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おはようございます。ワラビー社会保険労務士事務所代表の渡辺忍です。本日は12月16日、火曜日。今年も残り半月となりました。年末の挨拶回りや忘年会など、社内も社外も慌ただしい時期です。自衛隊では、年末の慌ただしさの中で規律が乱れないよう、指揮官が「駐屯地の空気」をピリッと引き締めるのが常でした。好評連載中の『経営者が握る操縦桿「m-SHELLモデル」徹底解説』。第6回目の本日は、経営者(m)と環境(E)の関係、「m-E連関(Management-Environmen
おはようございます。ワラビー社会保険労務士事務所代表の渡辺忍です。本日は12月15日、月曜日。12月も折り返し地点です。ここ三重県明和町では、冬の冷たい風が吹き始め、いよいよ寒さも本番といったところです。自衛隊時代、この時期の朝礼や飛行前ブリーフィングでは地上も空中も「凍結対策」を注意喚起していました。さて、好評連載中の『経営者が握る操縦桿「m-SHELLモデル」徹底解説』。第5回目の本日は、経営者(m)と設備・環境(H・E)の関係、「m-H/E連関(Manage
おはようございます。ワラビー社会保険労務士事務所代表の渡辺忍です。本日は12月13日、土曜日。週末を迎えました。ここ三重県明和町の田園風景もすっかり冬枯れし、静かな朝を迎えています。自衛隊時代、隊長室で隊員名簿を繰りながら、各班長の意見や隊員の顔を思い浮かべ、次の異動でどの様な人員をどの様な役割に付けるか等、常に精強な部隊を維持するための部隊編成に思い悩んだものです。好評連載中の『経営者が握る操縦桿「m-SHELLモデル」徹底解説』。第3回目の本日は、経営者(m)
おはようございます。ワラビー社会保険労務士事務所代表の渡辺忍です。本日は12月12日、金曜日。1週間お疲れ様でした。自衛隊の駐屯地では、金曜日の午後は週末の即応態勢を確保するために「航空機整備」や「車両整備」を行い、部隊の規律を整えるのが通例でした。経営者の皆様も、この週末に一度立ち止まり、ご自身の組織の「整備状況」を見直してみてはいかがでしょうか。さて、好評連載中の『経営者が握る操縦桿「m-SHELLモデル」徹底解説』。第2回目の本日は、このモデルの核とな
おはようございます。ワラビー社会保険労務士事務所代表の渡辺忍です。本日は12月11日、木曜日。12月も中旬に差し掛かりました。自衛隊勤務時代、この時季は空気が乾燥し、北風が強まるため、山火事の発生が常態化していました。現下の状況においても、群馬県や神奈川県などで大規模な山火事が発生していると承知しています。この種の災害への即応態勢の維持と並行し、私たちは来年度の各種計画の策定、今年度の訓練の総仕上げに追われる日々を送っていました。現場でヘリコプターの操縦桿を
おはようございます。ワラビー社会保険労務士事務所代表の渡辺忍です。本日は12月10日、水曜日。12月も中旬に入りました。自衛隊では、年末年始の休暇に入る前の最後の追い込み時期であり、同時に気が緩みやすい時期として、指揮官が部下の兜の緒を最も占めるタイミングです。さて、全10回にわたりお届けしてきた連載『元陸上自衛隊パイロットが教える「ヒューマンファクター」超入門』。本日がいよいよ最終回となります。これまで、SHELLモデル、スイスチーズ、CRM、JustCult
センター長の渡辺です。本格的な冬の到来とともに、三重県内でも一気に冷え込みが厳しくなってきました。この時期、企業が特に注意を払うべきは、従業員の心身の健康だけでなく、「職場における安全衛生」です。「働き方改革」は、従業員の生産性を向上させ、健康を守ることを目的としていますが、安全な職場環境の確保こそが、その土台となります。どんなに制度を整えても、事故や災害が発生してしまっては、元も子もありません。実は、冬は気温の低下や乾燥、視界の悪化など、環境的な要因から小さな事故が
