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少々しつこくお話しております通り、11月9日から小箱の展示会をする予定です。昨年が第1回目で、友人知人はじめ沢山の方々にお越しいただき、そしてお買い上げいただき、とても有難く幸せな展示会になりました。さて、今年は第2回目です。今回もまた友人知人にしつこくDMをお送りし、こうしてブログでもワーワー騒いでおります。だけど2回目って正念場です。いや、1回目が特別なのですよね。なにせ初めてだから皆さん来て下さるけれど、以降は友人か、本当に興味を持って下さる方かだけ。閑散とした会場で、ひとり
いつも谷中にある箱義桐箱店から購入させていただいている桐小箱を、最近すこし加工して形に変化を出すことに凝っています。今日の小箱は角を丸くして蓋をゆるやかに丸く落としたかたち。そこにモリモリッと雲をパスティリアで入れました。江戸時代の装束裂「雲の丸文」から引用しました。▲パスティリア部分ドアップアップにすると(粗が見えますけれども)雲の周りにマイクロ点々を打っているのが見て頂けるかと。このキラキラが予想以上に効果的でした。▲女性用腕時計と並べました。サイズ
完成した小箱は不織布の袋に入れてから箱(いわゆるお道具箱サイズ)に入れて収納しています。今のところ、このお道具箱は5つあって、それぞれに仕分けして入れるのですが・・・さて、サイズ別にするか、装飾技法別、つまり色別にするか。これがいつも迷うところなのです。たまに棚卸のようにすべての小箱を出して、価格確認や在庫を数えたりして、その後の片づけ時に毎度迷うのです。一説によると、形で分類する人と色で分類する人にはそれぞれ傾向があるのですって。色別は女性に多いとか、形別の人は感覚の視野が広い
少しずつお伝えしておりましたが、箱義桐箱店谷中店にて、今年も「秘密の小箱展」を開催させて頂けることになりました。昨年1回目は9月でしたが、今年は11月9日から19日までです。▲額縁はシルヴァーノ・ヴェストゥリ氏彫刻木地のカルトッチョ。DMも作りました。写真は浅野カズヤさんに撮って頂いたもの。撮影時に色々とお願いをして、思った通りの写真を作っていただきました。やれ薄暗くしろ、やれ文字装飾を目立たせろ、赤っぽくするな、銀座の古いバーっぽくしろ等々・・・。「銀座の古いバー」で浅
2010年に初めて作ったデザインの額縁に「bianca-1」があります。biancaとはイタリア語で白(額縁は女性名詞なので女性形)という意味でして、ご覧の通り白い額縁、角に模様をパスティリアと線刻で入れてあります。柔らかい雰囲気の額縁でございます。この額縁は古色が付けてあり、アンティーク風に仕上げています。古色付けには、わたしはフィレンツェの額縁師匠パオラ&マッシモ夫妻から教わった秘伝レシピ(大げさですが!)の茶色いワックスを調合していますが、そのワックスを塗る前は、まさに純
ルネッサンス期にフィレンツェを中心に活躍した画家、ドメニコ・ギルランダイオの作品「ジョヴァンナ・トルナブオーニの肖像」のテンペラ画模写をはじめました。オリジナル作品は腰から上の姿ですが、わたしは顔だけアップで。▲完成までの道のりはまだまだ長い。ギルランダイオの作品は、フィレンツェの教会や美術館で、またローマのヴァチカン美術館でも観ることができますが、いわゆる「すごい人気作家」ではありません。今回模写に使っている画集はフィレンツェの美術専門古書店で2018年に買いました。
文字装飾でラテン語を入れましたシリーズ。オウィディウス(PubliusOvidiusNaso前43年3月20日-後17年または18年)の詩を引用しています。"artibusingenuisquaesitaestgloriamultis"高貴なる藝術によりて多くの人々に光榮は獲得せられたり。例によって、ラテン語文章の内容には重きを置かず、文字装飾として。オウィディウスに敬意を払いつつ!蓋の模様とラテン語文字はマイクロ点々(細いメノウ棒で極
