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わたしが日々使っている彫刻刀はスイスのpfeil社製のシリーズで、木槌で打って使えるのが特徴です。いままで日本の木槌(キヅチ)、いわゆるカナヅチと同じ形状で木製のものを使っていたのですが、ようやくヨーロッパで彫刻に使われている縦型と言うのでしょうか、そんな木槌を手に入れました。下の写真は左がAtelierLAPISにある筒井先生が揃えてくださったpfeil社の木槌、右は作ってもらったわたしの木槌です。ずいぶん前からLAPISにあることは知っていま
ここのところお話しつづけております古色、アンティーク風の仕上げについてしつこく考えている・・・といいますかふとした時に思い出し続けています。「もう古色話は飽きました」とおっしゃるのも重々承知なのですけれども、これで最後おつきあいくださいませ。メディチ家所蔵の豪華絢爛な額縁は500年経っても壊れていないし汚れていない。金はうつくしく磨き上げて完成されていていまもその状態が保たれています。ずいぶん前から気になっていたことに「古色仕上げは昔からあったのか」なのですが
ボローニャ石膏を塗り終えしっかり乾燥させたら、次の作業石膏を紙やすりで磨きます。これはもう、ひたすらがんばるしかありません。コツと言えるほどではありませんけれど、あらゆる方向から確認して磨き残しを作らないこと、そのためにランプで斜めの光を当ててみること、紙やすりは使いやすい物を準備してケチらず使うこと。スクレーパーや金ヤスリ、当て木など臨機応変に使い分けること。マスクと髪をおおう物、場合によってはゴム手袋なども使って身体を守ること。石膏磨きは古典技
この本は先日「古色再考つづき」でお話したときに参考にした本です。メディチ家所蔵の額縁を紹介しています。現在ピッティ宮殿内にある銀器博物館の一室が「SaladelleCornici」(額縁室)として一般公開されており、その所蔵品がメインに取り上げられているようです。1500年代初め、コジモ1世からはじまり1700年代初頭フェルディナンド3世の時代までを紹介しつつ、額縁と額装されている作品も同時に見ることができます。▲ラファエロの女性の肖像。絵は本
フィレンツェの下町にあるパオラの額縁工房は、なんと言いましょうか片付いていません。サンプルとして展示されている額縁はちょっと傾いていたりするし、床もカウンターもなにやら物だらけです。ホコリを被った彫刻サンプルが転がっていたり、制作途中の木地と書類が一緒に山積みだったり。それなのに額縁と関係ない物は一切置いていない不思議。パオラ曰く「この雰囲気に誘われてお客さんが来るのよ。窓から眺めて、作業している様子がある方が通りかかった人も入りやすいからね。キッチリ片付い
フィレンツェの古書店をめぐって手に入れた本、1500~1600年代のイタリアの額縁を集めた額縁本をぱらぱらと眺めていました。この本はメディチ家所蔵だった額縁を集めていますからとにかく豪華絢爛、当時の最高の技術と材料で作られた額縁ばかりが掲載されています。はたと気づきました。「思ったよりずっとキレイ。」(ああ、どうか「いまさら?」とはおっしゃらないでください!)すこしの擦れと、たまに虫食いの小さな穴木地の接合部分に割れや小さな欠けはあるけれど金箔はどこまでも、隅
あけましておめでとうございます。とうとうまた新しい年がはじまりました。ことし1年はどのように過ごすご予定ですか。2018年末からの体調不良で我が家の定例行事である鎌倉詣もできず鼻詰りでボンヤリと作ったお節料理はなんだか味が濃かったり薄かったり。2019年のはじまりは釈然としませんがこの不調が2019年の厄落としということにしてシャキッと復活を誓う元旦でございます。今年のお雑煮は奮発して鴨出汁です。丸餅に輪切り大根、細切りのごぼうと人参亀甲の里芋と小
明けましておめでとうございます昨年はクラウドファンディングから始まり、地域クラウド交流会の起業家プレゼンやドレスのお披露目会『ソウタシエの宴』開催その告知に関するラジオ出演(3回も!)そして、ボジョレークイーンコンテストの出場そのあとにさっぽろ東急百貨店でのPOPUPショップの出店と様々なご縁から新しいチャレンジをさせていただく年でした✨本当にご縁に助けられた年だなぁと思います。関わってくださった全て
旧年中はありがとうございました。新春を迎え皆様のご多幸をお祈り申し上げますと共に本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。平成30年元旦KANESEI
