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昨年か一昨年か・・・TAさんが彫り上げたアカンサスの額縁木地ですがいつの間にやらご自宅で金箔を仕上げて先日アトリエで披露してくださいました。彫刻の凹凸、すみずみまできっちりと金箔が入っています。時間を置いて丁寧になんども箔置きをして、きっちり磨かれた金箔はまばゆくてMIさん、IMさんの額縁にひきつづき古色仕上げはひとまず先送りに。この額縁に納める作品に合わせて古色の風合いを決めても遅くありませんから。皆さんの腕前にわたしは戦々恐々しつつも、額
卵黄テンペラで模写をしています。ギルランダイオの若い女性の肖像。以前は見本となる原画をカラーコピーでサイズさまざま準備しましたが最近はタブレットひとつです。印刷物より細部がとても良く見えますし拡大も思いのままに。なんと便利な時代になったことか。ルネサンス時代の古い技法で描くために21世紀の道具を使うのです。わたしにとってはまさに新旧の良いとこ取り。ギルランダイオ、そしてレオナルド・ダ・ヴィンチに500年後の現代を案内できたら・・・きっと驚き楽しむの
箔仕事の大敵は風です。なにせ金箔は鼻息でも飛んでしまいますから。真夏の箔置きとなりますと当然ながら扇風機はもっての外、エアコンも止めねばならない訳でして、でも金箔に水分はこれまた大敵ですので汗を滴らせる訳にもいきません。部屋と自分を強烈に冷やしてからエアコンを止め、ささっと箔置き。湧き出す汗とジリジリ上がる室温に耐えられなくなったら箔を隠してからエアコンをつけて・・・普段の倍の時間をかけてしまう。どうしたものか。秋が恋しい日々でございます。
遠くから通って下さっているIMさんは油彩古典技法のプロフェッショナルでいらっしゃいますが、ご自身の作品額装のために月に1度アトリエに来て下さっています。緻密で、そして追求の集中力にはわたしも尊敬の念を抱いているIMさんが丹精込めた額縁が完成しました。ここまでの完成度、脱帽です。ボローニャ石膏を塗り磨く作業をはじめ、レリーフの高さ、刻印の正確さ、箔の輝きどれだけの労力と時間を費やされたことか。お家でも地道に急がず少しずつ進められた成果。疲れたら無理に続けない
額縁の四角い形は4本の棒状の木材を組んで作りますので角をボンド等で接着する必要があります。(他の補強ももちろんしますが。)その接合部分にボローニャ石膏など下地剤を塗り乾かすと、多くの場合亀裂が入ってしまうのです。留め切れ、と呼ばれています。材木は湿度で伸縮しますしニカワ液も石膏液も水性ですから乾くときのスピード、水分濃度、木材の乾燥度やクセでひび割れが出るのは仕方がない。だけど。これはとても困ることが多いのです。一旦ひび割れた石膏は、亀裂を埋めても(エ
久しぶりになりましたatelierLAPIS生徒さんの完成作品ご紹介です。MIさんの模写と額縁、とうとう完成しました。真鍮プレートをカットして書き込んだタグプレートを取付けます。狭いスペースで滑るので慎重に。さぁ、出来上がりです。このプレートの存在で作品がぱしっと絞まりました。美しく磨き上げた金箔は、あまりに美しく古色を付けるのを中止するほどです。模写もぐんぐん上達しました。金箔の永遠の輝きとメディチ家の食卓を飾ったフルーツの模写を、どうぞ
まるい板に黄金背景テンペラで満開のチューリップを模写をしました。天気が良くて乾燥している日を狙ってニスを塗って、完成です。ちいさな板の側面にも箔を貼りたい、そんな時には持ち手の棒を取付けます。真上からの照明で金箔を撮影するのは難しいです・・・。さて、どんな額縁に入れましょうか。透明アクリルのボックスなどシンプルな箱に納めてしまうのも側面が見られて良さそうです。でもやっぱり・・・クラシカルな額縁に入れた方が無難でしょうか。迷います!
