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74(最終話).身も心も4月第2日曜日、午後4時。啓子さんの叔母さんの家。ゲストルーム。(実は啓子さん以外使った事がない)ぼくらは、窓から、景色を眺めていた。空、海、砂浜、松林……すべてが、光輝いていた。すべてが、いとおしかった。ぼくらは、「身も心も」、結ばれた。すでに、心は、固く結ばれていた。「身」の方が、さっき、やっと……。実は、ベッドでも、試行錯誤連発。ナント、2度も外に暴発の大失敗!「
73.決断啓子さん、なぜか、ずっと沈黙。やはり、父親の呉駅待ち伏せが心配?が、普通に考えて、可能性は低そう。怪物は、母親の家出先、実家に電話。母親が今夜帰らない事を知ったはず。啓子さんも家出、今夜帰らない事も。母親に、一人で泊まると、約束せず。ぼくと、広島のホテルにでも泊まる。怪物とて、そう推測せざるをえまい。逆に、帰ると信じるなら家で待つはず。そもそも、どこで1日デートか不明。当然、どういうルートで帰るかも。呉駅待ち伏
72.クセ者同志ぼくらの前の座席。あのオバサン以降、誰も座らず。通路を隔てて、隣の乗客。みなさん、完全熟睡状態。「大学卒業まで、後、2年ですね。卒業後は、どうするんですか?」「う~ん、それなんだよね。夢やビジョンを語れるといいんだけど。今現在、まだ、白紙状態。入学の時は、一応、考えてたけど……」「どう、考えてたんですか?」「一応、大学院進学を考えてた」「え、そうだったんですね!そんなに、勉強がお好きだ
71.のろけ100杯呉行電車がホームに入って来た。車両は、日曜に多い、4人座りタイプ。広島発なので、無事、並んで座れた。問題は、ぼくらの前の座席。当然、誰にも座ってほしくない。が、荷物・足でのブロックはできず。啓子さんに、にらまれるので。出発が近づき、乗客が徐々に増加。空席のまま出発できるか、微妙に。同年代数人、ぼくらの前の空席発見。が、みんな、なぜか、座ろうとせず。2人の手つなぎ密着姿を見て、遠慮?が、オバサン
70.電話連絡呉行JR電車の待ち時間。啓子さん、S医院へ電話。やはり、カコちゃんが出たよう。なにやら、楽しそうに話してる。予定通り、S医院に泊まるよう。啓子さん、ぼくを手招き。「カコちゃんが話したいって」ロクな話では、なさそう。「電話代わった、何?」「もし、も~し。五十嵐さんの彼氏さんですか~?」「はい、そうですが、何か?」「あ~、図々しい。何で、アタシに秘密にしてたのよ?」「事情は、啓子
69.家出バッグ「呉駅に荷物を預けてあるの」「え、荷物?」「旅行用の大きなキャリーバック。実は、中は、家出用品が、いっぱい。デートに邪魔と思い、預けたの。」「そうだったんだ!」今朝、啓子さんと呉駅で会った時。いつもよりも、バッグが小さかった。逃走のため、身軽にしたのかと。靴も、スニーカーだったりしたので。「お泊り用品は持ってきてないな。日帰りデートの予定なのかな?」そんな事も、思ったりしたのだ。大きな、家
68.清純じゃないお好み焼き屋を出る時。ユミが、わざわざ外までお見送り。ぼくに、耳打ちを。「初夜、ガンバレ!」何を言ってるんだか。「初夜」は、違うだろ。結婚して最初の夜の意味。「初体験、ガンバレ!」ならわかるけど。それに、今となっては虚しい励まし。別々に泊まると、決定済みなので。ユミは啓子さんにも、何やら耳打ち。啓子さん、笑顔で、耳打ち返しを。2人、抱き合い、別れを惜しんでる。そこへ、新たなグループ