8月の半ばのいちばん暑いころ、「禅の友」編集のMさんと、フォトグラファーの浅野カズヤさんが我が家へお越しくださり、額縁と小箱の撮影をして頂きました。曹洞宗の月間冊子「禅の友」の2023年一年間の表紙にKANESEIの額縁を使っていただくのも、あと3回になりました。早いものです。撮影目的のメインはもちろん冊子用の写真なのですが、編集Mさんのご厚意で、浅野さんが撮ってくださった写真をわたし個人でも使うご許可をいただきました。そんな訳で!嬉々としてKANESEIのショップカードを一新いた
ででーんひょっこり「禅の友」9月号です。立秋とお盆を過ぎて日もだいぶ短くなって、「禅の友」表紙背景もすこし深い色になりました。この額縁は「サンソヴィーノ」スタイルと呼ばれるデザインで、渦巻きとウロコが特徴です。例によって摸刻でして、オリジナルは1500年代後半に北イタリアで作られたものです。日本人の「死」に一番近い宗教でもある仏教(もちろん違う考えの方々もいらっしゃいます。)、この「禅の友」でも、自分や家族の死を迎えるにあたっての気持ち、ひとりで物事を考え整理す
さて、日本で一番多いイニシャルはなにかご存じですか?インターネットで調べましたところ(ですので、正確かどうか不明です)、女性はM、男性はTなのですって。自分の友人知人を考えてみると、ううむ、確かにそうかもしれません。そんな訳で、Mの文字を入れた小箱を作りました。極小の豆小箱にホワイトゴールド(おおよそ金と銀が半々の合金属)箔を貼り磨きまして、マイクロ点々でMを入れています。あまり主張せず、でも反射の角度によってキラキラと白く輝くイニシャルです。古今東西、名前のイニシ
つくづく、インターネットって便利です。いまさら何を言っているのだとお思いでしょうね。インターネット無しの日々はすでに成り立たない世の中になって、もうずいぶんになりますから。先日インスタグラムから「見知らぬ人がわたしについて何やら投稿しましたよ」とお知らせが届きました。(あなたをメンションしました、のお知らせ)「イタリアからお気に入りを持ち帰った。ラヴェンナのガッラ・プラキディア廟堂の天井モザイク模様を描いた手作り一点物の小箱だ。」のコメントともに、居間らしき部屋に置かれた小箱の
ことわざ額縁制作以来、わたしの中で復活しました文字装飾ブームは続いております。今日の小箱もラテン語の詩の一節を入れてみました。Crasamet,quinumquamamavit,quiqueamavit,crasamet.▲中はライトグレー「明日は愛せ、愛を知らぬ者よ。愛を知る者も明日は愛せ。」というような内容だそうで、有名な詩の最初の一節だとか。愛する対象があるのは幸せなこと。その対象が自分自身でも。上の写真、ちょっと・・・やりすぎ感漂う1枚
作業を続ければ、いつか終わりは来るものですね。なんとか完成と自分に言えるところまでたどり着きましたエミリア額縁です。▲ちょっとブロマイド風試行錯誤してなんとか丸め込んだ感じ。技術不足でオリジナルとは違うデザインになってしまったけれど、現時点でのわたしの能力テストといいましょうか、確認もできました。▲疲れた時は発泡酒ではなくビールを飲むことを許可する・・・金箔の繕いにつぐ繕い。合間にビールを飲んでやさぐれていましたら、家族が「なんかぁ・・・ギラギラ過ぎて形が見えない
怒涛の勢いで(自分比)快進撃を続けておりますエミリア額縁の摸刻・・・と書き出しましたけれど、実際のところは動悸息切れ激しいわたしです。とにもかくにも完成間近になりました。・・・まだ完成していませんけれども。▲ボローニャ石膏を塗ります。木地に下ニカワを塗り、薄めシャブシャブのボローニャ石膏を細い筆で塗り重ねます。溝に液溜まりができないように細心の注意を払います。▲地獄の石膏磨きなにせカーブや凹凸が激しいので、紙やすりも届きにくい。ここでモノを言うのが石膏塗の跡です。石
前回ご覧いただいた「ルネッサンス風」ほぼレプリカ額縁の制作過程をご紹介いたします。とはいえ、これまた以前ご覧いただいた「ことわざ額縁」と同じ技法で重複しますので、もしご興味がありましたら、ご覧いただけますと嬉しいです。さて、木地は参考にしたオリジナルの額縁と今回額装する作品とのバランスを考えて、簡単なデザイン画を起こしてからお客様にご相談。微調整をして最終確認を頂いて・・・いつものように千洲額縁さんへ木地をお願いいたしました。▲写真は千洲額縁さんインスタよりお借りしました。
