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1.事件の概要特許権侵害差止請求事件知財高判令和1年11月14日平成30(行ケ)10110,10112,10115号セレコックス特許を巡って先発対後発の特許係争(無効審判)が続いています。まずは「第1章」として、2019年(令和1年)の知財高裁判決を紹介します。特許庁では特許有効と判断されていましたが、知財高裁で一転したのです。時は2016年、関節リウマチや各種の痛みの治療剤である先発品セレコックス®(有効成分:セレコキシブ)の再審査期間は2015年1月25日に満了していましたが、
ブロックバスターのパテントクリフめがけて多数の後発メーカーが入り乱れた大型事件1.事件の概要無効審判・審決取消訴訟(令和2年(行ケ)10135)先発品(リリカ®カプセル)の再審査期間は2018年4月15日までであったが、その用途特許(特許3693258号、出願日1997年7月16日、延長5年)に対して再審査期間満了の1年3カ月程前(2017年1月16日)に、沢井製薬が無効審判を請求した。続いて、後発メーカー合計15社が次々とこの審判に参加した。2020年7月14日に無効審判の審決があ
先発の物質特許の無効化を図ったケースが知財高裁大合議事件に1.事件の概要無効審判・審決取消訴訟(平成28年(行ケ)10182、10184)先発品(クレストール®錠5mg、10mg)の再審査期間は2013年1月18日までであり、一方、先発の物質特許(特許2648897、出願日1992年5月28日、塩野義製薬)は、存続期間は5年延長され2017年5月28日まで有効であった。このような状況下、2014年2月4日にテバ製薬が、2015年3月31日に個人X(この当時、厳密にはこの日までは
(1)特許無効審判(特許法123条)特許無効審判(無効審判)とは、すでに登録されている特許に関して、特許性がない(無効理由がある)ことを主張して、特許庁において特許の有効性を争う手続きである。特許権を巡る紛争の解決を目的とする制度であり、平たく言うと特許を潰すための制度といえる。通常、無効審判は、侵害訴訟が提起された際にこれに対する対抗手段として利用されるが、先発対後発医薬品の係争では侵害訴訟の有無とは関係なく後発品参入の障壁となる先発特許をつぶす手段としても頻繁に利用される。先に述べた
高林客員教授企画の知財実務連続講演会第6回です。分割出願の基本的な事項をわかりやすく解説するとともに、実際の審決取消訴訟判決や侵害訴訟判決を取り上げて分割出願特有の問題点やその解決策について深く掘り下げる内容とのことです。2024年7月18日(木):高林客員教授企画の知財実務連続講演会第6回※オンライン開催【締切7/16(火)】知的財産センターのWEBサイトkenkyu.yamaguchi-u.ac.jp日時2024/7/18(木)16:20~17:50会場オンラインによる
韓国の審決取消訴訟では、拒絶決定不服審判、特許無効訴訟、権利範囲確認審判などの審決を対象としています。審決取消訴訟(特許、商標、意匠をすべて含む、以下同じ)について特許法院(日本の知的財産高等裁判所に対応)で発表した最近5年間の平均処理期間は以下のとおりです。判決年度2016年2017年2018年2019年2020年平均処理日数204日206日240日237日251日勝率に関して、2017年から2020年までの審決取消訴訟の特許法院での判決の統計は以下の通りで
毎日、アメーバブログに記事をアップロードするのが日課となっている。サイバーエージェントがユーザーに対して、無料でウェブログ運営管理用オンラインコンピュータプログラムを提供しているので、このようにブログ記事をインターネットに掲載することが可能となっている。それにしてもありがたいことである。サイバーエージェントに改めてお礼申し上げます。さて、今回は、「コンピュータプログラムの提供」という役務がトピックである。要するに、「コンピュータプログラムの提供」という役務、特に企業が事業として
時井真氏が執筆した「技術的貢献説の再生」という論考が日本工業所有権法学会年報第44号、2020に掲載されています。進歩性(日本工業所有権法学会年報)Amazon(アマゾン)4,070円この論考では、特許法は発明やその公開を奨励する制度であり、クレイム・ドラフティングのテクニックを奨励する制度でないと指摘しています。要するに、発明をしたというより、特許権を取得することを主目的にクレイム・ドラフティングのテクニックを駆使して、構成要件を追加したり、従来技術の表現を変更すること