67.駄々っ子「その質問に答える前に……しげしさんの話を聞き、思った事。それを、言っていいですか?」「え、あ、もちろん。気を使わず、何でも言って。」「私、とても、うれしい。私達が、仲良くなった事を、『幸せ過ぎ・あり得ない幸運』と、しげしさんに思ってもらえて。本当に、ありがとう。もちろん、私も、同じ気持ち。でも、しげしさんと違う点が。私、不安は感じてないの。」「そうなんだ?」「あり得ない幸運に恵まれた。その
66.今夜、結ばれたい「仮に、啓子さん一人で泊まる場合。どこのホテルに泊まるか決めてる?内側からロックできない部屋は危険。外から開かない鍵が付いてないと。」「あ、ホテルとかは考えてないの。ホテルに一人で泊まるの怖くて。実は、S医院に泊まろうと思ってて。」「あ、なるほど、その手があったか。Sに泊まれば、遅刻の心配がない。宿泊費も節約できる。」「電話した時、平井さんに聞いたの。今夜の泊まり、カコちゃんなのね。カコちゃんと一緒なら寂しくな
65.まるで姉妹バスを降り、隣のSデパートへ移動。10階が食堂街、多種多様な店が。が、どこも満席、空席待ちの列が。4月の第1日曜を甘く見てたよう。「待つの大好き、大丈夫」と、啓子さん的には問題なし。が、ぼくは、並んで待つのが大嫌い。食事しながら話すには人も多過ぎ。食事しながら、泊まる件を相談。簡単な事に思えたのだが……。「どこか他の店へ行こう」と、いくつか、候補店を提示。啓子さんに選んでもらう事に。お好み焼き屋T
64.一緒に眠る広島に戻るバスの車内。みなさん、散策で疲れたご様子。バス乗車後、すぐ熟睡の人多し。出発の時刻が来た。運転手が、エンジン始動。「帰りたくない」啓子さんが、泣きそうな声で。「え、降りて、ここに泊まる?明日、遅刻になるけど、大丈夫?」「あ、遅刻はできない。ごめんなさい、ばかなこと言って。」「あ、いや、ぼくも、帰りたくない。でも、また、すぐ、一緒に来れるよ。次は、二段滝や猿飛も見に行こう。秋だと、紅葉とかもきれい
63.お母様「今夜、ぼくとは一緒に泊まらない。その約束で逃がしてもらったの?」「あ、そんな約束はしてません。『最終的には2人で話して決めます。2人はもう大人、心配しないで。』そう、母には、ハッキリ言ったの。」すばらしい!啓子さんに、大拍手。「だったら、全然、問題ないよ。一緒に広島のホテルに泊まろう。啓子さんを一人にはできないよ。ウチの母親は気にしなくていい。」「気にしないとか、無理です。私、お母様のファンだもの
62.大ショック(注意)現在、JR線は廃止になっています三段峡駅前到着。帰りは、バスで広島バスセンターへ。電車の方が車窓からの景色が良い。が、電車はもう最終が1本のみ。待ち時間長く、広島到着も遅くなる。バス出発まで、まだ30分ほどある。2人で土産物屋の食事エリアに。名物「とちもち」を食べることに。広島到着後、どうするのか。今、ここで、話す必要がある。門限前帰宅なら時間に余裕なし。到着後すぐ、呉行バス乗り換え必
61.叔母さんっ子三段峡駅までの帰り道。叔母さんの話で盛り上がった。「私、叔母さんっ子なの」と、啓子さん。子どもの頃、母親が厳しかった。自分の事を「啓子」などと言うと、「もう小学生、『私』と言いなさい!」と、口をつねられたとのこと。畳部屋は正座以外の座り方禁止。足を叩かれ、正座1時間の刑に。とにかく、しつけが厳しスギ。母親を敬遠するようになった。父親は、当時は優しかったとの事。が、仕事が忙しく
60.三段滝にて三段滝。豪快に水しぶきをあげる姿。まさに圧巻!彼方の青空、周囲の新緑。水しぶきが、美しく映え。が、もっと、感動したもの。それは、やはり、水面の美しさ。絶え間なく、激しく打ち続ける水。絶え間なく、広がり続ける波紋。水が濁っても、おかしくなさそう。が、すべてを優しく包み込む力。いつのまにか、澄みきらせる力。そんな不思議な力が水面に……?そんな、美しい水面のような人。今、まさに、ぼくの隣
