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新潮社2015年11月発行193頁先に逝った人への哀悼に満ちた短編小説集「砂浜に坐り込んだ船」「苦麻の村」「上と下に腕を伸ばして鉛直に連なった猿たち」「大聖堂」「夢の中の夢の中の、」「イスファハーンの魔神」「監獄のバラード」「マウント・ボラダイルへの飛翔」今は死者となったかつての親友、東日本大震災で祖母を喪った少年、続く原発事故で故郷に戻れなくなった老人他に、死後の世界で出会った早世した姪、父の今わの際に見た不可思議な現象、現実社会に生きる男性が見る夢と、さらに
堀江敏幸さんの『バン・マリーへの手紙』『バン・マリーへの手紙』と目にすればバン・マリーとは名前で、その人に宛てた手紙なのかと思ってしまいそうですが、“バン・マリー”とはフランス語で“湯煎”、あるいは“湯煎をする鍋”を意味する言葉なのだそうです。24の随筆のはじめ、「牛乳は嚙んで飲むものである」にそれは記されていてそれは、堀江さんの幼稚園時代の思い出。冬に先生が石油ストーヴの上で“湯煎”してあたためてくれた小さな牛乳瓶
以前長らく仕事で書いてきた文章では、行動や考えを物理的に誤解のないように、形容詞/節や副詞/説をやたらと使って対象を限定していました。言葉を費やせば費やすほど対象は限定され、そこからこぼれ落ちる、つまり対象からはずれるものが増える、不思議な感覚でした。その反動か、仕事を離れて読む文章は、逆に言葉では定義しきれない、感情・感覚・状況・思いを言葉で表そうとする小説や随筆の、書き手=送り手と読み手=受け手の理解のズレが生じるところに、創造と想像がぶつかって生まれる可能性が拓けている
コロナ禍で突然にあらゆるイベントが中止せざるを得なくなったのが2020年4月頃。それまで言霊を授かりにちょくちょく出かけていた小説家たちの講演会もプツリと開催されなくなり気づけば4年近くが経過していました。先日、不定期だけど迷わない内に開催されていた講演会がようやく再開となり、4年半ぶりに代官山の本の森に伺ってきました。登壇される方、出版社の方、会場に熱を抱いて集まった方々きっと皆さん互いを詳しく知らなくても、4年半前にも空間を共有した人たちではないかしら。野見山暁治さん
2019年11月のブログです*堀江敏幸さんの『なずな』(2014・集英社文庫)を読みました。堀江さんの小説は、今年の夏、北海道にいる時にたくさん読みましたが、この小説はなぜか読みそびれていました(堀江さん、ごめんなさい)。なずなちゃん。生後2か月。お母さんとお父さんのよんどころのないご事情から、なんと、お父さんのお兄さんである四十路独身のおじさん男子の主人公が一時的に預かることになります。預かるったって、生後2か月の赤ちゃん、そのお世話はたいへんです。じーじ
きのうより寒い日でした。これから長野は最低気温が1桁予報、それも1℃とかあるので寒さ対策しないとです。今夜はちらり暖房つけました。みなさま。毎度ご訪問ありがとうございます読後図書の感想がたまっています。『熊の敷石』作者:堀江敏幸さんおフランス文学のかただからおフランス滞在の経験が生かされていると思われます。変わったタイトルはおフランスのことわざ的な意味があります。
姉の歌の教室の発表会に行ってきた。ソロでは、余裕の感じられる歌声で、とてもよかった。コーラスの選曲も良かったし。長く続けている趣味があるのはいいなと思う。そういえば、私達姉妹がまだ赤ちゃんだった頃、姉の泣き声が大きくてよく響き、遠くの家まで聞こえると言われたそう。三つ子の魂百まで、というやつかしら。自分の個性を伸ばして楽しめるのは素敵なことね。姉に送った花束。微妙な色味を喜んでくれた身体のことをメモすると。10月はとにかく、週2でジムのヨ
