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黒煙が空高く立ち上り火柱が数箇所であがっていた。想像も出来ない恐ろしいほどの熱気が辺り一面に広がりあらゆるものを溶かし始めていく。呻き声が重奏低音のように道路を覆い、漏れ出た重油の間から焼け爛れた人がソロリソロリと力無く体躯を動かしているのが確認できた。その前には、ぬらりとした血の帯がアスファルトを被せるように敷き詰められていた。痛さと熱さで、のたうちまわる人。ぐったりとなり車内で意識朦朧となっている人。車外に放り出され全身火ダルマで焼け焦げてピクリとも動かな
座席からダッシュボードまで距離があり勢いも手伝って助手席に座っていた僕達は弾丸が飛び出すように弾き飛ばされたと言った方がいいのかもしれない。間一髪、これ以外考えられない最良の落下地点に僕たちは、落下していたのだった。もしこれがコンクリートの硬い所だったら、僕たちは確実に助かっていなかっただろう。不幸中の幸いとは、よくいったものである。車外に放り出された僕たちはガードレールを飛び越え、空中で一回転し側溝よりさらに下にある砂だけで形成された砂場のような傾斜面に足からス
僕たちは、日間賀島へ向かう高速船にのっていた。和樹と二人、甲板に立って海に向かい物思いにふけっていた。船はそんな僕達に構う事無く波しぶきを高く巻きあげ、エンジンの重低音を響かせながら突き進んでいく。先ほど出発した師崎港が段々と遠くになるに従って知多半島が視界の右半分を覆うようになりその全体像が露になった。事故のことがふと頭をよぎる。あまりの衝撃が大きかったため思い浮かべずにはいられない。そっとトラックの運転手を思い、半島に向け合掌してみる。涙が頬を伝
(高架橋の上)高速道路の上を横断する高架橋でモクモクと立ち昇る黒煙を見つめている一人の男。その後、男はきょろきょろと辺りを見回し、誰にも見られていなかったことを確かめると腕に抱えていたライフルをケースに慎重に収め終えたのだった。「へへ。ざまあみろ。」男は何やらそう言うとポケットから携帯電話を取り出しある所へ向け電話をかけ始めた。「もしもし、兄貴?あっ俺っす。はい。はい。そうです。運転手とガキ達は今、始末しました。だからもう大丈夫っす。誰かに目撃されてねえか
「うるせえ~。おれの勝手だ。お前らにとやかく言われたかねえ。いいかぁ~。そもそもだなぁ~・・・」このからみ具合からして、かなり植村は泥酔しているのが見て取れる。僕はお粗末すぎて呆れた素振りをしようとしたまさにその時だった。植村が話し始めようとした次の瞬間、ピシっと鈍い破砕音と共に前方にあったフロントガラスが一瞬にしてバリバリと音をたてて砕けていったのである。バキューン何かが暴発する音が立て続けに2回遠くで聞こえた気がした。一瞬、何が何だかさっぱり訳
ん?地震かな?目覚めた時、そう感じた。ここは、どこ?激しく回転するトルク音。濁った音を奏で、派手に振動しているエンジン音。ようやく事情がつかめた。そうだ、ここはトラックの中だ。今の時刻は?えっと・・・詳しい時刻はわからないが太陽の位置からして、どうやら昼時らしい。それにしても車内の揺れは尋常ではない。体を起こし、車外を見てみる。愛知県という表示板が一瞬ではあるが見えた気がした。しかしこの速度、どう考えても普通では考えられない。中央
植村が、話終える。しばらく沈黙が続くことに・・・周りから聞こえてくるのは、トラックのエンジン音しかない。しかし僕たちの耳には、それが地獄の窯が煮えたぎる慟哭の音にしか聞こえてこなかった。「俺がな。おまえらをこのトラックに乗せようと思ったのはな。お前らにはリストカットした弱い友達がいると聞いたからだ。俺の弟は死にたくないのに誰だかわからねえ奴に殺されて死んでいった。この悔しさがお前らにわかるか?別に本人が死を望んでいたわけでもない。決して本人は死にたくもな
