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技能実習制度において監理事業を行おうとする場合、監理団体の許可を主務大臣から受ける必要があります(技能実習法23条)。この監理団体の許可には条件が付されることもあります(技能実習法30条)。監理団体の許可には、一般監理事業と特定監理事業の2区分があります(技能実習法23条各号)。一般監理事業の許可を受ける場合には、団体監理型技能実習の実施状況の監査その他の業務を遂行する能力につき高い水準を満たした優良な監理団体である必要があります(技能実習法25条1項7号)。監理団体
ITやマーケティング、コンサルティングなどの仕事に従事し、世界各地を移動しながらリモートで働く人々は、「デジタルノマド(遊牧民)」と呼ばれています。こうしたデジタルノマドを対象に、在留資格「特定活動」を付与することを2024年2月2日に政府が発表しました。3月末までに関係する省令・告示を改正し、運用を始める予定としています。デジタルノマドは、推計で世界に3500万人以上存在し、市場規模は7870億ドルに上るとされています。デジタルノマドには高所得者が多いとされており、こう
実習実施者は、監理団体に対して、監理費等の費用を支払う必要があります。その費用の実態について、令和4年1月に外国人技能実習機構がアンケート調査の結果を公表しました。まず、監理費とは、監理団体が監理事業として実習生を斡旋し、実習を監理するうえで、通常必要となる費用として実習実施者から徴収する経費のことをいいます。実際に徴収される監理費としては、初期費用、定期費用、不定期費用が挙げられます。初期費用は、外国人技能実習生1人を受け入れる際に、最初に徴収される監理費です。
技能実習生の支払い費用に関するデータが、令和4年7月に国から公表されました。このデータによると、来日前に母国の送出機関又は仲介者に支払った費用の総額の平均値は、約54万円にのぼることがわかりました。国籍別の平均値を見ていくと、ベトナムが約69万円、中国が約59万円、カンボジアが約57万円、ミャンマーが約29万円、インドネシアが約24万円、フィリピンが約9万円という結果になりました。また、来日前に母国で借金をしている技能実習生は約55%で、平均値は約55万円となっています。国籍
外国の法人と訴訟をする際に、困るのは、資格証明書ですね。裁判するのが、日本国内の日本の裁判所であっても困ります。本日は、オーストラリアの法人のケースを説明します。オーストラリアでの会社の登記は、必要事項を記入した申請書を、オーストラリア証券投資委員会(ASIC)に提出することにより行います。会社登記を行うことにより、9桁の企業番号であるACNが発行されます。オーストラリア法人は、このACNまたはABN(納税をはじめとした公的手続のための番号)および社名を、公文書や業
中小企業等協同組合に関する行政庁への主な手続には、(1)組合の設立、(2)役員変更の届出、(3)定款変更、(4)決算関係書類の提出が挙げられます。以下で、どのような手続が必要なのか見ていきましょう。(1)組合の設立(中小企業等協同組合法27条の2)組合の設立には、発起人4人以上(企業組合連合会等は2組合以上)が設立に必要な次の書類(施行規則57条参照)を、認可を受ける行政庁に申請する必要があります。①申請書(2通必要)②定款③事
令和元年6月7日に成立した「成年被後見人等の権利の制限に係る措置の適正化等を図るための関係法律の整備に関する法律」(一括整備法)により、中小企業等協同組合法が改正されました。一括整備法は、成年被後見人および被保佐人が不当な差別を受けずに、人権が尊重されるよう、各制度で定められている欠格条項等の適正化等を図る目的のものです。これに伴い、中小企業等協同組合法も、役員の欠格条項が改正されました。本改正では、「成年被後見人若しくは被保佐人又は外国の法令上これらと同様に取り扱われてい
