近江の小さな村に、静かにしかし力強く生きた一人の思想家がいました。江戸初期に生きた儒学者、中江藤樹です。武士でもなく、大名でもなく、派手な権力を持った人物でもありません。それでも彼の言葉は、三百年以上の時を超えて、今を生きる私たちの胸にまっすぐ届きます。「誠あるところ、道ひらく」この言葉は短く、静かです。しかしその奥には、人が一生をかけて向き合うほどの深い意味が込められています。真心があれば、困難な状況でも必ず道は開かれる。藤樹は、理屈よりもまず人としての在り方を大切にしました。どれほど知識があ