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日本とイタリア、伝統を大切にするのは同じでも金箔の規格サイズが違います。とても小さなことだけど、わたしには大問題。わたしが箔置きに使う道具はイタリア規格ですがなにせ日本の金箔はイタリアの金箔より2cm近くも大きいのですから。イタリアの金箔1枚の幅に合わせた箔刷毛は(箔を移動させる刷毛。日本の箔挟みの代わり)日本の金箔1枚には小さいし、半分には大きい。なので、日本の金箔半分サイズに合わせて切っちまいます。▲柔らかく弾力のある毛が厚紙の台紙に挟まれている。リスの一
久しぶりになりましたがAtelierLAPISの生徒さん作品をご紹介します。2018年から少しずつすすめていた花輪の額縁です。カマボコ型(半円)の木地は思った以上にボリュームがあって本の写真からだけでは側面がわからず悩む・・・ですが努力のかいのある美しい額縁が完成しましたよ。アトリエの他の生徒さん方からも称賛の声!入り組んだ部分の金箔作業は大変だったことでしょう!すこしだけ磨り出しをして金の美しさを保って完成としました。しばらく
イタリア留学から帰ってきたばかりのころまだ彫刻はあまりしていなくて角にすこしだけ、で作った額縁が花彫刻「fiore-1」です。思い入れのあるデザインです。花彫刻に新しいシリーズが加わりました。fiore-4でございます。全面純金箔のつや消し仕上げです。19世紀フランスで描かれた作品を額装します。当時流行していたネオルネッサンス様式で見られる刻み模様(歯模様)を入れました。ボーロも今回は赤色ではなく茶色にしました。ほんのすこしの磨り出しをして汚し加
古典技法ではニカワ、石膏液箔下のボーロなど、とにかく湯煎します。キッチンやら作業部屋のコイル式電熱器を使っておりましたが、キッチンは汚したくないし、電熱器は時間がかかる。なんだか上手くいかない・・・でしたが。とうとう最終兵器を見つけました。商品名は「おりょうりケトルちょい鍋」この間に発売された電気鍋です。ずいぶん人気のようで、入荷するまでしばらく待たされてしまいました。直径18センチ、深さ7センチほどとわたしの湯煎作業に最適な大きさで、何が素晴らしい使って40
ほぼ1年がかりでガサゴソと作ったサンソヴィーノ額縁はこれにて完成といたします。うず巻きの角度が釈然としない。シャープさが足りない・・・。サンソヴィーノ額縁と名のるには躊躇いたしますのでひとまず「サンソヴィーノ風GustoSansovinesco」とさせて頂こうと存じます・・・。真鍮の特製金具を取付けました。丸い金具がぴょこんとのぞく姿はやはり愛らしくて気に入っています。それにしてもキョーレツな額縁です。サンプルとしても持て余す予感であります・
パオラは骨董市や工房に訪ねてくる業者から古くて良い作りだけど壊れている額縁を手に入れて、修復して販売もしています。わたしが行ったとき、お店には修復が終わったばかりの額縁があったのですが気になって気になって。迷った挙句に売ってもらうことにしました。わたしにとってはなかなかの出費でしたけれど古いものとは出会いが大切です。逃せば2度と会えませんから。17世紀風のデザインですが、作られたのは20世紀初頭の額縁ですのでさほど古くありません。なんだかとても「イタリアっ
HAさんの刻印額縁が完成しました。制作中、この額縁のニックネームはいちごちゃん。刻印の間隔と大きさが苺の種みたい!とHAさんがおっしゃるのです。1度そう思うと、もう苺にしか見えないという暗示にかかってしまいそうでした。でも古色を付けて完成してみたらもういちごちゃんではありません。貴婦人のような額縁になりました。HAさん、優雅な額縁を完成させてくださりありがとうございました。AtelierLAPIS