59.黒淵キス啓子さん、何にでも、素直に感動。電車が三段峡に接近。車窓から、川が見えてきた時。「すごい、川の底が見えてる!こんなに高い所から!水が怖いほど澄んでる!」三段峡駅に降り立った時。「すごい、たくさんのお店!ずっと、何の建物もなかったのに。あ、お土産物屋さんの中に食堂が!あ~、お2階が旅館になってる!」などという事にまで、一つ一つ感動。そんな啓子さんに、心の底から感動!駅から歩くこと
58.ほっこり広島駅到着。電車乗り換え待ち時間を利用。ホームの公衆電話で平井さんに報告。平井さん、メチャクチャ喜んでくれた。「1日デートって、24時間って事?」「ぼくは、そう希望してますけど。どうなるかは、啓子さん次第です。」「ふ~ん、『啓子さん次第』?まだ、『啓子次第』ではないんだ?」「あ、呼び捨てにしてとは言われてて。でも、ぼくが呼び捨てにしたくなくて。好きなだけでなく、尊敬してるので。」「出た、K
57.ヤキモチ焼きぼくらの乗った電車が、呉駅を出発。これで、一安心。いかに怪物とて、もはや手遅れ。あの邪悪な男にでも捜索を指示?が、あの男が探す場所はお見通し。ぼくの日頃の行動範囲に違いない。広島駅、大学、紙屋町、八丁堀?が、ぼくらは、はるか遠い三段峡!残念だったな!というか、ヤツラの事は忘れよう。せっかくのいい気分がだいなし。8時7分発の電車、平日は超満員。だが、今日は日曜なので空席が多い。4人座りの席に、
56.真に美しい人啓子さん、発見!駅売店電話のすぐ横に。待合室で、座ってればいいのに。「動かず待ってて」と言ったから?何時から、待っていた?何時頃、逃げ出した?ぼくは、改めて、周辺をチェック。怪物、あの男の姿なし。急いで、啓子さんの方へ。啓子さん、ぼくを発見。すごい勢いで突進してきた。体当たり喰らわす気?そう思ったほど。ぼくに、しがみつく。そのまま、号泣。もちろん、周囲は人だらけ。い
55.早朝電話翌朝、母に、たたき起こされた。お子様にあらず。いつもは、目覚まし時計で起きる。「ナニ、ナニ、何事!?」「電話よ。五十嵐さんとおっしゃる方。」「え!?」「安心しなさい。怖くない方の五十嵐さん。」さすが母上、わかってらっしゃる。「『早朝、本当に申し訳ありません』って泣き声で謝って。『だいじょうぶ、もう起きてます』そう言っといた、早く出なさい。」「了解!」電話へ突進。「はい、
54.命がけ家に帰った。「どうだった?」と、母が心配そうに聞いてきた。「探してた人がみつかった。自治会長に聞いて正解だった。ありがとう。」と、母に礼を。いつもは、母に礼など言わない。親子で、そんな水臭い事などできず。が、今日は、なぜかそうしてしまった。これが、大失敗?日頃、礼など言わぬ息子が礼を。異常さを感じ取った?「ちょっとここに座りなさい」と、ナント、説教が始まった。中学の「暴力事件
53.そんな日が?2階、海側バルコニーに移動。快晴、はるか遠くまで見渡せる。まず、ぼくが、謎だった事を質問。「なぜわかったんですか?ぼくが、ここに来る事が。」「自治会長さんから電話が」なるほど、そういうことか。自治会長、家から出掛ける時。「服を着替える」と別室へ。あの時、叔母さんに電話を。今思えば、服とかは変化なし。訪問前の電話は社会常識?が、ぼくらに、黙って電話とは!さすが、老獪、自治会長。
