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2018年10月のブログです*佐伯一麦さんの『ショート・サーキット-佐伯一麦初期作品集』(2015・講談社文芸文庫)を読みました。またまた佐伯さんの小説で、このところ、じーじは(佐伯)一麦ワールドと(樋口)有介ワールドにハマってしまった感じです。佐伯さんが初期に書かれた小説から選ばれた作品集ですが、なかなか読み応えがあります。あらためて思ったのは、佐伯さんは文章がうまいな、ということ。丁寧で、美しい日本語です。誰が下手とはいいませんが(?)、佐伯さんの
2018年10月のブログです*先日、佐伯一麦さんの『空にみずうみ』を読んで、とても良かったので、今度は本棚の隅にあった同じく佐伯さんの『日和山-佐伯一麦自選短編集』(2014・講談社文芸文庫)を再読してみました。4年ぶりの再読です。こちらも良かったです。表題作の「日和山」は東日本大震災からまもなくの仙台を舞台に書かれていますが、地震や津波、停電、断水、原発などの不安に慄きながら生活をする普通の人々を書いていて、秀逸です。しかも、それらの不安の底に、津波で流される
2018年8月のブログです*佐伯一麦さんの『空にみずうみ』(2018・中公文庫)を読みました。読売新聞夕刊に2014年6月から2015年5月まで連載されたとのことで、震災4年目の日常生活がていねいに描かれます。佐伯一麦さんはわたしより五つ年下の仙台出身の作家。わたしは、高校生の夫婦を描いた『ア・ルース・ボーイ』(1994・新潮文庫)を読んでファンになり、以来、寡作な佐伯さんの小説を時々、読んできました。時々、というのは、小説の主人公が仕事のアスベストで健康を害
こんにちは。バディの飼い主です。12月半ばからずっと胃腸の不調があり、大腸の内視鏡検査を受けたのが2週間前。私の人生の変わり目がくるのか、と覚悟する日々。悪性のものが見つかると、#仕事を辞めることになる。#猫ハウスのお世話(ボランティア)当番もやめる。#2月初めの本好きの会もキャンセル。#予定も立てられず、だれとも約束もできない。私のこれから、がいったん全て白紙になるのだ。で、大丈夫だった場合は、これまでの人生が変わらず続いていく、のだろうか?結果を待っている期間、黒澤明の
講談社2019年3月第1刷発行2019年5月第2刷発行262頁東北の大震災後、水辺の災害の歴史と土地の記憶を辿る旅を続ける『彼』は、その締めくくりとすべく、大震災と同じ年に台風12号による記録的な豪雨に襲われた紀伊半島に向かいますバスの車窓から見える土砂災害の傷跡を眺める『彼』の胸中には、自身の病、幼い頃の屈辱、クラシック好きで自死した友・唐谷のことなど、さまざまな思いが去来します『彼』=私小説の名手・佐伯一麦さん本人ラスト70頁は『彼』の旅から二年『私』
先日図書館で借りて来た、佐伯一麦(さいきかずみ)さんの「石の肺」を読みました。2007年刊行と少し古い本ですが、クボタショック(尼崎市の機械メーカークボタの工場周辺でアスベスト起因の中皮腫が発生している事が報道され社会問題となった公害事件)や、大阪・泉南アスベスト国家賠償請求訴訟(大阪泉南周辺のアスベスト工場の従業員・家族・周辺住民がアスベスト被害に対して起こした訴訟)あたりの状況や、作者の考えが良く書かれています。なにより、さすが作家さんが書いたもの。とても読みやすい文章で、内容の重さに反
▪️江戸のキャリアウーマン柳谷慶子⭐︎▪️江戸の女子旅谷釜尋徳⭐︎▪️還れぬ家佐伯一麦⭐︎※▪️地雷グリコ青崎有吾⭐︎※☆初めて読む作家作品※完読出来なかった本
