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ずいぶんと昔から文字を装飾に使うことが好きです。額縁や小箱にラテン語の文章を入れたりしております。今回は版画作品用の額縁(ご注文仕事ではなく、自分のため)を作りました。この額縁の制作過程をご紹介します。ご興味を持っていただけたらと思います・・・▲完成した額縁、名前は「ことわざ額縁」にしました。ヨーロッパの1500年代には聖書の一節などを装飾に入れた額縁が作られ、聖母子像などが額装されていました。そんなイメージで製作開始・・・ですがわたしの額縁に聖書の一節は入れられません。
小箱を「販売しよう」と作り始めたころから、決めていたことがあります。それは「同じデザインの小箱は作らない」ということ。以前に少しお話したことがありましたが、まるっと同じデザインとサイズの小箱は今まで作らないようにしていました。同じ模様でも技法違いや色違い、サイズ違いと少しずつ変化させています。本当はそれも出来れば避けたい気持ちでした。3月の阪急うめだ本店での催事で、お客様に「同じデザインの小箱は作らないようにしています」とお話したところ「ええっ?!」と驚かれました。その様子を見てわた
今日も昨日も制作中11月に展示する予定の天使のパネルは、まだまだ焼成前途中経過のご報告です。ふぅ、思うようにいかないです。↑窯入れ前ライトボックスの上に並べて水溶きグリザイユとバジャーブラシと、白鳥の羽根ペンで描いた部分を確認↑電気消すとこんな感じ今回は柔らかい雰囲気を出す為に調子には赤茶のグリザイユを使ってます。いつもの3色ミックスは使っていません。↑調子を付ける前酢溶きグリザイユの線描きのみ終わったところ線描きグリザイユは3色ミックス↑結構カラフルな仕上がり
KANESEI小箱は、以前から「なんだか美味しそう」「お菓子みたい」と言われることもありました。小ささや色味がチョコレートやきんつば(!笑い)に例えられたりして。今回完成した小箱をじっと眺めていたら、我ながら「たしかにお菓子っぽい・・・」と思いました。▲お皿に載せたらますますお菓子風お抹茶味の天使チョコレート、デイジー(でしょうか)のプラリネチョコレート、和三盆の落雁、奥にはビターチョコレートのビスケット・・・ささ、一服しましょう。コーヒーと紅茶、どちらがお好きですか
曹洞宗の冊子「禅の友」6月号です。2015年に完成させたレプリカ、オリジナルは16世紀のイタリア・トスカーナ州で作られた祭壇型額縁で、オリジナルの額縁はロンドンのヴィクトリア・アンド・アルバート美術館が所蔵しています。かつてアトリエLAPISのメンバーだったSさんが製作販売してくださったキットを使って作りました。(残念ながらキット販売はすでに終了)▲制作キット。写真はアトリエLAPISからお借りしました。小さくてぎゅっと詰まっていて、それはそれは可愛い額縁です。作
偶然にも同時期に、イニシャル小箱のご注文をふたついただき、同時に完成いたしました。大き目のA小箱、豆サイズのS小箱です。(豆サイズAは以前に作ったものです。)S小箱は遠くにお住まいの方からのご注文でしたので、仕上げのニュアンスや内側の布の色など写真をお送りしてご相談したり、そのやり取りも楽しいものでした。大き目のA小箱は、豆サイズA小箱をご覧になって「一回り大きいものを」とのご注文でした。お客様はすでに完成イメージをお持ちですので、できるだけ豆Aとの差がないように、でもただ大
開店休業に近い状態だったKANESEIのネットショップですが、8つの小箱と黄金背景テンペラ画模写2点を追加して更新いたしました。せっかく作ったのに放置していては、立ち寄ってくださった方にも「ああ、ずっと同じままだ。つまらないな。やる気がないんだな!」と思われてしまってはもったいない。▲新作の星模様を出しました。小箱は手に取って実際ご覧いただいてこそ小ささや面白さをお伝えできると思うのです。でも今の世の中は遠く離れた場所からもご興味を持っていただけるのですから、使わない手は
