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『芥川賞の偏差値』-小谷野敦●第99回新井満「尋ね人の時間」偏差値42点新井はCMプロデューサーで、森敦が芥川賞をとった時、檀ふみとCMで共演してほしいと、森が檀一雄の友人だったことも知らずに頼みに行って知りあい、その後森に師事して小説を書くようになった。3回目の候補になった「ヴェクサシオン」は野間新人賞を受賞しており、野間新をとったあとで芥川賞をとった初の例となり、以後、野間新は「芥川賞以前」に位置づけられることになる。私は高校三年の春(1980)「みんなのうた」で新井
比較文学者・小谷野敦が「面白い」と書いていた。春陽堂書店から2018年に刊行されている。江戸川作品は、頻繁にではないが、たまに読みたくなる。夜読んでいると怖くて、「ぎゃあ」となることもある。だが今回は、話に入り込みつつ冷静にもなれたので、それほど怖くなかった。舞台は長崎の洋館。主人公・光雄の叔父が買い取り、主人公がその洋館で、ある美人・秋子と出会ったことから話が始まる。秋子は謎を抱えていて、洋館もいわくつきの建物である。光雄は秋子に惚れるが、「一緒
梅棹忠夫は「近代日本の原点は化政時代」であり、「明治維新はその延長にあった政治的結論のひとつに過ぎない」とした。それで連想したことがある。つい最近、現政権に対する支持率が史上最低との報道があった。政権と政権党を「見放している」という状況は今に始まったことではないが、それでも様(さま)は度を増している。「日本の政治は十流、文化は一流」という指摘がかつてあった。いつどこでだれがというのは思い出せないが、その指摘は的を得ていると改めて思う。日本のいくつものアニメが数十か国で放映されてい
『芥川賞の偏差値』ー小谷野敦●第105回荻野アンナ「背負い水」偏差値42点これが芥川賞をとった浅田彰が漫罵していたが、実に珍妙な受賞である。荻野はアメリカ人の父と日本人画家の母をもち、慶大仏文科の大学院へ行き、パリでラブレーの研究で博士号をとり、今は慶大教授である。当時は助手。慶應は、自校(自塾?)出身者を教授にする場合は、一遍も外へ出さないで、助手→講師→助教授と不変態の動物みたいにする。荻野は、芥川賞受賞の電話を受けて「あ、ショウ」とダジャレを言ったとされ、ダジャレとギャグ
地理学者水野一晴の『世界がわかる地理学入門』『自然のしくみがわかる地理学入門』『人間の営みがわかる地理学入門』をざっと読んだ。三冊それぞれから初めて教えられることも多かった。とりわけ最も刺激的だったのは『自然・・・』の一冊である。例えば世界の温帯気候はいくつかに分けられるが、西岸海洋性気候や地中海性気候に属するヨーロッパの植生が極めて単純なのに対して温帯湿潤気候に属する東南アジアや日本の植生は実に多種多様らしい。しかも、ここで決定的に重要なのは、そうした多種多様の植生環境だからこそ
今回、読了したこの本はタイトルから以前読んだ『本当はブラックな江戸時代』みたいな内容かな?と思ってましたがダイブ違う印象でした。徳川時代はそんなにいい時代だったのかAmazon(アマゾン)1,986円最初にあったけど司馬遼太郎って鎖国政策をとった徳川時代を評価していなかったんだとか。私はそれほど司馬作品を読んだわけではないけどへぇ~、そうだったんだ~と思いました。歴史学者によっては「徳川時代は厳密には”鎖国”とも言えない」と、言っている人もいるみたいですが。ま
自分の狭い教養を広げるために新書も読もうと思ってます。物語を読んでいて、その歴史的背景を知らないと意味不明ということもあります。例えば今「モンテ・クリスト伯」を読んでますが、ボナパルト党とか王党派とか、フランス革命以後の歴史的知識が必要になってきます。ということで、小谷野さんですが、歴史専門の方ではなく、本文中にいろいろ文学作品が登場してきます。また雑学的なことも多く書かれています。それだけでも楽しめます。例えばインディアンのジェロニモ酋長。ジェロニモってインディアン語のようですが、ヒエロ