フィレンツェ留学時に修業させていただいたパオラとマッシモのお店が作る額縁の最大の特徴は古色付け、アンティーク風仕上げです。フィレンツェには、数は減りましたが伝統的技法--つまり古典技法――で額縁を作る工房は今も沢山あります。そのなかで競争し生き残ってきたパオラとマッシモ。古色の美しさ、力強さはイタリアのみならず海外からのお客様からも認められています。わたしが彼等の作る額縁に惹かれたのもその古色の美しさで、修業中にもさまざまに技法を教わりました。そして今もわたしは古
すこし間があきましたが、祭壇型額縁です。下ニカワを塗り麻布を貼り込んだ木地に今日は石膏を塗ります。まずは石膏液つくりから開始しましょう。前日の夜にふやかしておいた兎ニカワ(ニカワ1:水10、いつも通り)を湯煎で温めたらボローニャ石膏を入れます。今回は300mLのニカワ液ですので完成する石膏液は500mLほどでしょうか。あともう少し、水面ギリギリまでいれます。石膏がニカワ液に沈んだら、しずかに漉して石膏液は完成です。麻布部分の石膏を塗るとき、布目に
今回の旅の目的は、額縁制作の修業先だった工房へ行くことでした。この工房はマッシモ氏とパオラさんご夫婦ふたりで運営されていたのですが、紆余曲折があり、現在はパオラさんひとりで制作から販売まですべてを行っています。工房を訪ねた日、なにせ7年ぶりですしイタリア語も久しぶりですので緊張気味でしたが、ドアを開けたとたんに感じた匂い--ニスや溶剤、木の匂い、古い建物の匂いが入り混じった--を嗅いで、パオラの笑顔が向こうに見えたときすっかり留学当時の気持ちが戻ったのでした。
2018年11月に、かつての留学先であるフィレンツェに行ってまいりました。頂戴しているご注文をさらにお待ちいただきTokyoConservation室長はじめ額縁教室の先生、生徒さん方にもご了承いただき渡伊を叶えることができました。ここで改めてお礼申し上げます。2011年以来7年ぶりのフィレンツェでしたが(LanostalgiainItalia2011)とても変化があったところ昔と変わらず続いているところさまざま感じました。このブログ「diario」で、
先日、強烈なピンクと輝く金でぎょっとさせてしまいました額縁はその後、淡い色に調整しまして完成を迎えました。ピンクの上にオフホワイト色を何層も重ねてほのかに湧き上がるようなピンクを目指します。ちなみに淡くする前はこんなピンク。なんど見てもすさまじい色ですが。どの程度の色味にするか、絵を入れて確認しうむ、程よい色になりました。純金箔は艶消しにして仕上がりです。当初は赤味の無いクリーム色にするつもりでしたが、打ち合わせ時にお客様が「ピンクが合う
そしてとうとう2018年も師走を迎えました。先人たちが「人生はあっという間」との言葉をたくさん残していますけれどいやまったく、その通りでございますね。今年も「小さい小さい絵」展に出品いたします。テンペラ画模写を4枚準備いたしました。池袋東武百貨店にて12月20日(木)から12月26日(水)までの1週間です。お近くにお越しの際にお立ち寄り頂けましたら幸いです。どうぞよろしくお願い申し上げます。池袋東武百貨店催事場カレンダー
彫刻作業を終え、完成したegg&dartも本体に取り付けました。今日はボローニャ石膏を塗る準備をいたします。木地に「下ニカワ」といって目止めの兎ニカワを塗りますが今回は並行して亀裂防止の麻布も貼ります。この祭壇型額縁の木地は、横から見ると何層も木材を重ねて土台、柱、装飾を作ってあります。このまま石膏を塗るとおそらく木材の境目に亀裂が入ることでしょう。それを少しでも少なくするために石膏の前に粗い麻布を兎ニカワで貼ります。木材が湿度で動いても、石膏に出る影
ボローニャ石膏の作業で気になる失敗のひとつは気泡です。石膏地に気泡の跡(ピンホール)が残ると金箔を磨き終えてもブツブツが残ります。石膏液の気泡を抜くこと、そして塗った面に上がってくる気泡をいかに消すか、長い間の悩みの種でした。先日、アメリカで活躍しておられる金箔師チャールズ・ダグラスさんが気泡を退治する処方を教えて下さいました。処方の石膏液をいつもと同じように木地に塗ると表面がいつもよりツルンと光っているようです。乾燥後にも気泡が見当たりません。この方法
今日からいよいよ本体を手がけます。イオニア風の柱、上部の渦巻きを彫りましょう。トレーシングペーパーで作った下描きをカーボン紙で写します。いつも通りです。彫り彫り。となりにモデルの写真を置いて確認します。もう少し垂直方向に深いですね。さらに彫りすすめます。さてと。左右がおおよそ彫れてきたところで同じ深さ、バランスになっているか確認します。egg&dartも仮留めして見てみます。ふむ。もう少し細かい調整が必要ですが、ひとまず木地はかたちに
サンソヴィーノチャレンジは地味に続いております。間があいてしまいましたが先日とうとう「金箔を貼るか貼らないか問題」に結論をだし、金箔予定部分に石膏を塗りました。そしてようやく石膏を磨き始めたのですが。結論は「金箔は部分的に貼る」なのでした。上の写真、白い部分が金箔になる予定。これまた安易な決着でございます。ハハハ。安易なうえに石膏層が薄すぎたことが発覚、さらには石膏塗り忘れ部分も発覚。なんともかんとも。「心ここにあらず」が丸わかりですね。片手間でつくる
