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翌朝、快斗と青子はキッチンで二人で朝食の支度をしていた。つけたままにしたテレビからは、今日の天気、ニュースなどが流れて来て、快斗はそれを聞き流しながら、朝食を作る青子の横でコーヒー豆をコーヒーメーカーに入れて目盛りを確認しながら水を入れた後、スイッチを入れようとした。その時だった。玄関のドアがガチャリと開き、その後まもなく、キッチンの扉が開かれる。「お父さん!!おかえり。」「早いですね、警部。コーヒー飲みますか?」快斗はそうたずねながら、水を足しコーヒー豆の分量を調節した。それから
「快斗君。コーヒー飲むかい?」「はい。あっ、オレいれましょうか?」問いかけたオレに中森警部が顔を上げる。「ああ、じゃあ頼むよ。」応えると、警部は台所にある洗い物を食洗機に入れながら片づけを始める。オレは、その横で警部とオレ、2杯分のコーヒーをつくる為、コーヒーメーカーに豆を入れて水をセットした後、オンのスイッチを押した。いつも朝食は、青子とオレと警部、3人で食べて片づけをしてから出かけるんだけど、今日は青子が早出する用事があるというので、青子を送り出した後、オレと警部の二人で片づけを
「警部。」夕食の後、快斗は警部の書斎をノックして呼びかけた。「快斗君。待っていたよ。」そう声が聞こえた直後、内側から扉が開き、目の前にはにこやかに笑う中森警部がいた。青子の父であり、警視庁捜査2課所属で階級は警部。そして、紛れもなく、怪盗キッド専任の責任者で、キッド確保の使命を負う、警察官である。本来はキッドであるはずの快斗にとって、一番の天敵であるはずの存在なのだが、今の快斗にとっては実の父親同様。時にはそれ以上に頼りになる存在でもあった。だからこそ、守りたい。警部が傷つく姿
快斗はそれから夕方まで眠り続けた。目を覚ますと目の前には青子がいた。「おはよう、快斗。」「ああ、おはよう・・・って。今、何時だ?」「もうすぐ夕方の5時になるところだよ。」応えた青子に快斗は一瞬だけ目を見開くと頭をかいた。「そうなんだ。もうそんな時間。」すげぇ寝すぎた・・・と。そう、息を吐いて呟いた快斗に青子が切なげに目を細める。快斗には時を忘れるくらいゆっくりと休んでもらいたい。正直それが青子の本音ではあったが、そうはいかない事も青子はわかっていた。「快斗、お父さんが夕飯支
カーテンの隙間からのぞいて、窓の外を見ていた快斗。(良かった。二人とも無事で。)まだ、あの組織に快斗が怪盗キッドである事がばれたわけではない。だから、二人が何事もなく帰宅してくるのは当然の事なのだが、快斗はその『あたりまえ』が何よりも大事なんだと改めて心から思った。おそらく、一晩中徹夜で働き続けていた警部も、警視庁で仮眠くらいしか取れなかっただろう青子も、そのまま家に帰って休むのだろうと思っていた。だが、その予想と反して、それから間もなくして快斗の家のインターフォンが鳴った。モニター
「名探偵!!」予想通り宝石の展示台を腕時計のライトで照らしていた名探偵がオレを見上げる。「なぁ、これってさっきと同じ本物か?」その問いにオレは直接その宝石『アイランドクリスタル』の表面に掌をあてると、ゆっくりと撫でて顔を上げた。「違う。これはただのガラス玉。」「つまり偽物。本物はどっかにいっちまったってわけか。」その瞬間。宝石の警護に立っていた警備員たちが上方を見上げ大きく目を見開いた。「キッドだ!!」「ハンググライダーで外に逃げるつもりか!?」「捕まえろ」!!そう言って警
再び美術館に戻るとオレ達は応接室に向かった。そこで、毛利探偵と中森警部に睦月さんから聞いた話を伝えた。「なんと・・・。あの睦月さんが・・・。」毛利探偵がそう言って言葉を失う。「そうか・・・。」呟くと中森警部も拳を強く握り締めた。「警察は・・・調査はされたんすよね。」たずねた毛利探偵に名探偵が頭を振る。「たぶん・・・だけど。館長の部屋にココアが入ったマグカップが二個置かれてたって、その当時いた女中さんがいってたって睦月さんが話してた。」「ココア・・・。それって如月さんがさっき言っ