相変わらず隙間時間に彫り進めたサンソヴィーノ額縁はひとまず彫り終わりましたが、さて。次なる装飾をどう進めるか。正統派サンソヴィーノ額縁は全面に石膏を塗り、金箔または金箔と褐色の組み合わせで装飾されてかなり豪華できらびやかなものが多いのです。金と黒は前回の額縁と同じになるし褐色の彩色はあまり好みでない。全面金箔はちょっと強烈だし(お財布にも強烈)白木の状態ですでにコッテリ派手派手。これを金箔仕上げにしたら・・・ううむ。ここは邪道に木地仕上げにしちゃおう
しばらく時間が空きましたがいよいよ仕上げです。ピカピカの金と塗りたての黒。これも悪くは無いでしょうけれどわたしはアンティークな雰囲気が好きなので今回もいつものように古色仕上げにします。手順は、①打ち出し②磨り出し③汚し付けで完成とします。まず、木槌で打って傷を付けます。角や凸を打ちますが、強弱をつけて打ち跡が並ばないようランダムに打ちます。石膏が割れて白くなっても木地が少々見えてもそれはそれで良しとします。掛け替えや移動のときに落としたりぶつけた感じをイメージ
作っていますサンソヴィーノ。なにせ彫りが深いので木づちをふりまわして右腕が鍛えられた気がします。いつものことですが、木地の形が(自分で設計したのに)そもそも違うのでオリジナルよりロールの高さが足りませんがそこはまぁ、可能な範囲で善処ということで。いや、それにしても難しい・・・
この額縁を作ったのはいつだったか・・・忘れられていた額縁第2弾からしばらくぶり、忘れられていた額縁第3弾です。おそらく第2弾のブコの額縁と近い頃だと思います。「works」ページにあるvenezia-1を作ってデザインを少し変えて銀箔にして・・・という感じで作った記憶。名前は「銀白」とつけていました。銀箔のうえに白をベールのようにかけて銀の輝きがソフトになっています。半艶消し、古色はつけませんでした。お客様のもとに渡り、もはや見ることも叶いませんがこう
先日、知人との会話で「修復には度胸が必要でしょう?」と言われました。そうですね、修復処置をすべき額縁は自分が作ったものではなく、多くの場合は自分の持ち物でもない古いもの。「代わりの物」は存在しません。それに刃物を入れたり液体を塗ったり様々手を入れなくてはいけない。「さぁ始めるぞ」と言うとき、最初の一手には、あるいはちいさな度胸が要るかもしれません。でも、着手する前には念入りに調査し、計画を立て、シミュレーションもして、脳内リハーサルもしてしばらく考えて・
ボローニャ石膏地に部分的に金箔を置いてさらに色を塗る場合、どんな色材を使いましょうか。フィレンツェの師匠マッシモ氏は水彩絵の具を使っています。わたしは水彩、卵黄テンペラを使う場合もありますが今回はアクリルグアッシユにします。完成色は黒の予定ですが、まず下色から。ベネチアンレッドとローアンバーの混色、つまりは赤色ボーロの様な色です。入り組んでいるので細い丸筆で塗りました。箔に絵の具が付いてしまってもその日のうちなら取り除けます。赤茶色が乾いたら黒を重ねます。
色々な本を開いて資料を探していたのですが久しぶりに見たこの額縁、やはりなんど見ても一瞬驚いてしまいます。というのも、これです。表面の金箔の上に直接、整理番号が記入されています。こちらも。なぜ。なにゆえここに書き込むのでしょうか。まさか油性ペンではないとは思いますけれど。この額縁、展示するという本来の用途の予定は無く、もはや資料としてだけの額縁なのでしょうか。整理番号、必要ですからね。額縁の裏側に、紙のラベルを水性の糊で貼りつけてくれたらどんなに良
こうして「額縁の作り方」なんて言っておこがましくガサガサ書いておりますけれど興味を持ってくださっている方はいらっしゃるのでしょうか。・・・めげずにつづけます。何せdiario「日記」ですからね!開き直り気味です。さて、凹凸に金箔を置いて繕いもして磨き終えました。はみ出した金箔はコットンや柔らかい筆で払い取りましたが、取りきれませんでした。次は色を塗る作業がつづきます。下の写真、白い部分です。ここでまた例の疑問が再燃してきます。ボーロや箔を色で塗りつ
