ブログ記事103件
好漢という言葉がいちばん似合う人だと思っています。鎮関西の一件も、金父娘がかわいそうだという純粋な義憤だけで、そもそも殺す気はなかったし。その後も、山賊に無理やり婿入りされて困ってる劉老人のために、その山賊を袋だたきにしたり(笑)と、いつも自分の私欲じゃなく、他人のために労を惜しまないところがカッコいいです。六十二斤の禅杖を振り上げて突進しています。「腰の闊(まわり)は十囲(かかえ)」な重量級の体が勢いよくはずんでいます。
役所が販売する塩を買わずに闇の塩を買う者は、軽くて板打ち四十の刑と罰金十両、重罪の場合は撲殺の刑であるとした。このおふれが出てから塩の値段はどんどん上がり、江州一帯の気の毒な人々は、何年何ヶ月もの長いあいだ、塩味のついたものを食べることができなかった。当時、蔡九知事の定めたきまりでは、大ます一杯の米でたった一升の塩としか交換できなかった。闇の塩を売る者は法にそむく犯罪者とされ、一斗以上の塩を売った者は棒打ちの刑、一石以上の場合は死刑となり、自分で塩を一斗以上つくると、闇の塩を一升売った
「雲長重ねて世に出ず」(関雲長がふたたびこの世にあらわれた第十三回)といわれるだけあって、ヒゲももちろんですが顔立ちも立派です。正面ではなく、斜め後ろから描いているので、美髯が風になびいて粋な風情です。
年号が宣和になってからこのかた、江州地方の漁師たちはひどい塩不足に苦しめられてきた。なぜそれほど塩が不足していたのか?それは蔡九という強欲な知事が江州に赴任してきたことが原因だった。卑しい根性の蔡九が江州にきてからは、いいことはひとつもなく、法は曲げられ、何かと口実をつけては税金がかけられ、人民は財産をかすめ取られることも少なくなかった。蔡九は懐を肥やすため職権を乱用して、みずから役所の塩の販売を取りしきった。そして、朝廷がさだめた法律とは別に自分勝手な規則をつくり、たとえ誰であろう
「鶻(はやぶさ)の眼、鷹の瞳、頭は虎に似、~背上には飛刀五把を蔵し」(第四十七回)の描写どおり、荒々しい目つきで飛刀を打ちこもうとしています。こちらでは「鵰」ではなく、「雕」の字になっています。
(登場人物の紹介)没遮攔穆弘天罡星、第二十四位の好漢。没遮攔・・「没」は否定形で、(~できない)、「遮」「攔」はどちらも(さえぎる、かくす)。「さえぎることができない」という意味のあだ名。第三十七回の紹介文には、「面は銀盆に似、身は玉に似たり」(顔は銀の皿のよう、全身は真珠のよう)とある。かなり美白な肌の持ち主らしい。(顔は銀の皿のよう)は、九紋竜の描写と同じなのに、こちらはあまり話題になっていない。登場回が遅いと印象が薄くなり損をする。(笑)「眼は細く眉は単(うす
そして三人は独房の入口に鍵をかけ、湯隆と親方をかつぎあげて塀の外へ連れ出した。荒れ寺にもどって、ようやく娘は父親と再会をはたし、まっさきに兄弟子の湯隆と言葉をかわした。こうして七人が宿屋に戻ったのは、もう五鼓の時に近いころだった。みんなは急いで荷物をまとめ、旅装をととのえると、馬を引き出して宿を発った。さいわいにも陽谷県の城門は長い年月のあいだに朽ち果て、塀もくずれ落ちていたので、番兵にうるさく質問されることもなく、うまく通り抜けることができた。城からほどよく離れたところで、
頭巾には大きな牡丹、ふかふか毛皮のロングコートと、大官人らしいリッチな衣装です。しかし手に持った急須はいったい何?マイボトルにしてはこぼれそうだし、急須の口から直接飲むとしたら、貴人のふるまいとしてはちょっとお下品な気が。(笑)
矢に指をかけて空を見上げる、若い将軍です。きりっとした眉と涼しい目もとは、原典の「歯白く唇紅く双眼俊なり」(第三十三回)の描写どおりです。
にこやかに挨拶しています。年かさなイメージで描かれることもある好漢ですが、ここでは黒いヒゲもつややかな壮年です。得物の鞭は、八稜銅鞭ではなく竹節虎眼です。ただの八角形の棒よりカッコいいので、剪紙や他の絵でも大体これで描かれています。北斗七星の文様の上衣は、「七星の旗動いて玄武揺れ」(第七十六回)のデザインです。