昨年暮にAtelierLAPISにご入会くださったAさんとはじめてお目にかかったときのこと。古典技法の本場である欧州ご出身のAさんが日本で日本人から古典技法額縁制作を教わる・・・Aさんがご見学に来て下さったとき、わたしは「日本で日本人から古典技法額縁制作を習うのは嫌じゃありませんか」と聞いたのです。そのことについてAさんは「日本人だからって日本の文化すべてを知っている訳でもないでしょう?欧州人皆が古典技法額縁に詳しいわけでも興味を持っているわけでもないのと同じ。
ずいぶんと間が空いてしまいましたがAtelierLAPISの様子をお伝えいたします。Aさんのはじめての古典技法による額縁です。昨年12月ご入会からとても精力的に制作されて2か月半という猛スピードで第一作目を完成なさいました。木地にボローニャ石膏、ベネチアンレッドと黒のアクリルグアッシュで着色モルデンテで純金箔ミッショーネ装飾艶あり仕上げ今回は古色付けはせず、美しく輝く額縁に仕立てました。縁の黒と金の縞模様はイタリアの街シエナで作られていた額縁
つくづく、古典技法の金箔作業はたのしくてたのしくて頼まれもしない目的もないものをガサゴソと作っております。この小箱も毎週月曜日、AtelierLAPISでの古典技法の講師の時間に作業を続けました。60×52×33mmの、ほんの手のひらサイズです。デザインは昨年秋にフィレンツェで観たジェンティーレ・ダ・ファブリアーノの黄金背景テンペラ画が納められている額縁から。15世紀初めころのイメージです。ぱかっ今回は初の試み、箱内に別珍を貼りました。ちょっとシワ
東急百貨店吉祥寺店での「手のひらサイズの小さい絵展」はお蔭さまで無事終了いたしました。お越しくださった皆様ありがとうございました。またお買い上げを賜りありがとうございました。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・フィレンツェの古典技法額縁制作は分業体制になっていて、おおよそ木地(指物師)、彫刻、金箔から仕上げの3種の職人さんで成り立っています。パオラとマッシモの工房は「額縁店」ですのでお客様がいらして打ち合わせをするプロデューサー。木地屋さんに竿を発注、それを
ブログ、時代遅れなのですかね。今はさまざまなSNSがあって手軽に情報発信ができるけれど。写真だけでは伝えきれないこともあるしわたしには140文字では足りないのです。「diario」日記と称しながらも手紙のようなこのブログは、まだここで続けていこうと思います。ご覧くださってありがとうございます。
長々と古色についてのひとりごとをお聞かせつづけてまいりましたが、この祭壇型額縁で「今のところの結論」として決着を付けようと考えております。この額縁には、19世紀イギリスの新古典主義時代の作品を模写した油彩画が納められる予定です。200年弱前の作品(模写とはいえとても精巧)が納まるべき額縁、どのような古色が相応しいだろう。イタリア、メディチ家の額縁との違いはなんだろう。資料を参考にし、記憶をたどりました。200年は長い時間だけれど、額縁にとってはそれほど長くはない
さぁ、祭壇型額縁の金箔作業もようやく大詰め、終わりに来ました。金箔を置き、繕いもして磨きました。全面をくまなく見て、ううむ。ここ、どうだろう。箔の仕上がりが釈然としない部分があります。なんだか薄い、というか軽すぎる感じ。重厚なデザインで平らな面と凹凸のある面が並んでいるような額縁では平らな面の箔の仕上がりがより目立ちます。ですのでもう一度、箔を置きます。今回は下の棚部分、上部の平面部分、そして柱の土台部分、いずれも平らな面に金箔を2枚かさねに置きまし
額縁工房に通いつつも、やはり美術館に行かずにはおられませぬ。額縁工房からもほど近いホーン美術館へ。イギリス人美術評論家であり美術商だったホーンさんのコレクションを基に作られたこぢんまりとした美術館ですが、聞きしに勝る充実でしたよ。▲静謐なエントランス。期待が膨らみます。まずはやはりこの美術館の宝物であるジョットの「聖ステパノ」から。発色、聖ステパノの表情にも惹きつけられますが背景の金、そして石膏盛上げ(パスティリア)や刻印による繊細な装飾に目は釘づけでした
