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第3章夜の帳~その4~暗闇の濃さが、少しずつ薄くなり始めた。ピ、ピ、ピ。ピピ、ピピ、ピピ。ピ、ピ、ピ。ナースステーションには、いつものリズム音が聞こえている。そろそろ夜明けだ。「おはようございます!検温です!カーテンも開けますよーー!」絹田は、大部屋のカーテンを開けると、たっぷり朝日を取り込みながら検温を始めた。朝が、来たか・・・。絹田にとって長い夜が明けた。朝日をみながら、ふぅ~っと一息。大きく息を吸った。絹田の心にも、朝の空気が流れた。朝がきた。井上さんは、処置
第3章夜の帳~その3~注意:生々しい表現のため、怖い可能性があります。お気をつけください。「ひぃいいいい」絹田は、思わず悲鳴をあげた。懐中電灯を手に、佇んでいた。いや。動くことが出来なかった。が、正しいだろう。502号室に到着した絹田は、ナースコールのあったベッドAへ向かった。カーテンをさっとめくり布団へ近づくと、患者は絹田に向かって手をブンブン横へ振り、「私じゃなくて、横、横のベッドの井上さん・・」と、指を指して訴えた。どうやら、502号室の患者が、皆、ナースコールを一
第3章夜の帳~その2~「絹田っち、おはよう!いよいよ、最後の夜だわ~。この病棟ともお別れだ~~。絹田っちと過ごす最後の夜~」「平田さん・・。おはよう・・、じゃなくて。もう、寝てください・・。消灯時間、過ぎてますよ・・」「ええ~~、まだ眠くないよ~~。絹田っちが来るの待ってたのに~」「いやいやいや。23時半だからね。ほら。こんなところにいないで、お部屋戻って。巡視で『平田さんが、また、いませんーー!』って騒がれるよ?」「・・・はぁ~い・・」「明日、ちゃんと見送ってあげるからさ。真理ち
第3章夜の帳~その1~(よるのとばり)この物語はフィクションです。漆黒の垂れ絹で辺りをおおい隠し。何物も闇で包むような。そんな暗闇だった。夜の帳が・・・・降りた。「絹田さん?患者さんを起こしてどうするの?」絹田は、高橋さんに怒られた。それは、絹田が初めて夜勤をした時。入職してから1か月後のことだった。学生時代、病院実習で体験できなかったことのひとつが、"夜勤"である。ーー勤務体制ーー北5階病棟では、看護師勤務は三交代制。日勤8:00~17:00準夜勤15:
おはようございます。こんにちは。こんばんは。しるくと申します。しるくの小説の部屋へようこそお越しくださいました。ありがとうございます。さて。新章の準備が出来ましたのでお知らせで~す。3月24日更新この記事は、説明のため度々更新してアップします。題名:看護師は知らない北5階病棟で勤務する新人ナース絹田。その絹田は。知らない。なにを?大学病院で起こることを。事件?事故?それとも・・?医療ミステリーの世界へようこそ。こちらは、超初心者のしるくが挑戦した、医療小説です。
おはようございます。こんにちは。こんばんは。しるくと申します。超初心者の書き手です。素人です。よろしくどうぞ。さて。看護師は知らない第2章~傷跡~完結しましたが、いかがでしたでしょうか?これから内容に触れますので、お話を読んでいない方は、そちらを先にお読みください。傷跡~その1『傷跡~その1』傷跡その1この物語はフィクションです。ケース1「明日、ヒマ?よかったら家に遊びにこない?」えい子は、携帯の画面を見つめたまましばらくその場でフリーズした。そこ…ameblo.jp全4話完結
傷跡~その4え?私の・・傷跡・・?どういうことだろう・・。困った。「わかったよ。少しだけ、時間もらえる?」絹田は、まっすぐ見つめて答えた。私、体に傷、ない・・。あ。昔、彫刻刀で親指切った・・けど、1センチくらいだし・・、違うよな・・。そうじゃない。悩む絹田。自宅でじっと壁を見つめる。その壁には、数々のメモが貼ってある。平田さんからもらったメモ。学生時代に担当した患者さんからの手紙。そして。載帽式で暗唱した言葉・・ー(略)わが生涯を清く過ごし、わがつとめを忠実に尽くさ
