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正月休み。高校生の正月休みと言えば、冬休みだ。しかも祠堂は早いうちから休みがスタートする。それでも部活があるもの、家に帰っても誰も休みじゃないからと寮に暫く残るもの、そんな懐かしさに思いを馳せていた。馳せていた理由。それは真行寺が受験前の足掻きをしたいから、俺に勉強を見てもらえないかと連絡してきたから。今更焦ったところで、ほぼ意味はないんだがな…。それでも会いたい気持ちが上回る俺も大概だ。待ち合わせは我が家。何度も来たことがあるから『直接お家にお邪魔していいっすか?』そ
「はぁ…ドキドキだな…。これが最後だとわかってても結果が出るまでは不安も付いてくるし、でも並行でこの先の未来も見据えなきゃいけなくなる。たかが18歳。成人にはまだ2年。(今は18歳が成人となったが)それでも…受かりさえすれば!そう、受かりさえすればオレにとって薔薇色の日々が待ってる!不安を考えるよりも、絶対に受かってるって信じて、輝きに満ちた日々を思い浮かべるぞ!てことで、思い立ったが吉日!電話しちゃえ!」purupuru。【ガチャ】なんて古い音なんかするわけもなく、郷愁を思う隙もなく
部屋を出ると、俺に遠慮しているのか真っ暗な中でテレビが光を放っていた。「おい、視力が落ちるぞ」真剣に何を見ていたのか知らないが、電気くらいつければいいものを。「アラタさん、お勉強終わったんすか?」「ちょっと息抜きにコーヒーを飲みにな。勉強に終わりはないから、少しくらい何か入れておかないとそれこそ『不養生』になるだろ?」「それならオレ、なにか作るっすよ」静かに音も小さくし、電気さえも節電状態。なのに、俺に使うエネルギーは放出しまくり。「いや、今はまだいい。お前も少しゆっくりしろよ
「いらっしゃいませ、お待ちしておりました」土砂降りの中、なんとか辿りついた旅館は以前と何も変わることなく存在していた。そう…あの離れも。「突然お願いしてしまい、申し訳ございません」「いえ、それがですね…本日はこの急な雨によりご予約が殺到いたしまして…本当はお一方だけの予定でしたが、埋まってしまった状態でして…」「あの…泊まれるんですよね?」予約は取り付けたんだから泊まれるんだろ?とおずおずと尋ねる章三。「はい、ご宿泊は可能でございます。ただ、6人様が同じお部屋にというわけには行か
なんとか、日にちは変わりましたが、書き終わりました!(*´ω`*)三洲はほんと、天邪鬼さん。真行寺のために笹が買いたくて、でもそれを手にするには大義名分が居る。祠堂に笹を贈呈する代わりに、自分にも小さいものを…と頼んだの。ほんとはこっちがメインなのにね。で、今年こそ七夕は一緒に過ごしたくて…タクミじゃなく真行寺を選んだ。もし、赤池がNGだった場合は、日にちをズラせばいいだけ。だけど、日頃の行いがいい三洲には天も味方する。ちゃんと蜜月を迎えれたみたいだよ。一年に一度の逢瀬ではな
暑さが、ただ暑いと感じるだけじゃなく、ジトジトと纏わり付き始める季節。梅雨…。そう、あの人が体調を崩す季節。今年は大丈夫だろうか…今オレは大学一年。アラタさんと同棲して初めての梅雨。去年は自宅から通学していたアラタさん。でも、オレが合格したとわかったときに『春になったら、お前は家から通うのか?』と聞かれた。あんなに、もの寂しい家に居るのは嫌だし、毎日愚痴を聞かされるのもゴメンだ。『出来れば…』『出来れば?』『アラタさんと一緒に部屋を借りたいです』『ふーん。部屋ねぇ…』
「ほんと急だよな、いつも」「わりぃ」『わりぃ』とか言いながらも絶対に思ってないだろうこの男は、兎にも角にも自分の時間で動き…そしてそんなこともわかっていながら、人の時間を使う。いや…使うと言っても、そこもちゃんと調べているのか『空いてないわけじゃない』ところをしっかりと付いてくる、なんとも言えない…根っからの大グループの跡継ぎだ。「で、今日はなんで呼ばれたんだ?」「うーん、実はさ…ちょっと一泊したくて…」一泊…それはもしや、恋人である【葉山】と…ということか?いや、勿論おれはノー
「はい、真行寺が大学一年の秋に。部活でちょっとありまして…。そのときに亀裂骨折を…」う〜ん…と渋めな表情になり先を進める医師。「その時にね、もしかして結構通院したかい?」通院…「真行寺が自分で探した大学近くの整形外科に通ってましたが、どのくらいの期間かと聞かれると…」「そうだよね。三洲くんが保険証を管理してるわけじゃないし、付き添ってたわけじゃないもんね」「それが何か…」「そうだなぁ…。本人の記憶が戻らないことにはハッキリ言えないんだけど。この間、頭以外に痛みを感じるところは無いか
昨日はゆっくりとイブを過ごした。二人だけの部屋にも小さいながらツリーを置いている。そのツリーの根元になにかが…。「アラタさん、これって…」「あぁ、お前宛だろ。そこに、【K.Sへ】って書いてあるみたいだし」「ほんとだ…。開けても良いっすか?」「俺に聞かれても…サンタが置いていったんだろうし」「サンタさん、あざーっす!」ビリッビリッビリリ…やっと出てきた中身は「参考書?」「お前がやってるテキストを見たことがあるんだろ。どうやらそのテキストが一番向いてるって思ったんじゃないのか?