ひとまず金箔を置き終わりましたがこれでお終いではありませぬ。箔の破れやピンホールに箔を置く繕い作業が待っています。この作業もまた、完成度を左右する大切な作業なのでございます。よく研いだ箔ナイフを準備して金箔をこまかく切り刻みます。細い丸筆を2本用意し、左手には水を塗るための筆を持ち、右手には箔を取り上げて移動させる筆を持ち、いざはじまりです。左手で水を置いたら右手で箔片を置く。この流れ作業をえんえんとおこないます。以前、繕うときは頭の中で「やーい
2016年に作った帆立貝のタベルナーコロはAtelierLAPISの筒井先生と生徒さんがキットで販売して下さったものを制作しました。その後、お客様からのご注文も頂いて先日またひとつ完成しました。古色考察のさいにもご覧に入れた額縁、左が新しいもの、右が2016年のものです。ふたご。最近の熱中案件「古色付け」は以前のものより磨り出しや打ち傷作りは控えめにして、汚しも減らしました。メディチ家はまだまだ遠いけれど・・・グレーのベールがかかったような金箔すこし近づ
先日ご覧いただいた彫刻用の木槌はじつは2本作ってもらったのでした。重いのと軽いの。使い分けができます。その重い方に金箔を貼ってみました。祭壇型額縁の作業中ですが、ちょっと遊び。ひとまず金箔を磨いただけですけれど。わー、かわいーい。もう完全に自己満足の世界でございます。ムダな装飾?いえいえ、そんなことはありません。古典技法の額縁制作もそうですが木彫にもさまざまな道具が使われます。日々使う道具ですので、徐々に手になじんで自分の分身のような、手の延長のような
イタリア留学から帰国してすぐ、日本の額縁制作に携わる方々をお話をしたとき金箔を貼ることを「箔を置く」と仰っていたのに驚いたことを思い出します。ほかの業界でなんと言うか不勉強ですが絵画の世界では、箔は貼ると言うような。とにもかくにも、祭壇型額縁に「箔置き」です。不規則な形の額縁ですが、作業開始はいつもの通りに一番高い場所からです。というわけで、屋根部分から置き始め。egg&dartの彫刻部分や柱のみぞそして四角の連なり模様(tooth)には箔を入れるの
ようやく磨き終えた石膏地にボーロ(箔下とのこ)を塗ります。ボーロはとても大切な下地剤です。これが塗ってあるからこそ箔を水で置ける(貼れる)そしてメノウで磨けるのですから古典技法では欠かせません。魚ニカワ1枚を前日の夜に250㏄の水に入れておきふやかしたものを翌朝に湯煎でとかします。この魚ニカワでボーロを溶きます。さて、まず彫刻、つまり凹凸のある部分に黄色ボーロを塗りましょう。そして彫刻の凸部分とその他の平らな部分にのみ赤ボーロを塗ります。ボーロ層
もうお忘れかと思いますが、サンソヴィーノ額縁の制作は続いております。「いい加減に終わらせなさい!」とのお声が聞こえてくるようですのでそして今年のKANESEIスローガン「スピードアップ」に則りまして迅速に完成させる意気込みでございます。という訳でして、ようやく金箔です。この額縁は彫刻が入り組んでいますし箔は部分的に置きますので面倒な様に感じますが、箔部分は平らな面が多く帯状ですから唸らずに箔置きが出来ます。次回は箔をメノウで磨きあげたピカピカ
わたしが日々使っている彫刻刀はスイスのpfeil社製のシリーズで、木槌で打って使えるのが特徴です。いままで日本の木槌(キヅチ)、いわゆるカナヅチと同じ形状で木製のものを使っていたのですが、ようやくヨーロッパで彫刻に使われている縦型と言うのでしょうか、そんな木槌を手に入れました。下の写真は左がAtelierLAPISにある筒井先生が揃えてくださったpfeil社の木槌、右は作ってもらったわたしの木槌です。ずいぶん前からLAPISにあることは知っていま