NAKさんの初・古典技法額縁が完成しました。2017年の初夏にご入会、そして隔週で地道な作業をつづけ時には宿題でメノウ磨きをこなし、さらには箔板作りをしてみたり、はたまたイタリア旅行にお出かけして本場の額縁をじっくりご覧になったりしつつ完成にたどり着きました。はじめての作業ばかりでびっくり恐々の開始でしたが、最後の頃にはもう筆さばきもメノウ磨きもすっかり慣れてわたしも安心して見守ることができました。おこがましい発言ではありますが、ひたむきに作
こんにちは。ホッと、キュンと、心包む。らのららくステンドグラス工房のあいこです。先日ご紹介したシャガール『平和』の模写パネル。⇒【ステンドグラス制作実績】シャガール『平和』絵付けパネル今回は、その絵付け作業についてご紹介しましょう。原画は、シャガール展の図録に掲載されていたものだと記憶しているのですが探してみましたが見当たりませんでした。どこ行ったー?!今回は絵付け作業のみご紹介しますが、この作業に入る前に・製図・型紙づくり・ガラス選び・ガラス
こんにちは。ホッと、キュンと、心包む。らのららくステンドグラス工房のあいこです。現在私のプロフィール画像として使用しているステンドグラスをご紹介します。シャガール『平和』の模写パネル。絵付けを施したステンドグラスです。制作したのは2003年。ずいぶん前のことです。大好きなシャガールの展覧会図録を眺めていたら急に作りたい衝動にかられて一気に作り上げた作品です。「一気に」と言いましたが、1日では完成しません。絵付けの作業は、段階を踏んで少しずつ少し
みんなの学び場美術館館長日下育子です。今日は素敵な作家を紹介いたします。画家の外澤こう(そとざわこう)さんです。外澤こうさん日本画家の岡田昌平さんからのリレーでご登場頂きます。岡田昌平さん第1回第2回外澤こうさん第1回目第2回の今日は、外澤こうさんの制作のターニングポイントとなった作品「考」、ほか数点の制作の思いをお聞かせいただきました。また、社会との接点、「あなたにとってアートとは?」についてお話をうかがいました。どうぞお楽しみ下さい。
先日ご覧いただいた彫刻木地にボローニャ石膏を塗りました。今回のように彫刻で凹凸がある場合平面やちょっとした曲面に塗るときとはすこし勝手が違います。いつものように塗ると凹部分に石膏液が溜り彫刻を美しく表現するのがなかなか難しい。ではどのようにするか?今回ご紹介する塗り方も、わたし個人の経験からのお話ですので、参考程度にお聞きください。少々薄い石膏液を作るところから始めます。いつものニカワ液(水10:兎膠1)に石膏をふり入れて石膏液を作りますがいつもの石膏液よりも6~8
先日ご覧いただいた和柄の引出しツマミはほかのツマミ一族とともに小箱に納まりました。わたしの宝物、タンブリッジウェアの小箱こっそり開けるとツマミのサンプルが12個。数年前にもご紹介したのですけれどまた見て頂きたくて登場させました。和柄ツマミで箱も満席です。小さい箱に小さいものがぎっしり。ニヤニヤしながら眺めています。
ひさしぶりにツマミを作りました。ツマミ、お酒の肴ではありません引出しの取っ手のツマミです。転がってしまうので箱にいれて写真を撮りました。木地にボローニャ石膏、赤色ボーロ、そして純金箔の水押し、メノウ磨き。梅と菊、竹の線刻模様が入っています。艶消し仕上げです。このデザインは着物の模様集本から採りました。明治時代の和洋折衷のお屋敷にある奥さまの小箪笥についている・・・というイメージ。いかがでしょうか。「works」ページ内「other」にアップい
LAPIS自慢の桜の借景が楽しい春がやって来ました。そして、約2年半をかけて制作したMAさんの額縁と古典技法見本板8枚が完成しました。額縁制作会社にお勤めで日々額縁木地を作っておられるMAさんですので、手先はとても器用、そして根気と集中力はさすがです。はじめて古典技法で、2015年の秋からまずは額縁つくりから開始しました。そして様々な技法を小さな1枚の板に作っていわば「古典技法サンプル」が完成しました。一通りの技法を経験して、好きな技法も見
