全盛時のオ-ラが消えてここから翳りを見せ始める。『ヴァン・ダイン/甲虫殺人事件』(再読)その1
慈善家で美術愛護者のベンジャミン・カイル氏が、ブリス・エジプト古代博物館内で死体となって発見された。名探偵ファイロ・ヴァンス+マ-カム検事+ヒ-ス部長刑事のレギュラ-・トリオがこの殺人事件の捜査に乗り出す。事件現場のあらゆる手掛かり&証拠は、明らかにこの博物館の館長たるミンドラム・ブリス博士を殺人犯として指し示していた。マ-カム検事とヒ-ス部長刑事はブリス博士を最重要容疑者として逮捕しようとするが、名探偵ファイロ・ヴァンスは「明白な証拠があまりに揃い過ぎている。その点がどうも気になる」と逮捕に難
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究極の様式美という点からすればミステリ史上最高?『ヴァン・ダイン/グリーン家殺人事件』
クリスティー、クイーン、カーの全盛時代ともいえる1930年代をミステリ黄金期と呼ぶとすれば、この三人より僅かに先にデビューしたのがヴァン・ダイン。ミステリ・ガイドの類いでは必ずと言っていいほど「大巨匠」扱いである。自分が知らないだけで実は短編もあるのかもしれないが、基本的には「12作の長編のみ」ということで、クリスティやクイーンやカーよりも作品数は遥かに少ない。かつてはこの12作の長編全てが創元推理文庫から出ており、いつでも全ての作品が簡単に読める状態であったが、ここ15年くらいは一部の代表
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