換言すれば、明敏な後期バロック芸術が精神に語りかけたものであり、反省的言語を語ったものであるといっても、この様式がデカルト的「論証」なり、幾何学の明晰で脆い諸命題のごとく論証的抽象物へ知識を還元するようなデカルトの「数学的」分析方法に、直接負っている、と考えてはならない。なぜなら、デカルトの目的は「数学的思考」をあらゆる思考形態に拡張することであった。後期バロックないしオーガスタンの伝統は、これとは対照的に、方法や表現において数学的ないし合理的であるよりは、何よりもまず「心理的」である。詩人とい