金箔を水押しで貼り終えたら小さな穴や破れを繕います。わたしは「つくろい」と言いますがつまり小さな箔片で穴うめをします。箔板に数ミリ角の箔片をたくさん切って準備し、左手には水用の筆、右手には箔を運ぶ筆を持つと両手使いで「穴に水を置き箔を乗せる」という一連の流れがスムーズに進みます。イタリア留学時代、額縁師匠マッシモ氏にある朝“Allora,faiaitopi.”と言われました。「ネズミをしなさい」?しばし考えて「金箔の繕いをしなさい」と気づきました。Topo
このところLAPISの生徒さんの間で古典技法の箔作業では欠かせない道具である箔板(箔盤、箔床、箔台、色々な呼び名。金箔等を切るクッション状の台です。)を作ることが流行っています。作っている生徒さんの様子を見て他の皆さんも作りたい!となるようです。これはとても嬉しいことです。制作は自分の世界にこもりがちになるもの。おおいに他の人からの影響を受けて興味の幅を広げて頂きたい、LAPISを切磋琢磨する場にして頂きたい!と思っています。さて、今回はNAKさんの箔板です。こち
丸いものと四角いものを同時進行で作っています。小箱と引出しのツマミです。木地はどちらも市販のもの。今回はKANESEIにはめずらしく和風の模様を入れることにしました。デザインは「日本の模様第一集」青幻社より。石膏を塗り磨いた小箱とツマミに模様を転写したらニードルで線刻します。赤色ボーロを塗って純金箔を水押ししたらメノウ棒で磨きつつ、線刻のラインも細いメノウでなぞり磨きます。磨き終わりました。金箔がきらきら。和柄初挑戦でしたが、新鮮
ちいさな額縁が完成しました。全面に金箔を貼り、刻印で模様を入れました。磨り出しをして艶消し仕上げです。今回はワックスのアンティーク仕上げにはしていません。先日模写したフラ・アンジェリコの受胎告知からのテンペラ部分模写をいれます。両手のひらに乗るくらいの小さな額縁ですがこのくらいのサイズは座り込んでじっくりとコーヒーなど片手に作れますので冬の寒い時期にちょうど良い制作でした。「works」内「classical」にこちらの額縁をアップいたし
プロジェクト公開から3日目をむかえました。初日からご支援くださった方々もいらっしゃり、感激しております。ありがとうございます!せっかくなので、プロジェクトページには書かれていなかったブランド名に込めた想いについて書こうと思いました。写真:ZentaKashimoto私のブランド名はhaatelier(エイチエーアトリエ)といいます。haには私の名前であるはるかの“は“からも由来しておりますが実は呼吸の“は~”という音からも由来して
あとしばらくしたらコンピューターや機械が人間に代わって多くの仕事をするようになるのですって。古典技法額縁はどうだろう?機械でもきっと作れるようになる。「手仕上げ風」の揺れや趣もつけられるでしょう。でもプログラムを作ってまで大量生産する物でもなし。AIロボットがつくる古典技法額縁ってなんだかとても「上手」で、きっちりと正確なものになりそう。そしてクローンのような古典技法額縁が無人の部屋で喜びも無く生まれたりして?だけど「機械じゃなくて人間が作った額縁」が欲しいと
昨年2017年12月にご紹介したMAさんの箔板作り(箔床、箔台、箔盤、呼び名色々・・・)をISHさんもチャレンジです。材料、手順はMAさんのトピックをご覧頂くとして今回は前回ご紹介しなかった裏の処理を。ガンタッカーで革を板裏に打ち付けたら四隅に余った革をハサミでカットします。革が重なると箔板を机に置いた時に不安定ですし見栄えも良くありませんから、ていねいにカットしましょう。ちなみに、タッカーを板裏ではなくて板の側面に打てば良いじゃない?その方が裏がきれいでし