曹洞宗の冊子「禅の友」8月号です。この額縁も7月号同様、イタリア・ピエモンテ州で作られた額縁のレプリカです。7月号の額縁が1700年代、この額縁は1600年代末。100年近いひらきがあります。さわやかなレモンイエローの背景に青葉色のロゴ。夏らしくフレッシュな感じです。偶然ながら(または編集さんの楽しい企みか)、表紙の写真と額縁実寸が同じ!小さい額縁ですから、それが可能だったのですね。▲実物額縁を探せ!・・・すぐばれますね。でも面白い。毎月編集の方がこの「
ずいぶんと時間がかかってしまった額縁が先日ようやく完成しました。ルネッサンス時代に作られた、とある額縁を参考にしたデザインで、いわば「ほぼレプリカ」であります。当時流行していたcassetta箱型額縁にprezzemolo植物文様を入れたデザイン。特にトスカーナ州(フィレンツェがある)で好まれた形で、割と典型的なルネッサンススタイルの額縁です。ご注文くださったお客様は「まさにあなたがお好きな感じの額縁でしょう?」とのこと。「ハイッッ!まさにまさに!」と嬉々としてお受けしたも
先日、友人と話していた時のこと。「猫を飼っている人は抜けたヒゲを大切に保存することが多いから、猫ひげ小箱の需要は実はあるかも・・・」と教えてくれました。▲友人が送ってくれた猫の毛ボール写真。愛があふれて、ボールも小箱からもあふれている。なにせペットは猫はおろか一切飼ったことがありませんので、「猫のヒゲが幸運をもたらすお守りになる」のは知りませんでした。これぞまさに、目から鱗が落ちました。さっそく手元にある細長い小箱をふたつ選んでいそいそとネットショップに上げました。おついでの
しばらく休んでいた額縁摸刻ですが、ここ数日に集中して自宅で作業し、彫刻はどうにかこうにか終わりが見えました。イタリアのエミリア地方で17世紀に作られた額縁のレプリカです。▲サイズはB5くらいで、結構小さい・・・けれど。上の写真がノクロなのは半分カッコ付けていますが、もう半分はカラー自粛であります。というのも、白木に赤い血の跡が点々とあるのです。彫刻刀で小さな切り傷を作ってしまっても、ティッシュでチャッと拭いてそのまま作業をするのですが、当然止血はしておりませんから、気づくと赤
この小箱は全面純金箔を貼り磨き、マイクロ点々と普通サイズの点々を打って模様を入れました。(未だに何と呼んでよいか分からないこの装飾技法。箔上に小さな点を打って模様を表現する方法・・・シボ加工?)四隅と中央に、小さな丸のパスティリアでポッチも入れました。磨いた金は黒く吸い込むような輝き、点々部分は光が乱反射してキラキラ白く輝きます。この小箱を作りはじめた時、頭の中の予定では、葉模様部分は彩色しようと思っていました。でも途中でなんだか気が変わり、点々装飾に転向。たまにあるこ
曹洞宗の冊子「禅の友」7月号です。この額縁も例によってレプリカでございます。オリジナルは18世紀にイタリア・ピエモンテ州で作られた額縁です。ピエモンテ州とはイタリアの北西部で州都はトリノ。フィレンツェやローマよりずっとスイスとフランスに近く、洗練されてリッチな街というイメージです。(行ったことがありませんけれども。)18世紀といえば、すでにルネッサンス時代ははるか昔、ロココ様式が始まっていて、フランス革命とナポレオンの登場、産業革命が起こる頃だとか。額縁の様式もま
右往左往に紆余曲折あったフィレンツェ小箱営業でございます。2月半ばに帰国し、フランチェスコ父さんにお礼やら進捗伺いなど何通かメールをお送りしたのですが、一向に返事も無し。どうしたもんかと思いつつ時間は刻々と過ぎ・・・嗚呼、イタリア。そうでした。彼らには彼らの都合とペースがある。もはや細かく説明するのは省略しますが、やきもきしつつ「もはやフランチェスコさんの気が変わって、小箱を置くのは止めちゃった?!」と不安になりつつ数か月。その間も友人Lがわたしとフランチェスコさんの仲介を続
