前に実際に起こった事件の実在感について書いたが、これは何も実際に起こった事件のみならず人間に関しても同じであることに気づいた。例えば、「高橋いさを」という人間は実在する。わたしは実在し、生活しているからである。対して「明日は運動会」に出てくる「森田髙史」という人間は実在しない。モデルはいても、わたしが作った架空の人物だからである。その架空の人物に血と肉を与え、あたかも実在している人間のように見せることが俳優の仕事であると言える。そういう意味では、作・演出家であるわたしはまぎれもなくフランケンシュ