この豆小箱もまた、以前に作ったものの色違いです。前回は真っ赤なベースに模様を金色のペイントで入れたデザイン、今回は全面純金箔を貼り磨き、模様をグリーンで入れました。アンティーク風の仕上げをせず、ピッカピカのままにしました。豆小箱くらいのサイズだと、金箔そのままのキラキラでも可愛く感じます。大きな小箱(変な表現)で磨きっぱなしのキラキラだと・・・ちょっと濃すぎるように思うのです。でもお好みもそれぞれですしね、大きなキラキラを選んでくださる方もいらっしゃるかもしれません。ゴージャ
曹洞宗の冊子「禅の友」5月号です。今月の表紙には2016年に作った彫刻額縁を使っていただいています。16世紀のイタリア・ボローニャで作られた額縁のレプリカ。2016年って最近のような、ずいぶん昔のような。今月号の背景は真っ青!これぞ5月の空の色です。額縁の茶色との2色でバシッと引き締まっています。かっこいい。今月も「額縁が自分の写真を自分で額装」自己額装、セルフフレーミング写真を撮ってみました。表紙一枚だと額縁が小さい・・・ので4冊並べてみたら不思議で面白い「部
昨年10月に作り始めた大きめ小箱(大きいのか小さいのか、変な表現ですが)、マイクロ点々でダマスク模様を入れる作業がようやく終わりました。この点々打ちは本当に地道で地味な作業ですが、小箱と細いメノウ棒があれば作業できますので場所を選びません。そんな訳で阪急うめだ本店での「クチュールジュエリー展」に持ち込んで実演(という名の内職)をいたしました。▲とんとん、てんてん、つんつん・・・なんと表現するべきか。クチュールジュエリー展終了後に自宅で最後の仕上げをしまして、点々打ち作業終
2月末、ギャラリーササキ商店の「工芸市」に参加しました際に、何度か「鳥の小箱は無いのですか」と訊ねられました。その時はふたつ展示してあったのですけれど、おおきなつばめモチーフ小箱とベージュ色の豆小箱で「ううむ、これじゃなくて・・・」とお客様の心の声が聞こえた気がしたのでした。心斎橋から帰宅後、さっそく小さいつばめオーナメントの箱を作りました。フランスのアンティークから型をとって作ったオーナメントを取り付けてあります。つばめは縁起が良いのです。イタリア語でつばめはRondi
3月22日から27日まで大阪の阪急うめだ本店にて開催されました「クチュールジュエリー展2023」は、無事終了いたしました。雨の日が多く、足元の悪い中をお越しくださいました方々に感謝申し上げます。今回は昨年に続き2回目の参加でした。大阪在住の方、東京でお目にかかり辛い方々とお会いできたのが収穫でした。また、今年は実演と言いますか(内職と言いますか)テーブルの端で「マイクロ点々入れ」をしていたのですが、こちらにご興味を持って下さる方々も。▲こちらまだ下描き中・・・「こんな
自覚はあまり無かったのですが(今はある・・・)、わたしはお調子者の面があるようです。その場の勢いとか雰囲気で、あまり考えずに「いいねいいね!やってみよう~!やってみないと分からないよ」と口走り、いざ始めてみて「・・・あれ、大丈夫かな」などと思うのです。これつまり後の祭りと言う。今回の額縁摸刻もまさにそれ。▲本の額縁はイタリアのエミリア地方で17世紀に作られた額縁です。市が尾の古典技法教室アトリエLAPISの生徒さん数人と「この額縁かわいい~♡こんなのつくってみた~い!」
先日、鼻歌交じりに純金箔を貼り終えた小箱を彩色しました。「ここはキリッと青と赤にしちゃおう」と思いまして。緑がかった明るい青と濃い赤を選びました。塗り終えて、なにか・・・なにかとても良く知っているものを思い起こさせる。それはナウシカの「青き衣」なのでした。▲分かる方にはわかって頂けると期待します。王蠢の体液に染まった衣・・・模様の感じとか青の色味とか、似ていませんか。(「風の谷のナウシカ」をご覧になっていない方には何のことか分かりませんよね。すみません。)そう思
初めて古典技法を学ぶEちゃんの見本としてゆっくり製作していた天使の絵、先週は衣装の上に金でミッショーネしました。これは糊で模様を描いて、糊がある程度乾いてから金箔を置く方法です。今日は羽根の部分の金箔に色を塗り、乾いたら絵の具を掻き落として、羽根の筋をつけました。筋の部分は金色が出てきます。いよいよ仕上がりました。この絵にはいろいろな技法が使われています。