やった、やーったーとうとう、超激辛数独11を全問解いた超激辛数独11『超激辛数独12』では、4本の井桁に悩んだが、『11』では、4本の井桁もビビらず使えるようになった特にラストの91問目は、様々なテクニックを要する盤面が次々現れる、華やかな問題だったなー(という印象)でも割りとスルスルと解けて、実力がついたというか慣れたというか、我ながら成長を感じたのである(そこまで言う?)まあ、我が脳内のささやかなドラマではあるそして、もちろん、今年6
52篇の世界観#架空書店231014③🔗中継地にて回送電車Ⅵ堀江敏幸中継地にて回送電車6(単行本)[堀江敏幸]楽天市場2,530円#予約受付中#新刊#本#予約#読書垢#架空書店の本棚#231023on#中継地にて#回送電車#堀江敏幸#中央公論新社気分よく生きるための私的解釈Amazon(アマゾン)${EVENT_LABEL_01_TEXT}【架空書店本店】https://kakuushoten.com/➡️【New✨】
文春文庫2022年3月第1刷207頁色のない世界から色のある世界へ色と記憶をめぐる、記憶や風景に抱かれたシーンを繊細に描き出した18編表題作「オールドレンズの神のもとで」は砂丘を舞台にしたモノクロ写真で知られる写真家・植田正治氏の作品に想を得たもの、とのこと植田氏は福山雅治さんが師匠と仰ぐ写真家、という程度の知識しかありませんでしたが、本書を読んで作品を見たくなりました回顧展のようなものがあったら嬉しいな日常のささやかな出来事が堀江さんの手にかかるとキラキラ
久々、頭痛が出る前っぽくて、凹み。大波乱大格闘して一応収束も不安はあるけれど前向きに。お騒がせしました。m(__)m台風来襲ということで昨日のランチはマルハニチロのビビンバ丼→石焼風にしたら美味。夕飯、インスタントパッタイ→野菜たっぷり、冷凍シーフード加えて。つまりはサボり、w読書。堀江敏幸氏の『その姿の消し方』→難解とも云える文章だけど居眠りしながら、(-_-;)雑な読みでも゙好みかなと。クスクスだとか出て来て食べたいなあと。日本人の主人公風変り。仏で
2019年秋のブログです*堀江敏幸さんの『雪沼とその周辺』(2008・新潮文庫)を読みました。夏休みに東川町にいる時に、なんとなく堀江さんの世界にはまってしまい、ずいぶん小説やエッセイを読んでしまったのですが、今もその余韻が続いていて、またまた読んでしまいました。特別大きな出来事もなく、ドラマチックでもなく、淡々とした日常が綴られるのですが、きれいな映像を見ているかのように、気持ちが落ちつきます。懐かしさ、のんびり、おっとりとした世界、なんとなく心が澄んでくるような
帰国してちょうど1週間が経ちました。早くまたタイのチェンマイに戻りたい気持ちです、そしてバンコクにも🇹🇭日本はあまり居心地が良くない💦それは歳をとったから、数年前までのようにアグレッシブに行動するのが億劫になったからということもある。ダラダラするには日本は向いていない、バンコクやチェンマイなどの安いゲストハウスに滞在して、あちこち動き回るのは全く億劫ではない。ともかく、今日も未開の地(笑)である妹の部屋の拭き掃除と整理を少しやったが、汗びっしょり💦先日、業者さんに依頼したハウスクリー
郊外へ(白水Uブックス―エッセイの小径)1995年の堀江敏幸のデビュー作『郊外へ』は、雑誌「ふらんす」に毎月、一年間連載された文章を集めたもので、日本人留学生がパリ郊外のあちこちで経験する小さな物語の中に、その場所に関係する人物であったり作品であったり、が語られる。第一話『レミントン・ポータブル』他に登場するドアノーの写真集を見てみた。パリ郊外ドアノー写真集(4)ポートレイトドアノー写真集(3)
