ブログ記事64件
※登場する人物・団体名等は、架空のもので実在しません。雲母が喫茶店の近くまで歩いていると、交差点の向こう側から声が聞こえた。「岳ちゃ~ん!」手を振りながらの笑顔満載の凛子だった。「早かったねえ。凛ちゃん。」「喫茶店は省略して、食事に行きましょう。」「うん、同歩!」「何が食べたい?」「そうだなあ。今夜は中華料理が食べたいなあ。」「じゃあ、楽々亭に電話してみよう。」そういうと、凛子は予約の電話をかけたのだった。「良かった。予約がとれたわよ。二十五連勝のお祝いをしなくちゃね
※登場する人物・団体名等は、架空のもので実在しません。この角打ちを予想しなていなかったのか、後手の手が止まった。後手の考慮時間は、一時間を超えた。しかし、指す気配は感じられなかった。雲母は席を立ち、控室へと向かった。頼んでいたコーヒーが届いていた。コーヒーを飲みながらも局面が頭の中を支配していた。五四歩、六五歩・・・、記号が次から次へと交差していく。後手の指し手に応じて、枝葉を食いつぶしていった。そろそろ後手が次の一手を指すだろうと思い、対局場に戻った雲母だったが、後手の考慮は続いていた
本日はこちら。推し作家芦沢央さんの将棋ストーリー。『おまえレベルの話はしてない』読みました。おまえレベルの話はしてないAmazon(アマゾン)出典:https://www.amazon.co.jp/dp/B0FQV45GC8プロ棋士になったものの苦闘している芝と、棋士をやめた大島。棋士の世界は厳しく孤独であり、常に強いプレッシャーが襲ってくる。勝っても負けても、その棋界と言う檻からは逃れられない。連敗中の芝は壊れる寸前…と
藤井聡太六冠の強さの秘密って?将棋界の“藤井時代”を深掘り!こんにちは!将棋界の絶対王者、藤井聡太六冠の活躍にはいつも驚かされますよね。史上最年少でのプロ入り、数々の記録更新、そして社会現象にまでなった「藤井フィーバー」!でも、一体どうして藤井六冠はあんなに強いんでしょう?今回は、そんな藤井六冠の「強さの秘密」を、堅苦しいレポートから抜け出して、もっと楽しく掘り下げてみたいと思います!もう「鬼」レベル!圧倒的な「終盤力」がヤバすぎる!藤井六冠の将棋を語る上で、まず避け
※登場する人物・団体名等は、架空のもので実在しません。数日後、通常の生活に戻った雲母は、多忙な日々を送っていた。ランキング戦では、Eクラスの準決勝に進み、他の棋戦でも勝ちまくっていたからだ。この日は、若手棋士の登竜門である「若獅子戦」の本戦3回戦が行われていた。雲母の大活躍は、棋界でも話題になっていた。Eクラスの棋士の活躍くらいで、何故話題になっているのかというと、「連勝記録」が更新されるのではないかという非常に大きな関心事があるからだった。雲母は、この対局までに、二十四連勝という足
※登場する人物・団体名等は、架空のもので実在しません。二日目の朝が訪れた。臥龍岡は、ベットから起き上がると、窓際の椅子に腰掛けた。「しかし、駒箱は何故・・・。」そう呟いた。そして、何気なく目線を向けた入口のドアの下に、白い封筒があることに気づいた。「何だ?あれは・・・。」そう呟きながら、封筒を拾い上げた。封筒にはしっかりと糊付けがしてあった。面倒くさそうに封筒を開けた臥龍岡。便箋に書かれた内容を見た瞬間、凍りつくように体が硬直した。書かれていた内容は、【臥龍岡へなか
※登場する人物・団体名等は、架空のもので実在しません。対局は、中盤の山場に差し掛かり、膠着状態が続いていた。時刻は、十八時の封じ手を迎えた。「封じ手の時刻になりました。臥龍岡十段、封じてください。」立会人の中根会長の声が響いた。「はい。」臥龍岡は、絞り出すように返事をした。しかし、なかなか封じようとしなかった。封じ手時刻から三十五分が過ぎた頃、臥龍岡が苦悩の声をあげた。「封じます・・・。」トップ棋士の臥龍岡でも、打開の手順はなかなか見つからなかった。臥龍岡は、長考の末、無難