傷跡~その3絹田はまっすぐと平田さんを見つめながら、語りだした。「これが私の、傷跡。心のトラウマだよ。目には見えない傷跡。当時看護学生だった私は、誰にも相談できなくて、お金もなくなって、本当に孤独で辛かった」傷跡。この言葉を聞いた平田さんは、はっと目を見開いた。これから絹田が語ることを、察したようだ。「傷って、誰しもが持っていると思う。傷のない人なんて、いない。恋をした人。優しくした人。そんな相手に傷つけられても、私は乗り越えなくては・・、前に・・、進まなければならなかった」平田さ
傷跡~その2この物語はフィクションです。ケース2それは、街の中だった。「あの~、ちょっといいですか?」えい子が振り返ると、穏やかそうな男性が困った様子でおずおずと声をかけてきた。「突然、すみません。あの~、この近くに公衆電話ありませんか?大事な連絡をしたいのですが、携帯電話の充電が切れてしまって・・。どうしよ・・・」画面が真っ暗な携帯電話を持ち、困った様子でキョロキョロと辺りを伺っている。えい子は、困っている人を放っておけない。すぐ近くの公園入り口付近の公衆電話を案内した。男性が
傷跡その1この物語はフィクションです。ケース1「明日、ヒマ?よかったら家に遊びにこない?」えい子は、携帯の画面を見つめたまましばらくその場でフリーズした。そこには。何度見ても同じ文章が、手元の小さな画面に書かれていた。家に遊びにこない?えい子が憧れていた一橋先輩から届いた、まさかの"お誘いメッセージ"。えい子の思考回路を停止させるのに、十分すぎるほどの衝撃を与えた。「どうしよ・・・」戸惑いが先行し、返信するメッセージを入力できずにいた。戸惑っているとさらに。「俺の手料理
医療ドラマを見ているような臨場感!手術着の医師とオペの様子がリアルに浮かびあがります。今年1月に発表された直木賞ノミネート作品でもありました。『ミカエルの鼓動』~柚月裕子「手術支援ロボットのミカエルが誤作動を起こすかもしれない…。」医師が遠隔操作する手術ロボットですね。誤作動が起きたら・・・手術はどうなる?絶対にあってはならないことです。西條と真木は辛い生い立ちを乗り越え、医師になった。だからこそ命の尊さを知っている。医師として患者の命にも
おはようございます。こんにちは。こんばんは。しるくと申します。超初心者の書き手です。素人です。よろしくどうぞ。さて。看護師は知らない第1章~ヒヨコの鳴き声~完結しましたが、いかがでしたでしょうか・・??これから内容に触れますので、お話を読んでいない方は、そちらを先にお読みください。ヒヨコの鳴き声~その1『ヒヨコの鳴き声~その1』看護師は知らないこの物語はフィクションです。ヒヨコの鳴き声~その1「看護師さ~ん!なんか、ヒヨコの鳴き声がするんだけど!」そう言いながら、お騒がせ患者の平
ヒヨコの鳴き声~その42時間後。「いっただきま~~す!うわっぁ、美味しっ!うまっっ!」日勤が終わった絹田は、休憩室でニコニコと美味しそうにケーキを食べていた。「三枝先生~、ごちそうさまです~。美味しいです~~」「もう、じゃんじゃん食べてよ。お礼だからさ。本当にありがとう、絹田くん!ほら、みんなも。ここのケーキ、好きだろう?」三枝先生から、スタッフへ山盛りのケーキが届けられたのだ。チョコレート、イチゴ、フルーツ、チーズなどなど。色とりどりのケーキで箱がいっぱいだ。10個以上あるだろう
ヒヨコの鳴き声~その3大きな金属の箱からその音は聞こえていた。『ピヨ。ピヨ。ピヨ』箱に近づくとさらに音は強くなる。間違いない。これだ。絹田は大きな箱をまじまじと見つめながら考える。(ん・・?あれ?なんだっけ?これ・・って・・?)絹田が考えていると、突然。「キャーー!」「おい!なんだ。なんだ。どうした!?俺の大事なゆりかご1号に、なにがあったんだ!?」入り口から悲鳴と共に大きな声がした。その声にびっくりして振り向くと、入り口付近の二人の間からかき分けるようにして入ってくる人
ヒヨコの鳴き声~その2(病院にヒヨコなんているわけない)そう思いつつもここまで素直に付いてきた絹田は、やっぱり優しいのだろう。「ほら!掃除のおばちゃんがいるところ!絹田っち、あそこだよ!ほら!よーーく聞いてみて!」病棟の端に存在する倉庫の前では、顔馴染みの清掃員木村さんが、モップを持ったままドアに耳を近づけていた。木村さんは、絹田がお湯を廊下にぶちまけたときに、キレイに片付けてくれた恩人だ。「あら、木村さんでしたか!その節はありがとうございました。で、ここに、ヒヨコが・・いるんですか
