ランキング」
どうも。人の生死がかかった案件で仕事をしない責任者が非難されるのは社会常識です。震災対応がお粗末な政府と石川県(というか馳浩県知事)をデマや屁理屈で擁護する連中は社会不適合者でしかありません。それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『東京の合唱』です。会社の同僚の解雇に抗議して、自分も解雇されたサラリーマンの悲哀を描く。1931年公開作品。監督は小津安二郎で、出演は岡田時彦、八雲恵美子、菅原秀雄、高峰秀子、斎藤達雄、飯田蝶子、坂本武。小津安二郎が戦前に監督した白黒サイレン
瀧の白糸★★★★瀧の白糸(活弁入り)Amazon(アマゾン)1933年(昭和8)公開/98分モノクロ無声・スタンダード/製作-入江プロ/配給-新興キネマ原作泉鏡花「義血侠血」脚本東坊城恭長、増田真二、館岡鎌之助監督溝口健二撮影三木茂出演-入江たか子・岡田時彦・菅井一郎・浦辺粂子・見明凡太郎溝口健二35歳の監督作。無声映画時代の溝口のピークの作品と呼ばれている。同年のキネマ旬報ベストテン第二位に選出、第一位は小津安二郎の「出来ごこ
どうも。一人前の社会人にとって必要なのは、相互の意見を譲歩し合って最良の結論に至らせる能力です。一方的に屁理屈をこねて論破する能力は不要どころか害悪です。論破王とやらの言葉遊びをカッコいいと思うのは幼稚なバカです。それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『その夜の妻』です。子供の治療費のために犯罪に走った男と追う刑事、そして夫をかくまう妻と病床の娘の関係がサスペンス・タッチで描かれる(松竹・映画作品データベースより引用)。1930年公開作品。監督は小津安二郎で、出演は岡田時彦、
前囘(前回)の記事でアニトラの踊りの畫像(画像)をみたい、とのコメントをいただきましたので、載せます。(あいかわらず舊字(旧字)で攻めます(笑))前囘の記事の繰り返しになりますが、アニトラの踊りの右側の美少女が崔承喜さんで、これから大スタアになっていく人です。(のちのち金日成の北朝鮮に帰って行き、消息不明になるわけですが)姐さん、こんな感じですよ↓↓顔の横に布がぶら下がって踊りにくいのではないか?などと心配してしまいます。話は逸れますが、アサヒグラフを買う
どうも。『万引き家族』バッシングした自称愛国者のバカどもがいる国で無理して映画を撮らなくていいことを実力で証明した是枝裕和監督なのです。それはさておき、映画の感想文を書きます。今回は『淑女と髯』です。バンカラな学生が髯を剃ったら就職も恋愛もうまくいったという気楽に楽しめる喜劇(松竹・映画作品データベースより引用)。1931年公開作品。監督は小津安二郎で、出演は岡田時彦、川崎弘子、月田一郎、伊達里子。小津安二郎の初期監督作品です。小津は「ジェームズ槇」名義で劇中のギャグも担当して
服装調査のつづき。前回取り上げたオシャレな「その夜の妻」(1930)のあと、小津安二郎は――・「エロ神の怨霊」(1930)→脚本、ネガ、プリント存在せず。作った本人すらストーリーをおぼえていない。・「足に触った幸運」(1930)→脚本のみ現存。サラリイ・マン物。・「お嬢さん」(1930)→脚本のみ現存。大スタア・栗島すみ子先生主演。……と、栗島すみ子主演の一大エンターテインメントを任せられるまでに、周囲の評価があがってきます。で、昭和6年、1931年第一作が、文句なしに楽し
