戦争でのトラウマに苦しむ元兵士。『ローリング・サンダー』(77年)『タクシー・ドライバー』(76年)でも描かれた人物像はポール・シュレイダーのライフワークであり、自身そのものの姿なのだろうか。今回の『カード・カウンター』もまた、捕虜収容所で体験した行為に苛まれる男の物語だ。ウィリアム・テルを名乗るギャンブラー(オスカー・アイザック)は収容所で習得したブラックジャックのテクニックを元に、あえて目立たない方法で生計を立てている。その中で偶然出会った青年は、ウィリアムと同じ収容所で過ごし上官から植え付