はかなき事だに、かくこそ侍れ。まして、人の心の、時(とき)にあたりて氣色(けしき)ばめらん、見る目(め)のなさけをば、え頼(たの)むまじく思う給(たま)へて侍る。そのはじめの事、すき<”しくとも、申(まう)し侍らむ」とて、近(ちか)く居寄(ゐよ)れば、君も、目(め)さまし給ふ。中將、いみじく信(しん)じて、頬杖(つらづゑ)をつきて、むかひ居(ゐ)給(たま)へり。法(のり)の師の、世のことわり説(と)き聞(き)かせん所の心ちするも、かつは、をかしけれど、かかるついでは、おの<睦言(むつごと)も、え