「あなたはなぜ額縁を作るのですか」「あなたにとって額縁とは何ですか」と訊ねられて、はて。何と答えるべきか。訊ねた方はきっと「運命の出会いだったのです」「額縁こそがわたしの人生です」というような答えを想像されていたような気がします。たしかにわたしはブログでも自作の額縁を「娘たち」などとお話しますが、これはまぁ、方便と言いましょうか、とても大切に身近に思っているという表現のつもりです。さて、質問のこたえに戻りまして、わたしにとっての額縁とは「とても好
下描きをした半カマボコ形の竿をegg&dartのデザインで彫りましょう。私が使っている彫刻刀はスイスのpfeil社のものです。ステンレスの長い刃に木製の柄で、鑿(のみ)のように木槌で打つことができます。デザインのカーブに合った刀で溝を打ち、そして彫り進めていきます。頭の中に、正面や斜め、真横など様々な角度の3Dで完成したイメージをインプットしておき、それに近づけて削ぎ取っていく、という感じです。上下と両脇、あわせて6面分のegg&dart彫り終えてペーパ
豊平館でのドレスのお披露目会ソウタシエの宴開催から早1週間以上経ってしまったのにブログでご報告できておりませんでした💦💦💦開催当日、午前中は豪雨に見舞われ搬入にも一苦労💧なんでこんな大事な日にー😣って思いましたが11時半の開場のあとウソのように晴れました☀️そして、13時からのドレスショーには会場に入りきらないくらいのお客様が駆けつけてくださいました✨感動してしまって、ショーのB
先日、チャコペーパーで下描きを写し石膏盛上げ(パスティリア)を入れた額縁に金箔を貼り、磨きました。そして、色を塗ります。あ、もしかして嫌な顔をなさいましたか。なんて悪趣味なピンク色だ、と思われましたね。もうしばらくお待ちくださいこれから色を上に重ねますから!つや消し金と淡いピンクになる予定でございます。
昨年のクリスマスに完成したOさんの祭壇型額縁に、聖母子像が納まりました。今年の1月、フィリッポ・リッピの聖母子像の模写準備を開始しました。ボローニャ石膏を塗った板に下描きをしてマスキングテープを貼り、金箔を貼ります。卵黄メデュームを作り顔料を溶いてテンペラ絵の具で模写をすすめます。5月から彩色をはじめ、途中すこし額縁彫刻をしてみたりしつつもすこしずつ完成に近づけていきました。そうして10月のおわり間近になった先日、とうとう模写も完成し、額装しました
額縁に模様を入れるとき、まずはトレーシングペーパーで下絵を作りこれを額縁の石膏地に転写します。いままではカーボン紙を使っていましたがどうも線が濃く残りすぎて、不便なのです。上に薄い色を塗るときなど、いつまでもカーボンの黒々とした線が透けてしまう。トレーシングペーパーの裏に鉛筆を塗りつけて転写すると、周囲も汚れがち。どうしたものか。先日、引出しを片づけていたら(「ものを減らそうキャンペーン」は継続中、と言いますか、生涯続く予定・・・)水色のチャコペーパーが
今回の祭壇型額縁は、上部と下部の2か所に帯状に彫刻装飾が入ります。まずはこの彫刻から作業開始です。デザインはegg&dartという古典的なもの。まるい卵と尖った矢が交互に並ぶデザインです。「CARVINGARCHITECTURALDETAILINWOOD」よりいにしえのギリシャ神殿にも使われているようないわばオーソドックスなデザインですがそれだけにバリエーションも沢山あります。今回のegg&dartは、2cm幅の半カマボコ形の竿に入れますの
先日、とある方に「金箔がきれいに仕上がらない、どうしたら上手にできるようになるかなにかアドバイスをしてほしい」とのご相談を受けました。その時はうまく答えられず、ここ数日考えてみました。効率的な作業のコツなどもあるけれど、それは些細なこと。結局のところ、心の持ち方あきらめない我慢する「まぁいいか」の2歩先へなのではないかと思います。自分との闘い、とも言えるでしょうか。古典技法額縁の制作でいえば、当然ながら木地作りから完成の美しさを左右します。余計な段差
1年近い準備期間を経て開催されたAtelierLAPISの展覧会も、始まってみるとあっという間の1週間でした。展覧会をご覧くださったみなさまへ、この場で恐縮ですがお礼申し上げます。ありがとうございました。ふだんはアトリエで作って完成を一緒に喜び祝い後はご自宅で楽しむという生徒さんが大半ですが、展覧会という発表の場に出品するにあたり制作に対する情熱もいつも以上だった気がします。月曜、火曜と土曜の生徒さん方の作品が一同に集まっている展示ですので、皆さんそれ
イベントの告知動画ができあがりました!素敵に作っていただいて、ありがとうございます(≧▽≦)https://youtu.be/90XnwVmMYLY