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夜天の祖父母が通された部屋でくつろいでいた、そんな時だった。☆★避暑地へ☆★ドアがノックされて、大「失礼いたします。」そんな言葉とともに、大気が現れた。祖父「みつ。」祖母「みっちゃん。」2人とも、大気が現れたことに、ほっとした。大気はにこやかに大「そろそろ、お風呂のご用意をいたしましょうか。」そう聞いてきた。祖母「待って。」夜天の祖母は口をはさんだ。一瞬、夜天の祖母はためらうそぶりを見せたのだが、祖母「みっちゃん、お夕食のときのことなんだけど。」そう話を切り出
夜天の祖母の洗練された所作。うさぎはぼーっと、それを眺めていた。☆★夜天家が忘れていたもの☆★夜「うさぎ、うさぎ。」夜天が、うさぎがぼーっとしているのを不思議に思い、声をかけてみた。う「あ、夜天さん・・・。」うさぎはそう答えるのが精いっぱいだったのだが・・・。夜「口元。デミグラスソースがついてるよ。」夜天は、自分の口元に指をあてた。う「え?」うさぎはあわあわと、慌てた。夜天の祖母の前でちゃんとしておきたかったのに・・・。祖母「うさぎさん。」夜天の祖母は穏やかにほ
う「で・・・デート?」スリーライツのマンションでうさぎの声が響いた。☆★初デートは波乱含み?!☆★大「ええ。」大気はにっこりとした。夜天も、だいぶ体調も安定し、もうすぐ学校復帰もできるのではないかという。だから、大気は夜天が学校に復帰したら、それなりに忙しくなるかもしれないし、今のうちにデートでも、と勧めてきたのだ。その話を聞き、うさぎは赤面した。夜天とデート・・・。そういえば、つきあう前に版画の課題のために美術館に行ったし、その後、うさぎがソフトボールでけがをし
夜天の寝室。夜天はベッドの上で上半身を起こしながら、ルナを抱いていた。☆★生まれたあこがれ☆★うさぎがルナを連れて温泉旅行に行ってしまったので、夜天がルナと一緒にいられるのは3日ぶりだった。ルナがにゃおんとなくと、夜天も夜「ふふ、ルナ。」そんな風に呼びかけながら、笑顔を見せていた。大気はうさぎもルナもいないお屋敷で夜天がさんざん暇を持て余した(といっても、余暇の時間を仕事の充てていただけだったが)のを知っていたので、夜天の気のすむようにさせていた。夜「ねえ。」ふ
旅館の畳の上、うさぎはごろんと寝っ転がっていたが、育「うさぎ、だらだらしないの。」母の育子のあきれたような声が響いた。☆★乗り越えていこう☆★夏休みに入って、最初の数日間はレイが勉強を見ていたが、今日からうさぎは家族と2泊3日で温泉に来ていた。ルナは夜天家に置いていくか、連れていくかで、少しもめたのだが、最終的には育子も久しぶりにルナとスキンシップしたかったので、結局ルナも一緒に温泉に来ていた。育「ほら、パパと進悟も温泉に行ったから、ママたちも行きましょう。」
夜天くん、会いたい。あたしは必至で廊下を駆け出していた。☆★一緒に歩こう☆★おだんごが見えなくなってから、ふうと、1つ息を吐いた。大「まったく、どこまでお人好しなんですか?」そんな声が後ろから聞こえた。星「大気か。」おれが発したその声を合図に、大気が廊下の陰から現れた。*****星「尾行なんて、いい趣味してるな。」星野が皮肉を言うが、わたしは意に介さなかった。星野の好きな言葉は「清廉潔白」。良くも悪くもまっすぐな性格の星野なだけに、この結果は予測できた、ともい
うさぎはため息をついていた。そこへレ「うさぎさま!さぼらないでくださいませ!」レイの厳しい声が飛んできた。☆★今は考えたくない☆★事の起こりは、みちるのコンサートの数日後、大気がうさぎに聞いた質問がきっかけだった。大「そういえば、うさぎさんの学校は夏休みはいつからですか?」大気のその質問に対して、う「あー、えーっと・・・。」うさぎは学校からもらってきたプリントを見なければ、と思っていたのだが・・・。大「ご家族でご旅行にでもいかれるご予定があれば、と思ったのですけれ
