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「着いたぞ」ジュンペイの声に、裕太はあわてて目を転じる。さっきまでいたあの小さなホコラが、今、目の前に姿を見せている。「ここか…」リュウタが消えた、この場所…ここのどこかに、秘密が隠されているんだ…裕太は、ジュンペイの方を見る。ジュンペイは、ホコラの周りを歩き回り、それから中をのぞいている。「ほら、見ろよ」クルリと振り返ると、大きな声で、裕太を手招きする。「なに?」「ここだ」ジュンペイがのぞいているのは、少し扉が開いている木の箱の中だ。「えっ、勝手に開けてもいいの?」
何だか照れくさそうに、ジュンペイは裕太に向かって話す。何で、こんなことを言わせるんだ、とばかりに、ジュンペイは少しムッとした顔をする。「竜?もしかして、ジュンペイ…竜が見えたの?」思わず、裕太の声が大きくなる。「えっ?あんな大きなもの…嫌でも目に入るよ。それともあれは、竜じゃないのか?」ジュンペイが、あまりにも普通に話すので、裕太はあれ、と思う。むしろ、あれが当たり前のことなのか?自分がおかしいのか、とそんな気分に陥る。「それにあそこは…昔から、有名なんだぞ。竜の住む
「滅相も無い#7」の記事を…と思いながら頭の中はいまだ沖縄にあって…なかなか戻れそうにないもう少し「宝島」の世界にいたい…#8の岡本くんが登場するまで…もう少し宝の島に…というわけで前記事に続いてもう少し読書に浸ります1回読んだくらいじゃ「宝の島」から戻って来れん「そろそろほんとうに生きるときがきた」この言葉で始まり、そしてこの言葉で終わる…読んでみて改めて思ったね長いこと生きてきたけど沖縄のことを本当に何も知らなかったなと…ブッキーのコメ
ジュンペイはやけに素っ気ない態度で、立ち止まろうとはしない。「ねぇ~なんでそんなに、急いでいるの?」ついに裕太は、たまりかねて、大きな声を上げる。「何でって?」ようやくジュンペイは、ピタリと足を止める。「おまえ…本当に知らないのか?」呆れた顔をして言うので、(何か、おかしなことを言っただろうか?)裕太は急に、気になっていた。「どういうこと?」だけど残念ながら、知らないものは、どう頑張ったって知らないのだ。仕方なく、そう言い返すと「おまえさっきから、質問ばかりだな」ブ
「えっ?」まさか、あそこなのか?あそこは…リュウタが、消えたところだ。「ウソだろ」呆然とする裕太に、「ウソじゃない」ムスッとした口調で言い返すと、ジュンペイは再びクルリと背を向けて、猛然と歩き始める。「あそこ?あそこって…古びた木のホコラが、ある所だろ?」小走りで、ジュンペイを追いかけながら、声をかける。「なんだ、知っているのか?」またもクルリと、ジュンペイが振り向く。「詳しくは知らないけど…さっきまでいた」何とか話を聞きだそう…と、裕太はジュンペイに向かって、声を
「なんだ、これ」裕太がつぶやくのを目にすると、「ちょっと、貸して!」ジュンペイが、パッと引ったくる。「おい、落っことすなよ!」それは、ただの石ころじゃあないんだからな!ハラハラしながら、裕太はジュンペイを見守る。だがジュンペイは、そんな声など聞こえないようで…その丸いものを、手のひらに転がすようにして、「これに似たようなもの…どこかで見たぞぉ」ブツブツとそうつぶやくと、いきなりスタスタと歩きだした。「おい、何だよ」それは、大事なものなんだぞ!裕太はあわてて、ジュ
(もしかして…スカだったら、どうする?)グイグイと顔を近づけてくる、ジュンペイのことが、ちょっとうっとおしい。だが…確かにリュウタは、何かを握らせた。それは、間違いない。ちょっと固くて、小さなもの…御守りか?思い切って開いた手のひらに、小さくて、コロンとしたものが入っていた。「えっ?なんだ?」「まさか…石?」「え~っ」「緊張して、ソンしたなぁ」あ~あ!あからさまにジュンペイが、大きな声を出して、ソッポを向く。「なんだよぉ」ブスッとして、裕太は手のひらで、
