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高校受験を直前に控えたウンスが、とんでもなくハマった飲みものがある。「ウンスや、できたわよ」「わ〜、チョコのトッピング?」「ヘーゼルナッツとチョコレート、どう?イケるでしょう」「うん、もう最高!」ヘーゼルナッツとチョコレートのドリンクレシピ(4杯分)①ヘーゼルナッツ1カップ②水1リットル③塩少々④蜂蜜などの甘味お好みで⑤ココアパウダー1/4カップ⑥チョコチップ適量⑦生クリームもしくはバニラアイス1.ヘーゼルナッツを軽く焼き色が
話しは茸狩りの二日ほど前に遡る。官庁街に向かって広化門をくぐろうとしたそのとき、チェ・ヨン目がけて紙飛礫が投げられた。それを余裕でつかむと、中も確かめずポイと捨てる。「おい、読まずに捨てるなって」「師淑、用があるなら口で云ってくれ」「ったくよう、相変わらず素っ気ねえな。中を見なくていいのかよ?」「どうせ…」勘定書きだろうが「いつものアレじゃねえぜ。今日のはお誘いさ。おめえの“あの方”からのよ」「(俺の、だと?)…」おっ、今、奴の耳が動いたぜところが
満面を笑みにしたマンボ姐が、ウンスの前に汁椀をトンと置く。「今日は特別さ」「ん〜ん美味しそうないい匂い。これ、キノコですか?」「灰樹花(※)って知ってるかい?」「フイシューフア?」「これのことさ。樹の幹に生えてる灰色をした花って意味らしいよ」確かに花びらのように見えなくもないが、知識を詰め込むよりもまずは汁物を胃に詰め込みたい。頂きます、と箸を握った途端、ウンスは食べるのに夢中になった。「ハグハグ、ゴックン。歯ごたえがあって、噛む度に香りが口の中に広がって…と
「言って下さい。俺は何をすればいい」「水キムチに絶対入れたいお野菜があるんだけど、それが萵苣(ちしゃ)ってものなら…高価なんでしょう?何とか手に入れられないかしら」「みず、きむち…」「発酵食品、乳酸菌よ!で、ジャジャ〜ン!キムジャンにはじめて挑戦しちゃう!!!」“発酵食品”は理解出来る。“じゃじゃ〜ん”はオノマトペといって、効果を狙った時にウンスがよく使う。“キムジャン”は醤の一種だろう。だが“乳酸菌”とは…初めて耳にする言葉だ。「はは〜ん。その顔は
一年のうちでもっとも日が短い冬至(トンジ)(동지)を前にして、チェ尚宮は何かと気忙しい。「果物はこれでいいだろう。油菓や薬菓などは足りておるか?そうか、よかった。それと…」パチンと手を鳴らし、直ぐさましまったという顔をする。※「そうだよ、それも兒冬至(エトンジ)(애동지)だ。まだ子はおらぬから、粥でいいな。私としたことが、チョナの好物を忘れるなど…どうかしておるわ」他に失念していることはないか、と懐に仕舞いおいた書き付けに目を通せば、幾つかの確認事が記されて
「違うわ!寝る前に身体をぬるめのお湯で温めるとね、深部体温がちょっとだけ上がるから、血行がよくなって、それが…下がってくれば…」瞳にはいつもと変わらぬ輝きがあるが、よく見れば白目は充血し、目の下にはうっすらとクマまで見てとれる。それだけではない。僅かながら目蓋の痙攣が認められ、かなり辛そうだ。食い物や着るもの、暮らしぶりには随分と慣れたと言っていたが…寒さが堪えるのかもしくは、不安か?…それで目が覚めるのかだから、蜜柑の皮を?☆肩、急に力が入った?目の
市井のとある通り沿いに開京一と評判のクッパを出す店がある。とっくに日が暮れて、最後の客も席を立ったというのに、店先では飲んだくれがひとり、くだを巻いている。「ヨンはさあ、このあたひを〜なあんらって、思っへるわけぇ?!」「そりゃあまあ、スリバンの仲間だろう?で、ヨンの奴にとっちゃあ忘れられない舞手さね」忘れられない、という言葉の響きに、名無しの口の端が、今夜初めてニンマリと上がる。「ふっふっふ、これでもぉ、ひょいとばかしぃ〜名が知れてから長いのよぉ」「そうだよ。花街界