講談社文芸文庫2021年12月第1刷発行解説・富岡幸一郎手紙が紡ぐ「時」の流れ251頁『遠くからの声』1997年から99年にかけて、オスロ/仙台~東京間で、二十世紀末という時代と文学について語り合ったもの『言葉の兆し』2011年、東日本大震災に遭遇して言葉の力を根底から問う者、戦災の記憶をたぐり歴史と語りの相にふれる者として再び紙上で相見えたもの先輩後輩の二人の作家が文学、世相、人間について交わす書簡集作家の生の声を聞いたかのようでした特に、戦争を体験
「神戸ニニンガ日誌」(第3,034号)○神戸新聞夕刊「随想」で作家の佐伯一麦氏が神戸新聞の「イイミミ」欄を「エッセーの宝庫」と書いていた。当欄は「読者から電話やFAXで寄せられた話題や本音を、語り口調そのままに掲載した人気コーナー」だ。○受けた電話を記者が文字にしていることに驚く。新聞の「声」欄・投稿欄には郵便・FAX、今はメールで届くと勝手に考えていた。「イイミミ」は1971年に始まっている。何と50年以上続いている。読者のドキュメントを文才溢れる記者の短文で読む。当欄を「市民とプロの
引き続き、『男性作家が選ぶ太宰治』の続きでーす。前回は『道化の華』しか書けなかったので、今回は佐伯一麦氏、高橋源一郎氏の選を書こうと思います♪佐伯一麦→『畜犬談』犬をこれでもかと悪く言っているのに、結局は犬への愛情を感じてしまうような文章を書いている作品。しかも笑わせてくれる。犬は不潔だ。犬はいやだ。なんだか自分に似ているところさえあるようなきがして、いよいよ、いやだ。たまらないのである。その犬が、私を特に好んで、尾を振って親愛の情を表明して来るに及んでは、狼狽と
🌸躑躅咲く石畳ゆく人を追う🐦⬛もしかしてあれはホトトギスだったのか。。。✒️赤缶カレーを買ってきて色々とアレンジしてます使えます✒️佐伯一麦さん三冊借りてきました読めないかも✒️鰹のたたき春になってカツオを食べられる嬉しさ自家製タタキが一番美味しい✒️筍をもらってたくさんあったので八宝菜にアレンジしてみるまだ残っていたから冷凍したけどやっぱし炊き込みご飯がええですなあ✒️身体のことを考えると控えねばならないので
佐伯一麦(さえきかずみ)著私と同世代の著者。仙台に住んでいた友人が仙台生まれのこの人のことを話していたのを覚えていたので今回読むことにした。時代は1990年ころの話。主人公は、妻と3人の子をつれて、東京から茨城県に引越し、配電盤の製造工場に勤めるところから物語ははじまる。以前は電気工で、屋根裏などのアスベストのせいで肋膜炎を患っていて、精神的に不安定な妻と病気の子供を抱えている。物語の半分以上はこの配電盤を仕上げるための配線の作業工程を一からつぶさに描写することに費
今日ご紹介するのは、佐伯一麦『あんちゃん、おやすみ』私の中では、一貫して私小説を書いているちょっとめずらしい作家さんという位置づけ。まず、著者の名前が読みにくいですね。ずっと読めないまま「佐伯いちナントカ」って識別してたズボラな私。職業上、ダメだよね、これで、これで「かずみ」って読むんだと知って、「か、かっこいい」と。名前ぼれしました今でも、見るたびにこの名前いいなぁ、って思います。佐伯は本名だけど一麦は筆名のようですね。ネットとかの情報だと、ご自身の好きなゴッホが麦畑を好んだか
先日、班長仲間さんから、夏祭り中止らしいよとメールをもらってはいたのですが、回覧板にしっかりと夏祭り中止!と書いてありました「中止せざるを得ない状況」とのことです。当たり前の話。町の感染者は毎日増えるばかり。斜め前のお家のお子さんも感染と近所の噂です。町の運動会も早々と中止だそうです。楽しみにされていた方もいらっしゃるでしょう。来年は全ての行事が開催されますように。アシダンセラ、2本目の花が咲いてきました。うちわサボテンにも2回目のつぼみが出てきました。佐伯一麦さん(好