中小企業は、大企業と比較すると、規模の小ささや信用力の弱さ等によって、不利な立場となってしまうことが多々あります。したがって、同じような業種を営む同業者等が集まって組織化することにより、不利な立場を是正するという方法が採られます。その組織化の手段の一つとして、中小企業組合があります。中小企業組合制度は、中小企業の事業者等が組織化し、共同事業を通して、経済活動の機会の確保、自主的な経済活動の促進、経済的地位の向上を図るための制度です。中小企業等協同組合法に基づく組合制度およ
緊急管轄とは、法律上の規定によると、日本の裁判所の管轄権が認められないが、日本の裁判所の管轄権を否定すると、正義衡平の理念に反し、不当な裁判の拒否に当たるような場合に、例外的に日本の裁判所が管轄権を有するものとすることを言います。一般的な管轄原因は認められないが、外国での訴訟が著しく困難な場合に原告を権利保護の途絶から救済するために管轄を認めるというのが緊急管轄の考え方とされています。どのような場合に緊急管轄が認められるのかについては、裁判所が個別具体的な事情に基づいて判断することに
外国人が不動産を売買する場合①不動産仲介業者の選定②売買契約の締結③売買代金の支払いおよび不動産の引き渡し④登記申請⑤新たな権利証の発行というのが、主な流れになります。①不動産仲介業者の選定買主の場合には不動産を、売主の場合には購入者を探すために、仲介の不動産業者を選定します。②売買契約の締結仲介により購入・売却することになった場合、売主と買主との間で売買契約を締結することになります。その際、必要に応じて、売買契約書、宣誓供述書、
外国人が日本国内の不動産を購入した場合、印紙税、登録免許税、固定資産税、所得税、住民税が課さられる可能性があります(以下では、2021年12月現在の税金について取り上げます)。①印紙税不動産の譲渡契約書には、印紙税法に基づき、印紙税が課されます(印紙税法2条、別表第1の1号)。この印紙税は、契約金額に応じて、税額が異なります。したがって、自分が課される税額の収入印紙を、契約時点において、契約書に貼り付ける必要があります。②登録免許税登記
外国人労働者の受け入れを想定した改正入管法は、2019年4月に施行されました。この改正入管法の施行前にも、すでに多くの外国人が働いていました。もともと働いていた外国人労働者の国籍としては、中国、ベトナム、フィリピン、タイといった東南アジア諸国が主に挙げられ、職種としてはサービス業が最も多く見られました。人口減少が著しい日本にとって、外国人労働者は労働力を補うために必要不可欠になってきており、今回の改正によって外国人労働者の受け入れを拡大する形になります。今回の改正の際に法
少子高齢化により、いっそう深刻化する人手不足を外国人労働者で補おうとする動きは、今に始まったことではありません。特に中小企業は2019年時点で、6割近くが自社の正社員数について不足であるとしました。その人手不足の対策として、業務の効率化等の既存の体制を改革する企業が多く、新規採用では、求めているような労働者が見つからなかったり、募集しても応募が来なかったりと、苦慮している企業が多くありました。そこで2019年4月に入管法が改正され、外国人労働者の受け入れが拡大された際、外国人労
人手不足が深刻になっていく日本ですが、実際に2019年4月に行われた日本人労働者に対する調査では、6割5分近くの労働者が、自分の職場について人手不足だと感じていることが明らかになりました。その要因として挙げられていたのが、順に、採用しても定着しないこと、退職や異動によってできてしまう欠員、そもそも求人募集をしても応募が来ないこと、そして勤務先の企業自体が人手不足について問題としていないこと、でした。しかし、そういった人手不足の現状の中でも、入管法改正に伴う外国人受け入れ拡大については
監理事業を行う際には許可が必要となります。監理事業の許可申請は、外国人技能実習機構監理団体部審査課宛に申請書類を郵送または持参することにより行うことが出来ます。書類に不備がない場合には、早くて受理日から3~4か月程度で許可がなされます。管理許可の更新については、許可の有効期間が満了する日の6ヶ月前から3か月前までに外国人技能実習機構監理団体部審査課に申請する必要があります。期限を経過してしまうと原則、許可の更新としての申請が出来なくなります。一般監理事業の許可申請が不許可となっ