永遠に鳴り止むことのない皮が裂かれ肉片が切り刻まれながら刃物を受け止める音。激しくランダムに降り下ろされるナイフの上下運動。母親と娘、二人のおびただしいほどの血が、フロア全体を血の海と化す。現場はこれ以上のものはないと言うくらいの凄惨さを極めていた。どれくらい時間がたったことだろう?次は母親と娘のいた部屋の隣にある七歳の息子の部屋のドアが開いたのは・・・ギイィー暗闇の中、月光に不気味に青白く照らし出された純白の扉が、ゆっくりゆっくりと人の首でも絞め殺すか
その行動が大男の機嫌を損ねることになってしまったのか急に真顔になってしまう。後ろに隠していた手を自分の体の前に持ってくる。何かはわからなかったが大男の持っていたものが光に照らされ一瞬キラリと光ったのだ。それはナイフだった。ブスリ。鈍い音が家中に響く。突然の出来事。怒ったことによる大男の次なる動作は速かった。手に持っていたナイフは明の頭へと伸びていった。左こめかみを狙った刃渡り30cmのランボーナイフは脳を突き抜け右こめかみへと貫通していき明の
今、ユニクロのCMでサザンの「いつか何処かで」が流れてますよね。懐かしいなぁ~思わず居てもたってもいられずブログを書いてしまいました。この曲が流行っていた時、私は20歳。当時、私はオーストラリアのパースに居ました。オーストラリアでもいろんな所に行きましたが、やはり「パース」が私の中ではオーストラリアの中でも一番好きな場所です。今はもう無いかもしれませんがパースにある「BAYAPARTMENT」という10階立ての建物の6階に住んでいました。
男の身長は2mあった。明はその情景を見てあまりの勢いに圧倒され怯んでしまう。殺される。明の脳裏に浮かぶのはこの言葉ただ一つ。死へのカウントダウンの選択を余儀なくされるのは言うまでもない。でもどうにかしてこの場から逃げたいのが本音である。実行に移したいが膝がガクガクして体がどうにも思うように言う事を聞かない。凍り付いたように動かなくなっている。今まさに絶体絶命。奈落の底へと突き落とされる様、床に大きな穴が開き地獄への入り口が今か今かと待ち構えて
ここは東京にある一軒家俺の弟、明は、一階で前日の仕事の残りを処理するためパソコンに向かっていた時だった。突然、何やら二階で物音がし人の気配を感じ取ると同時にガシャン、パリンッというガラスの割れる音をその時聞いたんだ・・・時計を見ると、午前2時。あれっ?おかしいな?もう妻と子供はとっくに寝たはずなのに。こんな時間まで起きてるなんて「お~い、和美。まだ起きているのか?」呼んでも返事がない。おかしいな?今の物音はなんだったんだろう?推
トラックは首都高から東名高速に乗ろうとしていた。ようやく名古屋、大阪方面に進むことが出来る。進行方向に向け、舵をとれることに僕たちは、ホッと胸を撫で下ろしていた。そんな時だった。「俺の弟がよ~。」いきなりトラックを運転する植村が話しかける。「えっ?」「俺の弟・・・」「・・・」「俺の弟はなあ~。いい奴だったんだよ。」「はい・・・」的を得ず突然話してくるから、とても気を使うし、どう受け答えしていったらいいか、皆目見当もつかない。
とうとうきたか。来るかも知れないとビクビクしながら待っていた悪い知らせ。この運転手のおやじ、僕たちを最初から誘拐して殺す目的で乗せていたんだ。やっぱりそうだったか。どいつもこいつも悪党ばかりだ。さっきは上手く逃げ切れたが今回のケースではもう駄目になる確率が高い。この逃げ場の無い助手席に座らされている状況からして、そんな予感がしていたんだ。1回目の人身売買させられそうになった事といい今回の誘拐殺人といい、なんて僕たちはついてないんだ。結局、僕たち