昨日の晩ごはんは、冷やしラーメンです♪冷麺風にいろいろトッピングしました。美味しかったです(^o^)昨日の昼ごはんは、巻き寿司と玉子焼きです♪巻き寿司は新香とキュウリ、梅とキュウリです。美味しかったです(^o^)昨日は、変な夢を見ました。私が一輪車に上手く乗ってどこかに行ってる夢です。近所の人にも、上手いねと声をかけられます(笑)意味不明です(^_^;)とりあえず、佐伯一麦さんの小説「一輪」を読み返そうと思います。
斎木は(中略)いつものように薬を服んでから寝に就いた。蝋燭の明かりを消すと、テントは暗闇になった。シートを通して固い地面の感触が伝わってきた。冷えた土のにおい、草いきれもにおった。薪がはじける音が聞こえた。ときどき、火の世話をしている人の気配がテントの外に起こった。(佐伯一麦「青い山」集英社文庫)
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←キウイフルーツの芽吹き。これもつい先日まで枯れ木のようだった。木々は凄い。楓も芽吹いていたよ。3月も万葉集関連を中心に、ロヴェッリや土の人類史、あるいは久しぶりのシェイクスピアなどそれなりに読めた。どれが面白いって、それなりに選んで読んでいるので、どれも面白い。ただ、仕事がやや忙しくなり、仕事の合間に読む本は減ったし、春になって雑草も目立ってきて、庭仕事も増える。読書の量は、一か月ごとに減っている。ちょっと淋しい。3月の読書メーター読んだ本の数:15読んだページ数:
←川瀬巴水等の版画が展示販売されているということで、富山市のアートギャラリー「GINZA絵画館」へ。初めて入る。販売額は、十数万から二十数万。決して高くはないが、我輩には高値の花。久しぶり……15年ぶりに川瀬巴水を観た。東京在住最後に観た展覧会が川瀬巴水展だったのだ。店の在庫で我輩の好きな作品はなかったが、幾つか観れただけでうれしい。驚いたことに、清宮質文の作品が1点あった。大好きな作家。(03/2417:08)富山市のアートギャラリー絵画館へは、自転車を転がして。暖かくは
ゼンタングル・プロジェクトパック16で描いた作品の続き。(もうプロジェクトパック17が始まっている17はお道具の購入もしていないし、自分のペースで、やりたくなったときやればいいのだけれど。)↑新しい作品を組み立てたついでに、以前描いたものを糊付けした。↑紙に穴を開けているところが面白い。↑黒いタイルに描くのは久しぶりかな?↑プロジェクトパックの作品をそのまま真似て描くのではなく、自分の好みをじゃんじゃん入れて描けるようになってきたと思う
私は、昼間家で一人でのんびりするのが好きだ。夫も、そういう時間が欲しいかな、と思い、休日の昼は、私は夫を残して外出するようにしている←今日は、デカフェコーヒーを保温水筒(以前UNIQLOでもらったやつ)に入れ、パン屋でパンを買って(カレーブルストパンと、シナモンロール♡)公園で食べた。広い場所の大きな木々を見ると、気持ちがせいせいするし、公園に来ている家族の様子をぼんやり眺めるのも楽しい。パンもコーヒーもおいしかった。でも、おにぎりを作ってお茶と持ってくる
アスベストスAmazon(アマゾン)1,600〜4,380円ノルゲNorge(講談社文芸文庫)Amazon(アマゾン)1,463円山海記Amazon(アマゾン)1,045円空にみずうみ(中公文庫)Amazon(アマゾン)171〜3,062円ショート・サーキット(講談社文芸文庫)Amazon(アマゾン)900〜4,125円還れぬ家(新潮文庫)Amazon(アマゾン)782円日和山佐伯一麦自選短篇集(講談社文芸文庫)Amazon(アマゾン)1,09