おはようございます。ワラビー社会保険労務士事務所代表の渡辺忍です。本日は12月8日、月曜日。新しい1週間の始まりです。ここ三重県明和町も冬の寒さが厳しくなってきましたが、寒風に負けず、今週も元気にスタートしましょう。さて、好評連載中の『元陸上自衛隊パイロットが教える「ヒューマンファクター」超入門』。第8回目の本日は、不幸にも事故が起きてしまった後の対処法、「事故調査」についてお話しします。私は陸上自衛隊において、死亡事故を含む複数の航空事故調査に従
おはようございます。ワラビー社会保険労務士事務所代表の渡辺忍です。本日は12月7日、日曜日。昨日はCRM(チームワーク)の話をしましたが、今日は日曜日ですので、少しリラックスして、しかし経営者の皆様にとっては少し「耳の痛い」話をさせていただきます。好評連載中の『元陸上自衛隊パイロットが教える「ヒューマンファクター」超入門』。第7回目の本日は、チームの連携を破壊する見えない壁、「権威勾配(けんいこうばい)」について解説します。副操縦士はなぜ、墜落するまで黙
おはようございます。ワラビー社会保険労務士事務所代表の渡辺忍です。本日は12月5日、金曜日。1週間お疲れ様でした。週末を控え、ホッと一息つきたいところですが、実はこの「金曜日の午後」こそが、ヒューマンファクターの視点では最も警戒すべき時間帯の一つです。「もうすぐ休みだ」という心理的な弛緩と、蓄積した疲労が重なり、脳がエラーを起こしやすくなるからです。好評連載中の『元陸上自衛隊パイロットが教える「ヒューマンファクター」超入門』。第5回目の本日は、私たちの脳が勝手に見せる幻、「認知の
おはようございます。ワラビー社会保険労務士事務所代表の渡辺忍です。本日は12月4日、木曜日です。週の後半に入り、月曜日からの疲れが少しずつ溜まってくる頃ではないでしょうか。自衛隊の訓練でも、木曜日の午後は集中力が切れやすく、事故のリスクが高まる時間帯として警戒していました。好評連載中の『元陸上自衛隊パイロットが教える「ヒューマンファクター」超入門』。第4回目の本日は、私たちの身体の中に潜む生理的な限界、「疲労」と「サーカディアンリズム(概日リズム)」について解説します。「気
おはようございます。ワラビー社会保険労務士事務所代表の渡辺忍です。本日は12月3日、水曜日。週の真ん中です。自衛隊時代、水曜日は「整備日」として、訓練飛行を止めて機体の整備や教育に充てる部隊も多くありました。週の半ばで一度立ち止まり、点検を行うことは、週末まで安全に走り抜けるための知恵でもあります。さて、好評連載中の『元陸上自衛隊パイロットが教える「ヒューマンファクター」超入門』。第3回目の本日は、事故が発生するメカニズムを視覚的に説明した有名な理論、「スイスチーズ・モ
おはようございます。ワラビー社会保険労務士事務所代表の渡辺忍です。本日は12月2日、火曜日です。三重県明和町の朝は、昨日にも増して冷え込んでいます。ヘリコプターは、気温が低いほど密度高度が低くなり、それに伴い揚力(浮く力)が増加します。人間も、寒さで身が引き締まるこの時期こそ、仕事のパフォーマンスを上げていきたいものですね。さて、昨日からスタートした『元陸上自衛隊パイロットが教える「ヒューマンファクター」超入門』。第2回目の本日は、事故やミスの原因をパズルのように分
おはようございます。ワラビー社会保険労務士事務所代表の渡辺忍です。令和7年12月1日、月曜日。いよいよ今日から「師走」です。三重県明和町も冬本番の寒さとなりました。自衛隊時代、12月1日は幹部の異動日であり、部隊長異動に伴う「航空安全強調旬間」の準備などで、年末特有のピリッとした緊張感が漂っていたことを思い出します。さて、この繁忙期に合わせて、本日から新しい連載企画をスタートします。その名も、『元陸上自衛隊パイロットが教える「ヒューマンファクター」超入門』で
おはようございます。ワラビー社会保険労務士事務所代表の渡辺です。明日から12月、師走に入ります。年末の準備で気忙しくなる時期ですが、今日は少し重い、しかし私たち安全管理に携わる人間が絶対に避けては通れないニュースについてお話しなければなりません。今週水曜日(11月26日)、香港の大埔(タイポー)地区にある高層住宅団地で発生した大規模火災のことです。報道によれば、80名を超える尊い命が失われ、多くの行方不明者が出ているという、香港でも過去数十年で最悪の惨事となりました。