助手席で凝り固まって身動きも満足に取れずこの死んだように硬直した体をようやく自由にできることがなによりも嬉しいことであったため僕は運転手の質問に対してどもりながらの一つ返事で答えていた。高速道路のパーキングエリアに寄ること。それは今、僕たちに用意されたオアシスのようなものでありいっときの安堵感を与えてくれる楽園のようなものに匹敵する。しばらくの間、休憩できる。そう僕達は思っていた。そうこうしているうちにトラックは、パーキングエリアに入っていく。「じゃあ、五分な。
トラックの助手席に座ること自体、僕たちは初めての経験だった。車内が意外と広いことには驚かされた。椅子は、リクライニングシートになっていて、百八十度倒すことが出来る。また椅子の背後にはカーテンがしかれてあって奥にはスペースがあり、あえてそこで寝ることも可能だった。ジュースホルダーには、飲みかけの缶ビール。ん?まあいい。ここだけの話ってことで、これは見なかったことにする。植村は、さっきの言葉を最後に、ずっと黙ったままである。座席に座っていて、気まずい雰囲
「本当に、いいんですか?」僕は、トラックに近づき、男に話しかけていた。「乗れ。」「お金が、本当にないですよ・・・」「そんなの要らん。とっとと、助手席に乗れ。」「お金なくても、いいですか?」僕は、改めて念を押す。「くどい。お前は本当に行きたいのか?それとも行きたくないのか?どっちなんだ。」「行きたいです。」「だったら、乗れ。」「あ、ありがとうございます。」あくまでも虎視眈々とした男のぶっきらぼうなその態度に僕はあっけにとられる。
男は、そのまま踵を返し帰っていった。「お前ら、どこの坊主だ。なんか見たことのある顔だな。」「すみません。もう2度としません。」すかさず僕は「ヤバイ。バレる。」と思い守衛の注視から逃げるように和樹と二人、工場入り口を後にしたのだった。「おい、待て。」後ろから声が聞こえたが、ここで念入りに調べられて僕達がゴールドキッズであることを思い出されることだけは避けたかったのだ。親に通報でもされたら大変なことになる。もしそうなったら、全て計画がぶち壊しになることがわか
「友達?」「そうです。僕たちと、同じ施設で育ってきた友達に会いに行くんです。」「その友達は何で愛知県にいるんだ?」「僕たちと同じように施設を抜け出して、愛知県の日間賀島って所にいるんです。」「なら何もそんなに焦って会いにいかなくてもいいじゃないか。どうせほとぼりが冷めたら、その友達は、またつまんなくなって施設に戻ってくるさ。」「ダメなんです。僕たちが、会いにいってやらないと。」「おい、どうした?植村?」いきなりトラックの後ろから人が歩いてき
「聞こえないのか?早くどけ。そこの坊主。」プゥォーーンまるで汽笛が鳴ったかと思う程の耳をつんざく高くて乾いた警音が、僕たちを襲った。「和樹。いいか。何があっても、ここを動くな。」「あいよ。」そう言うと僕は、和樹をトラックの前に残し、運転席へと回る。「おい。このトラックが見えないのか?いい加減にしないと、ひき殺すぞ。」「殺せるならどうぞ。」僕は、運転手に向かって冷静を装いながら言った。「何ぃ?なんだ?おまえ。頭がおかしいのか?」「お願いが
トラックの一台一台、いろんな地域のナンバープレートが存在した。さらに奥に進んでいった先に事務所が存在し、隣接した駐車スペースには何台もの乗用車が所狭しと並んでいた。次から次へトラックが到着したかと思うと運転手たちは、事務所に向かって歩いていき中に入ったかと思うと、しばらくして自分の持ち場である荷物置き場にトラックを縦列駐車させ、順序よく手際よく山のように積んである荷物を荷台に積み込んでいた。今まさに出ていかんとする運転手のハンドルさばきも確かに普段の慣れ
「どうだかな。それは、これからのなり行き一つだ。」早朝だというのに、工場には活気があふれ、人の声が飛び交っていた。僕たちが、到着した時には、もうすでに、いくつかのトラックが国道へと排出されていたのである。「ここから、どうする?」入口付近を詮索するように注意深く見てみる。「まず、あの守衛の目をくらまして工場内に侵入することが、第一関門だな。」見ると、入り口の前に限られた箱型をした小さなスペースに一人の男が、椅子に座り工場に出入りするトラックを監視しているの