馬琴綺伝Amazon(アマゾン)151〜10,454円時々、小谷野氏の作品が読みたくなり、これを選択。あっという間に読んでしまう。さてreviewをと思い、amazonを見たら、8年前に一度読んでreviewを投稿していた作品だった!!!!これまでに、同じ作品を二度買い(単行本と文庫)したということはあるのだが、読み始めると、必ずすぐ気が付くのだが、今回は最後まで気が付かなかった。こりゃ、まずいな。quoteあっという間に読んでしまいました。ただどこまでが小説で、どこからが
芥川賞の偏差値Amazon(アマゾン)1,320円小谷野さんの作品、気分転換で時々読みたくなる。この作品もずっとその存在は知っていたのだが、この度、重い読書が続いていたせいだろうか、手に取ることとなった。相変わらず、小谷野さんのこの種の作品は、彼の伝記作品(川端康成や谷崎潤一郎)とは違って、やっつけ仕事の臭いがプンプンしており、実に読みにくい。これはテープ録音を起こしたものなのかと思わせるほどだ。とはいえ、70年以上の歴史を持つ過去の芥川賞作品を全部読破したという労苦に驚く。
一気に来た本の2冊目。身分を隠して婚活していた皇族女性と出会い、お付き合いをし、結婚するフランス文学者さんのお話。結婚して苗字を手に入れたヒロインが「ようやく人権が手に入った」とつぶやく姿が印象的です。が、途中で出てくるフランス文学も、国文学も、こちとらさっぱり分からないので(恐らく何らかの意味がある)やはり正しく鑑賞できているとは言えないでしょうね。可愛い装丁と読みやすい文体に騙されますが、おいそれと手に取る作品ではないような気がします。超上級者向き。
網野善彦の著作を読み、百姓と言う概念が変わる。読む前に持っていた概念が揺さぶられる。虐げられ、土地に縛り付けられ、と言うお決まりの戯画化された姿とは違う存在であったらしい。東日本と西日本とでは違いがある事も分かる。東京一極集中と呼ばれ、東京が圧倒的な存在の現況が歴史的には最近だと改め気づく。小説ならば高木彬光の「成吉思汗の秘密」はロマンとなる。源義経伝説。鯨統一郎の「邪馬台国はどこですか?」は侮れない。皇室と日本との関連では小谷野敦の「天皇制批判の常識」も定式からの距離がとれる。小林よしの
中島義道「コロナ禍で人生の真相がはっきりした」哲学者・中島義道氏のインタビュー記事です。コロナ感染で多数の死者が出て、失業者、困窮者、自殺者、DV、虐待も増加し、鉄道テロ男も増殖している現状からすると、公に言えないムードがありますが、コロナ禍のアナーキー的混乱と、引きこもり生活が、そんなに嫌ではなかったと思っている人は、実は、結構多いのではないでしょうか。かく言う私も、生活に不安を抱えているものの、今、取り組んでいる仕事を終えるまでは、外出自粛状態が続いてほしいと、秘かに
オリンピック委員会、森会長の発言以降、男性諸氏は大変肩身が狭い。「男らしさ」「女らしさ」などの古典的考え方は言わばタブーとなり、世の中のジェンダーフリー化が進んでいる趨勢である。〇男性受難の時代確かに、現況は女性の視点を第一とする時流である。筆者の恥ずべく体験として、女性専用車両に間違えて乗ってしまい周囲の白眼視に汗顔止まず、次の駅で比較的空いている専用車両から満員の普通車両に急いで移ったものである。忸怩たる笑い話だが、他にも報道等で気にかかった事がある。男性非難は肯定され哄笑され
映画ひとつ(づり)、谷崎潤一郎『谷崎潤一郎対談集藝能編』作者:谷崎潤一郎出版:中央公論新社作年:2014.9600頁に及ぶ対談の集成でしかも<藝能編>と銘打つ以上当然<文藝編>も控えていまして雑誌が朽ち果てるに任せてこの稀代の文豪の肉声が時間の塵埃に消えてしまうのを救おうと編者である小谷野敦と細江光の、身震いする谷崎愛です。巻頭を飾るのは岡田嘉子で何と大正15年、世にその妖艶な美貌を謳われながらまだ新劇での活躍が大きく裾を棚引かせて映画女優としては駆
