ブログ記事3,842件
「この船は明日神戸に着く。神戸に着いたらこのルートで船を降りて。」春馬はそう言って船の見取り図と港の地図を渡した。「サンキュー。色々と世話になったな。」おれが春馬とはじめて会った翌日。おれはキズが化膿して高熱を出した。春馬は危険を承知でおれの看病に何度も通ってくれた。「ダニーは……おれの恩人だった。おれ、孤児なんだ。アメリカで幼い時に両親を亡くしたんだ。観光でアメリカに行っていたらしいけど、そこで交通事故に遭って親を亡くしたんだ。そんなおれをダニーは引き取って育ててくれた。そしてダニ
谷間の百合姫⑤再会やっと⑤が仕上がりましたー毎度遅くてすみません。自分で言うのもなんですが、やっと面白くなってきました。この調子で来年もマイペースで書いていきますのでよろしくお願いします🙇頑張って書いたので読んで頂けると嬉しいです!以下、pixivのページに飛びます!谷間の百合姫⑤はこちらから#5谷間の百合姫⑤再会|谷間の百合姫~永遠の桃花二次小説~-kakekoの小説シリーズ-pixiv「師父……少しだけ、お話をさせていただけませんか」翌朝、百合
後ろから伸びてきた手が、ヒョイと図案を取り上げた。「え?」振り向くとウクが立っていた。「旦那様」ミョンが席を立つ。「なんなのだ?これは」ウクが笑顔で図案を広げた。「…えっと」言い淀んでいるとスに微笑んでみせるウク。スはそれでウクも何もなかった事にするつもりなのだと悟った。ウクはミョンの隣に座り図面を見せる。「これは?」ミョンが図面を覗き込む。「これを庭の隅に作りたいんです」「作る?」「えっと、“石窯”といって料理なんかに使う焼き窯なんですけど」「
朝早くから王殿で仕事をしていたサムノムは連絡役の内官に淑儀が呼んでいるので集福軒へ行くよう命じられた。「……淑儀様が…ですか?」淑儀に会うのは東宮殿に配属を変えられて以来だ。どうして呼ばれたのかサムノムは不安で胸が押し潰されそうだった。ーどんな用件だろう…ーもしかしたらヨンに遠ざけられた事を知り、王殿にも相応しくないとお叱りを受けるのだろうか。「淑儀様、ホン内官が参りました」「通してちょうだい」部屋に入ったサムノムは淑儀の顔を見るのが恐くて深く頭を下げた。「待っていた
nabisonyoです。当ブログにお越しいただきありがとうございます。こちらは『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』の二次小説を書かせていただいています。ドラマのイメージを壊すとご不快の方はこちらでご遠慮ください。お許しいただける方は少しでも楽しんでいただけると嬉しいです。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー「へ、陛下?きゃっ!」陛下が窓から部屋に入ってきたので、窓際にいた私は後ろにのけぞった拍子に尻
新一と蘭の結婚式が執り行われる事になり、2人は知り合いに招待状を送った。その中には、元太達3人も含まれていた。当日。「いっ!いだだ!」元太達3人を式場に連れて行く役をかって出ていた博士が、ぎっしり腰になってしまった。「博士は寝ていて!私が博士の代理をするから!」志保が申し出た。組織が壊滅した直後、志保は組織の一員だったと自首し、裁判で有罪が確定し、刑務所に入った。そしてつい先日、刑期を終え、出所したばかりだった。「す、すまんのぅ。」博士が謝った。そして志保は元太達3人の元へ
ひとりの男が刃物を振り回して逃走。負傷者が複数出ている。そんな知らせが俺の勤める救命救急センターに届いた。その病院の看護師として働いていた俺は直ちに同僚の医師達と共に現場に向かった。現場に向かう道の途中で俺達はまだ小学生の子供達に仲良さそうに歩く親子連れ恋人達とたくさんすれ違う。ここにいる全員。同じ世界の延長線上で事件や争いが普通に起きてるなんて思ってないよな。俺だってこの仕事を始める前まではそうだった。それなのに今は目をそらすことが出来ない現実。悪いやつにも何か事
お久しぶりですええっとそう、クリスマス忘れてません、忘れてませんがいろいろ忙しくて全然進んでない…どうしましょうなんとか17日くらいには始めたいとは思っているのですが、今回も過去にやったアレやコレやをリメイクしてくっつけただけのお話になりそうですそれにしても間が空き過ぎたので即興小話でも置いときますタイトルは…「腕相撲」とりあえず、今から仕事(遅番なんです)なので行ってきますまた来週放課後彼のお部屋にお邪魔して、のんびりお茶を飲んでいると「ね、握力ってどれくらいある?」ふい
ダニーが命を懸けて繋いでくれたおれの日本への密航ーー。もう貨物船に乗り3日が過ぎた。ダニーの命の灯が消えた後、おれはソニアに背中を押された。「ダニーが繋いだ道を絶たないで、リョウ。私は平気。表の世界で生きて行く。今度こそ、本当に。カオリさんと……幸せに。」ダニーのまだぬくもりの遺る身体を抱き締めてソニアは言った。「スティーヴ、リョウを案内してあげて。リョウ、さぁ、早く。」おれのキズはまだ完全ではない。だが、ダニーの思いをムダにすることは出来ない。「ソニア、すまない……。」「うう