日本は激暑が続いていますね、13日に帰国だけどこちらタイより暑いなんてね〜😓台風の進路もおかしいね、気象兵器を使ってるんでしょうhttps://news.yahoo.co.jp/pickup/6471370台風離れた所でも大雨の可能性-Yahoo!ニュース台風6号は、あす6日(日)にかけて、沖縄や奄美にかなり接近する見込みです。大荒れの天気になるため、暴風や高波・高潮、土砂災害や低い土地の浸水・河川の増水や氾濫に厳重に警戒してください。news.yahoo.co.jp知らんけど😏
「自分の場所に戻ってきた時に、同じところに機器があって同じようにスイッチが押せる、いつもと同じ音で鳴っている。そういうことが結構大事なことなんですね、僕の場合は」(堀江敏幸「毎日の暮らし、毎日の音」「SWITCHVOL36」スイッチ・パブリッシング)
ビル・ナイの映画を、もっと見たいな、と探してアマプラで見た映画。マイ・ブックショップ(字幕版)イギリスの海辺の田舎町で、可愛らしい未亡人が素敵な本屋さんを始める大人のメルヘン?かと思ったら、とんでもない。他人の悪意や社会の冷たさと戦う過酷な映画だった・・・お店や、本や、ファッションがお洒落で美しく、うっとり。登場する本も、たまらないキャステイングが素晴しい。『SHESAIDシー・セッドその名を暴け』で素敵な上司だったパトリ
書簡形式で綴られたこの本はこう始まる。❝まぶたをずっと、閉じたままでいることに決めたのです。❞深い霧に包まれた湖の水面をそっとすべるような音のないやりとりだけが続いていく。私は2人の世界を幽かに覗き見ることしかできない。誰にも邪魔できぬように、大袈裟なくらいの静かな世界が作り上げられてしまっているからだ。強い疎外感を与えられるが、それでも目はもう離せなくなってしまっていた。「今でも愛している」私はその一言が聞きたいだ
2019年夏のブログです*またまた堀江敏幸さんの小説を読んでしまいました。ゆったりと時が流れるさまが心地よくて、旅先でのんびりしているせいもあってか、すっかりはまってしまいました。今回は『いつか王子駅で』(2006・新潮文庫)。こちらもなんだか懐かしい感じのするいい小説です。あらすじはあえて書きませんし、たいして大きな事件が起こるわけでもないのですが、日常のささいなできごとをていねいに描きます。少しだけユーモラスな感じも…。文章がいいです。ほっこりし
2019年夏のブログです*堀江敏幸さんの『未見坂』(2011・新潮文庫)を読みました。この本も旭川の本屋さんで見つけました。2011年の本に今ころ気づいて読みましたが、とてもよかったです。堀江さんの本は以前、『雪沼とその周辺』(2008・新潮文庫)を読んだことがあって、内容は(当然!)忘れてしまいましたが、その静かで落ちついた雰囲気が強く印象に残っていて、今回、読むことにしました。やはり、静かで落ちついた小説で、時間がゆっくりと流れています。内容は結構、シリ
今日から3月。暖かくて、気持ちがいい。やっと春、という気分である。昨日は眼科に行って、左目の後発白内障の処置をしてきた。後発白内障は、白内障手術の後、水晶体嚢が濁ってしまう病気である。濁りを、レーザーで砕く処置をする。再発は無い。右目は去年の11月に発症し、治療を済ませている。昨日は帰宅後も目薬の影響で左目が大きく見開いていて顔の片側だけ若返ったようでもあり、妙な眼力が宿ったようでもあり、ちょっと怖かった先週、次女と下北沢に出かけた。