川上弘美の本。小谷野敦が「お勧め本」の一つとして挙げていたので読んだ。名前は知っていたけれど、作品を読むのは初めて。「神様」がデビュー作だという。短編で、他に8作品入っている。どれも短く読みやすいが、登場人物が動物や河童などの生き物で、不思議な気持ちになる。「彼らはなぜ話して、考えるのか?」という説明は一切ない。ごくごく自然に、世界の中にいる。20年以上前の作品だからか、初めて読む本なのに、懐かしさを覚えることもあった。文体がノスタルジックな
小谷野敦氏の作品、『中島敦殺人事件』を読みました。小谷野敦氏の作品ははじめてだと思います。『美人作家は二度死ぬ』という作品の、続編だそうです。先の作品を読んでないんですが、樋口一葉が出てくる?のかな?一葉が長生きしてたら、って設定?あらすじを読んでから本を選んだり、読むっていうのをしてないようにしてまして、チラッと目に入った情報だけで、前作を説明してみました(笑)文庫本とか単行本の帯の、あらすじとか、内容がちょっと分かりそうな文章、いやなんです。特に文庫の裏側、裏に書かれ
小谷野敦さんの「友達がいないということ」という本を読みました。(まちこのみ)友達がいないということ(ちくまプリマー新書)Amazon(アマゾン)770円その感想の前に。10年以上前ですが、小谷野さんの「もてない男」という本を読みました。如何にモテないかってことを書いていましたが、その後2回も結婚と離婚をしていたことがわかりました。大丈夫じゃないですか。と思いました。ただ、小谷野さんは、モテない以上に、「友達がいない」ということで悩んでいました。私は友
『もてない男』で有名な、小谷野敦の著作。2001年にちくま新書から出ている。著者の本を読むのは初めてだった。読んだ人の感想を見聞きすることはあったが、自分で読んだことはなかった。「今までに読んだことのない人の本を読もう」と手に取ったのが本書だった。読んでみると、思いのほか読みやすい。「そうだよね」「そっか」と頷ける箇所も多く、笑える記述も時にある。理解が難しい部分もあるが、そこで読者を考えさせようとしているのもわかる。著者が考える、本の選び方や学問
<七年前の日記を再掲>小谷野敦『すばらしき愚民社会』―公共的正義が戦争を誘う―小谷野敦は「八犬伝綺想」という評論で世間に注目集めるようになった文芸評論家である。しかし、言説が右往左往するので、最近はエッセイストとして評され、禁煙ファシズムと戦う無頼派である。この『すばらしき愚民社会』は、2004年に出版され、2009年に文庫本化される。さて、日本の言論界の瓦解が激しい様相を、大衆社会との対比の中で愚民とはなにかを語ったエッセイ
『芥川賞の偏差値』ー小谷野敦●第88回唐十郎・「佐川君からの手紙」偏差値36点断っておくが、私は唐十郎が好きである。舞台では『秘密の花園』が特にいい。テレビドラマ『安寿子(やすこ)の靴』もいいし、泉鏡花賞をとった『海星(ひとで)・河童』も、これより前に書いた小説『下谷万年町物語』も、まずまずである。だが、その唐でも失敗することはあって、小説『佐川君からの手紙』はその最たるものである。もし唐をよく知らない人が、芥川賞だから、というのでこれを読んで、ナーンダ唐十郎ってこの程度か、と思わ
『芥川賞の偏差値』ー小谷野敦●第25回安部公房「壁・Sカルマ氏の犯罪」偏差値40点安部公房といえば、一時は大江健三郎と併称され、生きていたらノーベル賞をとっただろうと言われる作家である。だが私にはよく分からない。「砂の女」もそれほど面白くなかったが、最近考えてみたら、夫婦生活が嫌だったんじゃないかと思った。安部は戯曲も書き、自らも演出して「安部公房スタジオ」を主宰、所属女優の山口果林とは死ぬまで愛人関係にあったことはよく知られている。だが、その戯曲がどうにも面白くない。英米