芦沢央さんの将棋をテーマにした短編集です。将棋には興味があって、テレビのNHK杯トーナメントも録画して欠かさず観ています。(長考している時には早送り出来るので効率的(*^^)v)今年の3月に行われた準決勝:藤井聡太七冠VS増田康宏八段は、増田八段が上手い差し回しで有利となり、AIの形成判断では99%勝ちになりました。しかし、そこから藤井七冠が妙手を連発して大逆転。こんなの見たことない(゚д゚)!まさに歴史的名局でしたね。"YouTube"でも解説しているので、興味のある方
■お知らせYouTubeサイトを新たに開設しました。「AndyWisteriaの癒やしのMusic」です。https://studio.youtube.com/channel/UCrN1Y06o6sSiQfkzO0WzA-Aお気に召せば、チャンネル登録をお願いします。どんどんアップしていきます。なお、曲は全てオリジナルです。曲を聴いた感想をメッセージでいただけると、望外の幸せです。※登場する人物・団体名等は、架空のもので実在しません。対局室では、両者の
※登場する人物・団体名等は、架空のもので実在しません。その声には、驚きと疑念が混じったような複雑な声であった。「こ、これは・・・。」その声を聴いた立会人の中根会長が声をかけた。「どうかしましたか?」その声に我に返ったように、臥龍岡が絞り出すかのような声で言った。「い、いえ。何でもありません。」やや震える手つきで、王将の駒を自陣に据え置いた。臥龍岡が驚いたのも無理はない。駒箱に入れられていたのは、紛れもなく自らが選んだものだったからだ。この光景を対局場の隅で見ていた担当の長谷部
読書日記2025-126もの語る一手青山美智子・葉真中顕・白井智之・橋本長道貴志祐介・芦沢央・綾崎隼・奥泉光[講談社2025年4月発行]あらすじ将棋は、決断のゲームである。無数の選択肢から、一手を選ぶ。将棋は、明快なゲームである。残酷なまでに白黒がはっきりとつく。しかし、単純な「結果」にたどり着くまでの間に、無数の思いが凝縮されている。だからこそ、将棋は物語の宝庫なのだーー。超豪華執筆陣による「決断」をテーマにした傑作将棋小説アンソロジー。感想将棋好きの夫が喜ぶかと思
※登場する人物・団体名等は、架空のもので実在しません。臥龍岡は自室で受話器を取っていた。「フロントでございます。」「臥龍岡ですけど、対局場のお世話係の女性を呼んでもらえないでしょうか?」「どのようなご要件でしょうか?」「はい、明日のことで直々に頼みたいことがありまして・・・。」「そうですか。承知いたしました。直ぐにお部屋へ向かわせますので、暫くお待ちくださいませ。」「ありがとうございます。」受話器を置いた臥龍岡は、微かな笑みを浮かべた。暫くすると、対局場の世話係がドアを
※登場する人物・団体名等は、架空のもので実在しません。二日後、雲母は十段戦第一局の検分に同行していた。タイトル戦では、検分は前日に行われる。記録係は、黒子のように様々なサポートしなければならなかった。「この駒はいいですねえ。どうですか?」タイトル保持者の臥龍岡十段が、挑戦者に語りかけた。「そうですねえ。色合いもいいですし、目も疲れることがなさそうに感じます。」「同感です。では、この駒を使用するということでいいですか?」「はい。この駒でいきましょう。」「本当に、素晴らしい駒です
※登場する人物・団体名等は、架空のもので実在しません。「岳ちゃん、中に入りましょう。」「そうだね。ワインをもらおうかな。」二人は、部屋の中に入り、二人掛けのソファーに隣り合って座った。「さあ、美味しいワインをどうぞ!」「ありがとう。このワインは本当に美味しいね。」「ところで、記録係のことなんだけど。何か気になって仕方ないの。」「うーん。凛ちゃんの感は鋭いからなあ・・・。」「絶対に何か企んでいると思うわ。でなければ、今注目を浴びている岳ちゃんを態々記録係にするとは思えないわ。
※登場する人物・団体名等は、架空のもので実在しません。「ねえ。岳ちゃん。お店閉めて、ゆっくりしよう。」「そうだね。それがいいねえ。」凛子は、ささっと、暖簾を取り込み、入口に鍵をかけた。「これでよし!邪魔者は入らぬぞ!」「はは~。殿、何なりとおお申し付けを!」「うむ。では、まずは我が杯を受けよ!」「はは~。有難き幸せにござりまする。」二人は大笑いしながら、乾杯をした。「ねえ。疲れてない?」「うーん。かなり神経を消耗してるかな。」「もっとリラックスできる所に行く?」「行き
