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十年前の店がそのままそこにあった。(中略)卓子も椅子も酒壜の並び方も変っていない。この店に来た時の季節が同じ夏だったから日光がそこに差し込んで来る具合も同じで、今と昔の間に流れた十年の月日が無駄になったのではなくとも、兎に角どこかに消えてなくなった感じがする。(吉田健一「ロンドンの飲み屋」中公文庫)
喫茶店にはコーヒーを飲みに、レストランには食事をしにという風に、何か目的が付き纏うが、ビヤホールでビールを飲むというのは必ずしも目的にならず、主に暇人が来る所という考えが今日でも残っているから、他人に気兼ねしないですむ。(吉田健一「逃げる話」中公文庫)
何事によらず、オワコン化した制度・現象などを、「昭和感漂う」といったことばで揶揄う風潮があり、わたしはひそかに歯軋りしているのだ。昭和…そりゃ、みんな呑んだくれのヘビースモーカーたちが闊歩、男は育児に参加せず、コスパもタイパもわるく、人権意識全般、いちじるしく低調であった。ま、戦後生まれの70代、60代が叩かれるのは、いたしかたないかもしれない。が、戦後復興〜高度成長を築いたのは明治・大正・昭和前半生まれなのだ。明治23年生まれの父方の祖父は滋賀県から上京、関東大震災と1945年5月
文庫本にはまた文庫本固有の魅力というものがある。(中略)厚く重い本が有難いわけではなく薄さや軽さの魅力もある。私の書架には数十年来何度も読み返した挙げ句、よれよれになってしまった『本当のような話』や『東京の昔』がまだ残っており、折に触れ繰り返しページを繰りつづけるだろう。(松浦寿輝「解説」中公文庫)
飲んでいる限り、温度にも、湿度にも変化がない。それだから幾らでも飲めて、いつまで続けても同じである。そしてその状態に飽きることもない。だから、酒を飲んでいれば、春なのである。尤も、秋でも、冬でも構わないが、それを春と言うのが何となく一番当たっているような気がする。(吉田健一「春の酒」中公文庫)
「生ビールはいつも五、六杯は召し上がっていました。ただお話に夢中になって生温かくなっちゃうと(中略)新しいのを注文する。お帰りの頃にはグデングデンなんですが表で例のカン高い大きな声で『オオィ、タァクシィー』ってお呼びになる。通りの人が振り向いたものです」(鈴木一郎「吉田健一と「ランチョン」」平凡社)
本は読むものといふ観念からすれば(中略)どうでもよささうなものであるが、本はその他に手に取つて見たり、本棚に並べたりするものであって、それならばそれで又、本を楽む方法がある。本が本棚に並んでゐる様子は如何にも静かな感じがするものである。(吉田健一「本棚に並んだ本」中公文庫)
はせ川は今もあるが三十間堀はもうなくて、春さんにぶつ切りの蛸を頼むような仲秋名月も銀座で見ることは稀になった。昔はよかったのではなくて実に簡単に過ぎ去ったのである。(吉田健一「飲む場所」中公文庫)
一般に酒の肴であることになっているものを酒抜きで熱い御飯と一緒に食べると直ぐに解ることで、例えば烏賊の黒づくり、筋子や蟹などの塩辛、各種の漬けもの、それからこのわたに至るまで御飯さえよく炊けていて熱ければ、それに添えてこんなに旨いものがあるだろうかと思う。(吉田健一「酒、肴、酒」中公文庫)
本当に美しいものを前にした時、我々は先ず目を伏せるものである。酒にもそれに似た所があって、水に近いまで冴え返ったその正体がやがて味や匂いなどに分れて行き、それをゆっくり楽もうと思えば、ゆっくりする他ない。(吉田健一「酒と人生」中公文庫)
鰻の蒲焼きが食べたくて仕方がなくなっている。(中略)どんなものでもいいという訳には行かないが、とにかく、鰻の蒲焼きらしい味がするものならば何でもいい。注文を付けるならば、あの昔の赤や青の模様がある大きな丼に入った鰻丼だったらばと思うと、どことなく夢心地に誘われる。(吉田健一「二日酔い」光文社文庫)
