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犬丸治氏の「平成の藝談」のなかに、六代目尾上梅幸の藝談の引用がたくさんあったので、きちんと読んでみたいと思った。こちらは、項目ごとに、簡潔にまとめられていて、迚読みやすい。編者の秋山勝彦氏の手柄であろう。表紙のピンク地に赤い「よきこときく」模様から、女形の本らしい。どれも、なるほどと思うことがおおかったけれど、わたしは、「手先の白粉」というのが面白かった。むさし野女形は、手先しか見せないから、白粉も手先にしかぬらなかった。いま、ぼんぼりをもって歩く腰元(千本桜四の切)などが腕を出