(うわっ!このままだと…無理やり奪われてしまいそうだぞ)にじり寄って来るジュンペイを見て、さすがの裕太も観念する。「わかった、わかったよぉ。ちょっと、待って」もう一刻の猶予も、待てない…とばかりに、鼻先がくっつきそうなくらいにジュンペイが詰め寄る。あ~あ!裕太は、大きくため息をつく。仕方がないなぁ~ポソリとつぶやくと、クルリとジュンペイの方を振り向く。「だけど…見るだけだぞ。触るのは、なし。絶対だぞ!」ジュンペイの顏の前に、人差し指でピシッと指差すと、キッパリと言い
「なんだよ、おまえこそ…大丈夫か?」ヘンなヤツ…逆にうかがうようにして、彼はこちらを見ている。(なんだ?何も…知らないのか?)アイツは、どの辺から知らないのだ?まさか自分は、幻でも見た…というのか?裕太は自分の記憶に、自信をなくしそうになる。いや、そんなことはない…(だって、現に、自分はここに…)確かにそれが、真実だ…と証明するものを、持っているのだから。「ユウタ…おまえ、さっきから、何をゴチャゴチャ言っているんだ?」いぶかしげな顔つきで、ジュンペイは裕太をうかがう。
おはようございます🍀☆今日のメッセージ☆宝の島あなたは努力し、豊かさの信念に基づいて行動しました。そして突然、埋蔵された宝の地図を発見したのです。宝とはあなたの内にある限りない可能性のことです。大きなチャンスはすぐにわかる明白なものがありますが、分かりにくいものもあるのでタイミングを逃さないようにしてください。進むべき道の指針となるあなたの直感を信頼してください。あなたは豊かさに恵まれる段階に到達していて、これまでの努力は報われようとしています。この時期
「何だよぉ~ユウタぁ~もしかして、心配してくれていたのかぁ?」ジュンペイが面白がった調子で、ポンポンと裕太の肩をたたく。「そんなことは、ないよぉ~だけど、一人で帰るわけにはいかないだろ」わざと、フンとソッポを向く。「で、大丈夫だったのか?」それでもジュンペイに、確かめるように聞く。へへへ…何だか嬉しそうに、ジュンペイは裕太の肩に手を回す。「うん、気が付いたら、鳥居の所にいたんだ」特に戸惑った様子も見せず、あっさりとジュンペイが答える。「なぁ~洞窟にいたのは、覚
「へぇ~そうなんだ」そう言う割りには、その声の主はへへッと笑って、裕太のことを見ている。あれ?あの声は?フッと我に返り、裕太はクルリと振り返る。「よっ!」いつからそこにいるのだろう?裕太のすぐ側で、その探し人が立っていた。うそっ!裕太は数分、自分の頭のモヤモヤを、整理している。「よっ、じゃなくて、おまえ…なんで、そんなところにいるんだ?」何だか気まづいものを感じて、怒った声を出す。「何だって…おまえは、中々来てくれないし…さっきから、ブツブツ言っているし…
冷静になろう、もう一度、見てみるんだ。裕太はそぅっと、扉の中をのぞき込む。すると…決して大きくはない、その木の箱の中身は、ガランとしていて、特に変わったものが見られない。御神体らしき鏡と、お札のようなものがあるだけだ。えっ?「ウソだろう?」まさか!「消えた?」どういうこと?「そんなこと、あるのか?」一体、どんなトリックを使った、というのだ?「おーい、リュウタぁ」かくれんぼは、おしまいだ。裕太は、ことさら声を張り上げる。だが…期待する返事は、返ってこない。「やっ
リュウタが押し付けたものは、何なんだ?卵のようなものか、と思ったけれど、どうも違うようだ。てっきり、ドラゴンボールのような玉だと思って、ちょっとワクワクしていただけに、裕太はガッカリする。だが、裕太のそんな心の内を、気付く様子もなく、リュウタはさらに裕太の手に、グィッと押し付けてくる。(おい、何だ?)戸惑う裕太をよそに、『これは…きっと、君を導いてくれる、道しるべとなるだろう』やけに重々しい口調でそう言うと、クルリと再び、ホコラの奥を目指して、スルスルと身体をすべり込ませ