息切れしつつ、2023年1~2月に滞在しましたフィレンツェでの突撃小箱営業のお話のつづき。どうぞお付き合いください。日本出国時に「この営業はダメ元。上手くいけば運が良かった程度に思っておこう」と自分の精神に保険をかけておいたのですが、それでも落ち込むものは落ち込みます。そろそろ気力体力が尽きてきて、もう諦めようと思う・・・と泣き言をLに言ったころ、最後に訪ねたポルタ・ロマーナ近くの工房でご紹介していただいたのが老舗の高級文具店でした。夕方に2人で訪ねたそのお店は、ドゥオーモ広場
2022年秋に思い付いた「フィレンツェ小箱販売」をダメ元でひとまずやってみよう、何事もやってみなくちゃわからないよ、人生何が起きるか分かっらないよ・・・と2023年1月半ばに鼻息荒くフィレンツェへ乗り込んだのは良いものの、実際始めてみたら不安で慌てていたわたしです・・・お恥ずかしい。そこへ救世主の友人Lが登場してくれました。Lは観光業なので1月2月は時間がある、接客には慣れているという心強い相棒です。初日の朝、開店直後のポンテ・ヴェッキオの高級ジュエリー店へ突撃です。Lがまず笑顔
2023年1月半ばに到着したフィレンツェ。ひと月の滞在期間中の目的は、小箱の営業でした。なにせコロナ・パンデミック後初、3年ぶりのフィレンツェで街の様子も何もかも想像止まりでした。わたしは今まで、いわゆる「営業」をしたことがありません。ノウハウも無ければ方法も知らず、「行ってみて、目ぼしいお店を回ってみよう」としか考えておらず。つまり「行ってみてから考える。」行き当たりばったり、まさしくいつものパターンです。我ながら今さらながら、無知って恐ろしい。出国前にどうしたものかと数
わたしにとってフィレンツェ留学とは、古臭く大げさな表現になりますけれども、まさに自由と青春を謳歌し人生の方向を指し示してくれた時間でした。たった3年ちょっとだったとは思えないほど濃く深く心身に刻み込まれた時間です。そのフィレンツェで学んだ古典技法を使って装飾をした日本伝統の桐小箱。それをフィレンツェの街で受け入れてもらえたら・・・2022年の秋にそんな風に思い始めてすぐにフィレンツェ滞在の準備を押し進め、お正月の抱負は「フィレンツェで小箱を販売」に決めたのでした。2023年1月半
長々とお付き合いいただきましたブリューゲルのことわざ額縁は、完成しました。さて、肝心のことわざです。単純に額縁に収まる文字数で選びましたので、何が書いてあるかは重要ではない、文字装飾である・・・などと申しましたが、やはり意味もお知らせします。(下記にてお披露目します額装した作品と、額縁のことわざの内容は一切関係ありません。)額縁上部左から時計回りに”Niemandooitzokleinietsspon,ofherkwamwelaanzon”
前回にグラッフィート完了までご覧いただきましたブリューゲルのことわざ額縁、アンティーク風の加工をしまして完成まで進みます。▲グラッフィート(搔き落とし)が終わったところ。▲マットな黒とキラキラ金で派手です。磨いた純金箔の上に塗った卵黄テンペラ絵の具は、なにせ搔き落とせるくらいですから固着力はあまり強くありません。爪で引っかけば取れてしまう。ですので、テンペラの上にシェラックニスを塗ります。▲ZECCHIで買った(これは最近)シェラックニス、イタリア語でGomma
ずいぶんと昔から文字を装飾に使うことが好きです。額縁や小箱にラテン語の文章を入れたりしております。今回は版画作品用の額縁(ご注文仕事ではなく、自分のため)を作りました。この額縁の制作過程をご紹介します。ご興味を持っていただけたらと思います・・・▲完成した額縁、名前は「ことわざ額縁」にしました。ヨーロッパの1500年代には聖書の一節などを装飾に入れた額縁が作られ、聖母子像などが額装されていました。そんなイメージで製作開始・・・ですがわたしの額縁に聖書の一節は入れられません。
小箱を「販売しよう」と作り始めたころから、決めていたことがあります。それは「同じデザインの小箱は作らない」ということ。以前に少しお話したことがありましたが、まるっと同じデザインとサイズの小箱は今まで作らないようにしていました。同じ模様でも技法違いや色違い、サイズ違いと少しずつ変化させています。本当はそれも出来れば避けたい気持ちでした。3月の阪急うめだ本店での催事で、お客様に「同じデザインの小箱は作らないようにしています」とお話したところ「ええっ?!」と驚かれました。その様子を見てわた