「晩春」の調査終りまして、再び初期作品に戻ります。小津の最盛期の……あまりに精緻で、精密で、あまりに繊細で、それでいて巨大な怪物的作品から、こういう初期作品に戻ると、なんというか、落ち着くというか、小津安っさんも若い頃があったのだな、とおもいます。それにしたって、とても精緻にスタイリッシュに組まれた作品です――「その夜の妻」(雑でもすごい作品、というのも当然ありえますが)たった一晩の出来事を扱っているだけに登場人物は基本、着替えません。帽子を脱いだり、か
1934年に30歳で死去した、俳優の岡田時彦さんを、趣味の姓名判断で占ってみました。岡田さんには、実力はあるが、障害や困難が多い。不健康。社交性がある。強情さに注意。人望が厚く、引き立てがある。といった暗示があります。引き続き岡田時彦さんの本名、高橋英一さんを、趣味の姓名判断で占ってみました。高橋さんには、家族縁に注意。自我が強い。友人、知人に恵まれる。実行力に欠ける。といった暗示があります。初めまして、常盤英文です。僕のブログは、フォロー厳禁です。また、どこかで会いましょう。
夕飯の支度をしながら短い朗読をきいていました。太宰を聞きながらジャガイモの皮をむきながらお鍋をのぞきながら突然岡田時彦の名がでてきてびっくりもちろん私は岡田茉莉子を通して知ることになったのですが母は岡田時彦の名をよく口にしていました。母亡き後はもうその名を口にするひともなく忘れていたのに突然西村俊彦さんの声でその名を読まれたとき、台所からパソコンの前に走りその名が読まれたあたりまで時間を戻したのです。それは3:15あたりのホンの短い文章でした…どうも岡田時彦が
小津安二郎というひとは「塔」――(塔状の構造物……塔・ビルディング・電柱・巨大な像・巨樹等々)を描きつづけた人なのではあるまいか?という観点から、小津の全作品を見直してみようとやっております。その3です。今回は大・大・大傑作「生れてはみたけれど」なんですけど。これは正直心が折れかけました――というのは電柱がひたすら出現する映画だからで……A.この電柱は意図的なのか?B.それとも、たんに電柱の多い場所をロケ地に選んでしまっただけなのか?この判断に迷うと
――じつは、小津安二郎という映画監督はひたすら「塔」を描いてきた人だったのではないか??そんな単なる思いつき(笑)を証明すべく、1作品1作品分析しております。前回書きましたように見切り発車ではじめてしまったのですが――つらつら考えまするに……これってあの名高い「晩春」(1949)の壺のショットの解明につながるんじゃあるまいか??とかいう予感を抱きまして……ザザッとその予感だけ書いておきますけど……S90部屋紀子「……ねえお父さん……お父さんのこ
さいきん兵頭二十八・小松直之共著「日本の高塔」という本を読みまして――(古本で購入。図書館の蔵書だったっぽい↓↓)たいそう感銘を受けたわたくし。1999年初版の本でして、内容は古くなっているとおもうが(もちろんスカイツリーは入ってない)日本各地のバカ高い構造物を網羅していてなかなかおもしろい。東京タワーやら横浜マリンタワーだのまあわかりやすい「塔」だけではなく、「煙突」「架空送電鉄塔」「吊橋主塔」などなどとにかくバカ高い構造物を集めている本。この本を読んで
☆足にさわった女/監督:阿部豊日活1926足にさわった女/監督:市川崑東宝1952監督の阿部豊は若き日に渡米して、ロスアンジェルスの演劇学校で勉強をした。そしてハリウッドでジャッキーアベとして俳優をしていたが、当時日本人が活躍できたのはほんの一握りで、当時のアメリカで東洋人俳優と言えば、まず三枚目というより悪役に限られていた。中々俳優としては、芽が出なかったので折しも日本では関東大震災が発生して、東京の映画界が全滅したと
