これも前記事の続編といってよい。大江健三郎→多和田葉子と続けて読んて良かったなと思ったのは、彼らの読書傾向の幅広さである。この2週間くらいのあいだに、大江健三郎も多和田葉子も志賀直哉をチェックしていることを知って驚いた。おふたりの作風からして志賀直哉はスルーかな…と思い込んでいたのだ。が、実際には、大江健三郎は志賀直哉を井伏鱒二と並んで「眼のひと」と呼んで敬愛を払っているし、多和田葉子は1982年に、ハンブルクの書籍取り継ぎ会社で研修生として働きだしたとき、日本から持って行った文庫本およそ20冊