MXで赤毛のアンやってた!いいなあ、やっぱり今のアニメの怒涛の展開もいいけどたまにこのくらいのペースのアニメも見たくなるよねえpic.twitter.com/olG3GYp4mi—けみ(@kemi443)MonApr0611:00:48+00002020赤毛のアン録画し忘れたあああああああ—壁|ωΦ)マグタ(@chaicinnamon)MonApr0611:20:37+00002020トレンドに赤毛のアンが・・・世界名作アニメ劇場の中でも至極の名作だねぇ
昨夜、入浴中に気づいたことがあった。それは、右足の親指の先にあった角質がほぼ取れていたことである。この冬の時期、そこに力がかかったりすると痛みさえ感じることもある、しつこくて厚い角質がとれずにずっとあった。100円ショップで買った軽石で入浴中に擦り減らし、出た後にワセリンやら、カミサンの使っている保湿クリームやらを借りて塗っていたことがあった。それがほぼ無くなっていることに気づいた。もしかしたら、これも砂糖絶ちの効果なのではないか?と思ったのだが、鰯の頭も信心から・・・ではいけない。改
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本屋に行って、買いたかった本が見当たらずなんとなく別のものを買ってしまうことがある。よくあると思う。この本もそうやって買った本。私は江藤淳も大江健三郎も全然ファンではない。江藤は漱石についての文章をほんの少し読んだかなって程度。大江はごく初期の短編をいくつか読んだ程度。なのでこんな本を買う気はなかったのだ。ちょっと棚から取ってペラペラとめくりながらところどころ読み流してみただけだった。だけど。なんだかおもしろそうだった。江藤と大江はほとんど同世代のようである。どちらも若
小谷野敦さんの「このミステリーがひどい!」(飛鳥新社)まず、「タイトルに間違いあり」ですね。「”この”ミステリーがひどい!」ではなく、「”こんなに多くの”ミステリーがひどい!」にすべき。いっそ「”ミステリーのほとんど全て”がひどい!」にタイトル変更すべき。一読あきらかな”虚偽表現”で読者を騙し、こんな駄本に、時間とお金を無駄遣いさせているのですから。「こんなムナクソ悪い悪口の垂れ流しとわかっていたら、1500円も出して買わなかった」と後悔しきりの人も多いでしょう。私
忘れられたベストセラー作家時代を超えて読まれない!?漱石よりも、芥川よりも、川端よりも、人気だったのに…今は哀しき文壇の寵児たち、その肖像!文学史の知られざる裏側(「BOOK」データベースより)今日紹介するのは比較文学を専門とする小谷野敦氏のエッセイです。文学史の中でベストセラーとなった作家たちを、文学史の研究者としてコメントした作品ですが、評価は大きく分かれています。かつてのベストセラー作家が今どうしているかとか、どうして短期間に忘れられたのかなどについて分析している本かと思い借りたの
←山本義隆著『近代日本一五〇年科学技術総力戦体制の破綻』(岩波新書)「西洋近代科学史の名著から全共闘運動,福島の事故をめぐる著作までを結ぶ著者初の新書」ということで、入手。同氏の他の本も、何度となく手を出しかけたが、理解できるかと、躊躇ってしまった。「なんとか今日から読みたいけど、暗くなってきた。老眼にはきつい」などと金曜日の夜に呟いた。その後、「手を付けた。昔からの我がヒーロー。何かしら一冊、読みたかった。本書は、何とか手が出せる」などと呟いている。この数日、フェイ
→熱愛…交接中のコウイカ。喧嘩しているわけじゃない。「左側の緑っぽいのがオスで、右側の白いのがメス」だとか。本書には仲睦まじい画像が載っている。それを紹介したいのだが。(画像は、「熱愛中-コウイカ-TheSeacucumberBlogなまこブログ」より)マラー・J・ハート著『セックス・イン・ザ・シー』を読了した。海に生きる生物たちの、まさに驚くべきセックスの多彩なる世界。以下は、本書の話題のほんの一端を羅列しておく:←マラー・J・ハート著『セックス・イン・