【【再掲】】2025.12.11このたび、ブログ内にアメンバー限定記事を設けることにしました。一部の物語や少し深いお話など、ここでしか読めない内容をゆっくり綴っていく予定です。☝️アメンバー申請をしてくださる方は、ぜひ『ひとことコメントを添えて』ください。(例:好きな作品や、印象に残っている場面、感想など)※コメントはどの記事からでも構いません。どんなふうに物語を感じてくださっているのか、その声を少しだけ聞かせていただけたらと思っています。コメントを拝見してから、順に承認
次の日、スは一日中ぼんやりと過ごした。昨夜の事が頭から離れず、食欲も湧かない。-キス……しようとしたのよね……-強く掴まれた腕には、まだ少し痛みが残っている。昨日のウクは少し様子がおかしかった。“…失うかと思った二度とそなたに会えなくなるのではと…恐ろしくなった”あの時のウクの眼差しを思い出し、ぎゅっと目を瞑って頭を振る。「ウ、ウク皇子様は優しいから…」ちょっと心配しすぎただけ。「忘れるのよヘ・ス」***結局何もしないまま夜になった。「お嬢様、奥様がお呼
ヨンから思いもよらない言葉が出た事にビョンヨンは当惑した表情でヨンの後を追いかけた。「世子様っ」ビョンヨンの呼びかけも無視してヨンは「下がれ」と一言告げ書庫に入っていく。ヨンとビョンヨンの後を小走りで追いかけようやく追い付いたチャン内官は溜息をついてヨンの背を見つめた。ビョンヨンは横に立つチャン内官を見る。「一体何が?世子様はどうされたのですか?サムノムは何処に?」「ホン内官から何も聞いておらんのか?ホン内官は今王殿に遣わされている」「王殿に?!世子様が…そうされた
ロンドンの深秋。霧が石畳を包み、街灯の光さえも濡れた空気の中に沈んでいた。馬車の車輪が遠くを通り過ぎ、トラムの鈍い金属音が霧の奥でゆっくりと消える。夜と朝のあわいのような灰色の街を、テリィは歩いていた。オファーがあった劇場とは別の劇団。煤けた壁、湿った木の匂い、出入りする裏方の声はどこの劇団も似ていた。テリィは、一つひとつの扉の前で立ち止まり、深呼吸してからノックをした。「お忙しいところ失礼します。ニューヨークのブロードウェイの舞台に立っていました、俳優のテリュース・グレアムと申します
nabisonyoです。当ブログにお越しいただきありがとうございます。こちらは『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』の二次小説を書かせていただいています。ドラマのイメージを壊すとご不快の方はこちらでご遠慮ください。お許しいただける方は少しでも楽しんでいただけると嬉しいです。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーそれからも陛下は変わらず、月一回ほどの間隔でこの屋敷に足を向けた。春が来て、夏が来て、秋が来て。
あんたには目の前にいる男の虚像しか見えていない──。見て呉れと名声と、その隣でにっこり微笑む居心地の良い空間と。要は光の部分だけ。どんな場所にも、光が射せば影ができる。漆黒の闇ができる。さっきから馬鹿の一つ覚えみたいに、愛しているだの、私には彼が必要だのと繰り返すが、そんなのはただの押しつけだ。闇雲に気持ちをぶつけて成就するなら誰だって苦労はしない。叶わぬ想いとやらに傷ついて、オフィーリアか、若しくはジュリエットか、悲劇のヒロインを演じるのは容易いからな。だけどな。あん
数日前、父のタウンハウス。晩餐の間に入る直前、テリィは一度足を止め、父へ向き直った。煤の匂いがわずかに染みついた廊下に、二人の声が静かに響く。「父上……ひとつ聞きたいことがあります。」公爵は歩みを止め、細い眉をわずかに上げた。「なんだ、テリュース。」テリィは一瞬ためらい、しかしまっすぐに言った。「僕たちのタウンハウスのことです。……本来なら、私自身の稼ぎで用意すべきものでした」キャンディが少し驚いたように彼を見る。テリィは続けた。「子どもたちのためにイギリスへ戻ると決めたのは私で
それはルナちゃんとの楽しいデート中のこと。偶然、一匹の猫ちゃんを見つけたルナちゃんがアタシに言ったの。「あの猫。凛ちゃんに似てるね」確かにアタシの前髪の分け目と猫の顔の柄が少し似ているような。あとは少しタレ目な所かしらね。ルナちゃんがその猫をよしよしと撫でるたびにアタシが彼女に撫でられているような気がしてなんだかくすぐったい気分になってしまったわ。その可愛らしい猫ちゃんとさよならした後も売り物のこけしや空に浮かぶ雲を指さしては「凛ちゃんぽいね」「凛ちゃんの形になってる!