だがリュウタは、その声を無視して、その長い身体を奥までねじ込もうとしている。(いくらリュウタが子供の竜でも…それは、無茶だよ!)そのサイズだと、どう考えても無理だ。壊れてしまう!何としてでも、やめさせよう…と、裕太はリュウタの身体に触れる。『心配しなくても、大丈夫だ。ここは…あそこにつながる入り口なんだから…』そう言うと、スポン!とシッポの先まで、中にねじ込ませた。えっ!どこでもドアでもあるまいし…まさか本当に、入るなんて!おそるおそる、裕太は中をのぞき込む。
「この扉を?」それにしても、勝手に開けても、いいものだろうか?さすがに裕太は、気が引けている。例え古びてはいても、ホコラはホコラだ。そんなことをして、バチは当たらないものだろうか。まさか自分の家みたいに…気楽な気持ちで開けられるものではない。『大丈夫だ。これは…あそこにつながっている』押し殺した声で、リュウタは裕太に向かって話しかける。「えっ、そうなの?」まさか…何かが飛び出して来たり、たたられたりはしないよな?裕太はドキドキしながら、ゆっくりと扉に手を伸ばす。
(何があるというんだ?)裕太の目には、そこまでしていく価値があるとは、到底思えない。(ジュンペイは…どうしているのだろう?)裕太の頭には、そんな思いがかすめるけれど…リュウタが、どこへ向かっているのかが、気になっていた。なぜそこまで、急いでいるのかも。これが、ホコラ?今まで見た中で、一番小さいのかもしれない。よく見ないと、草に埋もれて、目に入らないだろうなぁ~裕太はひそかに、そう思う。(こんな所に来て、どうするつもりなんだ?)それでも裕太は、黙ってリュウタに付き添っ
「そんなことじゃないよ!リュウタも、ボクにとっては、大切な友達だ」何を言うんだ!裕太は悔しくて、頭がクラクラする。じぃっと裕太を見据えていたリュウタは、ため息をもらしているように見えた。『そうか、わかった。それなら…ちょっと私に付き合ってくれ…あのホコラの所まで…連れて行ってくれないか?』さっきまで、とがった声を出していたリュウタが、ようやく声のトーンを和らげる。「ほこら?」それは、どこにあるんだ?裕太は、キョロキョロと目を走らせる。こんな所に…何がある
「ねぇ~どこに行くの?」まさか、このまま…会えなくなるのじゃあないのか?裕太は、気が気ではない。『どこに行くもなにも…帰るだけだよ』乾いた声で、リュウタは笑うと、ただ同じことを、繰り返し言うだけだ。「ねぇ~もう、会えなくなるの?」それだけは、イヤだ…小さな子供のように、どうしても裕太は、あきらめきれない。『何を言っているんだ?キミはもう…ボクのことなど、必要じゃあないだろ』リンとした声で、裕太に向かって言い放つ。「そんなことは、ないよ…」ためらいがちに、裕太はリュウタ
痛々しいくらいに、リュウタは裕太に気を使っているように見える。(ボクのことなんて…心配しなくてもいいのに)そう思って、動けずにいると『こんなことをしていてもいいのか?こっちのことは気にせずに…友達のことを、探しに行きなさい』さぁ!裕太にさとすように、話しかける。「でも…」裕太はまだ、グズグズしている。(ジュンペイは…寝ているだけだけど、リュウタは今にも、死にそうじゃないか)リュウタは、ここまで連れて来てくれたのだ。放っておくことなんて、出来ないと裕太は思う。『
よく見ると、小さなホコラに、しおれた花を供えた形跡がある。『ここも昔は…たまに人がお参りに来たものだが、管理をする人がいなくなって…すっかり人通りが途絶えて、さびれてしまったんだ』もう覚えている人も、あまりいないだろうなぁ…まるで、見たことがあるような体で、リュウタは話す。「そうなんだぁ」じゃあ、じいちゃんは、知っているのだろうか?ふと裕太は、自分のじいちゃんのことを、頭に思い浮かべる。すると、裕太の頭の中を見透かしたように、『キミのおじいさんくらいだよ。何日かに一
よく知っている場所?それは、本当なのだろうか?のそのそと裕太は、もう少し開けた場所はないか…と、数歩、歩を進める。海はここからは、見えない。民家も、この場所からは、離れているようだ。山か?テクテクと歩いて行くと、石の階段が見えてくる。「あれ?ここは…」階段に近づくと、古びて壊れそうな、ほこららしきものが見えてきた。「えっ?神社?」…にしては、いつも見る神社とは、違うようだ。「ねぇ」クルリと振り返ると、竜は大きな石の所で、身体を休めているようだ。あの滝に