ごめんね、せーや・・・。ごめんね、大気さん・・・。そして、ごめんね、夜天くん・・・。☆★偽物両想い☆★やっぱり火野と夜天のところにいくか、おれはそう決心をつけて、歩き出そうとしたとき、大「星野?」大気に声をかけられた。傍らにはおだんごがいた。星「ああ、大気・・・。おだんごと一緒に演劇部の公演みにいってたんだよな。」おれはそういって取り繕おうとした。しかし・・・、大「星野?なにかあったんですか?」大気はそう聞いてきた。正直言って鋭いとしか言いようがない。しかし、
ほどなくして、レイと美奈子がうさぎの部屋にやってきた。☆★まもなく夏☆★こんこん。ノックとともに、レイと美奈子が顔をだした。美「おっはよー、うさぎちゃん。」レ「おはようございます。うさぎさま。」対照的な美奈子とレイのあいさつ。レイはクローゼットを開き、レ「さて、うさぎさま、本日は何をお召しになりますか?」そう聞いてきた。うさぎがどうこたえるか、決めかねていると、美「そういえば、うさぎちゃん、もう顔洗ったの?」美奈子からそう聞かれた。その言葉に、うさぎはまだ顔を洗っ
せーやなら、きっと好きになれる。そう、きっと。☆★偽りの恋人☆★星「おれと付き合ってくれるって・・・、本当なのか、おだんご?」おれはすぐには信じられなかった。う「うん。」おだんごは心なしかうつむいて答えた。星「わかった。」おれはおだんごの決心を無下にすることもできなかった。でも・・・、おだんごをめぐる、大気との争いに勝ったというのに、なぜだか、全然うれしくない。星「これから、よろしくな、おだんご。」そうはいったものの、おれにはある疑問が渦巻いていた。本当は夜天の
夜に咲く天上の光地球から旅立つ夜天とルナのやり取りを見て、アルテミスはルナの心の中にはまだ夜天がいるのだと確信して落ち込んでしまった。「まぁまぁアルテミス!元気だしてよ?」「美奈は他人事だなぁ…」「そりゃあ他人事よ?」「美奈もアイツが好きだったんだろ?」「そんな時代もあったわねぇ~…」「おばさんか?はぁー…どうしてこう僕の周りの大切な人はみんなアイツに心持ってかれるんだろう?僕と何が違うだ!」「やっぱり猫だからかしらね?後は白くて存在感無くてドジだから?」「コテンパンだな…アイ
夜天くんおめでとう(*´꒳`*)
恥ずかしさにため息をついたうさぎだが、それでも、次の関門は、容赦なく迫ってくる。☆★住む世界☆★渡「おぼっちゃま、どうもありがとうございます。」運転手の渡辺さんが、夜天にお礼を言っていた。うさぎは、よくわかっていなかったが、大気がささやいた。大「通常は、運転手さんはこういう場に同席しないものなんです。でも、渡辺さんはとても音楽のお好きな方ですし、夜天さまはお小さいころから、渡辺さんにはかわいがっていただきましたしね。ですので、極力こういう場には渡辺さんを同席させているので
スリーライツ、3人の思いが交錯し続ける。そしてうさぎの思いも・・・。☆★ごめんね、せーや☆★なんとなく、おれはアメフト部の練習に出る気になれず、今日は部活に出るかどうか、考えていた。教室でBGM係のみんなと打ち合わせをした後だった。そういえば、おだんごと夜天は背景係だったな・・・、そう考えると、胸が痛む。前々からおだんごが夜天と、一緒に過ごす時間が多かった気がする。納得できない気持ちが自分の中にあるのをおれは認めざるを得なかった。*****大「みなさん、ありがとうご
コンサート会場に向かって走り出している車。夜天家に来た時と同じ、うさぎの決意と不安をのせて走り出している。☆★恥ずかしさの嵐☆★レ「うさぎさま、肩に力が入っています。」レイが横から声をかけてきた。う「えっ?」うさぎは驚いた。聞き違いなのかと思った。いつも厳しいレイからの気遣いの言葉。大「ああ、そうかもしれないですね。」大気が助手席から後ろをみながら、微笑んだ。大「うさぎさん、大丈夫です。深呼吸してください。はい、吸って・・・、はいて・・・、そうです。」大気の