「晩春」の分析が終わっていないのですが、とつぜんチンチン電車が気になってしまいまして――こんな記事。別冊太陽「気ままに絵のみち熊谷守一」を読んでいたら守一のこんなエピソードがありまして……一九一五(大正四)年、守一は再び上京した。頭もヒゲもぼうぼうで、春だというのにあかぎれだらけの手を見て、市電の車掌が「この切符は帰りも使えるからね」と親切に教えてくれたというから、相当ないで立ちだったのだろう。(別冊太陽「気ままに絵のみち熊谷守一」106ページより)これで「市電」が
『瀧の白糸』溝口健二監督。泉鏡花原作“義血侠血”を溝口健二が入江たか子主演で映画化。1933年製作。溝口のサイレント期は神がかっているなどとよく言われるが、本作は中でも高い評価で知られる傑作。最初ラブロマンスかと思うが、非常に重いヒューマンドラマである。ただ残念ながら現存するプリントは状態が悪く、完全版というような修復が中々なされぬ作品でもある。まぁ、消失しなかっただけ幸せというべきか。本作での入江たか子の演技は神がかっており、いかに彼女が重要な女優だったかよくわかる。相手役
2016年12月24日(土)江戸東京博物館ホールにおいて、「よみがえる天勝の世界~無声映画『瀧の白糸』と奇術~」が開催されました。たくさんの方々にご来場いただき、本当にありがとうございました。13:00開演【第一部】映画『瀧の白糸』入江プロ1933年作品98分原作*泉鏡花『義血侠血』監督*溝口健二脚色*東坊城恭長増田真二舘岡謙之助撮影*三木茂水芸指導*松旭斎天勝瀧の白糸*入江たか子村越欣弥*岡田時彦岩淵剛蔵*菅井一郎南京出刃打
スケヲタの聖地、関西大学へ行って参りました!!はい、リンクがあるのは高槻で、私が訪れたのは堺キャンパスです。笑二ヶ月に一度で全五回。小津映画にユーモアを学ぶ~活弁映画の面白さの四回目を担当させて頂きました。澤登翠師匠の代理です。1933年『東京の合唱(コーラス)』岡田時彦主演後方は左から菅原秀男・八雲美恵子・高峰秀子。個人的には、斎藤達雄演ずる大村先生が、凄く輝いている映画!!笑この講座には毎回関大の森下伸也教授の講義もあります。森下教授は子供の頃に米子にいたそう
入場の申し込みが28日(金)までとのことで、慌てて告知致します!!2016.11.12(土)大阪府・堺市小津映画にユーモアを学ぶ~第4回活動弁士付!無声映画上映会午後1時30分開演大阪府堺市上映作品『東京の合唱(コーラス)』昭和6(1931)年松竹蒲田作品(91分)監督/小津安二郎出演/岡田時彦、八雲恵美子、菅原秀雄、高峰秀子、斎藤達雄弁士/斎藤裕子講師/森下伸也(関西大学教授)会場/関西大学堺キャンパス(南海電車高野線「浅香山駅」
午前中から引き続き鑑賞の方もいれば、新たに入場された方もいらっしゃる。客席は殆ど埋まり、皆様の期待は忠臣蔵へと…今回の忠臣蔵は昭和二年のマキノ省三監督作品『実録忠臣蔵』ではなく、昭和十三年のトーキー作品を音を消して活弁&生演奏付きで公演。天の巻をマキノ正博地の巻を池田富保が監督。浅野内匠頭/立花左近☆片岡千恵蔵大石内蔵之助☆阪東妻三郎脇坂淡路守/清水一角☆嵐寛寿郎片岡源五右衛門/服部市郎右衛門☆澤村國太郎吉良上野介☆山本嘉一…この辺りのキャストは、私の中
1933年、溝口健二監督。学生時代、二回見たことを覚えている。その後、ずいぶんと見ていなかったので久しぶりに再見。当時からフィルムは傷んでいたが、その後デジタル・リマスターが行われたときく。しかし、それはYouTubeやDVDなどでは見られないらしい。けれども、どんな状態であったって、世界に誇る名匠が本気で観客を泣かせにかかったこの作品を見て泣くのに抵抗できる人など世界には存在しないだろう。学生時代に、周囲に日本映画を映画館で一回も見たことがないという人が結構いて、驚いたことがある。蓮