藤井聡太七冠の強さの本質を探るはじめに将棋界において史上最年少で名人位を獲得した藤井七冠の強さの本質を、認知科学、人工知能研究、ゲーム理論の観点から分析してみました。特に、従来の将棋指しとは異なる思考プロセス、学習方法、局面評価関数の特性に焦点を当て、その卓越したパフォーマンスの源泉を探ってみました。分析方法藤井七冠(2002年7月19日生)は、将棋史上最年少でプロデビューし、最年少で名人位を獲得した棋士です。彼の強さは単なる技術の高さだけでなく、将棋に対する根本的なアプロー
※登場する人物・団体名等は、架空のもので実在しません。「さあ、一杯行こう。本戦トーナメント進出、おめでとう。」「ありがとうございます。」「凛子君も、さあ、飲もう。」「ありがとうございます。先生。」「ところで、最近の雲母君の勝ちっぷりは凄いねえ。何連勝なんだい?」「ちょうど十連勝です。まぐれですよ。先生。」「いやいや、何だか、一皮むけたような感じがするんだよなあ。そう思わないかい?凛子君も。」「ええ、私もびっくりしています。指し手が光っているよな気がします。」「上手いこと言
第83期名人戦七番勝負展望基本情報棋戦名:第83期名人戦七番勝負対局者:名人:藤井聡太名人(七冠、22歳)挑戦者:永瀬拓矢九段(32歳)開幕日:2025年4月9日(水)第1局会場:ホテル椿山荘東京(東京都文京区)持ち時間:各9時間(2日制)挑戦者決定までの道のり永瀬拓矢九段は第83期順位戦A級で6勝3敗の成績を収め、同じく6勝3敗だった佐藤天彦九段とのプレーオフを制して初の名人挑戦権を獲得しました。プレーオフは2025年3月4日に将棋会館で行われ、永瀬九段が115
※登場する人物・団体名等は、架空のもので実在しません。意表をつかれたのか、後手は長考を強いられた。「本庄六段、残り十分です。」記録係の乾いた声が響いた。一時間の考慮で、後手は同歩と応じた。間髪を容れず、三段目に歩を垂らす雲母。後手同香に、二段目に角を打ち据えた雲母は、十分な手応えを感じていた。秒読みに入った後手は、その後も粘りを見せたが、雲母の指し手は緩むことなく、一二一手で後手の投了となった。「いやあ、一筋からの攻めが予想以上に厳しかったですねえ。」開口一番、本庄六段が感想
※登場する人物・団体名等は、架空のもので実在しません。臥龍岡が電話をかけた相手は、十段戦の協賛社であった。「臥龍岡ですが、ちょっと相談がありまして。」「臥龍岡先生ですか。少しお持ちいただけますか。担当部長にお繋ぎいたします。」「はい、ありがとうございます。」「臥龍岡先生、担当部長の佐々山でございます。」「佐々山さん、ご無沙汰をしております。実はお願いがあって電話させていただきました。」「はい、十段戦のタイトル戦も近くなりましたので、その件でのことでしょうか。」「ええ、そうです
藤井棋王防衛!!藤井棋王の2連勝で迎えた第3局が始まりました。先手は、藤井棋王です。時間状況等16:0195手にて、千日手となりました。指し直し局は30分後に行われます。先後は入れ替え。藤井棋王が残り1時間になるように、両者の残り時間に10分が追加されます。16:37指し直し局が始まりました。後手は、角換わりを拒否しました。これは、よい判断だと感じます。見る方も、角換わりは少し飽きていましたから。違う将棋も見たいものですね。19:03形勢は、互角です
第50期棋王戦五番勝負第2局速報藤井聡太棋王に増田康宏八段が挑戦する第50期棋王戦コナミグループ杯5番勝負第2局が本日、金沢市の北國新聞会館で行われます。藤井棋王が3連覇へあと1勝に迫るか、タイトル戦初登場の増田が巻き返し、対戦成績をタイに持ち込むか、注目の一番です。時間状況等8:55駒並べが始まりました。本局は、増田八段が先手番です。どのような戦型になるのか、楽しみですね。9:35角換わりを拒否した藤井棋王。今後の展開が非常に興味深いです。