おはようございます。ワラビー社会保険労務士事務所代表の渡辺忍です。11月もいよいよ最終日を迎えようとしています。自衛隊時代、この時期は年末の繁忙に加え、冬季の訓練検閲に向けた準備で部隊全体が慌ただしく動いていました。皆さんの職場でも、年末商戦や年度末の納品に向け、現場の「熱気」が高まっている頃ではないでしょうか。しかし、その熱気が時に「焦り」や「苛立ち」に変わるとき、事故やトラブルの芽が生まれます。本日のテーマは、今まさに経営者の皆様が直面している課題、「カスタマーハラスメント
本日11月28日は、11月最後の平日、そして金曜日です。皆さんの現場では、こんな空気が漂っていませんか?「あとちょっとで今月のノルマ達成だ」「この仕事を片付ければ、週末はゆっくり休める」「12月になる前に、これだけは終わらせておこう」この「あと少し」「今のうちに」という心理こそが、労働災害を招く最大の魔物です。私は元陸上自衛隊のヘリコプター操縦士ですが、パイロットの世界には「帰巣本能(ゲット・ホーム・アイティス(Get-home-itis/帰宅願望病))」という言
来週の月曜日、12月1日。多くの企業の壁に「年末年始労働災害防止強調期間」のポスターが貼られ、朝礼で「無事故でいこう!」という掛け声が響くことでしょう。しかし、毎年同じことを繰り返して、本当に事故は減っていますか?もし、この期間が「ポスターを貼り替えるだけの期間」になっているとしたら、それは安全活動の形骸化のサインです。人間の意識は、スイッチのようにパチッとは切り替わりません。今日(27日)から週末にかけて、組織の「安全エンジン」を暖機運転しておく必要があります。1.「ポスタ
「掃除をして現場をきれいにしましょう」年末に向けて、こんな号令をかけていませんか?もちろん、きれいな職場は気持ちが良いものです。しかし、労働安全衛生の観点から言えば、「きれいにする」ことは手段であって、目的ではありません。目的はあくまで、「異常(危険の芽)を発見すること」にあります。私は陸上自衛隊でヘリコプターの操縦士として勤務してきましたが、飛行後の点検において最も重要なプロセスの一つが「清掃(拭き上げ)」でした。なぜ、巨大なヘリコプターをわざわざ人の手で拭く
「急に寒くなりましたね」時候の挨拶で済ませていませんか?安全管理の世界では、急激な気温低下は「重大な環境変化」と捉えます。私は陸上自衛隊でヘリコプターの運航に携わってきましたが、冬のフライトや整備は、夏とは全く異なる緊張感がありました。かじかんだ指先、厚着による動きの鈍さ、そして寒さによる思考の低下。これらはすべて、事故の引き金になります。今日は、本格的な冬を迎える前に、経営者や現場リーダーが知っておくべき「冬特有の労働災害リスク」と、その対策について解説しま
「残業を減らせ。でも納期は守れ。売上も落とすな」経営者や管理職の皆様、現場に対してこのような指示を出していませんか?働き方改革が進み、長時間労働の是正は企業の義務となりました。それ自体は従業員の健康を守るために素晴らしいことです。しかし、業務プロセスを見直さずに時間短縮だけを強要することは、現場にとって「時短ハラスメント(ジタハラ)」となり、安全管理上の最大のリスク要因となります。私は陸上自衛隊で33年間勤務し、航空部隊の指揮官や安全管理の幕僚を務めてきました。
今年も残すところあと1ヶ月強となりました。年末に向けて、納期に追われたり、駆け込みの注文が増えたりと、現場のピッチが上がる時期です。経営者や現場リーダーの皆様、心のどこかでこう思っていませんか?「安全は大事だが、今は効率優先でいかないと納期に間に合わない」私は陸上自衛隊で33年間、航空部隊の指揮官や安全管理幕僚として勤務し、極限状態での任務遂行と安全確保の狭間で葛藤してきました。その経験から断言できるのは、「効率を急いで安全を犠牲にした瞬間、組織は最大の非効率(
どの職場にもありませんか?一応は存在しているけれど、守られていない安全ルール。そして、誰もが薄々気づいているのに、いつの間にか“形骸化したまま放置されているルール”。私は陸上自衛隊で33年間、航空部隊の運用、安全管理、事故調査に関わってきました。どれだけ高度な装備があっても、ルールが形骸化した瞬間に事故が近づいてくる光景を何度も見てきました。結論から言うと、守られないルールは、ルールが無いことより危険です。理由は簡単で、現場の“油断”を生み、危険が潜伏しやすくなるからです。こ