昔の東京のおでん屋で飲むのは楽しいものだった。(中略)食べたくなれば、豆腐の一つも頼んで、別に懐と相談する程のこともなかったから、夜は長々と更けて行った。金をかけずに豊かな気持になれたので、第一、豊かな気持になるのに金をかけなければならないというのが間違っている。(吉田健一「おでん屋」光文社文庫)
酒については、酒が教えてくれる―吉田健一先週【銀座クラブ由美】では、『由美クリスマスパーティ』を開催しましたが、↓↓↓『降誕祭ちかしとおもふ青の夜曇りしめらひ雪ふりいづる【クラブ由美クリスマス】&【すし処きたむら】!』降誕祭ちかしとおもふ青の夜曇りしめらひ雪ふりいづる―大野誠夫******************銀座の街がきらきらと煌びやかなイルミネー…ameblo.jp“四日目”の夕餉は贔屓の【南蛮銀圓亭GINEN-TEI
「吉田健一さんがね、金沢にお酒を飲みにいく。すると東京随一のうまいもの好きが来たというんで、美味佳肴がズラリと並ぶわけ。それを吉田さんはうっとり眺めながら、ただただ飲む。箸をつけないんだって」「すごい」「少しは、って勧めても、「目で見ればわかります…」(丸谷才一・井上光晴「対談」文春文庫)
『吉田健一随筆集』中村光夫編この本の中で『我が町』や『東京の町』など、場所に関する随筆が一番印象に残っておもしろかったです。ぱっと読みは、勉強もするけど飲んだり食べたり旅したりお金持ちの遊び好きな人という印象の著者だけど(吉田健一は歴代総理大臣吉田茂の息子)、『墓』の中の「死が安息としか思えないということである」という記述を筆頭に、どこにも属せない根無し草のさびしい人という印象になったりして(実際いろいろなところに住んだり旅している)、そういう目で読むと気になった描写全部がその証拠のような気
我々を楽ませてくれるやうな本は一度でその楽みが終るものではない。ただそれだけの目的で書かれたものは別であるが、本と呼んで差し支へないものは何度でも繰り返して読めて、さうすることが我々が生きてゐることに味を加へ、それが本を読む楽みといふものなので(中略)ある。(吉田健一「本のこと」中公文庫)
吉田健一はよく葡萄酒を日光に例えていて、その表現は南ヨーロッパの日影の心地よさを伴うコントラストを感じさせるけれど(中略)炭酸水とマスカットに感じる眩しさはより淡い、光と影がちらちらと織り合わされているような感覚なのだろう。(三浦亮太「鎮静のためのエチュード」「白水社の本棚2022秋」白水社)
また一つ新たなコラボ企画『天と地』が無事に終演しました!三味線×ダンス×パーカッションで表現する世界は、やはり新鮮で心が弾ける瞬間を感じました!また次回心が踊る瞬間に逢えるのが楽しみです。。。BAROOMへ観にいらしてくださいました沢山のお客様、そして、キャストとスタッフの熱い情熱に心より深く感謝いたします!西島数博
或る日河上徹太郎氏がビアホオルというものが好きな理由に四十になってしたいことを皆してしまった人間が所在なさにそこに来て飲んでいる感じがするからと言うのを聞いたのは天国でも極楽でもを望見する思いだった。まだ二人とも四十から遠い年だったのである。(吉田健一「早く年取ることができればと」講談社文芸文庫)
ただ飲んでいても、酒はいい。余り自然な状態に戻るので、かえって勝手なことを考え始めるのは酒のせいではない。理想は酒ばかり飲んでいる身分になることで、次には酒を飲まなくても飲んでいるのと同じ状態に達することである。琢磨焼酎を飲んでいる時の気持を目指して生きて行きたい。(吉田健一「飲むこと」光文社文庫)
吉田茂の息子ぉ・・こりま@korimakorima大正時代イギリスに留学してた人が「こっちの冬は異様に寒くて部屋で火をがんがん焚く。粉を飲み体温を上げる。うどん粉を捏ねて焼いたマフィンという食べ物を暖炉の前で大量に食べる。うどん粉を飲むのだ。紅茶+マフィンは『うどん粉飲み』なのだ」と書いてて急にマフィンの本質が分かった気になった2022年10月17日19:32こりま@korimakorima@vixiphakkou吉田健一です~2022年10月18日09
