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自宅の本棚に、白い背を向けてズラリと並ぶ文庫本の一群がある。日本エッセイスト・クラブ編『ベスト・エッセイ集』(文藝春秋)である。この七月(二〇〇八年)、そこに特別な感慨をもって二十三冊目の文庫を加えた。〇五年版『ベスト・エッセイ集』である。『ベスト・エッセイ集』は、前年に新聞・雑誌等に発表された短編エッセイを対象に、文藝春秋での二次にわたる選考で一五〇篇前後に荒選りされた作品を、日本エッセイスト・クラブによってさらに二次の選考を経た六十篇が収録される。このエッセイ集への応募は、自薦・他薦を
二〇〇四年、同人誌に発表していた私のエッセイ「警視総監賞」が、文藝春秋の『二〇〇五年版ベスト・エッセイ集』に収録された。二十三歳で見た夢が四十五歳で叶った瞬間であった。コツコツやっていれば、いいこともあるんだなと実感した。実家の母が騒いだおかげで、北海道新聞に採り上げられた。その日、早朝に札幌を発ち、母のもとに向かっていた補聴器屋が、カーラジオから流れてきたニュースに血相を変えた。「お宅の息子さん、ラジオのニュースに出てましたよ……」自分が向かっている先の婆さんの息子の名前が、突然ラ
私は、サラリーマン生活のかたわら、趣味でエッセイを書いている。昨年(二〇〇五年)に続き、今年も文藝春秋の『ベスト・エッセイ集』に拙作が収録されることになった。一報をもらったのは、土曜日の朝だった。全身に鳥肌が立った。思わず外に飛び出して、パンツを下ろして万歳三唱をしたい衝動に駆られた。変体ではないが、ケタ外れのとんでもないことをしたくなったのだ。そうでもしなければ、激しい動悸と、ワナワナ震える足が治まらなかった。正直、二年連続はないと思っていた。このエッセイ集への収録は、二十五歳のとき
同人誌『随筆春秋』二十二号(二〇〇四年九月刊)に掲載した拙作「警視総監賞」が、『二〇〇五年版ベスト・エッセイ集』(文藝春秋刊)に選出・収録された。望外の喜びである。私がこの『ベスト・エッセイ集』を手にしたのは、東京駅前に八重洲ブックセンターができたばかりのころで、そこで初めて購入した本が『八三年版ベスト・エッセイ集―耳ぶくろ』だった。一九八六年、私が二十六歳のときのことである。それから五、六年続けてこのエッセイ集を読んでいた。そのころの私は、日記しか書いたことがなかったのだが、こうい
日本エッセイストクラブが、その年の最も優れたエッセイの名を冠して、八三年より『ベスト・エッセイ集』を発刊している。数年遅れで文庫が出ており、現時点(二〇〇一年五月)では、九七年版『司馬さんの大阪弁』までの十五冊が出版されている。昨年、すべてを通して読んでみようと思い立ち、九七年度版から年代を下るように読み始めた。一冊に六十編前後のエッセイが収められているのだが、毎年、千編近い作品の中から選び抜かれたものだけあって、どの作品もある種の輝きを秘めている。というのは真っ赤なウソで、どこがいいのか