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評論家の加藤周一さんは日本文化の特徴を「英仏の文化を純粋種の文化と考えるのに対して、日本の文化を、雑種の文化の典型として考え、しかも、善悪の価値観から分離したことに特色を持つ雑種文化である」と表現した。社会学者の鶴見和子さんは日本社会の特徴を「多重構造社会」と説き「古代から現代に至るまで、日本人が外来の文化を貪欲に取り入れる駆動力となってきたものが好奇心である」と喝破した。日本語は、その在り方一つとってみても実に複雑怪奇でいろんな言葉が入り込む。世界で最も習得の難しい(もう
2022年5月のブログです*加藤周一さんの『夕陽妄語21992-2000』(2016・ちくま文庫)を再読する。加藤さんの『夕陽妄語』の感想文は、なぜか、『1』と『3』だけがあって(よかったら読んでみてください)、『2』がなかったので、再読してみた。1992年から2000年にかけて、『朝日新聞』に月1回ずつ連載されたエッセイをまとめたもの。この間、日本では、戦後50年問題、阪神淡路大震災、オウムサリン事件などがあり、海外ではユーゴスラビア紛争その他が起きた。加藤
今年1月の半ばごろだったと思います。議会報告の配布の途中、この石碑を見つけました。どのような目的で、ここに設置されたのか。いつもカバンに入れている2冊の本、古賀誠氏の『憲法九条は世界遺産』と、加藤周一氏の『憲法は押しつけられたか』があります。ちなみに加藤氏の本には、上段に日本国憲法、下段に大日本帝國憲法があります。憲法の新旧対照表を読むと戦前と戦後における人権感覚や社会制度の温度差を見ることができます。もしもはあり得ませんが、もしも戦前が続いていたら私を含めて多くの市民が、大日
詩春の宵さくらが咲くと花ばかりさくら横ちよう想(おも)出(いだ)す戀(こい)の昨日君はもうこゝにゐないとあゝいつも花の女王ほゝえんだ夢のふるさと春の宵さくらが咲くと花ばかりさくら横ちよう會(あ)ひ見るの時はなからう「その後どう」「しばらくねえ」と言つたつてはぢまらないと心得て花でも見よう春の宵さくらが咲くと花ばかりさくら横ちよう『綜合文化』より(本来はルビはない)詩の意味と考察春の宵は、
Piascore楽譜ストア『さくら横ちょう』(2001)中田喜直が購入されました!作詞:加藤周一/作曲:中田喜直編曲:彦坂恭人
2022年5月のブログです*金平茂紀さんの『金平茂紀の新・ワジワジ通信』(2019・沖縄タイムス社)を読む。金平さんはご存じのかたも多いと思うが、TBSのニュース番組「報道特集」のキャスター。TBSの報道記者として、政府や自治体、大企業などを相手にいつも鋭い質問をされ、恐れを知らないかのようなその姿がすごい。最近では、ベラルーシの大統領やロシアの駐日大使にすごいインタヴューを行なった様子が印象に残る。東大を出てもこんなにすごい人もいるんだ、とびっくりする(東大を
加藤周一の『夕陽妄語1』を読んだとき、目に留まった一節がありました。「宣長・ハイデッガ・ワルトハイム」と題された文章でした。<第二の謎は、今さらいうまでもなく、宣長の古代日本語研究が、その緻密(ちみつ)な実証性において画期的であるのに対し、その同じ学者が、上田秋成も指摘したように、粗雑で狂信的な排外的国家主義を唱えたのは、何故かということである。「吾皇御国ぞ、よろづの国のおや国、本の御国にして、あだし国々は皆末つ国のいやし国になもありける」(『馭戒慨言』の「序」)>(『
2023年2月のブログです*またまたなつかしい本を読んでしまった。加藤周一さんの『頭の回転をよくする読書術』(1962・光文社)。じーじが持っているのは1975年発行の57版。大学3年の時に購入したのかな?ちなみに価格は500円。加藤さんに魅かれて買ったのだと思うが、加藤さんのようにたくさんの本を読めるようになりたいと思ったのかもしれない。じーじは加藤さんの本は繰り返して読む本が多いが(いくつかブログを書いているので、よかったら読んでみてください)、