看護師は知らないこの物語はフィクションです。ヒヨコの鳴き声~その1「看護師さ~ん!なんか、ヒヨコの鳴き声がするんだけど!」そう言いながら、お騒がせ患者の平田さんがナースステーションへ駆け込んできた。「ええ~?ヒヨコ~?本当にヒヨコですか?ヒヨコが、病院にいるわけないですよ?平田さん・・、本当に・・?聞こえたの・・ですか?」そう言いながら、カルテを記入していたその手を止めて絹田は立ち上がる。今日は日曜日。日曜日は、検査も手術も緊急事案だけで、通常は落ち着いていて穏やかである。外泊許
おはようございます。こんにちは。こんばんは。しるくと申します。超初心者の書き手です。さて。大型新人登場から伝説誕生まで完結しましたが・・。無事に書き上げてほっとしているところです。いかがでしたでしょうか?絹田のことが伝わったでしょうか・・?そして。この物語はフィクションです。(あくまでも・・)実際に起こったことやノンフィクションの要素があっても、これは、フィクションです。(言い張る)例え、作者と似ている要素やこれって看護師じゃね?と思われても。この物語はフィクションです。
伝説誕生~その4絹田の起こしたこの事件は、これだけで終わることはなかった。この事件は、北5階病棟中に瞬く間に広まったのだ。患者さんは、たっぷり時間がある。『ねえねえ~、新人ナースの絹田さんが~、お湯をこぼして教授回診を止めたらしいよ(笑)』談話室で。エレベーターホールで。売店で。看護師も医者も、面白い話題はやっぱり好きだ。『あの、新人ナースの絹田さん!教授回診の時にお湯をこぼして、教授にかかったらしいよ(笑)』休憩室で。食堂で。物品倉庫で。人が交わる場所で、この話題は脚
伝説誕生~その3ガシャーーン!バッッシャーーー!絹田の運んでいた清拭用のお湯は。ワゴンから放り出されたバケツから、廊下に全てこぼれてしまった。廊下はホカホカと湯気に包まれている。絹田は、廊下に溢れたお湯と、目の前にいる教授を交互に見て。「すみません、教授!」事態を把握した。「教授、無事ですか?」「お湯、かかってませんか?タ、タオル!」「お湯!?や、火傷!?火傷・・早く冷やす物を!」「教授!」「絹田さん!」一気に緊迫した空気が流れ、皆があわてふためく中。プッ。ププッ
伝説誕生~その2この日のカンファレンスは、とても寒かった。極寒だった。教授回診当日。朝から研究棟大会議室に第一外科の医局員が集まり、カンファレンスが始まる。患者の状態、手術方針などを主治医が発表し、教授の意見を聞くのだ。それが終わると、教授を先頭にぞろぞろと歩きながら、病院へ移動する。研究棟の渡り廊下から病院へと移動するその様子は、まるで『大名行列』のようだ。そして、北5階病棟の入り口で、看護師長から病棟内の申し送りを受け、501号室から順に教授が病室を訪れる。患者ひとりひとりに声
看護師は知らないこの物語はフィクションです。伝説誕生~その1ピン~ポン~。「お知らせします。ただいまから五十嵐教授の回診が始まります。501号室から準備をしてお待ち下さい」加藤師長による病棟内放送が流れた。「ええ?もう!?」絹田は放送を聞き焦り出す。腕時計を見ると、9時50分。「これは・・。急がねば」絹田の担当病室は、506号室~508号室。合計10人を受け持っていた。新人ナースでも、充分にケアできる仕事量のはずだ。が。実はスタートの環境整備に手間取り、絹田の行動計画はす
大型新人登場~その2絹田は、やる気と情熱に溢れていたが、少々おっちょこちょいのようだ。「採血の上手な看護師になりたいです。苦痛を伴う処置でも、患者さんの不安が軽減するよう、看護を行いたいです!」入職試験の面接で、目標とする看護師像について聞かれ時、絹田はこう答えていた。新人ナース絹田が、北5階病棟に配属されて2ヶ月が経過した。理想とする看護師までの道のりは、まだまだ遠そうだ。ガシャーーン!「すみません!!すぐに片付けます」絹田は、ハデに落とした採血セットを拾い集めると、廃棄物ボ