「月が滑り落ちてきそう」上弦の月を見上げて、キャンディが言った。テリュース・グレアムは、地上に向かって星の河を緩やかに前進する舟を想像した。薄いグリーンの夜着が淡い光に透けている。その面積が徐々に大きくなる。「カーテンを閉めてくれ」──錯覚だ。「何故?」彼女が振り向く。「こんなに綺麗なのに」「君を攫われそうで、怖い」「……え?」訝しげに微笑む顔。「テリィったら想像力が豊かなのね……きゃッ」テリィは、彼女の両手をシーツに拘束する。「怒ったの?冗談よ
九月のロンドンの夜。霧は薄く、街灯の光が金の粒のように瞬いていた。グランチェスター家のタウンハウスでは、晩餐のベルが静かに鳴り響く。長いテーブルには白いクロスが掛けられ、磨かれた銀器と燭台が整然と並び、天井近くの装飾彫刻を淡く照らしている。テリュースとキャンディ、子どもたちのオリヴァーとオスカー、そして公爵とジョージ夫妻、久しぶりに家族が一堂に会する夜だった。「まあ……こんなに賑やかな食卓は久しぶりですわね」ジョージの妻・エリザベスが微笑みながら言った。その声には少しの緊張と、同時
「皇子様-!」遠くで使用人の声がしてウクは唇が触れる寸前で動きを止めた。スは顔を背け、腕を掴む力が弛んだのでウクから距離を取る。「ウク皇子様-!」「いた!あそこよ!」「お嬢様!」チェリョンが駆け寄ってくる。ウクは無言で皆に背を向けた。「ジョン皇子様は?!」「無事よ」「スよ!」ミョンまでもが探してくれていた。スは申し訳なくて「心配をおかけしてすいません」と頭を下げた。ミョンは皆の方を見ようともせず、背を向けたままのウクを不審に思いながらも─「兵士に探させたが
今夜のサムノムはいつになくよく喋った。そこに僅かな違和感を感じる。ビョンヨンはお代わりの器を差し出しながらそんなサムノムを観察した。「そうだ!キム兄貴は何か食べたい物ありますか?」「……食べたい物?」そういえば考えた事がない。ニコニコと笑うサムノムを見る。「どうしたんだ急に」「え?何がです?」「………」「あ、牛乳粥とかは無理ですよ?食材が手に入らないし」違和感は感じるものの、それが何かは分からなかった。「麺」簡潔に言うと先に食べ終え立ち上がる。「明
nabisonyoです。当ブログにお越しいただきありがとうございます。こちらは『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』の二次小説を書かせていただいています。ドラマのイメージを壊すとご不快の方はこちらでご遠慮ください。お許しいただける方は少しでも楽しんでいただけると嬉しいです。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー「皇宮では温くなったものか、冷めたものしか卓に出ない。熱い料理はこんなにも良い物なんだな」低い
翌朝ダニーは知人におれの密航を頼むために出掛けた。「少しでも早く日本に帰れるように手配してやる。待ってろよ。」ダニーはそう言って笑った。だがーー。夜になってもやつは戻って来なかった。「ダニー、遅いわ……。」ソニアは焦りはじめた。確かに遅い。だが焦っても状況は変わらない。ソニアの気を紛らわすつもりでおれはソニアにダニーとの関係を訊いた。ダニーは40代前半。ソニアとは少し年が離れている。だが、恋愛に年齢は関係ないとおれは思っている。現におれはホントの年齢を知らない。香が誕
