おそらくほとんどの方はご存知ないと思いますが、イタリアにディーノ・ブッツァーティという作家がいました。1906年に生まれて1972年に亡くなっています。日本の作家だと坂口安吾と同い年だといえば、世代感がわかると思います。しかし現在でも僕も含めてファンが多く、今でも新しい翻訳が出版され続けているという珍しい作家です。最近も彼の処女作である「山のボルナボ」が出版されましたし、彼の遺作である「モレル谷の奇跡」は2015年に翻訳されています。彼の魅力がどこにあるのか、この2作を中心に考えてみたいと思いま