看護師は知らない大型新人登場~その1この物語はフィクションです。「本日から北5階病棟で勤務することになりました。原浜医大看護学部出身の絹田です。よろしくお願いします!」ナースステーションに元気な挨拶が響いていた。「みなさん、うちへ配属される新人さんは。絹田さん。・・だけです」加藤看護師長が皆に伝えた。例年、新人ナースは二人以上配属されるが、今年は事情により一人だけだ。「新人教育は、4人のチームで行います。メンバーは、高橋さん、田中さん、伊藤さん、渡辺さんです。今日は、渡辺さんにつ
おはようございます。こんにちは。こんばんは。しるくと申します。お久しぶりです。お元気でしたか?2022年。新しいことを始めてみようと、こちらの部屋へやって来ました。お馴染みさんも。お初の方も。どうぞよろしくお願いします。始めたいこと。それは、ズバリ。小説を書いてみる~!です。読書が好きで、いろんな本やブログを読んだりしていましたが。作品を作ることはしていませんでした。しかし。あるブロガーさんの影響を受けたというか刺激になったというか・・ごにょごにょ。まぁ、
こんにちは金沢のアルバム大使&カラーdeサンキャッチャー®認定講師のSallyです。本の中で金沢散歩。。金沢を舞台にした作品は、散歩している場所もあり、よく知っているので、面白いです。頭の中で、金沢の街の中を想像しながら、読みました。映画はまだ見ていないのですが、その前に原作を読みました。「いのちの停車場」いのちの停車場[DVD]Amazon(アマゾン)4,095〜9,636円いのちの停車場Amazon(アマゾン)3,500円以前のブログで映画のロケ地も紹介しま
医療系ミステリーです。「現役医師がおくる」って書いてあるけど、作者の久坂部羊さんは実際に医師でいらっしゃるようです。多分、ご自身の経験をもとに創作してらっしゃるのよね?そう考えると怖い。本当に怖い話だった。短編5編。●天罰あげる「ドクターショッピング」の話。この主人公は普段の生活の中で突然発作を起こし、パニック障害という診断を受けます。が、その診断に納得できず、信頼できる医師を求めてあちこちのクリニックを受診しますが、どの医師も、自分の辛さを全然わかってく
私のお気に入りを載せてます。見に来てね「イン・ザ・プール」著者奥田英朗★★★★☆(個人評価★多めならおすすめ)伊良部総合病院の地下にある心療内科。そこの精神科医、伊良部は色白で太っていて注射フェチ。治療しているのかしていないのか…判断に迷うほど変な医者。今日も病院には様々な悩みを抱えた患者がやってくる。プール依存症、陰茎硬直症、自意識過剰の妄想癖、強迫神経症、携帯依存症…。それらの患者に伊良部が施す治療法とは…。イン・ザ・プールドクター伊良部(文春文庫)
今年私が読んだ本の中で、ベスト3に入る作品、いや、自分にとって心に残り、一番よかった作品でした。「ドクターX」をよりリアルに、シリアスに描いた感じ?の医療小説でした。4本の羽を広げた先端医療で活躍する手術支援ロボットのミカエルは「神・天使」か、それとも「悪魔」か?一見、相反する考え方で反発し合う西條と真木。しかし、生まれ育った環境や根底に流れる医師としての矜持は似通う二人。読み始めるとページをめくる手が止まらず、途中の所々で東野圭吾さん、池井戸潤さんの小説を読んでいるかのような錯覚に一
以前「祈りのカルテ」を読んだ、医師でもある作家さんの作品。大学病院で心臓外科医として毎日の激務をこなしている主人公・平良は、3人もの研修医を受け持つことになったり、院内に教授に関する怪文書が出回ったり、そしてそれぞれのことで自分の出向先という餌をぶら下げられたりと、心身共に気の休まる時がない。研修医への接し方に迷ったり、嫉妬で狂いそうになったり、疑心暗鬼になったり、まぁまぁ情けない姿も見せてくれますが、でも最終的にカッコいいのは、やはり医師としての姿。真面目でまっすぐで、人の気
ミカエルの鼓動[柚月裕子]楽天市場1,870円あまり女性の作家さんは読まないのですが、柚月さんは男くさい作品とかが多くてよく読みます今回は医療小説🩺らしくない分野な気がしますが、最近多い医師作家さんのような細かい描写で、楽しめました人の命を左右する力というか権利というかを持つって重いなぁと思います。。医師はもちろん、看護師や医療機器メーカーも。。日常になると慣れてしまうのかな??今ふと思ったのですが、生きていれば誰でも人の命を左右してるような気がしますね。医療関係者ほ