「武十回」という独立した物語の主役でもあり、活躍シーンも数えきれないほどある人気好漢、武松です。兄の仇を討って流罪になり、護送される途中で立ち寄った居酒屋で、一服盛られかけたので、わざと罠にかかったふりをする場面です。流刑人らしい全身グレーの地味な服、机に突っ伏した姿勢で、薄目をあけて背後の様子をうかがっています。(寄せ書き)孫二娘的麻薬不済事、穏贏的局面弄翻了自己。(孫二娘のしびれ薬は役に立たなかったので、確実な勝利の局面が自分に転がりこんできた)贏(ying
徐寧は、「急いで一緒に来るんだ」と、娘に声をかけると、彼女の腕を引いて、忍びこんだ塀の下まで戻った。そして人並みはずれた力で、娘を小脇に抱えたまま塀を乗り越え、監獄から脱出した。こうして、徐寧と娘は荒れ寺に戻ってきた。子分のひとり李虎を彼女の護衛につけて、この場所で待たせ、残りの三人は湯隆たちを助けるため、再度出かけていった。高い塀を乗り越え、牢の大門のそばに近づくと、大門には見張りもなく、鍵もかかっておらず、独房の方から、だれかが話している声だけが聞こえてきた。「あのふ
足を大きく踏み出し、狼牙棒で一撃を加えようとする瞬間です。鎧の裾からは毛皮らしきフサフサが見えているし、足首まであるブーツを履いています。寒冷地仕様でしょうか。林教頭の装備とは少し違うところがまた面白いです。
原典ではだいぶ陰惨な殺人場面ですが、黄画伯のユーモラスな画風もあって、笑い顔の宋江といい、ふにゃっとした婆惜といい、あまり怖くはありません。(寄せ書き)宋江不能不殺、閻婆惜非死不可、張文遠何在?宋江は殺さないわけにはいかなかったし、閻婆惜は死を避けることができなかったが、そのとき張文遠はどこにいたんだ?やっぱり黄画伯は張文遠が嫌いみたいです。
娘は目を怒らせてふたりをにらんでいたが、口を固く閉じ、まったくしゃべらなかった。徐寧は、彼女こそ鍛冶屋の娘にまちがいないと思い、部屋の戸を蹴りやぶって中に飛び込んだ。そして、ふたりの女の目の前にぎらぎら光る鋼の刃を突きつけたので、女たちは驚きのあまり腰を抜かし、声も出せなかった。かれが、縛られている娘に「あなたが肖栄さんだね?」と問いかけると、娘は、「そうです、わたしが肖栄です。でも、あなたは誰?」とたずね返してきたので、「わたしは湯隆の従弟で徐寧という者だ。あなたを助けるために
林冲の絵といえば、手槍にヒョウタンを吊るした姿が多いのですが、李雲中画伯は、鎧兜の戦装束で蛇矛を持った姿を描いています。鋭い目つきに角ばったヒゲ、たしかに張飛っぽい感じもします。
新年明けましておめでとうございます。2025年初ブログは、ラスカルラーメンの水滸伝カードでスタートです。手元にある75枚の好漢カードですが、とりあえず天罡星は全員いました。ラスト36人目は、盧俊義の忠実な部下で、イケメン万能人のあの人物です。浪子燕青天罡・・天巧星職位・・歩軍頭領兼諜報隊長武器・・飛燕弩必殺技・・燕道流鵓鵠旋、奪命扑、蝴蝶隠、飛燕啄喉射「鵓鵠旋」は、泰山の奉納試合で任原を倒した技の名前(第七十四回)、「啄喉射」は、董・薛を射殺したときの弩(
後ろの棟はどうやら看守たちの住居らしく、その周囲は灯もなく真っ暗だったが、西北側の角の部屋だけは、かすかな光がもれていた。徐寧はたやすく後ろの建物に忍び入り、すぐに灯のついている場所へ向かった。部屋の障子紙をつき破って穴をあけ、そっと室内をのぞいてみると、ひとりの若い娘が縄で手足を縛られ、床に座らされているのが見えた。そのそばには二人の中年女がいて、娘を問い詰めていた。「あんたはただ首を縦に振ればいいんだ。まだ分からないのかい」「若様はね、あんたが言うことを聞くなら、あ
三国志の関羽の嫡流の子孫で、宣賛にも、「祖先の雲長(関羽)にそっくり」(第六十三回)と、言われています。先祖ゆずりの青竜偃月刀を小脇に持ち、長いひげをしごいています。
こうして徐寧は、下見を終えて宿に戻ると、仲間と一緒に、牢破りの計画をさらに細かく練り直した。三日目の夜中、四人はしっかりと身ごしらえして出かけた。牢獄の近くにある荒れ寺に着くと、徐寧は呂方たち三人に、しばらくこの場で待つようにと頼んだ。まず自分がひとりで行って、先に鍛冶屋の娘を助けることにしたのである。徐寧は「金鎗将」と誉めそやされ、戦場での武功はあえて語る必要もないほど名高い豪傑であり、その身の機敏さも誰にも引けを取らないほどだったので、ほんのひと蹴りで、監獄を
