元禄8年(1695年)、幕府は荻原重秀の提言を受け入れ、94年ぶりに金貨、銀貨の改鋳を実施した。公表された理由は第一に、刻印が古くなったのを造りかえる、ということ、第二に通貨の量を増やすために品位を改める、ということであった。重点が第二項にあり、品位を「改める」とは「落とす」ということだとは、誰にでもわかった。金銀の比率を下げ、その分枚数を増やすということである。新たに発行された元禄小判は、サイズと重量は変わらないが、分厚く、色が白っぽく、金を減らして「まぜ物」を増やしたことが一目でわかったとい