旅に出て、どこかの町などを歩いていると、自分がもう一度そこに来ることがあるか、もしないならば、今のこの瞬間というものは何なのだろうと思うことがある。それが我々に人生に就いて教えてくれる旅というものなのだ。(吉田健一「旅」新潮社)
奔放初コラボ三味線吉田兄弟の吉田健一と創る新世界『天と地~Heaven&Earth~』を上演します!『天と地』~HeavenAndEarth~吉田健一×西島数博神から生まれたエネルギーが現代へ繋ぐパワーとなり語り継がれる新世界スーパーコラボレーションライブ開催CASTダンス西島数博(構成演出振付)三味線吉田健一(吉田兄弟)パーカッション土田祐生バレエ吉本真由美ダンス水島渓日時11月4日(金)19時開演※残席残り僅か5日(土)16時開演5日(
新橋駅が東海道線の終点だった時代から(中略)汽車の客がまだハイカラだったビフテキやオムレツを食べたものらしい。前から食べているのは、牛の尾のシチューである。また、ここの牡蠣は旨い。牡蠣フライが名物でもちろん生でもくれる。的矢の牡蠣で、十月半ばから三月半ばまである。(吉田健一「小川軒」ゆまにて出版)
仕事をしてゐれば、自分に出来ることの限界も解つて来る筈である。つまり、したいことは何でも皆してしまって、後は暇潰しにビアホオルにでも出掛けて行くといふ境地、そこまで辿り着きたいので仕事をしてゐるのだと、時々思ふことがある。(吉田健一「生きて行くことと仕事」中公文庫)
博物館に行って我々が求めるものが芸術や文化や知識とはきまっていないのと同様に、バーにあるものが人生だなどと、勿論、誰も思ってはいない。バーや飲み屋にはそんなものよりももっと貴重な酒があって、人生の方は我々がどこかへ行っても、いやでもついて来る。(吉田健一「バー」光文社文庫)
翻訳はなんと吉田健一!#架空書店220909①🐖動物農園ジョージ・オーウェル動物農園(単行本)[ジョージ・オーウェル]楽天市場2,200円#予約受付中#新刊#本#予約#読書垢#読書好きな人と繋がりたい#架空書店の本棚#220920on#動物農園#オーウェル#中央公論新社【ミステリなら『ミステリby架空書店』で】https://mystery.kakuushoten.com【架空書店本店】https://kakuushoten.
9月に入りました。今日の軽井沢は曇りのち小雨。台風11号の今後の動きが非常に心配になってきました。皆さまも、どうぞ警戒なさって下さい。さて、最近、2022年10月22日(土)に開催される文学散歩2022②「晩秋の旧軽井沢を歩く~旧軽井沢ゆかりの文学者たち編~」を当館ホームページにアップしました。展覧会を除くと、これが今年最後のイベントとなります。大正期から昭和30年代頃までにかけて、旧軽井沢に足跡を残した文学者たちのゆかりの場所を、晩秋の季節のなかに探索します。よろしかったらご参加ください
立飛グループが無料で立川ステージガーデンで主催してくださった「たちフェス」中村あゆみさんがスタンダードジャズ、ビブラフォンの宅間善之さんとTRI4THhornsレ・フレール、cobaさん、吉田兄弟の弟の健一さん鼓動出身の和太鼓奏者、坂本雅幸さんしかもリレー形式でコラボ、アドリブのかけあいなどもあるという、美味しすぎるフェス。生音ではなくPAは通していますが、アコースティックな手触りとビート感が共存する民族的な香りのある音色あり私が大好きなサウンドばかり。最前列で双眼鏡片手
8/24(水)は会社が終わり次第、[グリーンスプリングス]へ向かいました❗️ママと合流し、〔#たちフェス〕を観賞‼️津軽三味線の第一人者、吉田兄弟の弟、吉田健一さんのステージあたりから観賞出来ました❗️最後の[コラボレーション]はとても圧感でした‼️[STAGEGARDEN]はホール内と屋外がつながっているとても解放感のあるステージです❗️🤩