「大丈夫か。そんなことやって。税関に見つかりはしねえか?」「手足を縛って車のトランクに放り込んでおけば大丈夫だ。見つかりっこねえ。どうだ。いいアイデアだろ。それには窒息死しちまうと良くねえから空気孔を開けるようにだな向こうのバイヤーに言っておいて・・・」得意満面な表情で言っているのが目に浮かぶ。僕たちが手を洗っている手洗い場から壁一枚はさむ形で男2人は話していた。僕たちは、それを聞いて驚きのあまり背筋が凍り付きそうだった。膝はガクガクと震え
「兄ちゃん、もう少し頑張ろうよ。」このまま、何時間待っても、トラックが捕まらなかったらどうしよう?という不安も見え隠れしてくる。やっぱり無理かな?と思い、一つ大きな溜息をついた時である。キイーーーーン。ブレーキをかけて停まる一台の車。運転席の窓が開き、男が僕たちに話しかける。「君たち、さっきドライブインに居なかったかい?」「はい。居ましたけど。」「やっぱりそうか。確か愛知県行きたいって言ってたよね?」「そうです。えっ?愛知県まで乗せて行ってくれるんですか
「ちょっといいですか?」ここは国道沿いにある道の駅である。夜が明けやらぬ中、朝めしをかっ込むトラックの運ちゃん達が、一斉に僕の大声に注目する。こんな朝っぱらから何だ?と、いぶかしげに僕たちをジロジロ見る態度には、血に飢えた狼の殺気のようなものがビンビン伝わってくる。生き方には、大きく分けて二通りのパターンがある。頭でコツコツ何かを考えて、やり遂げるパターンと、何も考えず恥も外聞もなく、やり遂げるパターン。僕が今やっている事。それは明らかに後者。
「わかった和樹。上手くいこうが失敗に終わろうが全ては運命と考えてみよう。」「うん」和樹は今までにない明るい声で応えている。「後悔しないな?もし誘拐されて殺されても・・・」「うん。勿論。望む所だ。僕たちは誰に命ぜられたわけでもない。自分たちで決めたことをしようとしてる。」「行こう。ボンベレスダイブ。」「やってみよう。ボンベレスダイブ。」和樹も僕に合わせ力強く受け応える。お互いガッチリ手を組み片方の手の親指を立ててサムズサインで強い意思をあらわす
「でも~。」「いいじゃないか?兄ちゃん。まだグジグジ言ってるの?男らしくないよ。」「父ちゃん、母ちゃん心配するじゃないか。」「適当に言い訳考えればいいんだよ。」和樹は執拗に絡みついてくる。真剣な眼差しである。「でも・・・」「兄ちゃん。」「ん?」「僕たちは、確かめたいことがあるよね?」「ああ。」「それに・・・」「何だよ?」「おじさんの正体つきとめたいし。それに・・・」「何だよ?」「心配なんだよ。歩美姉ちゃんのことが・
病室から見える桜が満開に咲き誇りあまりにも美しかったので思わず私は言ったんだ。「綺麗だな・・・」と「ええ。そうね。」隣で聞いていたカミさんがそれに同調する。そう。私は女房のことをカミさんと呼んでいたりする。これには深い訳があって後になってわかると思うが・・・「来年も同じように見れるだろうか?」これは何も意識せず自然と私の口から出た言葉だった。長い沈黙・・・カミさんは何かを耐え忍ぶように押し黙っている。かと思うとその直後、急に
2021年丑年引き続き宜しくお願いいたします。皆さまにとって良い年でありますように。◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇GHOST本購入はこちら世直しドクター本購入はこちらFacebookはこちらアメブロはこちら住所:愛知県安城市日の出町2-20公共機関:名鉄西尾線南安城駅徒歩3分JR安城駅徒歩10分安城市内循環あんくるバス0番「日の出」バス停留所より徒歩0分TEL:0566-45-5427メールでのお