ここのところお話しつづけております古色、アンティーク風の仕上げについてしつこく考えている・・・といいますかふとした時に思い出し続けています。「もう古色話は飽きました」とおっしゃるのも重々承知なのですけれども、これで最後おつきあいくださいませ。メディチ家所蔵の豪華絢爛な額縁は500年経っても壊れていないし汚れていない。金はうつくしく磨き上げて完成されていていまもその状態が保たれています。ずいぶん前から気になっていたことに「古色仕上げは昔からあったのか」なのですが
ボローニャ石膏を塗り終えしっかり乾燥させたら、次の作業石膏を紙やすりで磨きます。これはもう、ひたすらがんばるしかありません。コツと言えるほどではありませんけれど、あらゆる方向から確認して磨き残しを作らないこと、そのためにランプで斜めの光を当ててみること、紙やすりは使いやすい物を準備してケチらず使うこと。スクレーパーや金ヤスリ、当て木など臨機応変に使い分けること。マスクと髪をおおう物、場合によってはゴム手袋なども使って身体を守ること。石膏磨きは古典技
この本は先日「古色再考つづき」でお話したときに参考にした本です。メディチ家所蔵の額縁を紹介しています。現在ピッティ宮殿内にある銀器博物館の一室が「SaladelleCornici」(額縁室)として一般公開されており、その所蔵品がメインに取り上げられているようです。1500年代初め、コジモ1世からはじまり1700年代初頭フェルディナンド3世の時代までを紹介しつつ、額縁と額装されている作品も同時に見ることができます。▲ラファエロの女性の肖像。絵は本
フィレンツェの下町にあるパオラの額縁工房は、なんと言いましょうか片付いていません。サンプルとして展示されている額縁はちょっと傾いていたりするし、床もカウンターもなにやら物だらけです。ホコリを被った彫刻サンプルが転がっていたり、制作途中の木地と書類が一緒に山積みだったり。それなのに額縁と関係ない物は一切置いていない不思議。パオラ曰く「この雰囲気に誘われてお客さんが来るのよ。窓から眺めて、作業している様子がある方が通りかかった人も入りやすいからね。キッチリ片付い
フィレンツェの古書店をめぐって手に入れた本、1500~1600年代のイタリアの額縁を集めた額縁本をぱらぱらと眺めていました。この本はメディチ家所蔵だった額縁を集めていますからとにかく豪華絢爛、当時の最高の技術と材料で作られた額縁ばかりが掲載されています。はたと気づきました。「思ったよりずっとキレイ。」(ああ、どうか「いまさら?」とはおっしゃらないでください!)すこしの擦れと、たまに虫食いの小さな穴木地の接合部分に割れや小さな欠けはあるけれど金箔はどこまでも、隅
あけましておめでとうございます。とうとうまた新しい年がはじまりました。ことし1年はどのように過ごすご予定ですか。2018年末からの体調不良で我が家の定例行事である鎌倉詣もできず鼻詰りでボンヤリと作ったお節料理はなんだか味が濃かったり薄かったり。2019年のはじまりは釈然としませんがこの不調が2019年の厄落としということにしてシャキッと復活を誓う元旦でございます。今年のお雑煮は奮発して鴨出汁です。丸餅に輪切り大根、細切りのごぼうと人参亀甲の里芋と小
明けましておめでとうございます昨年はクラウドファンディングから始まり、地域クラウド交流会の起業家プレゼンやドレスのお披露目会『ソウタシエの宴』開催その告知に関するラジオ出演(3回も!)そして、ボジョレークイーンコンテストの出場そのあとにさっぽろ東急百貨店でのPOPUPショップの出店と様々なご縁から新しいチャレンジをさせていただく年でした✨本当にご縁に助けられた年だなぁと思います。関わってくださった全て
旧年中はありがとうございました。新春を迎え皆様のご多幸をお祈り申し上げますと共に本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。平成30年元旦KANESEI