非居住者や外国法人が日本国内にある土地等を売却した場合、所得税および復興特別所得税の源泉徴収相当額を源泉徴収し、税務署に支払う義務は、その土地等を購入した買主が負っています(所得税法5条2項1号、6条、復興財確法8条、9条、10条、28条)。これは、申告漏れを防ぐことを目的としています。源泉徴収義務者は、土地等を購入し、譲渡対価の支払いをするすべての者を含むため、法人だけでなく、個人も含むこととなります。源泉徴収の対象となる「土地等」とは、土地もしくは土地の上に存する権利または建
特定技能の在留資格は、業種等によって、特定技能1号と特定技能2号に分けられています。その中でも、特定技能2号は、熟練した技能を持つ人に与えられる在留資格です。特定技能2号を取得すると、在留期間の更新に上限がなくなり、配偶者等との帯同も認められます。特定技能1号の在留資格を持つ外国人の数は、2021年12月末時点で約5万人ほどいたのに対し、特定技能2号の資格を持つ外国人はゼロでした。しかし、特定技能2号の在留資格が、制度が始まって以来初めて認められたことが明らかになりました。出入国在
平成28年の入管法改正により、新たに入管法22条の4第1項第5号が追加されました。この規定は、在留資格に基づく本来の活動を行わないことに加えて、「他の活動を行い又は行おうとして在留している」場合に、在留資格を取り消すことができるというものです。入管法22条の4第1項第6号と同じく、申請およびそれに基づく許可に問題はなかったものの、許可後の事情の変化により、本来行うべき活動を行わない場合に、他の活動を行うまたは行おうとすると該当しますが、6号とは異なって、3か月の経過がなくとも在留資格を取り消す
令和2年中に在留特別許可された事例19件および在留特別許可されなかった事例19件が、出入国在留管理庁により公表されました。在留特別許可は、入管法50条に規定されている法務大臣の裁量的な処分です。処分の際には、個別事例ごとに、在留を希望する理由、家族の状況、生活状況等の事情、およびその外国人に対する人道的な配慮の必要性と他の不法滞在者に及ぼす影響を総合的に判断するとされています。まず、配偶者が日本人の場合において在留特別許可された事例としては、不法残留が3件、不法入国が1件、罰金が課
2022年4月1日以降、建設関係職種等に属している作業に関する技能実習生の総数について、規制がなされます。対象となるのは、技能実習計画の業種欄において、日本標準産業分類D-建設業を選択している申請者です。この規制では、技能実習生の総数が、常勤職員の総数を超えてはならないこととなります。したがって、2022年4月1日以降に技能実習生の総数が常勤職員の総数を超えていた場合、基準に適合していないとされます。これは、技能実習生の総数が、現時点において既に常勤職員の総数を超えている場合も、20
新たな変異株であるオミクロン株が世界的に広まる中で、日本政府もオミクロン株に対する水際対策の強化を決定しました。11月30日から、予防の観点からの緊急避難的な対応として当面1か月の間以下の措置が実施されています。①オミクロン株ついての別途の指定国・地域11月29日、オミクロン株に対する指定国・地域として、アンゴラやイスラエル、イタリア、イギリス等が別途指定されています。検疫所の宿泊施設での待期期間について、アンゴラは待機なしから10日間待機に、イギリスは3日間待機から6日間待機に等、追
政府は11月5日、新型コロナウイルス対策で今年1月から原則停止していた海外からの新規入国につき、大幅に制限緩和を行うことを発表しました。政府は、規制緩和により往来を再開させ、経済を活性化したいと考えているようです。これにより、日本人の配偶者や人道上の理由等の特段の事情がある場合以外でも規制が緩和されることになります。11月8日から規制緩和が行われ、海外のビジネス関係者・留学生・技能実習生が規制緩和の対象となり、観光客は今回の規制緩和の対象外となっています。政府は、感染状況によって入国対象を