河岸忘日抄(新潮文庫)/堀江敏幸日本での生活を清算してヨーロッパのある国にやってきた男は、地元で暮らす老人と知り合って住む場所の提供を受けることになったが、そこは広い川の河岸に係留された一艘の船だった。船内には、生活に必要な家財一式と数百枚のレコード、それにジャンルを問わないが自分の好みに合った本が整然と収められていた。男は必要に応じて町に出掛ける以外は、淹れたてのコーヒーを飲みながら船のデッキで読書をし、定期的に訪れる郵便配達人と語り合う日々を過ごしながら、日々思うことを独
あとは切手を、一枚貼るだけ小川洋子堀江敏幸◆◆◆昨日、大きな決断をしました。まぶたをずっと閉じたままでいることに決めたのです。◆◆◆この物語は、こんな文章から始まります。これだけで、なんだか読みたくなってしまう不思議な始まりでした。◆◆◆◆ある2人が書簡のやりとりを通してイメージや思想を共有していく様を読み解いていった。すると、言葉そのものが伝えているものよりも深いものが立ち上がってきた。言葉を受け止めた相手が何を思い浮かべたのかを想像する世界は
黒電話使ったことある?▼本日限定!ブログスタンプあなたもスタンプをGETしよう今日は【電話創業の日】だそうです。黒電話使ったことある?あります!あります!子どもの頃自宅にありました。お仕事お休みでした。午前中はHDDレコーダーの整理して歯医者さんに行きました。温存していた歯の根が思っていた以上に劣化していて抜歯することになりました。麻酔注射の針が歯茎にぐいっと刺さったときは「あがっ」と声にならない声が出ました。脆くなっていて扱いづらい歯の根が完全に抜き取られるま
小説を読んでいると、文章には直接細かに描写されていなくても、一場面の映像が浮かんだり、登場人物の声が聞こえてきたり、食べ物の香りが立ち上ってきたり、味が想像できたりしてきます。五感を刺激されながら内面の心理的なものとはまた別に物理的な現実感が募ります。とくに短篇ではこと細かに記述されているわけではないので、こうした物理的な現実感は、行間やその場面の背景を読み手が想像して埋めあわせる愉しみを支えてくれます。そうしたなかで、もっとも遅れて私に届くのが触感です。手触りの感触や温度などの肌を通
昨日からの続きです。私は、調子がいいと読んでいる物語から物語へと自由に心を飛ばすことができるタイプです。それも読書の好きたところ。読めば読むほど、自由になれるもの。そう、つまり、一文字しか字が書けない象のエピソードが語られるのはこの物語です。二人の作家による往復書簡の形をとる物語です。あとは切手を、一枚貼るだけ(中公文庫お51-7)Amazon(アマゾン)239〜2,332円『あとは切手を、一枚貼るだけ』小川洋子・堀江敏幸著ネタバレするから、読む予定が
今日はこれを読もうと心に決めて(中略)たっぷり時間を用意して手にした本であれ、やるべきことがほかにいくつもあるなかでふと魔が差したように開いてしまった本であれ、頁を繰っているあいだ日々の雑事を完全に忘れていたという忘我の感覚は、読後、ながく胸に残る。(堀江敏幸「アイロンと朝の詩人」中公文庫)
ぽいと捨ててあたらしいものを買うより、使い慣れたものを手持ちの道具と材料で「取り繕う」こと。たしかにそれは一時的なごまかしにすぎないだろうけれど、日々を送るということは、精神面もふくめて、そうしたささやかな「取り繕い」の反復なのではないだろうか。(堀江敏幸「日々を取り繕う」中公文庫)
新しい自我「ふつう」を見いだす闘い対談と随想堀江敏幸+大竹昭子わずか80ページという薄い本でありながら読み応えがあり、何度も読み返しました。堀江敏幸さんと大竹昭子さんという2人の作家の対談をまとめたもので堀江さんの3編の詩と随想も収められています。堀江さんが故郷や子どもの頃の話言葉や生きる姿勢などについて語っているのですが、それらをその場限りにするのはもったいないということで本にしたのだとか。周囲とのずれが生じようとも自分にとっての「ふつう」であろうとする。それ