突然降りだした雨・・・。その波紋は・・・。☆★まだ気が付かない・・・☆★星「あー、まいった。」おれは手近な屋根のあるところまで走ってきた。足のケガもだいぶ良くなったので、おれはアメフト部の練習に復帰していたが、そのとき、突然の雨。それでも、おだんごの作ってくれたプロミスリングがかなり濡れてしまった。よく見たら少しほつれていた。前は、こんなにほつれていたかな?なんだか、嫌な予感がする。雨の音がかなり不穏な予感を掻き立てていた。*****大「夜天、月野さん、どうした
ダイニングのテーブルに運ばれてきた料理。下僕たちが給仕を始めた。☆★もうやるしかない☆★今日のメニューはハヤシライス。前日の夜からアヤさんが煮込んでいたのだという。大気はうさぎにささやきかけた。大「夜天さまの所作をまねしてください。」うさぎは夜天が食べるところを見ていた。夜天はお皿への手の添え方もとても絵になる。亜「うさぎさん。」亜美が声をかけた。亜「お皿にはそっと手を添えるくらいでいいわ。あと、音を立てないようにして・・・。」などと、うさぎに教えてくれる。亜「大
3人のためのプロミスリング。それぞれの心に波紋を広げていく・・・?☆★最後の自制心☆★星「プロミスリングか。」おれはベッドに横になりながら、おだんごからもらったプロミスリングをながめていた。ゆがんだ形。木野に見てもらいながらおだんごが一生懸命、編んでいる姿を想像して、正直言って、こんなのも悪くないな、と思えてきた。*****わたしは月野さんからもらったプロミスリングを腕につけてみた。よく見ると、網目がガタガタ。月野さんが不器用ながらも一生懸命編んでいたのだろう
星「大気、おつかれ。」星野は控室に入ってきた大気をそんなことばでねぎらった。☆★最初の友人☆★大「ああ、星野。おつかれさまです。」大気は星野に、そう答える。大気は、控室の椅子に座ると、備え付けのパソコンで入力を始めた。これは、夜天の健康管理のため、食事の内容や水分をとった時間や量、そして夜天に飲ませた薬の種類・量・時間などきっちりと記録しているのだ。下半身の感覚がまひしていて、尿意や便意の感じられない夜天は、時間を決めてお手洗いにいくことになっている。したがっ
4人の中の気持ちの変化、それは、波紋を広げてゆく・・・。☆★プロミスリング☆★先「SHR始めるぞー。」先生がやってきたので、おれたちは席に着いた。「起立、礼。」今日の日直が号令をかけたので、とりあえず、みんなと一緒に礼をした。座ってから、隣のおだんごのほうをちらりと見た。さっきの光景が頭をよぎり、胸がチリチリと痛む。夜天のほうも見たかったが、席が離れているので、さすがにそれは難しかった。先「・・・や。星野。」先生の呼ぶ声におれははっとした。星「はい!」急に立ち
大気は続けていった。大「うさぎさん、わたしたちはうさぎさんにかけている教育などのコストは投資としてとらえています。ですので、それなりのリターンは期待していますので、よろしくお願いいたします。」☆★よい夢を☆★う「リターン・・・。」うさぎがとまどいながら、ことばを発した、その時・・・。大気はくすりと笑った。大「まあ、あまり難しく考えなくて大丈夫ですよ。夜天さまに恥ずかしい思いをさせない、そのことだけ意識していただければ。」大気の言うことには、考える前に行動するのでは
好きだよ、夜天くん。誰よりも、大好き。☆★視線の変化☆★医「大丈夫、何日か安静にしていれば、すぐに治るでしょう。」医者は笑顔でそう言った。たぶん、おれを安心させるためなのだろう。医「ちゃんとしたトレーニングが普段からできているから、けがをしにくい体作りができているんでしょう。」言われてみれば、その通りなのだろう。こればかりは、大気に感謝、かな。大気は研究熱心な性分のせいか、効果的なトレーニングの仕方とか、いろいろ組み合わせて、トレーニングメニューを作ってくれていたの
う(あー、目がさえちゃった・・・。)うさぎは階段を下りてキッチンへといった。☆★決定デビューの日☆★うさぎは冷蔵庫を開け、ミネラルウォーターを取り出して、一口飲んだ。その時だった。育「うさぎ?」う「ひゃあっ!」だしぬけに母の育子から声をかけられたので、うさぎは変な叫び声をあげてしまった。うさぎは恐る恐る、後ろを振り返った。う「あ・・・、ママ・・・。」そうして、うさぎはちょっとほっとした。う「どしたの?」育「どうしたのって・・・、お手洗いに起きたら、うさぎが階