先日作っておりました金箔の小箱は、内側には予定通りバラ色の別珍を貼って完成といたしました。しっかり磨り出して下地のボーロ色(今回は赤)を出して、パスティリアで作った凹凸レリーフが強調されました。そして汚しのワックスとパウダーを強めにつけてコッテリと。外側はコッテリと派手。内側も乙女バラ色で派手。つまりとても派手。(当社比・・・というか私が思うに!)勝手なイメージですけれど、往年の宝塚大女優(もちろん娘役)な感じがしてきました。”かつての女優時代の美しさをわずか
毎日ドタバタとしているつもりでしたが、実はものすごく狭い範囲しか移動していません。はっきり言えば家の中か買い出しのスーパーくらい!だけど頭の中はものすごく慌ただしく過ごしている今日この頃です。ご注文いただいた額縁の制作ついでに(ついでと言っては語弊がありますが!)小箱も同時進行しています。この額縁と小箱は、いわば「同じロット」であります。同じ石膏液、同じボーロを使って同時に箔を貼って磨きました。ですので古色加工ももちろん一緒に。ロットナンバー0304「ちょっとコッ
3月後半のイベントのお知らせです。なんだかお知らせが続いて恐縮です・・・KANESEI活動記録ということで。大阪の阪急うめだ本店で開催の「クチュールジュエリー展2023」昨年に続き今年も参加いたします。会期は3月22日水曜から27日月曜まで。阪急うめだ本店9階の催場です。メインはアクセサリーのイベントなのですが、小箱も仲間に入れて頂いております。わたしは期間中毎日会場の店頭に立つ予定です。ぜひお越しくださいませ。阪急うめだ本店イベントスケジュール
横浜市の市が尾にある古典技法の教室「アトリエLAPIS」の展覧会のお知らせです。わたしが月曜コースを担当させて頂いてから早くも12年目!なんと早いこと。こちらのアトリエの講師と生徒さん方の作品の展覧会です。横浜本牧絵画館の第4回作家・研究者支援プログラム展示と言うことで、かなり本格的な展覧会になりました。わたしは額縁を2点出品いたします。↑16世紀半ばにフィレンツェで作られた額縁の摸刻と↑18世紀にイタリア・ヴェネト地方で作られた額縁の摸刻の2点です。展覧会の
「禅の友」(曹洞宗の冊子)の3月号が届きました。今月は「cassetta-1」という名前で出している額縁を選んで頂きました。雛祭りの時期だから、バックはピンクで可愛く!額縁も併せて可愛らしいものを!!と編集の方が作って下さった表紙です。それにしても漢字タイトルが隣にあるせいか、額縁がとても和風に見えてくるのが不思議です。なんだか金糸で織られた帯のような。オリジナルの額縁は16世紀半ばにフィレンツェで作られた額縁なのですが、日本人のわたしがレプリカを作りましたので・・・なに
大阪の心斎橋、御堂筋にあるギャラリーササキ商店にて開催されました「工芸市」は2月27日に無事終了いたしました。お越しくださり、またお買い上げいただきありがとうございました。遅ればせながら様子をご報告させてください。今回は7名それぞれ違う分野での作家のグループ展でした。丹波布、陶器、椅子、染色、螺鈿、ホームスパン、そして小箱です。東京からの参加はわたしのみ。なんだかとても新鮮な気分でした。▲並べた小箱も額縁も「いつもの」です・・・。何といってもギャラリーのSさんとNさ
2023年の1月後半から2月半ばにかけて、イタリアのフィレンツェに滞在しました。コロナ禍が完全に明けたわけでもなくて、仕事や家族の事も色々考えて、でもやっぱり「今行く」と決めたのでした。快く送り出してくださった方々には大変感謝しております。毎度毎度イタリア滞在記は尻切れトンボになっておりまして、お恥ずかしい限りなのですけれど、今回も思い出すままに皆さまに聞いて(読んで)いただければと思います。今回の目的は、第一に「小箱の営業をする」でした。第二は友人知人との再会、第三は日常