『どうした?心配なのか?』リュウタの穏やかな声が、裕太の耳に届く。「心配に決まっているじゃないか。本当は、あそこから出たら、いけなかったんじゃあないのか?」リュウタの疲弊ぶりは、異常だ。もしかして…自分のせいなのか?そう思いついたことに、裕太は自分で愕然とする。『あれぇ?本当に、心配してくれているのか?』リュウタは心持ち、声を弾ませる。「当たり前だろ?もしかして、リュウタは…外に出たら、いけないの?」うかつだった…その可能性を思いつかなかった自分に、ひどく後悔する
何しろ、時間がなかったからなぁ~言い訳のように、リュウタが答える。「時間?」そうか?何で、時間がなかったんだ?裕太には、今一つわからないけれど、それよりも…「この手前って、どこ?」リュウタに向かって、尋ねる。「すぐ近くだよ」リュウタは曖昧に、そうか耐えると…すぅ~っと、裕太から離れる。「悪いが…ボクはこれ以上、キミとは付き合えないんだよ」いきなりリュウタが、そう切り出す。「えっ?」それは、どういうこと?裕太はあわてて、リュウタの後を追いかける。リュウタの
ようやく外の明るさに、目が慣れてきたところで…裕太は、自分がどこにいるのか確認する。長い時間、暗い洞窟にいたせいか、まだボーッとしている。『大丈夫か?』心配そうな声が、裕太の頭に響く。「あっ、ユメ?」一瞬裕太は、自分が夢を見ているのか…と、錯覚する。『いや、ここは…君たちのよく知っている場所のはずだ』その言葉を受けて、裕太はゆっくりと、首を巡らせる。身体は、すっかり乾いていた。(さっきのあれは…なんだったのだろう?)ポーンと、上空に投げ出された、と思っていたのだが。裕太
(まずは、ここから生きて出て行くのだ。ジュンペイはきっと…外で待っている)そう信じることしか、裕太には出来なかった。『さぁ~大きいのが、また来るぞぉ』裕太の耳に、そのひと声が響くと…ザバーン!まるでスプラッシュマウンテンを、頭から突っ込んだみたいな勢いで、大量の水が頭上に降りそそいだ。ごぼぼぼぼぼ…たまらず裕太は、息が続かなくなる。「目を…あけてもいい?」ようやくかすれた声が出た。『あぁ~あと少しだ』何があと少しなのかは、わからない。答えにはならない返事が、返って
ビュービューと、風が裕太の頬を撫でる。気持ちいい…と、裕太は感じる。ブワッと、全身が持ち上げられるような感覚がして、ザァ~ッという水の音と共に、裕太の身体が投げ出される感覚があった。「うわぁっ!」テーマパークのアトラクションよりも、本物の方が数倍迫力があるぞ!裕太は腰を抜かしそうなくらい、驚く。さらに勢いよく滝の中に、ジャンプするように飛び込んでいるようだ…『いいか!絶対に、手を離すなよ』心なしか、リュウタの声が緊張しているようだ。「うん」頭から、ザバッと水をかぶ
「どんなところに、出るんだろう?」不安だけれど、それでもやっぱり裕太は、ワクワクする。海岸?それとも…山?ガケだったりして…小学校とか?あれこれと、頭にこの島の地図を思い浮かべる。『きっと…あまり人目のつかないところだろうなぁ』リュウタがそう言うので…確かに、それはそうだ…と、裕太は納得する。話をしている間にも、リュウタはこの木に沿って、まっすぐに上を目指して上がり続ける。(どれだけ、地下にもぐったんだろう?)グングンと、周りの色が明るくなっていく。それに気が
ラッパーJYUTYANの大冒険☆TOBECOMUGIKO
ははは…ばかだなぁ~リュウタが、耳ざわりな金属的な声で笑う。「ねぇ~どこに向かっているの?」だが裕太は、ここでひるまない。今度ははっきりと、リュウタに向かって声を上げる。『どこって…外だよ』呆れた声で、リュウタが言う。また、うまくごまかされるのか…と思いきや、案外まっとうな答えが返ってきた。「じゃあ…やっぱりこの先は、外につながっているの?」思わずぎゅうっと、裕太がリュウタにしがみつく。『そうだよ』そんなに興奮しなくても、ちゃんと連れて行くから…笑いの含んだ声が、裕