「それで、警部さん。私は何をお話すればよろしいのでしょう。」再びソファーに腰を下ろすと、館長はそう言って笑みを浮かべた。警部は館長とテーブルを挟んで立ったまま向かい合うと視線を鋭くして館長を見据える。「率直にお伺いします。今回偽の予告状を作ったのは館長、あなたではないですか?」その問いに館長はせせら笑う様に口許を上げる。「バカな。そんな事をして私に何の得があるというのですか?」館長はそう言うと、胸の前で腕を組み視線を鋭くする。「警部さん、今この場に来たばかりのあなたに現状がお分かり
「よろしいですかな?」オレ達は再び美術館へと戻ると、事務室の奥にある応接室の扉を開けた。そこでは、先ほどと同じ様に、館長と毛利探偵が二人、探偵談議に花を咲かせているところだった。「中森警部!!」立ちあがった毛利探偵が警部の前に立つ。「どうも。子ども達がお世話になります、毛利さん。」「いえ。お話ではいらっしゃらないと伺ってましたが・・・。」「そのつもりだったんですが、事情が変わりましてな。」そういうと警部は、視線を館長に移し、数歩前に歩みを進める。「はじめまして。警視庁の中森です
それからオレ達はしばらく3人で館内を見て回ると外に出て、隣接している公園に向かった。公園の芝生の上で座るとオレは上に高く腕を伸ばした。「ふぁ~。なんか人間関係複雑じゃねぇ?」問いかけたオレに横に立った名探偵が苦笑する。「まあな。まあ、もっとも。おっちゃんにわざわざ依頼してくる依頼人の家とか行ってみると、大抵あんな泥沼だったりもするし。」「うげぇ。めんどくせぇ。」答えたオレに名探偵が苦笑いを零す。「青子姉ちゃんは大丈夫?」「うん、大丈夫だよ、ありがとう。」応えると青子は、空を見上
青子の家の前まで着くと、オレは扉の前で一度立ち止まった。そして寺井ちゃんに素っ気ない態度をとってしまった事をちょっとだけ後悔しつつ、深い溜息を吐く。あれはただ自分の弱い部分を晒したくなかった・・・という、ただのオレの意地というかプライドの問題で。別に寺井ちゃんが悪いわけじゃない。だから別にあんな風にしなくても、もうちょっとやりようはあったんじゃないか・・・なんて。そう思うんだけど、その何かは到底今の自分では考えつかなかった。そんな事を思いながらもう一度扉の取っ手に手を掛けたまま溜息を
名探偵コナン~安室VSキッド王妃の前髪(クイーンズ・バング)グレース原作回です。アニメ化に当たってのどういう演出が追加されるのかが楽しみですが、今回はかなり気合が入った回になりました。安室透と怪盗キッドの直接対決という事で、注目度も高いですし、また2024年の劇場版・名探偵コナンの詳細が発表されたgraceblog21.com
オレが今いるのは、警視庁の取調室。良く刑事ドラマに出てきそうな薄暗い部屋の中で椅子に座らされたオレの目の前に、いつも名探偵の事件でおなじみの目暮警部がどっしりと腰を構える。「名前は、アミ・エナン君で間違いないね。」「・・・。」「留学生という事だが出身は?」「・・・。」「今回の事件に巻き込まれた事について、心当たりはあるかい?」「・・・。」すべて沈黙で応えるオレに、目暮警部と、それをまわりで見守っている、佐藤刑事、高木刑事も大きな溜息を吐いた。「日本語だと難しいんですかね
名探偵コナンから、平和な2人を時間が足りず消えたデータを復旧出来ないため差し替え描き直し初恋物語13朝目が覚めた時には、もうその姿はどこにも無かった借りていたオレの服も布団も、キレイに畳まれ何ひとつ、残されていなかった泣く青子嬢を抱きしめる和葉オレは、2人に黒羽からの伝言を伝えた黒羽は、黒羽快斗の人生を取り戻すための闘いに出たのだ熾烈な闘いは避けられへんとわかっていてもそれでも黒羽はやりたかったのだ青子嬢と、中森警部との未来を得るためにそのために、黒羽は自身の家
名探偵コナンから、平和な2人を時間が足りず消えたデータを復旧出来ないため差し替え描き直し初恋物語12「はい、どうぞ」和葉ちゃんに、ホットミルクを差し出したオレは、和葉ちゃんとダイニングテーブルに青子は、服部とリビングのソファにそれぞれ座った「理系だったんだ」なんとなく、文系女子のイメージがあったのは、かるたの影響だろうかまさか理系志望だとは思っていなかったけど和葉ちゃん、服部には文系だと言ってたらしいんだただ、服部はそうじゃない事を見抜いていて東都にある私学狙