35枚目は、登州で猟師をしていた兄弟の、「兄より気性がはげしい」と言われている弟のほうです。天罡・・天哭星職位・・歩軍頭領武器・・解家流蝎尾叉、銀蝎針必殺技・・两蝎擺尾刺、銀蝎千舞擺・・(振る、揺り動かす)の意。サソリが尾を揺らしながら刺す、というイメージでしょう。(人物略歴)登州で代々猟師をしている家の生まれで、解珍の弟である。ここから先の説明は、兄の解宝とまったく同じという手抜きの文章でした。最後だけは、梁山では第三十五番目の席次に就いた。
虎の毛皮の敷物に腰かけ、鎧と鳳凰柄の上衣を身につけています。抜身の剣を持った姿は、さすが元北京の大富豪らしい貫禄があります。これでもう少し人を見る目があれば、文句なしだったのに。(笑)
次の日、徐寧は酒や食べ物を持って牢屋へ行った。独房の看守にわいろの銀子を取られることは避けられなかったが、そのおかげで、やっと湯隆に会うことができた。湯隆は、棒打ちの罰のせいで、全身傷だらけのひどいありさまだったが、徐寧に自分の師匠を引き合わせ、紹介した。「この方が肖先生だ。それと、先生には肖栄という娘さんがいるんだが、彼女だけは、どこか他の場所に連れていかれてしまったんだ」徐寧は、こっそりとふたりに耳打ちした。「わたしと友人たちが、あんたたちをここから助け出す
34枚目は、ややこしい人間関係で読者を悩ませる(笑)、猟師兄弟の兄です。天罡・・天暴星職位・・歩軍頭領武器・・解家流双蛇鐺、金蛇弓必殺技・・双蛇吐焔刺、金蛇万道「両」と「双」、ふたつの表記が使われていますが、特に大きな違いはないようです。双蛇「鐺」・・日本語だと(こじり・・刀の鞘の飾り)ですが、中国語では(鉄の鎖)です。鉄の鎖をヘビのようにあやつる技かも。(人物略歴)登州で、代々猟師を生業とする家に育った。解宝の兄である。生まれつき勇猛な性格で、山を越え峰
銅錬を後ろ手に持ち、なにやら話しかけている様子、雷横と劉唐のわたりあいに割って入る場面(第十四回)でしょうか。風にそよぐ袖、手には孔明扇、ひと癖ありげな流し目は、まさに智多星です。
江州に流罪になり、旅の途上で多くの好漢と知り合い、皆に助けられて、なんとか腰をすえたものの、またもや、舌禍事件ならぬ筆禍事件を起こしてしまう場面です。赤ら顔で腕まくりしながら、威勢よく書いています。(添え書き)凡事酒醒才清楚明白。(すべてのことは酔いがさめてからようやくはっきり分かってくるものだ)凡事・・万事、すべてのこと清楚・・明瞭である、はっきりする日本語の「清楚」は、(清らかで飾り気のないさま)なので、だいぶ意味が違っていて面白いです。
徐寧は老道士に別れを告げると、宿屋に戻り、自分ひとりの力で湯隆たちを救い出せないかといろいろ考えてみたが、どの方法もうまくいきそうになかった。誰か手助けしてくれる仲間を急いで探そう、そう考えたとき、徐寧は親しい友である呂方のことを思い出した。呂方は潭州出身で、もとは生薬の原料の商いをしていたが、元手をうしない、身を持ちくずして山東に流れつき、いまは無影山の山賊となっており、人々からは「小温侯」と呼ばれている男だった。ここ陽谷県から無影山までは三百里足らずの道のり
こめかみに刺青があるので、江州に流刑になった後です。頭巾にはリーダーの目印である羽飾り、梁山に入り、晁蓋の次の地位に就いたあたりかと。小太りな体形も原典の描写どおり、飾り気のない無地の着物も、元小役人らしくていい感じです。
33枚目は、楊雄の義弟で、兄貴のためなら人殺しもいとわない、(たしかに好漢はこういう性格の人間が多いけど、かれの場合は少し意味深な感じで、そこがまたいい。笑)拼命三郎石秀です。天罡・・天慧星職位・・歩軍頭領兼游撃菅指揮武器・・七彩雁翎刀必殺技・・被麻斬、夜戦八方「慧」・・(聡明で賢い)の意。兄貴の舅にたのまれた肉屋をすぐ閉めようとしたり、やってきた和尚の態度だけでぴんときたり、たしかに機転がきくし、頭の回転も早い。宿星のまんまです。「游撃」・・日本語
「その弟子の名前をご存じですか」「姓は湯、名は隆です。あの方々は、よくこの寺に来ては、暇つぶしに世間話などしておったので、わしもかれらも、お互いによく知っております」徐寧は、やっと従弟の湯隆の行方をつきとめたことを喜びながらも、ことのなりゆきに不安をいだき、さらにたずねた。「役所は、かれらを捕らえてどうするつもりなのでしょう」「役人たちは、梁山の手先として悪事をおかした罪だと言い立て、鍛冶屋の親方と弟子の湯隆どのを捕まえると、皮がやぶれ肉がほころびるほど打ちすえ、大