「クラス対抗スウェーデンリレー、選手の変更をお知らせいたします。2年1組第4走者、星野光くんに代わりまして、夜天光くん、星野光くんに代わりまして、夜天光くんが走ります。」☆★やっとわかったよ☆★保健室のベッドに横になりながら、おれはそのアナウンスをやるせない気持ちで聞いていた。体育祭はスポーツが得意なおれがおだんごにアピールできる絶好のチャンスとなるはずだった。もちろん、大気だって同じようにおだんごにアピールしたいと思っているはずだったろう。でも、正直言って頭の良い大気
育「うさぎ。お風呂に入っちゃいなさい。」母の育子の声が響いた。☆★ドキドキする夢☆★う「はーい。」うさぎはその声にこたえた。うさぎはふっとルナに目を止めた。ルナを抱き上げ、そっとルナの香りをかぐ。ルナからはほのかにキンモクセイの香りがした。夜天が好んでいる香りの1つだ。実は、うさぎは先日大気から聞いていた。夜天の使用しているシャンプーやボディソープは夜天グループの化粧品会社、夜天コスメに発注し、作成してもらった特注品だということを。泡立ち、使用感、香りなど、夜天のた
夜天のことばかり、気にするおだんご。おれはどうしたらいいんだ?夜天のことばかり、気にする月野さん。わたしはどうしたらいいんですか?☆★波乱の体育祭☆★この日、おれは午後の授業に出る気にならず、さぼってしまった。そもそも、アイドルなんてやっているから出席日数が足りなくなるから、極力授業にでるように、と口酸っぱくいっている大気におこられるかな。そんなことを考えながら、屋上の給水タンクのあたりでうたた寝をしていた。いったいどれくらい時間がたったのか。下のほうから、話し声が
大気とともに、夜天の病室に戻ってきたうさぎ。先ほど大気に言われたことを思い返したが、気合?を入れなおして、夜天に笑顔で向き合った。☆★意識しあう気持ち☆★大気たちが夜天の様子をうかがいながら、といっていたので、うさぎは大気の助言を受けながら、うさぎは話をするペースをコントロールしていった。うさぎは今日の話は夜天の気に入るのだろうか、そこのところがちょっと気になった。うさぎが話し終わった最後にも夜「うん、ありがと、うさぎ。」夜天のことばは少しだった。そのまま大気に促され
大「うさぎさん、悲しまないでください。」しんみりした雰囲気を振り払うかのように、大気は言った。☆★もっと知りたい☆★大「わたしたちは、このおうちに仕えることに誇りを持っているのです。だから・・・、大丈夫です。」美奈子もレイも、大気の言葉にうなずいていた。それでも、うさぎはぽろぽろと涙を流していた。大気はうさぎの目の前にしゃがみこんだ。そして、うさぎの頭を撫でた。大「うさぎさんはお優しいですね。」大気の優しい声。大「うさぎさんのお優しい気持ちは、とてもわかりました。ど
夜「うう・・・ん・・・。」夜天は目を覚ました。☆★縮める距離☆★夜天はだるい体を起こし、遮光カーテンを開けた。日の光がさんさんと輝いていた。夜天は1つ、ふう、とため息をつくと、目覚ましにシャワーを浴びに行った。シャワーを浴びて、半乾きの髪の状態で、ダイニングへ行くと、テーブルの上に大気の置手紙があった。『おはようございます。冷蔵庫の中に昨日の残りのトマト煮込みがあります。おなかがすいたら適当に温めて食べてください。』夜天はその置手紙をめんどくさそうにひらりと投げた。
大「どうぞ。」大気に促され、うさぎは中に入った。☆★かなわない恋☆★大気が電気をつけた。うさぎは通された部屋がリビングだと気が付いた。大気の髪の毛の色のようなブラウンを中心にまとめられていた部屋だった。大「そこへお座りください。」大気はうさぎにそういうと、大「レイさん、美奈子さんにわたしたちが戻ってきたと連絡してください。」レイにそう指示した。レイは言われた通り、美奈子に電話を入れる。レ「ええ、わかったわ。」そう言って電話を切ったレイは、レ「大気さん、美奈、これ