名探偵コナンから、平和な2人を時間が足りず消えたデータを復旧出来ないため差し替え描き直し初恋物語11蘭ちゃんのケガを診察した医師が、腕の方はまだ無理をしたらダメだけど、他はもう心配無い、あとは瘡蓋が取れたら治ると言った良かった、と笑う和葉ちゃんと青子は、何やら2人でキッチンに立て籠るオレと服部、蘭ちゃんと言う取り合わせで、リビングで寛いでいると、キッチンからは、何かいい香りがするおっ、と嬉しそうな顔をした服部は、今日の昼はアレだな、と笑う服部の予想通り、並ぶ食卓に
名探偵コナンから、平和な2人を時間が足りず消えたデータを復旧出来ないため差し替え描き直し初恋物語10(アイツのこの表情に、和葉ちゃんはいつ、気がつくんだろう)ソファで、青子と和葉ちゃんが、蘭ちゃんのケガの手当てや、髪のケアをしてあげながら談笑している様子を、ダイニングテーブルで、小説を読みながら、眺めていた服部多分、服部本人は自覚無し、だろうけどーふとカウンターキッチンに目を遣ると、静華さんが、ふっ、と笑うので、ニカッと笑い返したオレ恋する男子高校生の顔、ちゃん
名探偵コナンから、平和な2人を時間が足りず消えたデータを復旧出来ないため差し替え描き直し初恋物語9服部に留守を任せて、オレは府警に居る服部の親父さんの執務室に居た人払いをされたその部屋で、服部の親父さん和葉ちゃんの父親、オレの3人で話をした中森警部と、青子をなんとか護りたい、と言うオレに、遠山さんがある提案をしたのだ答えは、今日でなくていい、よく考えて、決断したら教えてくれ、と言われたけど「よろしくお願いします」ホンマにええのか?と言う遠山さんに、言ったんだ蘭
名探偵コナンから、平和な2人を時間が足りず消えたデータを復旧出来ないため差し替え描き直し初恋物語7怒りに震えたのは、オレだけでは無かった話を聞いた服部も、和葉ちゃんも、青子も同じだオレが知らないところで、ほぼ同時に事件が起きていた東北地方まで遠征していた毛利夫妻とコナンが帰宅する直前帝丹高校から、蘭ちゃんが攫われた帰宅して、騒ぎを聞きつけたコナンが、何とか蘭ちゃんを助けたらしいがコナンも蘭ちゃんも軽症だがケガを負ったと言うのだそんな2人を毛利夫妻が救出したもの
名探偵コナンから、平和な2人を時間が足りず消えたデータを復旧出来ないため差し替え描き直し初恋物語6「快斗!」飛び込んで来て、飛びついた青子をぎゅっと抱きしめてオレは漸く心の底から安堵した元気そうで良かった、と笑う中森警部に頭を撫でられて、警部の無事も確認出来て、油断したら泣きそうなくらい、ホッとした「朝早くの移動、お疲れ様でした」和葉ちゃんが、疲れているだろうから、と、運転して来た佐藤刑事や高木刑事、静華さんや中森警部、青子、オレに服部を助手にして用意した朝飯が
名探偵コナンから、平和な2人を時間が足りず消えたデータを復旧出来ないため差し替え描き直し初恋物語5最初、何の連絡なのかよくわからなかった反応が遅れたオレの代わりに、服部が出て、アレコレ指示するのを耳にしながらふらっと部屋の外に出ようとしたのを、全力で押し戻されたどけどかへんいいからどけよアカン、ここは和葉の家、やで?騒ぐな、何とかしたるさかい、待てと言う服部の顔をみて、ちょっと現実に引き戻された深夜、江古田のオレの家が突然発火して、消失したらしく隣家にはギ
名探偵コナンから、平和な2人を以前から描きたかったお話をCara(イタリア語で、愛しい人)「オマエ、愛されとんなぁ」中森警部に、と言うと、「おう」と笑う黒羽中森警部は、オレと和葉に言うたんや青子嬢と、黒羽をよろしくって特に、黒羽の心配をしとって無理して暴走するところがあるから、気をつけてってケガしとっても、してへん、言うたり熱があっても、無い、言うたりするらしいまぁ、和葉みたいなもんやな、と言うたら、和葉に蹴っ飛ばされたけど言う事を聞かなかったら、魚を出して、と言
それから、オレとアミちゃんは二人で順に階段を降りると、下のリビングに向かった。「あっ、快斗達来た!!」「おっ、それじゃあ早速始めるか。」エプロン姿でパーティの支度をしていた青子が言うと、その横で料理を並べたり飲み物を用意したりしていた警部が笑顔で応えた。「あっ、その前に、ちょっと話があるんだけど。いいかな?」第一声で唐突にそう問い掛けたオレに、青子と警部は目の前に並ぶと二人で顔を見合わせる。「どうしたの?快斗。」「何かあったのかい?」心配そうに首を傾げながら顔を覗き込
