「さら/ば弓勢(ゆんぜい)の程(ほど)をもしらせまゐらすべし」とて、為朝(ためとも)は従者(ともびと)に持(もた)せたりし、弓矢(ゆみや)をとりて岳(おか)のほとりに歩(あゆ)み寄(よ)り給ふを見るに、弓(ゆみ)は鉄(くろがね)の枴(あふこ)を押(おし)たはめつるやうなれば、忠国(たゞくに)はさら也、人みな大に驚(おどろ)きて、「かゝる強弓(ごうきう)を引(ひか)んものは、いにしへにもたえて聞(きか)ず。まして後(のち)の世(よ)にはなほありがたかるべし」と称(たゝへ)て、いと頼(たの)もしくお