最高裁第三小法廷、令和元年8月27日判決平成30(行ヒ)69、審決取消請求事件原審は、特許発明の進歩性の有無に関し、特許発明の効果が予測できない顕著な効果がないと判断した。これに対して、最高裁は、特許発明の進歩性の有無に関し、特許発明の効果が予測できない顕著な効果があると判断した。以下、最高裁判決から抜粋する。上記事実関係等によれば,本件他の各化合物は,本件化合物と同種の効果であるヒスタミン遊離抑制効果を有するものの,いずれも本件化合物とは構造の異なる化合物であ
知的財産高等裁判所は、令和3年8月31日に3件の互いに関連する審決取消訴訟について判決をした。事件番号と、対象となる特許は下記の通り令和2年(行ケ)第10004号、特許6274634号、無効令和2年(行ケ)第10056号、特許6043008号、無効でない令和2年(行ケ)第10132号、特許6275900号、無効でない
商標法4条1項8号の趣旨は、他人の人格権を保護するものと判示した最高裁平成16年6月8日判決を紹介いたします。本願商標は,「LEONARDKAHMOUT」というアルファベット大文字を横書きした商標であり、銀製アクセサリーのデザイナーの氏名でもある。本件出願時には,デザイナーの承諾を示す書面の提出はなかったが、本件出願後に手続補正書で承諾を示す書面を提出した。ところが、その後、同意書の撤回通知書を提出した。以下、判決から抜粋いたします。8号は,その括弧書以外の部分(
昨日、商標法4条1項8号について判断した最高裁判決を紹介したので、今回も引き続き商標法4条1項8号について判断した最高裁平成17年7月22日判決を紹介する。この最高裁判決は、商標法4条1項8号は人格的利益を保護する旨を明らかにした点に意義がある。今回は、「自由学園」と「国際自由学園」との争いである。「自由学園」が「国際自由学園」に対して商標登録無効審判を請求し、更に、審決取消訴訟に発展し、最高裁判決に至っている。商標法4条1項8号を適用するという観点では、「学校法人自由学
マツモトキヨシの音商標に関する知財高裁判決はマスコミ報道されましたが、その知財高裁判決は裁判所データベースに既に公表されています。そこで、この判決を紹介いたします知財高裁令和3年8月30日判決令和2年(行ケ)第10126号判決は音商標について下記のように記載しています。音商標は,人の聴覚によって認識される商標であり(商標法2条1項柱書),音商標について商標登録を受けようとする場合には,その旨を願書に記載し(同法5条2項4号),願書の「商標登録を受けようとする商標」欄に,文字若
テレビCMなどで使用する「マツモトキヨシ」のフレーズを音の商標として特許庁に出願したところ、特許庁が拒絶審決をしました。ちなみに、音の商標は平成26年法改正で商標法の保護対象に追加されました。ここで、「マツモトキヨシ」は人の氏名でもありますが、「マツモトキヨシ」という人は一人でなく、複数いるので、同姓同名の他人の承諾なしには商標登録をすることができない、という理由で拒絶されたのです。ご参考までに、商標法4条1項8号の規定の一部を抜粋いたします。他人の氏名若しくは・・・を含
ユニクロ、GUに導入されたセルフレジが特許訴訟に発展しています。IT企業「アステリスク」は、RFタグを使ったセルフレジの特許権者ですが、ユニクロなどを運営するファーストリテイリングは特許権を侵害すると主張して訴訟を提起しました。これに対して、ファーストリテイリングはアステリスクの特許は無効と主張して、特許庁に対して無効審判を請求しました。アステリスクはセルフレジについて複数の特許を取得しているのですが、ここでは特許第6469758号が問題となっています。この特許の発明の名
知財審決取消訴訟の理論と実務2,268円AmazonAmazon内容紹介弁理士、法務・特許関係者必携!元・知財高裁所長による「これまでにない」「新しい」解説書●特許・実用新案・意匠・商標に関する取消訴訟につき、訴訟当事者の立場からは見えにくい「訴訟運営」に焦点を当て、裁判所視点でのポイントを中心に理論的根拠と実務運用を解説。●行政事件訴訟法、民事訴訟法など手続法の視点と審決の先行手続となる根拠法が複雑に絡み合う実務を体系的に整理。●理解を助ける図解や参考とな
知財高判平成29年(ネ)第10086号「美肌ローラ」事件<鶴岡裁判長>無効審判を請求し、維持審決に対し審決取消訴訟を提起せずに確定させた被告は、(一審敗訴の)侵害訴訟判決の控訴審において、同一の事実及び証拠で無効の抗弁×。⇒侵害訴訟の被告は、無効審判を請求して維持審決となった場合には、必ず審決取消訴訟を提起する必要あり!!そうしないと、控訴審で無効の抗弁を主張できなくなってしまう。(判旨抜粋)「…無効理由1は,本件無効審判請求と同じく,乙24公報に記載の主引例と乙25~31
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