※登場する人物・団体名等は、架空のもので実在しません。破竹の大記録超人気番組ザ・ヒューマン『運命の大一番~将棋棋士の熱い一日』が放映された。その反響たるや、将棋連合始まって以来のものとなった。雲母は、思いも寄らぬ時の人となったのである。将棋連合の事務室には、各種メディアからの出演依頼が相次いだ。連盟職員が会長室に相談にやってきた。「中根会長、雲母四段の出演依頼が相次いでいるのですが・・。」「そうですか。まあ、番組が放映されたからねえ。雲母君と相談して対応しましょう。」「はい、よろ
第74期王将戦七番勝負第4局速報藤井聡太王将に永瀬拓矢九段が挑むALSOK杯第74期王将戦七番勝負の第4局は15日午前9時、大阪府高槻市の山水館で始まりました。時間状況等封じ手の局面です。13香と予想しました。この手ならば、互角の形勢です。9:00封じ手は、13香でした。▲34飛9:12△33銀▲54飛△同歩▲22歩後手の考慮中です。候補手としては、①同銀が有力です。9:55△同銀▲35角10:57△48歩成▲同金形成は互
第50期棋王戦五番勝負第1局速報①藤井聡太棋王に増田康宏八段が挑戦する第50期棋王戦コナミグループ杯五番勝負は第1局が本日、高知県高知市「文化プラザかるぽーと」で行われます。時間状況等8:53振り駒が行われ、藤井棋王の先手となりました。9:00藤井棋王、まずお茶を一服してから、飛車先の歩を突きました。後手も同じく、飛車先の歩。戦型は、角換わりとなりました。9:17棋王戦は、持ち時間各4時間の一日制です。時間の使い方が難しい感じです。局面は、暫く既定
大分県宇佐神宮で名人戦開催決まる!!第83期名人戦7番勝負の第4局が5月17、18日、宇佐市の宇佐神宮で開催されることが決まりました。同神宮は今年、御鎮座1300年を迎え、関係者が記念事業として誘致に取り組んでいました。大分県内では昨年5月に別府市であった第82期第4局に続き、2年連続の開催となります。今期は藤井聡太七冠が3連覇を目指し、挑戦者は2月下旬にも決まる予定です。宇佐市では2020年に第78期第2局が予定されていましたが、コロナ禍で中止になった経緯があります。正に悲願
第74期王将戦7番勝負第2局AI形勢判断藤井聡太王将に永瀬拓矢九段が挑戦する第74期王将戦七番勝負の第2局が、25、26の両日、京都市の伏見稲荷大社で指されます。藤井王将の連勝か、挑戦者がタイに持ち込むか、注目の一戦です。時間状況等9:002日目が始まりました。封じ手は予想外の56角でした。しかし、AIはこの手を悪手と判定。形勢は、後手寄りの互角に。9:40△74角角を会わせたこの手は、悪手という判定。12:30▲65桂△97歩成▲同
※登場する人物・団体名等は、架空のもので実在しません。「先輩、凛子さん、私のノートパソコンで少し説明してもいいですか?」「勿論、頼むよ。」水原は、ノートパソコンを起動させ、ソフトのメニュー画面を表示させた。「お二人とも見てください。これがメニュー画面です。『新規対局』『局面検討』の二つのボタンしかありません。『新規対局』ボタンは、コンピュータとの対局ができます。『局面検討』ボタンは、指定した局面をコンピュータが検討します。恐らく、お二人が頻繁に使うのは『局面検討』ボタンだと思い
※登場する人物・団体名等は、架空のもので実在しません。「先輩、やりましたね!自分のことのように嬉しいです。本当に感無量です。」そう言うと、水原は涙を拭った。「水原君、ありがとな。ずーと、心配してくれて。やっと、乗り越えることができたよ。」「先輩、お祝いの品になるか分かりませんが、用意してきました。」「えっ、なにかなあ。」水原は、バックからノートパソコンを取り出し、デスクトップのアイコンをクリックした。「先輩、これです。」「これは、将棋検討ソフト水蓮だよねえ?」「そうです。ま
華麗なる逆転劇~王将戦七番勝負第1局を振り返る第74期王将戦七番勝負は1月12日(日)・13日(月)に静岡県掛川市の「掛川城二の丸茶室」で開幕。対局の結果、相掛かりから劣勢の中盤戦をひっくり返した藤井王将が112手で勝利。防衛に向け好スタートを切りました。永瀬九段の研究が生きた序中盤振り駒が行われた開幕局、先手番を得た永瀬九段がいきなり研究手を繰り出しました。相掛かりに進んだ序盤戦でいきなり端歩を突っかけたのが意表を突く一手。手順にしたがって敵陣にと金の種をまいて主導権を握りまし