2019年1月のブログです*加藤周一さんの『『羊の歌』余聞』(2011・ちくま文庫)を再読しました。いい本なのに、久しぶりになってしまいました(加藤さん、ごめんなさい)。しかし、やはりすごい本です。加藤さんの本は結構読んでいるのですが、ご紹介はこれがたぶん2回目。『羊の歌』『続羊の歌』(1968・岩波新書)の思い出については、以前のブログにも書きましたが、わたしが大学2年生の時に授業の宿題で読んだのが最初で、もうかれこれ45年のつきあいになります(うちの奥さんよ
*夕陽妄言続きタイトルの次は、夕陽に対しての思い入れ。夕陽関連で出てくるのは、ベネツィアの風景プルースト渋谷の自宅から見た景色長次郎浄土プルーストは、『失われた時を求めて』のアルベルティーヌによる別れの手紙(二重の意味での夕暮れ、というもの)。第六篇「逃げ去る女から」みたいだ。少年時の渋谷の家からの眺め。「町の低い屋根と、遠い山脈と富士の上に拡がった広い夕暮れの空を眺めていた。その空の色は、ある短い間に、薄墨色と赤との微妙に交錯した長次郎の楽の茶碗―
2020年春のブログです*加藤周一さんの『夕陽妄語32001-2008』(2016・ちくま文庫)を再読しました。加藤さんが朝日新聞に連載していたエッセイ「夕陽妄語」最後の8年分。世界は激動の時代で、しかし、加藤さんは冷静に批評します。2001年は9・11の同時多発テロ。ブッシュ大統領が報復を宣言します。2003年はイラク戦争。日本はアメリカに追従をしますが、大量破壊兵器は見つかりません。その後、アメリは戦争を反省し、2008年にはオバマ大統
「故旧忘れ得べき」という一篇があります。L博士と著者は、1945年の秋、広島の日米合同医学調査団に加わって、ともに仕事をしました。そして46年後の1991年11月、ロスアンゼルスのホテルで再会するのです。著者は以下のように述べています。<ほとんど半世紀後の再会は、全く思いがけないことである。しかし不思議ではない。不思議なのは、会ってただちに、話がよく通じたことである。それは現在の二人の立場に、ある基本的な点で、共通のものがあったことを意味するだろう。話題は広島の想出だけではなかった。
2019年3月のブログです*加藤周一『夕陽妄語11984-1991』(2016、ちくま文庫)を再読。「夕陽妄語」は加藤さんが朝日新聞に月1回、連載をしていた社会時評で、当時、じーじはライヴで毎月、楽しみに読んでいた。加藤さんは『羊の歌』以来、冷静な社会分析が魅力的だが、「夕陽妄語」でも、その冷静さはすごい。いろんな事件が起こり、加藤さんの分析に学ぶところが多かったが、その加藤さんが、予想できなかった、少なくともこんなに早くは、と語らせたのが、ベルリンの壁の崩壊。
先の見通しを持つということは、すでにあった事実の中から、ある一つの方向をもった流れを見つけ出すということである。加藤周一つい長電話しちゃう相手は?▼本日限定!ブログスタンプあなたもスタンプをGETしよう
2016年のブログです*加藤周一さんの『私にとっての20世紀』を久しぶりに読みました。2000年に書かれた本ですが,16年後の今年の状況をほぼ正確に予測しています。日米軍事同盟,安保法制,自衛隊の海外派兵,法律の拡大解釈,憲法改悪の動き,沖縄の基地問題の固定化,日の丸・君が代の強制,死刑存続,マスコミ統制,などなど。すごい読みだと思います。国家と権力の目指すところがよく見えていたのだと思います。時代は急速に悪化の方向をたどっているように見えます。つぎは徴兵制で