アスベストにかかわる連作小説集。アスベストス著者の佐伯一麦自身が、過去に電気工として働いていて現場でアスベストを吸い込み、後遺症に苦しんでいる。この本は、フィクションで、文章がしんみりと美しく、分かりやすい。取り出すことの出来ない「静かな時限爆弾」を肺の中に抱え苦しみながら生きている、あるいは死んでいく人々の姿、そして、自分には無関係だと思っていた事柄が、突然切実な問題として迫ってきた若い夫婦の様子などが静かに、語られている。
アスベストス佐伯一麦文藝春秋2021年12月アスベストスAmazon(アマゾン)1,600〜4,380円かつて建築資材などに広く使われていたアスベスト(石綿)。その細かい繊維を肺に吸い込むことで、長い潜伏期間を経て肺がんや中皮腫を発症することから、「静かな時限爆弾」とも呼ばれる。著者は若い頃、電気工事工として働く中、現場でアスベストを吸い込み、今なお後遺症を抱えている。その経験をノンフィクションとして、『石の肺―僕のアスベスト履歴書』に書いたが、本書はその小説版と言える。仙
11月中旬の朝日新聞の鷲田清一「折々のことば」に、私の大好きな小説家、佐伯一麦の言葉が紹介されていた。↓「子供というものは、大人が思うほど子供っぽくなく、孤独に耐える悲しみや大人同様のきつさが付きまとっていた」つい先日、私のこの拙きブログにおいては、日本の子どもたちの実に多くが17歳~19歳になっても[自分は大人ではない]と意識しているとのアンケート結果の数字を紹介した。うーん、なんかこのアンケート結果の数字とは相反するような感じがしないで
この家に持ってきてずいぶん溜まっていた埃を払い(中略)余った電線で簡易のアンテナを作って無線機を作動させてみた。真空管が灯って、やがてサーという耳懐かしいノイズが聞こえ出すのを待った。それから、7MHzに周波数を合わせてゆっくりダイヤルを回すとコールサインが聞こえてきた。(佐伯一麦「JA7RQP」集英社文庫)
化粧を落とした時の美しさを女性は知っているだろうか。「男でも女でもない、人間としかいいようのないもの、そう感じられるものに会ったのは、生まれて初めてだった」人間にはなかなか出会えないものである。ショート・サーキット佐伯一麦初期作品集(講談社文芸文庫)Amazon(アマゾン)1,562円山海記Amazon(アマゾン)1,463円P+DBOOKSア・ルース・ボーイAmazon(アマゾン)550円渡良瀬(新潮文庫)Amazon(アマゾン)9〜5,105円芥川賞を
先日読んだショート・サーキットがよかった佐伯一麦のア・ルース・ボーイ。ア・ルース・ボーイはalooseboyということで、本中ではだらしのないやつというように意味が説明されているが、同時に主人公は解き放たれた・自由なという意味をlooseに見つけ自分にふさわしいと思っている。高校を中退して自分の子ではない赤ん坊を生んだ女の子と同棲し、電気工として働く主人公を描く。電気工は作者の以前の職業であり、私小説的要素が強い小説と思われる。家庭の中で・学校で、居場所がなかった主人公
ショート・サーキット佐伯一麦講談社文芸文庫2005年1刷佐伯氏は、庄野潤三の本の「山の上の家」で、静かな文章を書かれていたので、名前が記憶に残っていた。先日希少本コーナーで下記本を見つけて購入。小説作品を読むのは初めて。表題作を含む5作品を掲載。処女作を含む初期作品集。表題作の「ショート・サーキット」は、いわゆる電気の「ショート」(短絡)で、主人公=作者が電気工であることによる。すべて私小説作品で、妻から、小説に書くなら離婚する、と言われるところまで書いてしまうような私小説で