「同じ現場に立っているのに、危険に気づく人と気づかない人がいる。」これはどの職場でも起きています。そして、この“危険の見え方の差”こそが、事故の発生率を大きく左右します。私は陸上自衛隊で33年間、操縦士、教官、隊長、そして航空事故調査に携わってきました。その経験から断言できます。危険予知力は「才能」ではなく、鍛えられる“技術”です。ここでは、見える人と見えない人の違い、そして現場で今日から使える危険予知力の鍛え方を解説します。1.“見える人”は状況の「変化」に敏感
安全管理というと「ルールを守ること」が中心に語られがちですが、実際の現場ではもう一つ、大きな要素があります。それがモチベーション(やる気)です。私は陸上自衛隊で33年間、操縦士、教官、隊長、そして航空事故調査の任務に携わってきました。その中で強く感じたのは、“やる気の低下は、危険の始まり”だということです。どれだけ技術がある隊員でも、疲れていたり、気持ちが沈んでいたり、自信を失っていたりすると判断が鈍ります。逆に、気持ちが乗っているときは、視野も広がり、危険に気づく力が格段
安全管理は「制度」や「設備」で作るものではありません。最も影響を与えるのは、現場で交わされる“言葉”です。私は陸上自衛隊で33年間、航空部隊の隊長や航空安全管理の幕僚として、人と組織を動かすコミュニケーションを徹底的に学んできました。その経験で痛感したのは、「安全は、言葉で守られ、言葉で壊れる」という事実です。どれほど立派な安全方針を掲げても、管理職や現場の言葉遣いが雑であれば、安全文化は根づきません。逆に、たった一言が事故を防ぐことが何度もありました。今回は、安全をつく
安全文化を根づかせるうえで、最も重要な存在は経営者…ではありません。現場を動かし、日々の安全を実行に移すのは管理職です。私は陸上自衛隊で33年間、部隊長として3度の指揮経験を積み、さらに航空事故調査の現場で数多くの管理職を見てきました。その中で確信したのは、「管理職の質が、そのまま現場の安全レベルになる」という厳然たる事実です。設備も制度もマニュアルも、管理職が“安全の旗を振れる人”でなければ機能しません。今回は、管理職を「安全に強いリーダー」へと育てるための考え方を掘り下
安全管理と人材育成は、一見すると別のテーマのように思われがちです。しかし、実際にはこの二つは切り離せません。安全を守る力は、人を育てることでしか手に入らないからです。私は陸上自衛隊で33年間、航空部隊の隊長や安全管理責任者として隊員を育ててきました。その中で確信したのは、「安全を強くする最大の方法は、人を強くすること」でした。どれほど設備を整え、マニュアルを充実させても、最終的に安全を確保するのは“人”です。だから、人材育成を安全施策の中心に置くことが、組織を事故から守る最も確実
どんなに立派なマニュアルや安全方針を掲げても、現場が動かなければ安全は守れません。安全文化の強さとは、結局のところ“現場力”の強さです。私は陸上自衛隊で33年間、航空部隊の運用と安全管理に携わってきました。航空安全の現場で何より大切にされていたのは、「現場が考え、判断し、動く力」――つまり自律性です。この「現場力」がある部隊ほど、トラブルに強く、事故を未然に防いでいました。1.「現場力」とは、上からの指示を待たない力現場力とは単なる経験値ではありません。それは、現場で起きて
職場で「言いにくい雰囲気」があると、安全は必ず損なわれます。なぜなら、事故やヒヤリハットの多くは、「気づいていたのに、言えなかった」ことから起きているからです。私は陸上自衛隊で33年間、航空安全管理と事故調査に携わってきました。どんな重大事故にも共通していたのは、「誰かが前兆を感じていた」こと。しかし、その声が上司や同僚に届いていなかった。つまり、“心理的安全性の欠如”こそが、最大のリスク要因だったのです。1.“心理的安全性”とは何か心理的安全性とは、「自分の意見を言っても