更に二刻が過ぎ、それでも二階にある個室の扉は開こうとしない。ヨンと医仙さまは中で一体何をしているのか…スリバンにマンボ姉弟を加えた計五人は、ふたりの話題を酒の肴にして、多いに大いに盛り上がっている。「だけどよ、あのふたりって仲いいんだかどうだか、今ひとつわかんねえ、ヒック」マンボが、かねてからの疑問を口にする。「だよな。ヨンの奴ときたら、医仙さまの顔見るなり毎度毎度…」「そこ、オレに言わせてくれ!なにしてるんですかこうだろ?」「オレが女だったらさ、あの目付きひとつですく
西暦1352年2月14日その年のバレンタインデーに、ウンスはイナゴマメを手に入れることが叶わなかった。勢い込んでいただけに、その落胆ぶりといったら…マンボさんにもトギにも、悪いことしちゃったわ…やっぱり14世紀の壁は厚かったってことかな肩がガックリと落ちて、ため息までこぼれてくる。「すまねえな。けど医仙さまよ、あんたは諦めちゃいけねえ。(ヨンの奴にも頭下げられちまってるし)何としても探し出してやるからよ!」マンボのゴツくてぶ厚い手が、ウンスに差し出される。
ひとつ前に、久しぶりの四方山なおしゃべりをupしてます。先に部屋が見たい、とウンスに言われ、マンボ姐は満面笑みになる。「あっちの奥の部屋さ。急だったから大した用意も出来てないけどさ、足りないもんがあったらいつでも言っとくれ」「お世話になります!これ、よかったら」「あらら。こんなにたくさん…良いのかい?」「水仕事の後で使ってみてください。アカギレ知らずになるんです」笑顔で土産の石鹸を手渡すと、チェ・ヨンの後を追う。ところが、部屋の中を一目見るなりその男(ひと)
新年を迎えたここ夢幻楼では、馴染み客への祝儀と称し、華やかな舞いが振るまわれている。それは鳥歌花舞といった趣に満ち、束の間男達を夢の世界へと誘(いざな)った。あのキ・チョルでさえ、片方の眉をひくつかせ、への字の口元の上、すなわち鼻の下が伸びきった状態。しかし、宴が終わりに近づいた頃…”気”が逆流する兆しが見え始める。控えていたヤンサに寄りかかりながら、連れを残し、その場を後にしたのだが…☆☆☆「亀の間、やっとひけたわよぉ」「やれやれだわね」「
夢幻琅の女将、紗月からの情報で、名無しはひと仕事を終えた今も碧瀾渡に留まっている。『師匠ならご存じでしょうけど、交易には必ず闇取り引きってものがあるんですってねぇ。碧瀾渡でそれを仕切ってるのが李元ていう旦那。西域や天山の向こうからの珍品も、度々運ばれてくるらしいって噂なんですよ』『リー・ユァン?それって漢人の名前じゃないのぉ』男は江南出身の漢人だという。大都で一財産を築いたが、小役人への賄賂をケチったことが仇となり、安南(=ベトナム)に身を隠した。それから十余年が過ぎた今、
▼私を構成する成分は・・・\あなたは何で出来ている?/成分チェッカーで分析するみんなの結果をみるもしも、あのお方がスイーツ大好きで気の弱い軟弱男子だったとしたら・・・(爆)☆☆☆元風のきらびやかな衣を纏う男が長い行列を無視し、先頭に割り込んできた。その目を耀かせ、額にはうっすらと汗までかいている。「女将、新作を頼む。二十個ほど包め。急いでくれっ!」また来たよ評判を聞いたんだねけど…横入りは、このマンボ姐さん
薄墨を流したような重たい雨雲を、押しやるように青空が顔を覗かせていたが、辰時(7~9時)をまわると、少し風が出てきた所為か、雲の動きが心持ち速く感じる。ひと雨来るなチェ・ヨンは見上げた空に、気配を感じた。「戻りましょう。テマンが着くまでまだかかるはずです。少しでも休んでおいた方がいい」「いいわね。でも、その前にこの髪を何とかしなくちゃ。宿に着いたらお湯をもらって…そうだ!足湯に浸かるのもいいわね!暖まるし…」今朝、自らの手で結んでやった艶やかな髪が、湿った
典型的な記憶とは脳内の過去のある時点で活性化した異なる部分間の接続が単に再活性化することですbyニコライ・ククシキン開京でとる最後の食事は、燓阿(はんあ)と呉普(ごふ)の希望もあってマンボ姐のクッパに決まった。「元気で暮らすんだよ」「あい…」「ちゃんと食べて、一人でも多くの病を治すんだ」「ふぁい…」師との再会を果たした「時代」だから、そしてみんなから親切をもらった「場所」だから、ここ開京は燓阿にとって、もはや第二の故郷なのだ。長かった十年の旅