52.叔母さん「初めまして、啓子の叔母です。しげしさんですよね。ごめんなさい。行き違いになってしまいました。啓ちゃん、昨日の朝まではいたの。急に兄が、私に言わず、どこかに……」「そうなんですか」何となくそんな予感が。怪物に、こちらの動きを読まれた?「でも、信じられませんよね。どうぞ、あがってお調べになって。遠慮とか、いりませんのよ。S医院の方々もそうされたとか。」嘘は言ってない。啓子さんは、もう、ここにいな
51.さらなる怪物?「家は海のすぐそばのはずですが」ユミが、ぼくの脇腹を指でつつく。「よけいなことを言うな」の意味?が、自治会長様は、笑いながら、「実は、この先も海なんですよ。地元の人は、『裏K』と呼んでます。行くには、歩いて丘を越すしかない。夏でも、いるのはアベックぐらい。家も、一軒しかありません。そこが、お探しのお宅ですよ。」そんなわかりにくい所にあったとは。自治会長様に聞く作戦は大正解?丘を
50.救出作戦翌朝10時頃。「K海水浴場前」に到着。バスを降りたのは、ぼくら3人のみ。シーズンオフの海水浴場。見渡す限り、みごとに、人影なし。売店は、すべて板を打たれ閉鎖。看板だけの荒れた駐車場が並ぶ。ある意味「強者どもの夢の跡」?叔母の現在の苗字、名前は不明。手がかりは「旧姓五十嵐」のみ。正確な年齢も不明。一応、40代と推定。父親の妹、当然父親より年下。が、父親の年齢を聞いてない。ぼくが見た感じでは5
49.決断翌朝、平井さんから電話が。「お母さんから電話があった。『月曜には仕事に行かせる』そう父親が約束したって。『騒がず、月曜まで待て』要するに、そう言いたいよう。K君の予想通りだったみたい。『どうするか皆で相談する』と、一応、言っておいた。でも、月曜を待つしかなさそう。」「五十嵐さんの居場所は?」「やはり父親が教えないって。でも、叔母さんの家じゃないかって。電話で話してるの聞いたみたい。でも、連
48.後門の平井「K君、まさかないよね、二股とか」「え、お母さんがそんな話を?」「ほら、また、質問を質問で返す。悪い癖。先に、質問に答えて、質問なさい。返答次第で、K君は敵になる事も。」「待ってください、今すぐ、答えます。二股とかは絶対にないです。その類の情報はすべて大嘘なんで。」「本当に、本当ね?お母さん、誤解してるよ。K君が複数の女性と付き合ってる。証拠の写真まで見せられたって。五十嵐さんもいっ
47.行方不明その夜、平井さんから電話。「結論から言う。五十嵐さん、行方不明。」「行方不明!?」「そう、家中探すも、発見できず」「探したんですか、家の中を?」「結果的にはそういうことに。最初、お母さん出てらして、『娘は、風邪をひいたようです。今、部屋で眠っています。寝入ったばかりですので。風邪をうつすと大変ですし。』って、やはり会わせてくれなくて。」「なるほど」「話の筋は、一
46.監禁!?電話の約束は12時30分過ぎ。5分、10分と過ぎていく。何かあったのでは?30分が過ぎた。全く想定外。あの啓子さん。約束より30分以上遅れる。ありえない。もう、電話はかからないのでは?が、啓子さんが約束を破る?今まで一度もない事態に。気になるのは、ユミのあの言葉。「信じてる、あの人に限り絶対ない。そう思ってても、写真を目の前に。どんな信念の人でも動揺するわよ。」啓子さん、年上な
45.証拠写真「ハイ、モシモシ!」「ナニヨ、すごい勢いね」「なんだ、ユミか」「ワタクシで申し訳ございません。彼女からのお電話をお待ちでしたか?」「いや、そういうわけじゃないけど。なんだよ、こんな夜遅くに。」「夕方、一度電話したのよ。誰も出なかったから。今バイト終わって、帰ったとこ。明日でもいいかと思ったけど。なんか気になっちゃって。」「というと?」「その前に、聞きたいことが。アンタ、例の彼女