「菅原さん。あのね……。きっと……信じられないことだと思う。ううん。いきなり信じる人なんて……きっといないと思う……。信じてもらえなくてもいい。でも……これが真実なの……。」「香…さん……?」一体なんのことだ?かすみさんのこと、か?「きっと……マンガや映画の世界の出来事……。そう思われると思う。でも……。でもね……。かすみちゃんが言ったこと……。信じられないだろうけど……ホントのこと…なの……。」香さんは慎重に言葉を選びながら続けた。「あたしも……。海坊主さんも美樹さんも……。菅原さ
「そう、ファイト!」笑い合う2人にソは”ふぁいと?“と首を傾げている。ウクは一人、固い表情で楽しげに笑うスを見つめた。「………」無言で馬の元に向かうウク。ソも馬を引き「お前はこちらに乗れ」とジョンを見る。「……はい」馬は2頭しかいないから仕方ない。スがそれを見てウクの馬の方に足を向けた。「あ、ヘ・ス姉上!」ジョンがスに駆け寄るとスが振り返る。「ちょっとやめて下さいジョン皇子様。それ定着させる気ですか?」「はい!姉上!」満面の笑顔にスはジョンの
ハヨンはヨンに向かって自ら手を差し出す。「見ているだけですか?」「…………」まぁ、非はこちらにあるのだし…と若干の図々しさを感じつつもヨンは娘の手を取り立ち上がる手助けをした。「世子様?!世子様?!何事ですか?!」旗の倒れた音と悲鳴を聞き付け駆け寄って来たチャン内官がヨンを世子と呼んだ事にハヨンは驚きのあまり目を見開く。ーこのお方が…あの世子様なの?!ー幼い頃、ミョンウンと一緒に遊んでいた時に何度か見かけた事がある。言葉も交わしたはずなのに全然分からなかった。ーま
nabisonyoです。当ブログにお越しいただきありがとうございます。こちらは『麗~花萌ゆる8人の皇子たち~』の二次小説を書かせていただいています。ドラマのイメージを壊すとご不快の方はこちらでご遠慮ください。お許しいただける方は少しでも楽しんでいただけると嬉しいです。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー陛下が訪問されて二か月後。空が夏から秋へ変わったと分かる雲が現れた頃、連絡もなく陛下がまた訪れた。
先ずは、主演二人による告知SSからご覧くださいこれまで数多の〖シチュおま(シチューよりお前が食べたい)〗シーンを書き散らかしてきたけれど飽きないなぁ…と思いながら今回も書きました♡アパートの入口でコートについた雪を払い落とすと、俺は階段を駆け上がり、玄関のドアノブに手をかけた。カチャリ、と軽い音とともにドアが開く。俺は溜息をついた。また鍵をかけていない。無用心だから一人の時は必ずかけろと口を酸っぱくして言っているのに。女ひとりで国境を越えてくる度胸はあるくせに、どこ
文化祭が終わった翌朝、学院はふたたび沈黙の衣をまとっていた。昨日の笑い声も拍手も消え、中庭の木々だけがざわめいている。風に乗って、紙の匂いと乾いた絵の具の香りが残っていた。キャンディは授業の合間を縫って、ひとり講堂へ向かった。展示の撤収が始まる前に、もう一度、あの絵を見たかった。扉を押すと、重たい蝶番が低い音を立てた。人の気配のない空間。並んだ作品たちは、どれも昨日の賑わいが嘘のように静かだった。陽が傾き、ステンドグラス越しの光が床を染めている。赤と青が混ざり合い、ゆっくりと移
「リョウ、そろそろいい頃合いだ。おれの知人にお前の日本への帰国を手伝ってもらえるよう、今掛けあってるところだ。」ある晩ダニーが言った。「裏の世界じゃシティーハンター、リョウ・サエバは死んだと大騒ぎよ。誰が次の頂点に立つかって、ね。」「……そうか。」日本にも……当然そんな噂は広まっているだろう。恐らく……香はもうすぐ産み月を迎える頃だろう。香がそんな噂を耳にしたら……。そう思うと胸が痛かった。「リョウ。カオリさんが気になるんでしょ?でも、裏の世界にそう信じ込ませないと……。」「ソ