『誰も守ってくれない』は、現代社会が抱える根深く陰湿な問題を鋭く抉り出した、重厚な社会派サスペンス。全体として、その完成度は極めて高い。公開当時、少年犯罪における加害者家族へのバッシング、メディアスクラム、そして匿名のインターネット社会が引き起こす私的制裁の是非といった時宜を得たテーマを真正面から捉え、観客に倫理的な問いを突きつけることに成功している。物語の展開は、冒頭の事件発生から、事態が急速に悪化していく過程、そして主人公である刑事・勝浦が葛藤しながらも真実と正義を追い求める姿を、緊迫感あふ