「警部、話があるんです。」翌日の夕方、帰宅した警部を青子の家の玄関で出迎えるとオレは言った。「わかってるよ、快斗君。」応えた警部が頷いて、オレの目をまっすぐ見つめる。「ワシも君に話があるんだ。だから、青子と二人でリビングで待っててくれるかな?」「はい。」その言葉に頷くと、オレは隣に立っていた青子と顔を見合わせて頷き合いリビングへと向かった。「待たせたね。」それから間もなく、警部はそう言ってリビングに入ってきた。スーツのジャケットは自室の書斎に掛けてきたのだろう。ネクタ
霞が関、警視庁庁舎内にある一室の扉の前でワシは一度直立して襟を正すと、コンコンッと軽くノックをした。「中森です。」「君か。入りたまえ。」その声に頷くと、ワシは扉を開き入室する。若干薄暗く感じられる部屋の奥でデスクにどっしりと座りワシを待ち構えるのは、ワシの直属の上司。恰幅が良く逞しい体つきに、鋭い視線で独特のオーラを放つ人物。茶木警視である。「中森、参りました。」改めて目の前で敬礼したワシに茶木警視が頷く。「忙しいところすまんな。今日は君に紹介したい人がいてな。」
「中森警部。」ワシはその日、自分の職場である警視庁捜査二課でいつも通り夕刻のデスクワークをしていると、そう呼び掛けてきた声に顔を上げた。「桃山さん、お久しぶりですな。」「ええ。中森警部もご健勝の様で何よりです。」そう言うとその人。上野東署知能犯係所属の桃山警部補はにこやかに笑った。その人は、今でこそワシの方が階級は上だが、ワシよりも年上で、若い頃に世話になった大先輩だ。「聞きましたよ、中森警部。あの鳳銀行の事件で大手柄を上げたそうじゃないですか。流石ですね。」「あれは
「青子、大丈夫か?」オレはそう言って大きなトランクケースを引きながら青子の顔を覗き込んだ。夏休みも半ばを過ぎて。それでもやっぱりたくさんの人でごった返しているこの場所で、人並みにもまれる様にして歩いていた青子が立ち止まる。「快斗、ゴメンね。新幹線の時間あるのに、青子一人とろくて・・・。」少し息を切らしながら申し訳なさそうにする青子にオレは頭を振る。「んな事構わねぇよ。それより無理すんな。別に次のに間に合わなくたって、新幹線なんかいくらでも来るんだから。」「うん、ありがと。快斗。」
しばらく三人で取り留めのない会話をしてから、青子がニコニコしながら笑顔で切り出した。「土曜日にね、コナン君と探偵団の子ども達と、阿笠博士も一緒にみんなでトロピカルランドに行くことになったの。」「トロピカルランド・・・って。前に青子が快斗君とデートした・・・ってところかい?」その問い掛けにオレは苦笑いを零して頬をかく。「ええ、まあ・・・。いやぁ・・・。」曖昧なオレに警部は少しだけ首を傾げた。それはまだオレが青子に正体を秘密にしながらキッドとしての活動を続けていた時の事。ある現場で警部
「こんばんは、警部。」ワシはそう言って家の中に入って来た彼に目をやった。隣人で青子の同級生の黒羽快斗君。数か月前までは、ただそれだけの関係だったようだが、今は違う。先日、ついに彼はワシに自分が怪盗キッドである事を告白し、今は青子のそばを離れるわけにはいかないから、自分をキッドとして逮捕するのは待って欲しい・・・と。彼は、ワシの目をまっすぐ見て真摯に語った。子どもの恋愛なんて一時の気の迷い。確かにそう思う人間も世の中には多くいるだろう。それに彼は・・・。彼の罪は、そんなに軽く自分
「こんばんは、警部。」「やぁ、快斗君。今日は何も起きなかったかい?」「そんなに毎日事件は起きませんよ、警部。」「そうか。それもそうだな。まあ何事もなくて何よりだ。」そう言って、青子の家の玄関からリビングに入って来た快斗を見て、お父さんはほっとした様に息を吐いて笑った。その笑顔を見て快斗もフッと息を吐くと笑みを零す。それからお父さんは快斗に、自分が酒の肴にする為に買ってきたお刺身を分けて盛り付けると快斗の前に差し出した。一瞬だけ目を瞠った快斗だけど、絶対にポーカーフェイスは崩さない。