ブログを書き始めてずいぶんと月日が過ぎました。が、こうしたバトンを受け取るのは初めてです。「シエナの坂道。。」のラファエラさんから幻のバトンを渡して頂き、わ~お。本当にあるんだねー!・・・などと感想を抱きつつ、いざいざ。ハンドルネームKANESEI(カネセイ)です。ハンドルネームの由来これはわたしの額縁と小箱制作の屋号でございます。カネはカナジャク(直角定規)、セイは名前の音読み、「直角をきっちり出す仕事をしますぜ」という意味で。(いやスローガンで・・・。)父命名で
今年2023年の「禅の友」(曹洞宗の冊子)表紙に採用していただいた額縁のご紹介、2月号は遅ればせながらこちらです。渋い辛子色の背景にサンソヴィーノ木地額縁でした。「マッチョ」なイメージの額縁に黒のタイトル文字がかっこいいのです。一見すると何の冊子か分かりませんが、それもきっと今年の狙いの一つなのだと思っています。そして裏表紙にもなんと・・・!小箱を採用して頂いたのです。編集の方が「裏表紙に広告が入らない時には小箱も入れられるかも・・・」と仰っていたので
しばらく前に作ったクッキー模様の額縁2点、今さらながらご紹介させてください。パスティリア(石膏盛り上げ)で模様を入れて純金箔装飾、艶消しの仕上げにしました。クリーム色と明るいオリーブグリーン。同じサイズ、同じデザインの色違いです。それぞれSMサイズの油彩画を額装しました。この油彩作品は、2枚とも木枠を外して長い時間保管されていました。お客様の「小さく薄く額装してほしい」とのご希望で、キャンバス作品は薄い板に張り直しています。かわいい椿。優しく穏やかな色。完
この豆小箱は当初は古色を付けて仕上げるつもりでおりましたが、あえてそのまま、金の輝きそのままに完成させました。純金そのものの輝きって、ほんの少しの差で品を失ってしまいそうで難しく、なので少々怖いのが本当のところなのですけれど、豆小箱のサイズですとトライしやすいようです。とても小さなものがぎゅっと詰まってキラキラ輝いていると、それだけでもうドキドキしてしまう。古来、黄金の輝きの惑わされて道を誤った人がいる・・・というのも理解できるような、そんな魅惑的な光があります
諸事情により、本日diarioお休みです。わたくし元気でおります。ちょっとした息継ぎで・・・▲これはクリスマスのご馳走・・・なつかしい。また次回に!よろしくお願いいたします。皆さまもどうぞ、ゆっくりお過ごしください。
この小箱(と言いましょうか)は秘密ではありません、カードケースです。中央にイニシャルモノグラムを入れて純金箔水押し。マイクロ点々で装飾して軽くワックスを塗って完成しました。箱義谷中店で購入しました白木の名刺入れ、桐材で軽く、とても美しく仕上げてあります。もちろんこのままカードを入れれば使えます。この名刺入れに細工をしようと企みまして、綺麗に丸く加工された角を面取り作戦・・・▲丸く加工された角に面取りラインを書きこむ。▲開けばカードディスプレイにも。ヤスリでせっ
大阪・心斎橋にあります「ギャラリーササキ商店」で開催されます工芸市に出品いたします。7名の作家がそれぞれがこつこつと作った物・・・ホームスパン、丹波布、螺鈿細工、陶器、染色、椅子、そして小箱です。2022年春に阪急うめだ本店「クチュールジュエリー展」にて初めて小箱を発表させていただいた際に、偶然見てくださったササキさんがお声をかけてくださったのが始まりで、いやぁ、どこでどんなご縁が繋がるか分かりません。東京生まれ東京育ちのわたしが初めて行った大阪の初めての催事で出会った方との
フル・オーダーメイドのものを例えば宣伝したり印象付けたいときに使うフレーズに「世界にひとつだけ」「あなただけのために」など、あります。いささか使い古された宣伝文句です。これを聞くと、その「もの」がとても貴重で珍しくて得難い感じ、それなりに高価でステイタスを表す。そしてそれを持つ「わたし」もまた特別な人物である気持ちにさせられます。なにか心をくすぐるフレーズなのです。先日ぼんやりと湯船につかりながら考えていたのですが、「世界にひとつ、あなただけのために」作られたものって実は珍し