「やっぱ、寒いっすね」ロングコートのポケットに手を突っ込み、少し前かがみに歩く真行寺。俺はその横で、ダッフルコートに手袋。このコートは、祠堂でも活躍していたものだ。「冬だからな」「そんな身も蓋もないこと言わないでよ、アラタさん」「事実だから仕方ない。それとも何か?夏なのに寒いなとでも言えばいいのか?」「やや、そんなことは求めてないっすけど…こう、もっと寄り添うとか…」お前、ここは商店街の中だぞ。そんな恐ろしいことが出来るのは崎くらいだ。「夢は寝てから見るもんだ」どよーん…と
今年は年末にかけ、かなり冬が厳しくなると、12月頭から天気予報は告げていた。寒くなるのは苦手だ。いくら祠堂が山奥の学校だったとはいえ、卒業して二度目のクリスマスにもなれば、山奥の寒さなんか忘れてしまって、今の寒さが一番だと脳が塗り替える。テレビの街頭インタビューで【ホワイトクリスマスになりそうですが、どんな気持ちですか?】なんだその質問。【ホワイトクリスマスの予報ですが、素敵な時間になりそうですか?】って聞くもんじゃないのか?どんな気持ちですかって…【ただ、寒い!】としか…。俺
今年のクリスマスは全国的に雪が降るかもしれないと、天気予報で言ってた。去年の12月は結構暖かかったのにな…でも、ホワイトクリスマスってロマンチックだし、気分も上がるし、なんてったって【恋人たちのイベント】にはピッタリ!だけどそれは世間一般の恋人に当てはまることであって、アラタさんには…なぁ。「なぁ、今年もバイトするのか?」『コタツのスイッチいれてくれ』と【コタツムリ】な珍しいアラタさんがコーヒーをふぅっとしながら、何ともなしに聞いてきた。「バイトっすか?」「そう、あの店に頼ま
真行寺が選んだ服、ちょっとどんなものかイメージしてもらうために貼り付けます!まず、斜めにカットされた黒のカーディガン。ま、これはジャケットに近いけどこんなカーディガンだと思ってください!見本はグレーですが、黒もちゃんとあるんです!でも、こっちのほうが大きかったからこれを貼りました!そして一番最初に着てくれたのは、このネイビーのシャツ!絶対に似合ったよね!定番中の定番って感じかな?(*´ω`*)そして、絶対に三洲が選ばないであろう服!真行寺が冒険して選んだもの!これ、似合う
『なんで鉛筆で擦ろうとしたんだ…』アラタさん、ご尤もです。『いや…もしかしたら…』『もしかしたら?』『アラタさんのメッセージが出てくるかなって…』『はぁ?』『ほら、子供の時やらなかったっすか?硬いもので書いて、それを鉛筆寝かせてさーってやると字が出てくるやつ!』『やったことはないが、百歩譲ってそれをしたとして…お前は何を求めたんだ?』アラタさんにはハテナだらけだよね?^^;『だから、アラタさんのラブメッセージが隠れてないかなぁ…って…』『ラブメッセージ…』『だってさ、写真送
『えむさん、アラタさんから写真来たっす!すっげー美人でめっちゃドキドキ。これって、アピールっすかね!オレに早く会いたいとか、早く…あ、ここはオフレコで…。あー!早くアラタさんに会いたいなぁ…』真行寺があの写真を見ながら報告してきまして…^^;それを撫でながらため息をついてる模様。そして…なんか、一枚ずつ透かして見てるらしい!『もしかしたら愛のメッセージがあるかもしれないから、確認してるっす!アラタさん、天邪鬼だからそういうこと、素直にみせないっすからね!』いや、見せないって
昼飯の後に『行きたいところはあるか』と聞かれ、オレは今回の計画に組んでいたものを提案した。それは【服を買う】こと。そんなの一人で買えよって思うだろうけど、ただ服を買うだけじゃなくて【アラタさんが選んでくれた服】を買いたかったんだ。だってアラタさんがオレのために時間を使って、オレに似合うであろうそれを探してくれるなんてめちゃめちゃ貴重なんだよ。それを証拠に、服を選んでくれたのはあの一度きり。そりゃあさ、忙しいアラタさんを何度も自分の買い物に付き合わせるわけに行かないってのもわかって