長くなってしまいましたので別立てしますが実は今、布谷史人先生のカッコ良すぎるピアソラのリベルタンゴを何回も観た後、ブログを書きながらそのままにしていましたらこれまた凄~くカッコ良いヴィヴラフォンの演奏が聞こえてきて、誰だろう?凄く上手いけれどでも史人先生もマリンバの音も負けないよね?とか思って、ブログを書き終えてから、ふと次に移っていたその映像をみましたら、何と御大ゲイリー・バートン!GaryBurton-Lib
加藤周一著『科学と文学』の中で、宮沢賢治の永訣の朝(部分)を引用して『方言の繰り返しが一種の情緒的反応を我々の中に生みだす』と語られています。ここが宮沢賢治を読んでみようかなと思う起点です。永訣の朝は賢治の妹トシの臨終の場面です。『科学と文学』は講演のテープ起こしなので、あめゆじゆとてちてけんじやと紹介されていますが、このあめゆじゅとてちてけんじゃとどちらか判断がつかず、花巻の宮沢賢治記念館に出向いたことがあります。その際にはメーリングリストの友人でリアルでは初対面のご夫妻に案
小さな旅の途上である。知らぬ間に新幹線にはTRAINDESKなるものが用意されていてビジネスマンに好評というその車両に陣取った。コチラは仕事ではなく思い立って友人の見舞いに出向くのだが其処ならおそらくは夏休みの家族連れや団体旅行客に煩わされないだろうと思ったのである。道連れは加藤周一氏読みながら気づいたことがある。其処彼処に全く同感❣️と思える箇所があってまるで自分の考えを彼が代弁してくれているかのような錯覚さえおぼえる。いや待てよ、私はかつて彼の著述の大半を熱心に読
NHKスペシャル『ヒューマンエイジ』。その第2集「戦争なぜ殺し合うのか」で、紛争解決のNPOの理事長である瀬谷ルミ子氏が、番組後半で語った言葉が、心に残った。「…たとえば、『紛争・戦争』という言葉をネットで検索すると、すごくビビッドなイメージ、銃だったり武器だったり、遺体の、すごく解像度の高い画像が出るのに対して、『平和』というものを検索すると、ハトの絵とか、握手の手とか、すごく漠然としたイメージしか出てこない。それって、文字が出てから、人類が、画像とか映像とか、
戦後、新日本、とつく名称があった。明治創業が、明治〜、大正創業が、大正〜、昭和創業が、昭和〜、とつけるように、戦後は新日本。三島由紀夫の文学の一側面を、昔良かった主義、と評したのが加藤周一。昭和10年台を多感な時期、で過ごしている。大日本帝国が、アメリカ合衆国に真珠湾攻撃し、シンガポール要塞を陥落させ、英米を敵に回し、と凄まじい。後にソ連(ロシア)、すでに中国とは交戦状態。重慶を空爆、南京陥落、破竹。断絶させたいものと、維持したいものがある。栄光は残したい、が、戦前の栄光は軍事偏重、戦後
2022年夏のブログです*加藤周一さんの論文集『言葉と戦車を見すえて-加藤周一が考えつづけてきたこと』(2009・ちくま学芸文庫)を久しぶりに再読する。やはりすごいな、と思う。本書には、1946年の「天皇制を論ず」(「大学新聞」)という論文から、表題になった1968年の「言葉と戦車」(「世界」)、そして、2005年の「60年前東京の夜」(「朝日新聞」夕陽妄語)までの60年間の論文、27本を収録する。その間、論旨が一貫していて、少しもぶれていないところがすごい。天
加藤周一の「日本文学史序説」を読んでいると、くらくらしますね。あまりの鋭さに、言葉が詰まる。谷崎潤一郎の件を読んでいると、アハッ、となる。谷崎潤一郎は、「細雪」を描きますが、それは平安の王朝文学に繋がる系譜となる。過去、時間軸としては縦の流れ。ほぼ同時代に永井荷風がいる。少し上の世代には、福澤諭吉夏目漱石がいる。海外留学組。同時代の他国、西洋を見ている。違う視点がある。海外から見た日本。横から見ている。谷崎潤一郎と永井荷風の在り方の違いには、西洋がある。文物としての西洋から影響を受