外国人が特定技能で日本において就労している場合、家族とバラバラになってしまうことがよくあります。家族と一緒に暮らすために呼び寄せたくても難しいと考える人も多いでしょう。もっとも、制度上問題なく家族を呼び寄せられる方法があります。それは、特定技能で雇用されている外国人の配偶者も、特定技能で雇用してもらうという方法です。しかし、それには課題もあります。まず1つ目に、技能試験と日本語試験のどちらにも合格しなければ特定技能で来日することはできません。そして2つ目に、会
「留学」の在留資格で在留する外国人の就業可能時間は、原則として1週間28時間以内です。この制限は、そもそもの入国の目的、つまり留学に支障をきたさない範囲に労働をとどめるという目的のために設けられています。しかし、例外規定が定められており、要件を満たすことで週40時間の就労が可能となります。その例外が「学則による長期休業期間」であり、その期間に限り1日8時間以内、週40時間以内にまで制限が緩和されます。「学則による長期休業期間」とは、学校の夏休み等に定められた期間のことを指し、本来学校
出入国管理庁によると、今まで建設等の2分野のみ対象であった在留期間の廃止について、特定技能の在留資格に関しても同様になくす方向で進んでいるようです。対象となるのは、特定技能の在留資格が定められている分野すべて、すなわち深刻な人手不足が問題となっている製造・農業・介護等の業種14分野になります。熟練した技能があれば在留資格を何度でも更新することができるため、実質的に無期限に滞在し、労働できるようになります。したがって、技術者・専門者等に限定してきた永住権を外国人労働者に幅広く認める形
2021年年末頃、食品メーカーAおよびその採用担当の係長1名が、入管法違反を理由に、警視庁組織犯罪対策1課等により書類送検されました。通訳などの在留資格で入国したネパール人6人を、同食品工場で資格外のことにつき違法に就労させていた、不法就労助長が理由となっています。係長は、違法とはわかりつつも、人手不足解消のために行った旨話しているようです。本件で特徴的なのは、派遣元の人材派遣会社だけでなく、派遣先のAも摘発されたということです。捜査当局が、外国人労働者に関する法規制をより厳格に運用
ベトナム人労働者を技能実習2号から技能実習3号に移行する手続については、「日本の外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律の施行後の日本への技能実習生送出契約の登録について」が、ベトナムの海外労働管理局から発出されています。技能実習2号から3号への移行の登録の際、送出機関は海外労働局において契約を登録することになっています。その契約の条件について、上記規定は、技能実習生から徴収するサービス料についても規定しています。それによると、送出機関および監理団体に変更がない場合
廃炉作業が続く福島第一原発や再稼働を目指す柏崎刈羽原発などの現場での作業に外国人労働者を受け入れることを東電が明らかにしました。この外国人労働者は、特定技能の在留資格で受け入れられます。業務は、建設、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、自動車整備、ビルクリーニング、外食業が該当するとされていますが、主に建設に含まれる廃炉作業が中心となるようです。法務省は、福島第一原発内で東電が発注する事業は、廃炉関係のみであり、一般的に海外で発生する可能性がないとしたうえで、国際貢献という趣旨に反
建設業やサービス業等の業界における人手不足をうけて、2019年4月1日に改正入管法が施行され、外国人労働者の受け入れが拡大されました。新しい在留資格の設立により、5年間で最大35万人近くの受け入れが見込まれています。2018年10月末時点における外国人労働者の数は、前年度比でおよそ15%増加した146万人に達しており、日本経済は外国人労働者なしでは成り立たない状態になっています。その中でも技能実習生の数は、前年度比で5万人以上増加し、30万人を超えていました。この時点で専門技術分野の労