慌てふためきながら言い訳をしている真行寺を余所に、「この中から選ぶのか?俺は2着選んで来いって言ったはずだが…」「そーっすけど、見てたらどれも似合いそうで…。いや、間違いなく似合うんっすけど、着てみてもらってからってのもありかなって…。で、先にアラタさんが気に入ったものを2つ着てくれたら、チョイスも違ってくるっす!」なるほど。一応選んだが、そこから先は試着具合を見てということか。しかも、先に2着選ぶことはいつもの俺が買いそうなもの…ということになる。それを除外するか、やっぱりそれを
随分と間が開いちゃいましたが深海…の1読んだら一つくらい進めてみようかな…とリハビリで書いてみました!お待たせです!シンミスの続きですけど、内容はほぼ進んでないので期待だけはしないでください!てことで、あげまーす!Msize(えむさいず)のmyPick楽天市場【当日発送】【送料無料】酸素濃度計デジタル測定器脈拍計酸素飽和度心拍計指脈拍酸素濃度測定器指先型濃度計高性能呼吸数測定体調管理日本語説明書付き3,480円楽天市場ドリテック(DRETEC)
「葉山…大丈夫か…」絶対に大丈夫じゃないとわかりきっているのに、僕の口から出てくるものはそんな情けないものだった。「大丈夫だよ…ちょっとまだ平常運転じゃないけど、打撲も痛まなくなったし」その返事は、あの時にギイを庇って階段から落ちた後の経緯。「だけど、あまり無理はするな…後からアイツに文句を言われるのは僕だから」しまった!そう思ったときは手遅れで既にギイを思わせるものを出してしまっていた。「それこそ大丈夫だよ…ギイはもうここには帰ってこないし、二度と会うこともないかもだし…なんなら
参考書を買い、俺たちは次の場所に向かった。真行寺が選んだ場所…それは、蕎麦屋。蕎麦…それは初めて向かい合った時に、俺たちの間にあったもの。もし俺が選んだとしても場所は違えども、きっとチョイスは同じだったろう。それ程までに記憶に刻まれた食べ物。そしてやはり、頼んだものは二人とも同じ。俺は食が太くないから、ほぼ外食はしない。出されたものを残すのが嫌だからだ。我が家なら、俺の八分目を知っているから残すことはない。だが、外ではどんな量が出るか判断できない。それなら、サプリで終わら
「旨かったな」「はい!今までで一番旨かったっす!」「自分で探して来たんだ。尚更だろ」「いえ、アラタさんと来たからこそですよ!」「そうか」店を出て、旨かったと言ってくれたアラタさん。オレはね、もっとだよ。ばあちゃんの思い出と共に大好きな人と食べるそれは、最高に美味しかった。そのオレの一言に、ばあちゃんがしてくれていたアレと同じものを久々に頭に乗せ『そうか』と笑顔をくれる。「さて、昼も食べたし…何処か行きたいところはあるか?」「あの、実は…」行きたいところを尋ねられ、オレは今
ドリンクを飲み終え、アラタさんが良く行くという書店に向かった。そこは大きい店舗で、三階までコーナーに分かれて本が置いてある。いつも探すという、その参考書のコーナに促され数の多さに圧倒された。家の近所にある書店だと置いてあるものは限られていて…要は有名出版の類い。だから、チョイスするのは簡単だけど物足りなさもあった。陳列棚に指を添わせながら、結局進路は何処にしたのかと問われたオレは素直に答えた。「えっと…やっぱり防衛大学校は止めたっす。で、体育学部があるところを絞って受けようかと」
「ご注文は?」「あ、えっと…後から連れが来ますので…その時でも良いですか?」「畏まりました。では、ごゆっくりと。水はあちらにレモン水がございますので、ご自由にどうぞ」「ありがとうございます」ーーーーー『真行寺…ゴールデンウィークの予定なんだが…』やっとかかってきた電話。これでアラタさんに会える日が決まる!「はい!」『お前、実家に帰るだろ?』実家…帰りたくない気持ちはあるけど…やっぱり帰らなくちゃダメだよな…「まぁ…一応…」『そんな声を出すな。気が乗らないのはわかるが、顔く