1984年から1991年の間に、湾岸戦争があり、ベルリンの壁崩壊に続くソ連の消失があった。約40年前のことである。今、この日本で、どれだけの人がソ連という国(?)のことを覚えているか?なにしろ日本とアメリカが戦争をしたことを知らない人が少なくない、という国である。とはいえ、自分もこの国の一員であることを思い出す。当然の如く、「時評」そのものには、あまり興味が持てない。だが、時代の背後に流れるものが問題とされるときには、俄然興味深いものが多くなる。例を挙げよう。「敦煌所感」は、いずれも8世
みんな聞いて〜🌸旅歌Vlogアップできたよぉ~砲台跡からガラッとかわりまして、今回は…静岡県河津町で開催されていた「河津桜まつり」の旅です🌸🌸既にこちらのブログでも記事を書きましたが…そして河津桜はもうとっくに開花は過ぎてソメイヨシノの時期ですがΣ(´∀`;)💦しかも東京も満開を迎えましたね~開花は一足早いのにだいぶアップの遅いレポートですが許してください🙏💦今回動画内で使用した曲は中田喜直さん作曲、加藤周一さん作詞の「さくら横ちょう」です。この撮影はプロの美容師
日本人の特徴にあげられていたのが、好奇心。徳川の太平で、停滞していた、成熟していた、からの明治維新、文明開化。近代を受け入れに受け入れた。その効果も毒も。西欧文明を吸収し、西ヨーロッパ人に憧れを超え、なりきろうとし、戦後は、アメリカ合衆国の文化を受け入れに受け入れ。どんなに受け入れても、アイデンティティは残る。アイデンティティを差し出す必要はない。和魂洋才。加藤周一は雑種文化とした。そして、凌駕するのを是としていた。それこそ恩返し。日本的な儒教の理解。師に従順は、日本式ではない。守破離
大学の恩師(以下「先生」と記す。)が亡くなったと、一昨日、学生時代の友人のH君(学者になり先生との関係がずっと続いている)からメールをもらった。103歳の大往生だった。先生は、東京の生まれで、青南小学校から府立一中(医師で、芸術から政治まですべてに通じた批評家であった加藤周一と同年だったようなので、加藤について、学生時代に先生に尋ねたことがあったが、なんだかあいまいな返事だった)を出た、少し斜に構えたような都会っ子だった。いつまでも独立不羈の人と思っていた先生が、100歳近くなって少
何を今更って感じですがwスタジオジブリのアニメ映画が大好きです。コロナ禍のときにネットフリックスで観られるようになって娘ともたくさん懐かしい映画を楽しみました。宮崎高畑によるジブリ映画は昭和の思想の凝縮、戦後民主主義のある種の理想の具現化であって現在における日本文化の最高水準の表現だと思います。宮崎駿、高畑勲、鈴木敏夫みなさんアニメだけやってたわけじゃないdesuってのがこの夏のお台場の鈴木プロデューサーの展覧会でよく分かっ
若い頃に複数の人から聞いて腑に落ちた教養というものの定義について。ビルドゥングとかクルトゥアとかドイツ語フランス語の定義はありますがそれ置いておいてw「真の教養=誰とでも楽しく深く話ができる能力を養うこと」物知り、とか勉強家ってのとはちょっと違う。この真の教養を実践している人は少ないと思うけれど。実際に会ったことがあります。まだご存命だけどたぶん亡くなったら新聞の一面に追悼記事がでるような知名度の人で、その人の友達
こう書くのか#架空書店221009③✍️書く力加藤周一の名文に学ぶ(集英社新書)鷲巣力楽天お買い物マラソン開催!10月4日~11日まで!書く力加藤周一の名文に学ぶ(集英社新書)[鷲巣力]楽天市場1,210円#予約受付中#新刊#本#予約#読書垢#読書好きな人と繋がりたい#架空書店の本棚#221017on#書く力#加藤周一#名文に学ぶ#集英社【架空書店本店】https://kakuushoten.com/