「もしもし、アラタさん。あの…」ーーーーー葉山さんのアパートで花見をして以来、アラタさんに会えてない。それは当たり前なんだけど、声すらも聞けてなくて…花見は3年に上がって直ぐに誘われた。あれから約1ヶ月…生徒会室に行けば間違いなく会えるほどの状況だったのに、今は声すら掴めない。そんな色のない祠堂…でも、オレを恋人だとお父さんに紹介してくれた。だから、自信はついた。だってあのアラタさんが、第三者に恋人だとハッキリ言ってくれたのは初めてで…しかもそれがお父さんだったんだ。あんなに嬉
「そろそろ、行くか」「はい!」飲み終わったものを片付け、俺たちは目的地に向かった。「結局、進路はどこにしたんだ?」「えっと…やっぱり防衛大学校は止めたっす。で、体育学部があるところを絞って受けようかと」防衛大学校を目指していると聞いたあの日、自分に相談がなかったことに胸がざわついた。もしかしたら真行寺は俺が卒業した後、全てを忘れて別の道を歩き…そして俺のいない未来を見ているのかと…だが、あの卒業式の後に父さんに思いをぶつけてくれた。『オレ、アラタさんのことが大好きなんです!お父さ
「あ、ここです!」ずっと入り口を眺めていたのか、それとも偶然こっちをみたのか…俺をみつけ、声をかけてきたのは二週間前に電話をした相手。「すまない、待たせたな」通常、約束をした相手を待たせることはしない主義だが昨夜どうしても寝付けず、結果…3時間前にうっかりと寝落ち、出掛ける一時間前に目が覚めたことで約束の30分を過ぎてしまった。こんな出だしになるとは…不甲斐ない。「大丈夫っす!言うほど待ってません。それより、慌てて怪我とかしてませんか?」寝坊した俺を責めることなく、更に心配まです
葉山に呼ばれ、真行寺の身を寄せる場所について相談しろと言われた。結果、真行寺は葉山を選んだ。そうなるだろうと、予感はあった。兎に角、俺と距離を取ろうとしていたから…何をそんなに避けるのか…いつも『犬』だ『バカ』だと言っていた罰か…だが、あいつが決めたものを反対することも出来ない俺は情けないヤツなのかもしれない。誰が本当のバカなんだろうな…俺はこれから過ごす暗い日々を思いながらエレベーターに乗った。ーーーーー「三洲くん!」エレベーターが途中の階で止まり、乗る人に声をかけられた
「真行寺くん…ほんとにぼくで良いのかい?」「はい…良いんです…すいません、よろしくお願いします…」顔は床を見たまま…そんなに落ち込むくらいなら、白紙なんて言わなきゃ良いのに…「じゃあ、退院が決まったら教えてね。ぼくは中郷さんに報告するから。あ、それと身の回りは洗濯だけね。後、掃除は適当にお互い時間が合うときにやろう。食事はちゃんとぼくと同じように用意してもらうから…キミは何も心配せず着替えくらいを用意すれば良い。むしろ、病院に行くくらいになると思うからそれもあまり必要ないかもね…。
「おい、真行寺。どういうことだ…」「あの…引っ越しのこと話したら…突然怒り始めて…で、先輩を呼ぶことに…」「で、葉山の言い分を聞いてどう思った」「あ、あの…オレは先輩たちに迷惑かけたくないんで…」「どちらも選らばないってことか?」相談しているからそっとしておいたのに、どちらも選ばない?「はい!ストッープ!」そんなことさせるもんか!「選択肢は2つって言ったよね?真行寺くん!だから、どちらも選ばないっていうのは出来ません!はい!再度、相談開始!」「おい…どうするんだ」「あ、あの
「なんだ、突然呼び出して…」「やっと来たね!揃ったところで、そこに並ぶ!」やっと登場した三洲くんと、真行寺くんをベッドサイドに置いた椅子に座らせる。その表情はほんとに良く似ていて…なのになんで、白紙なんて…兎に角…「葉山…」「葉山先輩…」発するものも同じ…そんな二人を前にぼくは説教することにした。「はい、黙る!いいかい、君たち、良く聞いて!暫くはぼくの話をしっかりと聞いてほしい!いいね!」何となく言われるであろうことは、わかっているはず。それでもぼくは、言わずには居られなか